[ PR ] イベント「Acoustic Audio Forum」取材レポート
“床”で音質はココまで変わる! 部屋づくりのプロ「アコースティックラボ」が“高音質な部屋”づくりを徹底指南
オーディオボードのようなアクセサリーが存在していることからも分かるとおり、オーディオ機器の接地面は音質にとって非常に重要だ。部屋の床はそんな接地面の大元となるわけだが、オーディオファン向け物件を数多く手がける防音工事会社アコースティックラボは「床の構造で音はかなり変わる」と説明する。それはいったいどういうことなのか? 同社による解説が行われた試聴会「第59回Acoustic Audio Forum」を取材した。
■音がいい防音室「AL式オーディオルーム」
主催のアコースティックラボは、上記のようにオーディオファンがオーナーの物件の防音工事を数多く手がけるだけでなく、プロのミュージシャンやエンジニアが利用する音楽スタジオの設計なども手がける会社。“音楽家のための防音工事会社”を謳っており、音楽を鳴らすのに最適な部屋づくりの豊富なノウハウを持っている。ちなみに、代表を務める鈴木氏も自身が大のオーディオファンであり、そのほかのスタッフもオーディオに対するしっかりとした知見を持っている。
同社では、「部屋はオーディオの一部」という考えで活動している。オーディオ機器から出る音が響く空間である部屋は大きな影響力を持っており、オーディオ機器のポテンシャルを活かすも殺すも部屋次第な部分があるからだ。
そんな考えの下、同社が提唱するのが、社名の“Acoustic Lab”にちなんだ「AL式オーディオルーム」。部屋の各辺(縦/横/天井高)の寸法比に留意する(低音の定在波対策)、壁/床/天井の剛性を高める(不要高調波輻射音対策)、そのうえで響きの長さを調整する…などといったポイントをキチンとおさえて防音工事をすることで、音がいい部屋を作り上げられるという考え方だ。
試聴会「Acoustic Audio Forum」の会場となっている同社の防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」も、そんな「AL式オーディオルーム」の代表例。スピーカーやアンプを交換したり、ちょっとセッティングを変えるなどした際に、その変化をしっかり感じ取れるのも、部屋がオーディオ的な音の響きに配慮してつくられているからだろう。
■床がしっかりすると音質はどう変わる?
冒頭に紹介したように、今回の「Acoustic Audio Forum」のテーマとなったのは“床”。「オーディオルームの床構造について考える 〜音の悪さは床に起因しているかもしれない〜」とテーマを掲げ、床がオーディオにとっていかに重要なのかの解説や、床の工事に特徴を持つ物件の過去事例の紹介、そして音出しデモなどが行われた。
「我々も何百例と関わってきたが、本当に床で音はかなり変わる」と語るのは同社代表の鈴木氏。それはオーディオでも楽器の演奏でも同様だとのことで、「例えばドラムであれば、バスドラムは輪郭がしっかりするし、スネアもカチッとした音になる。断続音のキレの良さもかなり違う。我々のショールームにもドラムを置いているが、床がしっかりしているから、安物なのに『こんなにいい音が鳴るの!?』と驚かれる」という。
また、「ふだん普通に生活しているだけなら床なんて見た目くらいしか気にしないかもしれないが、オーディオで少し大きな音で鳴らすと反射音などいろんな音が聞こえてきて欠点がわかってしまう」ともコメント。オーディオにおける床の重要性に改めて言及した。
ここで少し注意したいのが、床といってもふだん我々が目にしている床材だけの問題ではないということ。イベントテーマにも掲げられているとおり、建築物の基礎なども含めた“床構造”として考えなくてはいけない。
例えば最近の木造一戸建て住宅の場合、床の構造は鉄筋コンクリート造の基礎の上に大引や合板などの下地材があり、その上に普段我々が目にする仕上げ材が施されている。
この一般的な床構造での共鳴透過周波数(共振して鳴ってしまいやすい周波数)は20.9Hz程度。この周波数をできるだけ低くしていくことがオーディオにとっては重要なのだという。
この値は基礎と床の間にある空気層の厚さ、および床材として使っている材料によって決まるため、「まずは材料を重くするのが基本。一般的なものより2倍以上の重さがある遮音ボードを使ったりする」(同社スタッフの草階氏)とのこと。
そして、「戸建て住宅で、可能な場合は積極的にオススメしている」というのが“湿式”での床工事。コンクリートの基礎の上にグラスウールの緩衝材を敷き、さらにその上にコンクリートを流すという工法だ(コンクリートのように水気を含む材料を使うため“湿式”と呼ばれる。コンクリートなどを使わない“乾式”の工法も存在する)。
この湿式工法を採用することで、1m2あたり約300kgという超重量級の床が出来上がる。重いということは即ち振動しにくいということであり、同社の工事の場合は13.0Hz程度まで共鳴透過周波数を下げられるという。
ただし、床構造を湿式でつくれるのは重さの関係から基本的には1階のみに限られ、2階の場合は必然的に乾式の吸音床を採用することになる。条件的には少し不利になるが、しかし、同社では蓄積したノウハウに基づいて工夫を凝らすことで湿式同等の性能をもたせることが可能だと説明した。
■バラエティ豊かな事例紹介
イベントでは、床構造に特色を持つ実際の物件工事の事例も紹介。「我々の知る限りではこれまでで一番の厚さ」だという70cmもの分厚いコンクリート基礎を打った湿式床の物件や、2階に乾式床を導入した物件、マンションでの床工事など、実に様々な事例が紹介された。
加えて、乾式で2階の部屋を工事した物件は、新築の鉄骨住宅、古い木造住宅というシチュエーションの異なる2例を紹介。木造住宅の2階という不利な条件でもしっかりと剛性を確保した床を持つオーディオルームを構築可能であることを解説した。
同様に、マンションでの防音工事も戸建てに比べて重量面の制限が大きい。しかし今回紹介された物件では、ボードを何枚も重ねて分厚い床に仕上げたとのこと。「施主の方には、大きな音を出せることに加えて、低音の量感がしっかり感じられるようになったのを喜んでもらった」という。
このように、新築か改築か、1階か2階か、戸建てなのかマンションなのかなど様々なケースでしっかりとオーディオの音質に配慮した対応力を持つ同社。興味深そうに話を聞く参加者の表情が印象的な取材となった。
■次回は「壁」をテーマに3月29日(金)・30日(土)開催
このように、オーディオファンにとっての高音質な部屋づくりを学べる本イベント。次回は3月29日(金)・30日(土)に開催が決定している。テーマは「オーディオルームの壁の構造を防音と響きの両面から考える」で、本記事でレポートした“床”に続いて今度は“壁”についての解説が行われる。
同社では、反射音が創生される壁の面積は、床と天井を含めた全表面積の60%以上を占めるため、防音の面からも、反射音の面からも大きな鍵を握っていると説明。「防音に配慮することは、即ち部屋の響きに大きな影響を与えること」だとし、壁を切り口に防音とオーディオ的な音質について考察するという。
また、「現代の住宅は、高気密・高断熱化されてきているので、それを根拠に高遮音(防音)をうたっているハウスメーカーが多く存在しているようだ。しかし、生活音レベルでは何の問題もないが、ひとたび楽器やオーディオの音量に対する遮音性能は十分満足できるものではない。また、反射音がもたらす部屋の響きの質においても限界が生じてくるのが通例だ」ともコメント。
「今回は現代住宅における壁の構造を分析し、高品位オーディオルームの観点から、その音響的な限界と欠陥、そしてその改善点を考える」としている。
加えて、「LAN-DACの音の良さを検証する」をサブテーマに設定。PCオーディオのデモも行う。公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com
(提供:アコースティックラボ)
■音がいい防音室「AL式オーディオルーム」
主催のアコースティックラボは、上記のようにオーディオファンがオーナーの物件の防音工事を数多く手がけるだけでなく、プロのミュージシャンやエンジニアが利用する音楽スタジオの設計なども手がける会社。“音楽家のための防音工事会社”を謳っており、音楽を鳴らすのに最適な部屋づくりの豊富なノウハウを持っている。ちなみに、代表を務める鈴木氏も自身が大のオーディオファンであり、そのほかのスタッフもオーディオに対するしっかりとした知見を持っている。
同社では、「部屋はオーディオの一部」という考えで活動している。オーディオ機器から出る音が響く空間である部屋は大きな影響力を持っており、オーディオ機器のポテンシャルを活かすも殺すも部屋次第な部分があるからだ。
そんな考えの下、同社が提唱するのが、社名の“Acoustic Lab”にちなんだ「AL式オーディオルーム」。部屋の各辺(縦/横/天井高)の寸法比に留意する(低音の定在波対策)、壁/床/天井の剛性を高める(不要高調波輻射音対策)、そのうえで響きの長さを調整する…などといったポイントをキチンとおさえて防音工事をすることで、音がいい部屋を作り上げられるという考え方だ。
試聴会「Acoustic Audio Forum」の会場となっている同社の防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」も、そんな「AL式オーディオルーム」の代表例。スピーカーやアンプを交換したり、ちょっとセッティングを変えるなどした際に、その変化をしっかり感じ取れるのも、部屋がオーディオ的な音の響きに配慮してつくられているからだろう。
■床がしっかりすると音質はどう変わる?
