HOME > レビュー > ビクタースタジオ・エンジニア名鑑:谷田 茂氏

ビクタースタジオ・エンジニア名鑑:谷田 茂氏

公開日 2014/12/24 12:34
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

谷田 茂 氏
ビクタースタジオ所属レコーディングエンジニア

バークリー音楽院出身の、音楽理論もベースに持つ逆輸入型。英語と関西弁はペラペラ。J-POPからキャリアをスタートし、今ではオリコントップ10の常連。ポップス系では無二の存在。加えて、その仕上がりの高さから、様々なプロジェクトやアーティスト、プロデューサーからも指名を受け、これまでに幅広いジャンルで数多くの作品を手掛ける。更に、国内のみならずアメリカ・イギリス・オーストラリアなど、海外からのダイレクトなオファーもあり、その語学力を生かしたワールドワイドなスタンスでも活動。

自らは「阪神タイガースをこよなく愛し、音楽で世界を渡り歩き、東京に魂を売り飛ばしたレコーディングエンジニア」と豪語。サウンドやレコーディングテクニックだけでなく、携わるプロジェクトでの信頼関係にも重みを置き、チームワーク重視での作品作りを目指している。

趣味は、カメラ、楽器演奏(トランペット、ギター、ピアノ)、草野球、麻雀と多彩。座右の銘を“人生、明るく、楽しく、のびのびと”とする、ビクタースタジオ内トップの売れっ子エンジニア。



<谷田氏からのコメント>
15th Anniversary Special X’mas Concert/paris match

今回の恵比寿 The Garden Hallで行われたparis match「L’ULTIMO BACIO Anno 15 〜 paris match 15th Anniversary Special X’mas Concert 〜」はライブレコーディングからミックスまで96kHz/32bitで行われています。

CDの場合はここ数年96kHz/24bitで作業していたので、ほぼ同じようにストレス無くオペレートできました。96kHz領域ではライブの臨場感や歌の息づかい、ミュージシャンの細かなニュアンスまで再現できていて、まさにハイレゾならではの音像感になっていると思います。当日会場に来られなかったparis matchファンの皆様も、パワフルで臨場感のある音、空間を真空パックした今作品をぜひお聴きいただき、感じていただきたいと思います。






11 / paris match

paris matchの制作に携わって、早14年になります。現在まで10枚以上のアルバムに参加させて頂きました。このプロジェクトはまさに私のライフワークと言っても過言ではありません。最高のミュージシャンによる演奏と秀逸なアレンジに透き通る歌声でポップかつオシャレな音を奏でるparis matchの存在は、業界でも唯一無二。音へのアプローチも当時からほとんど変わっていません。「立体的な音」を目指す事だけ。これがなかなか難しい!永遠のテーマですね。録られている音のまま、楽器、歌がそれぞれ分離よく聴かせる為にEQもコンプレッサーも最低限しか使いません。楽曲、音の素材が良ければ、ほとんど弄らなくていいんです。

paris matchがある意味「期待を裏切らない」作品を生み出し続けているのも一番にやはり、楽曲の良さ、歌の透明感、アレンジの格好良さにあると思います。それぞれの良いところを「つなぎ合わせる」のが私の仕事です。今回もそんな「普遍的にカッコいいサウンド」をぜひご堪能頂ければと思います。




edition 10 / paris match

paris matchの楽曲はポップスやAORを基調とした上で、Jazzの高度なコードワークを用いた独特の音楽性が特徴です。アルバム「edition 10」では“お洒落でカッコいい”をまさに感じられる1枚になるよう、生楽器を立体的に表現し迫力のあるサウンドに仕上げつつ、透明感ある歌の存在感を失わないように全体をまとめました。

ブラスセクション等の生楽器のレコーディングは広い音響空間のスタジオとヴィンテージマイクを駆使し、ミックスダウンではデジタルのままでは無く、サミングアンプを用いて一度アナログに戻して作業し、トータルで“空気感”を表現できるように努めました。

更に、一つ一つの楽器の音色、プレイも素晴らしいので、あとはおのおのをしっかり、お互い邪魔することなく存在感を出すために、EQ、コンプレッサー、空間系エフェクトなどで調整を施しています。この作品は、録音の段階からデジタル96kHz24bitを採用していますので、よりキメ細やかな繊細で迫力のある音をお楽しみ頂けると思います。



この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE