【連載】佐野正弘のITインサイト 第10回
OPPO、防水・FeliCaの次は“長持ち”で日本市場攻略へ。一方で懸念される「OS問題」
中国のスマートフォンメーカー大手であるOPPO(オッポ)。日本への参入は2018年からと後発だが、その飛躍を支えているのが「Reno A」シリーズである。
OPPOは2019年に、日本独自モデルとして「OPPO Reno A」を投入。防水・FeliCaへの対応に加え、3万円台というミドルクラスの価格ながら、より上位のチップセットを採用するなど高いコストパフォーマンスを備えていること、そしてタレントの指原莉乃さんを起用した積極的なプロモーションを展開したことなどにより、オープン市場向けモデルながら大きな支持を得るに至った。
その後Reno Aシリーズは、日本におけるOPPOの中核を担う存在となり、2020年に「OPPO Reno 3 A」、2021年に「OPPO Reno 5 A」と端末も継続的に投入。同社の発表によると、Reno Aシリーズの日本における累計出荷台数は130万台に達しており、その実績を買われ、現在ではKDDIやソフトバンクなどへの端末供給も実現するに至っている。
ただその一方で、OPPOが強みを発揮してきたオープン市場を中心とする国内市場環境も急速に変化している。同じ中国のXiaomi(シャオミ)が日本市場に参入し、やはりOPPOが強みを持つミドルクラスを主体として攻勢を強めているほか、そのXiaomiをはじめとした主要海外メーカーが、オープン市場向けモデルでも一通り防水・FeliCaへの対応を実現したことで、Reno Aシリーズの優位性が失われつつあるのも事実だ。
そこで注目されるのが、OPPOが打ち出す防水・FeliCaに続く “次” となる日本市場攻略に向けた戦略だ。昨日6月16日にOPPOは、Reno Aシリーズの新機種「OPPO Reno 7 A」を発表したが、同社が開発をする上で力を入れたのは、日本のユーザーからの声を聞くことだったという。
同社ではOPPO Reno 5 Aの発売以降、SNSをはじめ、様々なチャネルを活用してユーザー調査を実施したそうで、その回数は8回、回答者は4,500人に及んだとのこと。そこで得られた意見から見えてきたのが、同じ端末を次々買い替えるのではなく、愛着を持って長く使いたい人が多かったということだ。
そこでOPPO Reno 7 Aでは、1つの端末を長く利用できるようにするための工夫を盛り込んだそうで、中でも重視したポイントが本体デザインであるという。実際OPPOでは、OPPO Reno 7 Aの開発にあたって日本の有名なデザイン会社と協力し、ユーザーの意見を聞きながら4カ月間にわたって本体色や素材の検討を進め、それをデザインに反映させているとのことだ。
その結果、OPPO Reno 7 Aは「OPPO Glow」という独自の加工技術を用い、背面をマットな質感に仕上げながら、光の当て方によって輝き方が変わるという、相反する表現を実現。またカラーに関しても、「スターリーブラック」とグラデーションのかかった「ドリームブルー」の2色が用意されているが、こちらも長く使えることを意識しているそうだ。
実はデザインの検討段階では、インパクトのある鮮やかな色、そしてシンプルで穏やかな色といった、相反するカラーに人気が集まったとのこと。そこで4カ月間議論を進め、最終的には時代の1歩先を行き過ぎると、インパクトはあるが飽きられてしまう可能性があることから、長く使えることを重視し、時代を0.5歩進んだくらいの色を採用するに至ったとのことだ。
ちなみに、デザイン以外にもユーザーの声を取り入れた部分は多く存在しており、薄さと軽さ、そしてバッテリー容量を求める声も多かったことから、OPPO Reno 7 Aではディスプレイに有機ELを採用することなどで厚さが7.6mmと、OPPO Reno 5 Aと比べ0.6mmの薄型化を実現。さらにバッテリー容量も4,500mAhと、やはりOPPO Reno 5 Aと比べ500mAhの大容量化を実現しているという。
一方で、カメラに関してはOPPO Reno 5 Aと比べ、広角カメラの画素数が約6,400万画素から約4,800万画素に低下しており、カメラの数自体も4眼から3眼に減らされている。これもユーザーの声を受けたものだそうで、カメラの性能にはある程度満足していることから、よりユーザーの要望が多かった要素に重きを置いた結果、構成が変化するに至ったようだ。
またハードだけでなく、ソフトウェアの面でも長く利用できる工夫がなされているそうで、スマートフォンは長く使うにつれてパフォーマンスが低下する傾向にあることから、システムの劣化率を5%に抑えるなどの改良も加えているとのこと。
ただ、長く利用できる点をアピールするとどうしても注目が集まり、また懸念材料となってしまうのが、OSのアップデートの問題である。
ハードウェアを長く使うことはできたとしても、OSアップデートを継続できなければセキュリティ上の問題が増え、長く使うほどセキュリティ上の不安が増してしまうという問題につながってくる。しかもAndroid端末は、iPhoneと比べOSのアップデート対応期間が短い傾向にあるうえ、中でもOPPOはこれまでOSのアップデートにあまり積極的ではなかった。それだけにOPPO Reno 7 Aに関しても、長く使えるというのであれば、AndroidのOSアップデートがどこまで保証されるのかという点が、非常に気になるところだ。
この点についてOPPO側は、「1回目(のOSアップデート)は準備している」とのこと。OPPO Reno 7 Aが当初搭載するのは、「Android 11」をベースとした「ColorOS 12」なので、「Android 12」へのアップデートは実施する予定のようだ。だがそれ以降のアップデートについては、OSを提供しているGoogleや、OPPO Reno 7 Aが搭載するチップセット「Snapdragon 695 5G」を提供するクアルコム、そして端末を販売する携帯電話会社などとの調整や検討が必要なことから、現時点では未定としている。
現在、まだ提供されていないOSのアップデートに関して、メーカー側が保証するというのは非常に難しい部分があるというのは確かだ。しかもその対象がミドルクラスのOPPO Reno 7 Aとなればなおさらだろう。だが一方でサムスン電子が今年、ハイエンドモデルを中心として、3世代のOSアップデートと4年間のセキュリティアップデートを提供することを打ち出し、高い支持を得ている現実もある。
OPPOも世界的に高いシェアを持つだけに、Googleなどとの関係も良好と思われるが、世界トップシェアのサムスン電子には及ばないことから、そこまで長期間のアップデート保証を確約できないのかもしれない。
だがやはり、端末を長く使えることをアピールするのであれば、OSアップデートに関しても具体的なアップデート回数など、ユーザーに安心感を与える情報提供が欲しかったというのは正直なところだ。
OPPOは2019年に、日本独自モデルとして「OPPO Reno A」を投入。防水・FeliCaへの対応に加え、3万円台というミドルクラスの価格ながら、より上位のチップセットを採用するなど高いコストパフォーマンスを備えていること、そしてタレントの指原莉乃さんを起用した積極的なプロモーションを展開したことなどにより、オープン市場向けモデルながら大きな支持を得るに至った。
その後Reno Aシリーズは、日本におけるOPPOの中核を担う存在となり、2020年に「OPPO Reno 3 A」、2021年に「OPPO Reno 5 A」と端末も継続的に投入。同社の発表によると、Reno Aシリーズの日本における累計出荷台数は130万台に達しており、その実績を買われ、現在ではKDDIやソフトバンクなどへの端末供給も実現するに至っている。
ただその一方で、OPPOが強みを発揮してきたオープン市場を中心とする国内市場環境も急速に変化している。同じ中国のXiaomi(シャオミ)が日本市場に参入し、やはりOPPOが強みを持つミドルクラスを主体として攻勢を強めているほか、そのXiaomiをはじめとした主要海外メーカーが、オープン市場向けモデルでも一通り防水・FeliCaへの対応を実現したことで、Reno Aシリーズの優位性が失われつつあるのも事実だ。
防水・FeliCaに続く、「次」の新たな日本市場戦略
そこで注目されるのが、OPPOが打ち出す防水・FeliCaに続く “次” となる日本市場攻略に向けた戦略だ。昨日6月16日にOPPOは、Reno Aシリーズの新機種「OPPO Reno 7 A」を発表したが、同社が開発をする上で力を入れたのは、日本のユーザーからの声を聞くことだったという。
同社ではOPPO Reno 5 Aの発売以降、SNSをはじめ、様々なチャネルを活用してユーザー調査を実施したそうで、その回数は8回、回答者は4,500人に及んだとのこと。そこで得られた意見から見えてきたのが、同じ端末を次々買い替えるのではなく、愛着を持って長く使いたい人が多かったということだ。
そこでOPPO Reno 7 Aでは、1つの端末を長く利用できるようにするための工夫を盛り込んだそうで、中でも重視したポイントが本体デザインであるという。実際OPPOでは、OPPO Reno 7 Aの開発にあたって日本の有名なデザイン会社と協力し、ユーザーの意見を聞きながら4カ月間にわたって本体色や素材の検討を進め、それをデザインに反映させているとのことだ。
その結果、OPPO Reno 7 Aは「OPPO Glow」という独自の加工技術を用い、背面をマットな質感に仕上げながら、光の当て方によって輝き方が変わるという、相反する表現を実現。またカラーに関しても、「スターリーブラック」とグラデーションのかかった「ドリームブルー」の2色が用意されているが、こちらも長く使えることを意識しているそうだ。
実はデザインの検討段階では、インパクトのある鮮やかな色、そしてシンプルで穏やかな色といった、相反するカラーに人気が集まったとのこと。そこで4カ月間議論を進め、最終的には時代の1歩先を行き過ぎると、インパクトはあるが飽きられてしまう可能性があることから、長く使えることを重視し、時代を0.5歩進んだくらいの色を採用するに至ったとのことだ。
ユーザーの声を取り入れた、各仕様の変化点
ちなみに、デザイン以外にもユーザーの声を取り入れた部分は多く存在しており、薄さと軽さ、そしてバッテリー容量を求める声も多かったことから、OPPO Reno 7 Aではディスプレイに有機ELを採用することなどで厚さが7.6mmと、OPPO Reno 5 Aと比べ0.6mmの薄型化を実現。さらにバッテリー容量も4,500mAhと、やはりOPPO Reno 5 Aと比べ500mAhの大容量化を実現しているという。
一方で、カメラに関してはOPPO Reno 5 Aと比べ、広角カメラの画素数が約6,400万画素から約4,800万画素に低下しており、カメラの数自体も4眼から3眼に減らされている。これもユーザーの声を受けたものだそうで、カメラの性能にはある程度満足していることから、よりユーザーの要望が多かった要素に重きを置いた結果、構成が変化するに至ったようだ。
またハードだけでなく、ソフトウェアの面でも長く利用できる工夫がなされているそうで、スマートフォンは長く使うにつれてパフォーマンスが低下する傾向にあることから、システムの劣化率を5%に抑えるなどの改良も加えているとのこと。
長期間利用によって懸念される、OSアップデートの継続問題
ただ、長く利用できる点をアピールするとどうしても注目が集まり、また懸念材料となってしまうのが、OSのアップデートの問題である。
ハードウェアを長く使うことはできたとしても、OSアップデートを継続できなければセキュリティ上の問題が増え、長く使うほどセキュリティ上の不安が増してしまうという問題につながってくる。しかもAndroid端末は、iPhoneと比べOSのアップデート対応期間が短い傾向にあるうえ、中でもOPPOはこれまでOSのアップデートにあまり積極的ではなかった。それだけにOPPO Reno 7 Aに関しても、長く使えるというのであれば、AndroidのOSアップデートがどこまで保証されるのかという点が、非常に気になるところだ。
この点についてOPPO側は、「1回目(のOSアップデート)は準備している」とのこと。OPPO Reno 7 Aが当初搭載するのは、「Android 11」をベースとした「ColorOS 12」なので、「Android 12」へのアップデートは実施する予定のようだ。だがそれ以降のアップデートについては、OSを提供しているGoogleや、OPPO Reno 7 Aが搭載するチップセット「Snapdragon 695 5G」を提供するクアルコム、そして端末を販売する携帯電話会社などとの調整や検討が必要なことから、現時点では未定としている。
現在、まだ提供されていないOSのアップデートに関して、メーカー側が保証するというのは非常に難しい部分があるというのは確かだ。しかもその対象がミドルクラスのOPPO Reno 7 Aとなればなおさらだろう。だが一方でサムスン電子が今年、ハイエンドモデルを中心として、3世代のOSアップデートと4年間のセキュリティアップデートを提供することを打ち出し、高い支持を得ている現実もある。
OPPOも世界的に高いシェアを持つだけに、Googleなどとの関係も良好と思われるが、世界トップシェアのサムスン電子には及ばないことから、そこまで長期間のアップデート保証を確約できないのかもしれない。
だがやはり、端末を長く使えることをアピールするのであれば、OSアップデートに関しても具体的なアップデート回数など、ユーザーに安心感を与える情報提供が欲しかったというのは正直なところだ。