冒頭に紹介したように、今回の「Acoustic Audio Forum」のテーマとなったのは“床”。「オーディオルームの床構造について考える 〜音の悪さは床に起因しているかもしれない〜」とテーマを掲げ、床がオーディオにとっていかに重要なのかの解説や、床の工事に特徴を持つ物件の過去事例の紹介、そして音出しデモなどが行われた。
「我々も何百例と関わってきたが、本当に床で音はかなり変わる」と語るのは同社代表の鈴木氏。それはオーディオでも楽器の演奏でも同様だとのことで、「例えばドラムであれば、バスドラムは輪郭がしっかりするし、スネアもカチッとした音になる。断続音のキレの良さもかなり違う。我々のショールームにもドラムを置いているが、床がしっかりしているから、安物なのに『こんなにいい音が鳴るの!?』と驚かれる」という。
また、「ふだん普通に生活しているだけなら床なんて見た目くらいしか気にしないかもしれないが、オーディオで少し大きな音で鳴らすと反射音などいろんな音が聞こえてきて欠点がわかってしまう」ともコメント。オーディオにおける床の重要性に改めて言及した。
ここで少し注意したいのが、床といってもふだん我々が目にしている床材だけの問題ではないということ。イベントテーマにも掲げられているとおり、建築物の基礎なども含めた“床構造”として考えなくてはいけない。
例えば最近の木造一戸建て住宅の場合、床の構造は鉄筋コンクリート造の基礎の上に大引や合板などの下地材があり、その上に普段我々が目にする仕上げ材が施されている。
この一般的な床構造での共鳴透過周波数(共振して鳴ってしまいやすい周波数)は20.9Hz程度。この周波数をできるだけ低くしていくことがオーディオにとっては重要なのだという。
この値は基礎と床の間にある空気層の厚さ、および床材として使っている材料によって決まるため、「まずは材料を重くするのが基本。一般的なものより2倍以上の重さがある遮音ボードを使ったりする」(同社スタッフの草階氏)とのこと。
そして、「戸建て住宅で、可能な場合は積極的にオススメしている」というのが“湿式”での床工事。コンクリートの基礎の上にグラスウールの緩衝材を敷き、さらにその上にコンクリートを流すという工法だ(コンクリートのように水気を含む材料を使うため“湿式”と呼ばれる。コンクリートなどを使わない“乾式”の工法も存在する)。
この湿式工法を採用することで、1m2あたり約300kgという超重量級の床が出来上がる。重いということは即ち振動しにくいということであり、同社の工事の場合は13.0Hz程度まで共鳴透過周波数を下げられるという。
ただし、床構造を湿式でつくれるのは重さの関係から基本的には1階のみに限られ、2階の場合は必然的に乾式の吸音床を採用することになる。条件的には少し不利になるが、しかし、同社では蓄積したノウハウに基づいて工夫を凝らすことで湿式同等の性能をもたせることが可能だと説明した。
■バラエティ豊かな事例紹介
イベントでは、床構造に特色を持つ実際の物件工事の事例も紹介。「我々の知る限りではこれまでで一番の厚さ」だという70cmもの分厚いコンクリート基礎を打った湿式床の物件や、2階に乾式床を導入した物件、マンションでの床工事など、実に様々な事例が紹介された。
加えて、乾式で2階の部屋を工事した物件は、新築の鉄骨住宅、古い木造住宅というシチュエーションの異なる2例を紹介。木造住宅の2階という不利な条件でもしっかりと剛性を確保した床を持つオーディオルームを構築可能であることを解説した。
同様に、マンションでの防音工事も戸建てに比べて重量面の制限が大きい。しかし今回紹介された物件では、ボードを何枚も重ねて分厚い床に仕上げたとのこと。「施主の方には、大きな音を出せることに加えて、低音の量感がしっかり感じられるようになったのを喜んでもらった」という。
このように、新築か改築か、1階か2階か、戸建てなのかマンションなのかなど様々なケースでしっかりとオーディオの音質に配慮した対応力を持つ同社。興味深そうに話を聞く参加者の表情が印象的な取材となった。
■次回は「壁」をテーマに3月29日(金)・30日(土)開催
このように、オーディオファンにとっての高音質な部屋づくりを学べる本イベント。次回は3月29日(金)・30日(土)に開催が決定している。テーマは「オーディオルームの壁の構造を防音と響きの両面から考える」で、本記事でレポートした“床”に続いて今度は“壁”についての解説が行われる。
同社では、反射音が創生される壁の面積は、床と天井を含めた全表面積の60%以上を占めるため、防音の面からも、反射音の面からも大きな鍵を握っていると説明。「防音に配慮することは、即ち部屋の響きに大きな影響を与えること」だとし、壁を切り口に防音とオーディオ的な音質について考察するという。
また、「現代の住宅は、高気密・高断熱化されてきているので、それを根拠に高遮音(防音)をうたっているハウスメーカーが多く存在しているようだ。しかし、生活音レベルでは何の問題もないが、ひとたび楽器やオーディオの音量に対する遮音性能は十分満足できるものではない。また、反射音がもたらす部屋の響きの質においても限界が生じてくるのが通例だ」ともコメント。
「今回は現代住宅における壁の構造を分析し、高品位オーディオルームの観点から、その音響的な限界と欠陥、そしてその改善点を考える」としている。
加えて、「LAN-DACの音の良さを検証する」をサブテーマに設定。PCオーディオのデモも行う。公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com
(提供:アコースティックラボ)