[PR]アコースティックラボ主催「Acoustic Audio Forum」に記者が密着
オーディオルームに最適な残響時間とは? 防音のプロが“高音質な部屋”づくりを徹底解説!
オーディオでの高音質追求において機器の選定とともに(場合によってはそれ以上に)重要な要素が、音を鳴らす“部屋”の存在だ。オーディオ機器の性能をフルに引き出す“いい音の部屋”づくりのポイントを体験できるイベントが毎月定期的に行われている。防音工事会社「アコースティックラボ」による「Acoustic Audio Forum」だ。過日開催された最新回「第55回 Acoustic Audio Forum」の模様をレポートする。
■オーディオ機器のポテンシャルを引き出して音楽をたっぷり堪能できる「AL式オーディオルーム」
オーディオにおいて「音がいい/悪い」というと、どうしてもアンプやスピーカーといった製品そのものについて考えがち。だが、プロのミュージシャンの演奏だって会議室で聴くよりもちゃんとしたそれなりのホールで聴いたほうがその魅力をたっぷりと味わえるように、音を鳴らす環境、つまり部屋は音楽にとって非常に重要だ。
そんな、オーディオ機器のポテンシャルを引き出して音楽をたっぷり堪能できる部屋として「AL式オーディオルーム」を提唱しているのが、“音楽家のための防音工事会社”を謳うアコースティックラボである。
AL式オーディオルームとは、同社の社名(Acoustic Lab)にちなんだもので、オーディオファン向けの物件やプロのエンジニアも使う音楽スタジオなどを多数手がけて蓄積した豊富なノウハウに基づいた考え方。部屋の各辺(縦/横/天井高)の寸法比に留意することで低音の定在波対策を図る、壁/床/天井の剛性を高めて不要高調波輻射音の対策をする、そのうえで響きの長さを調整する…などといったポイントをキチンとおさえて防音工事をすることで、音がいい部屋を作り上げられるのだ。
そして、同社の防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」でAL式オーディオルームを体感しながら“高音質な部屋”構築について学べるのが本イベント。最新回では「部屋の吸音特性(残響時間特性)について考える」をテーマに、残響時間測定の実演など様々なデモが展開された。
■オーディオルームに最適な残響時間はどれくらい?
オーディオファンのなかには「あのコンサートホールは残響時間が○秒くらいらしい」といったことを話題にした人もいるかもしれない。しかし、「だから自分のオーディオルームも同じくらいの残響時間にしてつくればいい」というわけではない。同社の鈴木代表は「2,000人規模のホールでは2秒くらいの残響時間が適しているが、500人のホールで残響時間が2秒だと長過ぎてしまう」と解説する。部屋の大きさによって最適な残響時間は変わるのだ。
したがって、部屋づくりにおいては残響時間をどれくらいとるかというよりも、部屋の“平均吸音率”がどれくらいなのかから考えたほうがよいと同社はアドバイス。
音は、壁や床、天井で反射する際にエネルギーを吸われて吸音される。大きい部屋よりも小さい部屋のほうが音が反射する回数が多くなる(エネルギーを吸われる回数が増える)ため、部屋による吸音度合いが同じなら、大きい部屋のほうが響きが長くなるのだ。
また、コンクリートなのか木材なのかといった具合に、床や壁に使う素材の材質によっても吸音具合は異なってくる。こうした諸々の条件をもとに平均吸音率を導き出し、その広さに適した残響時間を持つ部屋の設計に活用するのである。
なお、すべての物体は音を吸収する性質を持っており、特に吸音アイテムを使用していない部屋であっても本棚やカーテンなどの家具によって吸音されている。物が多い部屋の響きが短いことを経験的に知っている人は多いのではないだろうか。
「薄い繊維質のもの、例えばカーペットなどであれば1kHz以上の高音域が吸音される。1kHz以上の帯域が吸音されると、いかにも“吸音された音”という印象になるので、薄いカーペットを部屋全体に敷くと高音ばかり吸われてバランスの悪い音になってしまう」という。
当日は、部屋からすべての吸音材を外した状態、適度な吸音材を設置した状態、さらに吸音材を増やした状態という3つの異なる状況を作り出して、その違いを体験するデモを実施。
「中高音域を中心に吸音することで、低域をより感じられるようになって重心が下がったように聴こえたのではないか」と同社が説明するように、オーディオシステムは変わっていないのに部屋の響きによって音楽の印象が大きく変わることを実感できた。「部屋はオーディオの一部」という同社の考え方にあらためて納得させられる。
なお、今回の3種類の響きのうちどの状態の響きが好みかについての参加者アンケートでは、どれかに回答が偏ることなくそれぞれ同じくらいの人数になったとのこと。音楽ソフトによってデッドな状態のほうが適していたりその逆もあったりと、一概には答えられないと感じている人もいたようだ。
■音楽スタジオに最適な残響時間とは/注目の真空管アンプも登場
なお、イベントは上記のようなポイント解説や音出しデモを行う「オーディオルームの音響アラカルト」パート、同社が注目しているオーディオ機器を紹介するパート、同社が過去に手がけた実例紹介パートという3つのパートで構成。実例紹介パートでは、音楽編集スタジオの施工例が取り上げられた。
このスタジオの平均吸音率はおよそ0.45で、これは同社蔵前ヴィレッジの部屋を最大限に吸音した状態よりも音が響かない状態だとのこと。ちょっとした音の変化もモニタリングする必要がある業務用モニタースタジオならではの事情と言えるだろう。“最適な残響時間”には絶対的な正解があるわけではなく、目的や好みに応じて設計していくものだということがわかる。
また、注目オーディオ機器の紹介パートには、真空管アンプメーカー「サンバレー」の製品が再登場。直熱三極管“845”をフィーチャーしたブースターアンプ「SV-284D」をアコースティックラボのリファレンスシステムに組み込み、B&W「802D3」をドライブしての音出しデモが披露された。
なおデモ用の楽曲には、あえて前回と同じものを数多く使用。リピーターの参加者にとっては、部屋の状態や機器の違いによる違いを体感しやすいようにも配慮されていた。
■次回は11月23日(金・祝)・24日(土)に開催
このように、様々なデモを通じて高音質な部屋づくりを体験できる本イベント。次回は11月23日(金・祝)・24日(土)に開催が決定している。
テーマは「吸音配置とステレオ再生パターンの関係を実験・試聴する」で、「客観的に対象的に音を音像として聴くのか」「楽音のリアリティを音楽空間の再生として聴くのか」というステレオの愉しみ方の基本スタイルを確認、実験・試聴するという。
なお、金曜日、土曜日の両日とも基本的な内容は同一。公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
■日時
11月23日(金)14時〜16時(13時開場・自由試聴時間)
11月24日(土)14時〜16時(13時開場・自由試聴時間)
■会場
アコースティックラボ 蔵前ヴィレッジ
台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com
(提供:アコースティックラボ)
■オーディオ機器のポテンシャルを引き出して音楽をたっぷり堪能できる「AL式オーディオルーム」
オーディオにおいて「音がいい/悪い」というと、どうしてもアンプやスピーカーといった製品そのものについて考えがち。だが、プロのミュージシャンの演奏だって会議室で聴くよりもちゃんとしたそれなりのホールで聴いたほうがその魅力をたっぷりと味わえるように、音を鳴らす環境、つまり部屋は音楽にとって非常に重要だ。
そんな、オーディオ機器のポテンシャルを引き出して音楽をたっぷり堪能できる部屋として「AL式オーディオルーム」を提唱しているのが、“音楽家のための防音工事会社”を謳うアコースティックラボである。
AL式オーディオルームとは、同社の社名(Acoustic Lab)にちなんだもので、オーディオファン向けの物件やプロのエンジニアも使う音楽スタジオなどを多数手がけて蓄積した豊富なノウハウに基づいた考え方。部屋の各辺(縦/横/天井高)の寸法比に留意することで低音の定在波対策を図る、壁/床/天井の剛性を高めて不要高調波輻射音の対策をする、そのうえで響きの長さを調整する…などといったポイントをキチンとおさえて防音工事をすることで、音がいい部屋を作り上げられるのだ。
そして、同社の防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」でAL式オーディオルームを体感しながら“高音質な部屋”構築について学べるのが本イベント。最新回では「部屋の吸音特性(残響時間特性)について考える」をテーマに、残響時間測定の実演など様々なデモが展開された。
■オーディオルームに最適な残響時間はどれくらい?
オーディオファンのなかには「あのコンサートホールは残響時間が○秒くらいらしい」といったことを話題にした人もいるかもしれない。しかし、「だから自分のオーディオルームも同じくらいの残響時間にしてつくればいい」というわけではない。同社の鈴木代表は「2,000人規模のホールでは2秒くらいの残響時間が適しているが、500人のホールで残響時間が2秒だと長過ぎてしまう」と解説する。部屋の大きさによって最適な残響時間は変わるのだ。
したがって、部屋づくりにおいては残響時間をどれくらいとるかというよりも、部屋の“平均吸音率”がどれくらいなのかから考えたほうがよいと同社はアドバイス。
音は、壁や床、天井で反射する際にエネルギーを吸われて吸音される。大きい部屋よりも小さい部屋のほうが音が反射する回数が多くなる(エネルギーを吸われる回数が増える)ため、部屋による吸音度合いが同じなら、大きい部屋のほうが響きが長くなるのだ。
また、コンクリートなのか木材なのかといった具合に、床や壁に使う素材の材質によっても吸音具合は異なってくる。こうした諸々の条件をもとに平均吸音率を導き出し、その広さに適した残響時間を持つ部屋の設計に活用するのである。
なお、すべての物体は音を吸収する性質を持っており、特に吸音アイテムを使用していない部屋であっても本棚やカーテンなどの家具によって吸音されている。物が多い部屋の響きが短いことを経験的に知っている人は多いのではないだろうか。
「薄い繊維質のもの、例えばカーペットなどであれば1kHz以上の高音域が吸音される。1kHz以上の帯域が吸音されると、いかにも“吸音された音”という印象になるので、薄いカーペットを部屋全体に敷くと高音ばかり吸われてバランスの悪い音になってしまう」という。
当日は、部屋からすべての吸音材を外した状態、適度な吸音材を設置した状態、さらに吸音材を増やした状態という3つの異なる状況を作り出して、その違いを体験するデモを実施。
「中高音域を中心に吸音することで、低域をより感じられるようになって重心が下がったように聴こえたのではないか」と同社が説明するように、オーディオシステムは変わっていないのに部屋の響きによって音楽の印象が大きく変わることを実感できた。「部屋はオーディオの一部」という同社の考え方にあらためて納得させられる。
なお、今回の3種類の響きのうちどの状態の響きが好みかについての参加者アンケートでは、どれかに回答が偏ることなくそれぞれ同じくらいの人数になったとのこと。音楽ソフトによってデッドな状態のほうが適していたりその逆もあったりと、一概には答えられないと感じている人もいたようだ。
■音楽スタジオに最適な残響時間とは/注目の真空管アンプも登場
なお、イベントは上記のようなポイント解説や音出しデモを行う「オーディオルームの音響アラカルト」パート、同社が注目しているオーディオ機器を紹介するパート、同社が過去に手がけた実例紹介パートという3つのパートで構成。実例紹介パートでは、音楽編集スタジオの施工例が取り上げられた。
このスタジオの平均吸音率はおよそ0.45で、これは同社蔵前ヴィレッジの部屋を最大限に吸音した状態よりも音が響かない状態だとのこと。ちょっとした音の変化もモニタリングする必要がある業務用モニタースタジオならではの事情と言えるだろう。“最適な残響時間”には絶対的な正解があるわけではなく、目的や好みに応じて設計していくものだということがわかる。
また、注目オーディオ機器の紹介パートには、真空管アンプメーカー「サンバレー」の製品が再登場。直熱三極管“845”をフィーチャーしたブースターアンプ「SV-284D」をアコースティックラボのリファレンスシステムに組み込み、B&W「802D3」をドライブしての音出しデモが披露された。
なおデモ用の楽曲には、あえて前回と同じものを数多く使用。リピーターの参加者にとっては、部屋の状態や機器の違いによる違いを体感しやすいようにも配慮されていた。
■次回は11月23日(金・祝)・24日(土)に開催
このように、様々なデモを通じて高音質な部屋づくりを体験できる本イベント。次回は11月23日(金・祝)・24日(土)に開催が決定している。
テーマは「吸音配置とステレオ再生パターンの関係を実験・試聴する」で、「客観的に対象的に音を音像として聴くのか」「楽音のリアリティを音楽空間の再生として聴くのか」というステレオの愉しみ方の基本スタイルを確認、実験・試聴するという。
なお、金曜日、土曜日の両日とも基本的な内容は同一。公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
■日時
11月23日(金)14時〜16時(13時開場・自由試聴時間)
11月24日(土)14時〜16時(13時開場・自由試聴時間)
■会場
アコースティックラボ 蔵前ヴィレッジ
台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com
(提供:アコースティックラボ)