OCNモバイルONEからは値上げ&条件悪化
ドコモの新プランは“改悪”か?月550円は安いけど選びにくい理由
6月20日、NTTドコモが新料金プラン「eximo」と「irumo」を発表した。
このうち「eximo」は小容量から無制限のデータ利用まで多様なニーズをカバーし、ahamoと合わせてドコモの料金プランとして提供される。現在提供するギガホ/ギガライト(5G向け含む)に置き換わるかたちだ。
注目なのはデータ利用量が少なく低廉な料金を求めるユーザー向けのプランだという「irumo」。7月1日に、NTTレゾナントがNTTドコモに吸収合併される予定だが、このNTTレゾナントが提供する「OCNモバイルONE」が6月26日に終了となる。OCNモバイルONE継続の可能性も噂されていたが、代わりにirumoが格安プランとして用意されたようだ。
ただし、このirumoの設定を調べると、OCNモバイルONEをただリネームしたプランではなく、むしろ “改悪” されたとしか見えないため、SNSなどでも様々な意見が飛び交っている。
irumoは月間利用可能データ量として「0.5GB」「3GB」「6GB」「9GB」の4パターンを用意し、月額料金は550円/0.5GB、2,167円/3GB、2,827円/6GB、3,377円/9GBとなる。これは割引前の設定で、dカードお支払割やドコモ光セット割またはhome 5G セット割を適用すると、0.5GBは変わらず550円だが、ほかは880円/3GB、1,540円/6GB、2,090円/9GBに割り引かれる。
これに対してOCNモバイルONEだが、まずデータ量は「0.5GB」「1GB」「3GB」「6GB」「10GB」の5パターンを用意していた。料金設定は550円/0.5GB、770円/1GB、990円/3GB、1,320円/6GB、1,760円/10GB。データ量が異なる場合は一概に比較できないが、6GB以上はOCNモバイルONEよりirumoのほうが高くなっている。
さらに、OCNモバイルONEでは「MUSICカウントフリー」オプションが使えた。これはSpotfiyやAmazon Music Unlimitedなどの対象音楽配信サービスについては、通信容量にカウントしない=使い放題できるという無料オプションだ。現時点でirumoで同様のオプションが用意されるかは明らかになっていないが、これがなくなるのであれば、少ない利用可能データ量のさらなる節約が求められてしまうし、低容量プランはかなり使いづらくなる。
もう1つ挙げられるのは、通信品質の問題だ。irumoはeximo/ahamoと同等の通信速度であると紹介ページに明記されており、これは嬉しいポイントといえる。
しかし、同時に「当社設備内でネットワークの混雑時に『5Gギガホ プレミア』『ahamo』等の他の料金プランよりも先に通信速度の制限(通信制御)を実施するため、通信速度が遅くなる場合(例えば動画視聴ではご利用の通信環境により画質が低下する場合)があります」という記載がある。つまり、理論値の通信速度こそドコモ水準だが、安定性という面においては、eximo/ahamoが優先されることになる。
上述したirumoの割引適用のハードルもある。すべての割引を適用してOCNモバイルONEより少し安いもしくは高いという設定のため、一部しか適用できなければ割高感がある。
こうなると目玉になるのはやはり550円で利用可能な0.5GBプランだが、このプランのみ「通信速度が最大3Mbps」「エリアに関わらず、4G(LTE)ネットワーク」という制限がかかっている。同額のOCNモバイルONEにおける0.5GBプランでは、最大通信速度は他プランと同様で、特に制限を設けていない。
ではドコモが押し出すirumoのメリットとはなにか? それは「irumoであればドコモのサポートが受けられる」という点だ。事実、本プランの発表イベントにおいて、ドコモは何度もこのことをプッシュしている。
いわゆる格安プランでは、使い始めるための設定・準備が煩雑になる傾向がある。また何かの際のサポートはウェブ中心であったりして安心感が薄い。こうしたことから「ドコモのサービスと一緒にしたい」「店頭でサポートを受けたい」という声が多く寄せられているという。
利用料金を見直すことで、特にシニア層に多い「スマートフォンを積極的には利用しないので料金は抑えたい、だけど安心して使いたい」というニーズに対応する側面がirumoにはありそうだ。
だが、irumoの価格設定ではまだ吸収しきれていないようで、店頭サポートは一部有料での提供となる。具体的には初期設定サポート(データ移行)は2,200円/回、アプリ設定サポートは1,650円/回、その他設定に関するいくつかのサポートは1,100円/回となるので、予想外の出費が発生しうる点は注意しないといけない。
それでも、irumoはドコモのプランとしてみると、安い設定なのだ。たとえばUQモバイルでは、月4GBが利用できるミニミニプランで2,365円(割引前)/1,078円(割引後)であり、これも同容量ではないため比較しづらいが同程度の水準になっている。混雑時以外は普通にドコモ回線であるirumoは、その点で優位だ。
他とではなくドコモ内で比べるのであれば、月20GBで2,970円のahamoが相手になってくるわけだが、割引前の料金のことも踏まえると、irumoの3GBプランが有力な選択肢と考えられる。
基本的にギガを余らせてしまう、Wi-Fi接続を積極的に使うので料金を抑えたいというユーザーがメイン層になるとして、はたして3GBという数字は十分なのか。外出時に多少なりともサブスクリプションサービスで音楽を聞いたり、動画を見たり、SNSを楽しんだりする場合は、正直3GBは心もとない。
Spotifyを例に挙げると、「標準音質」の状態で、1曲(5分)あたり約4MB、1時間で約43MBほどを消費する。YouTubeでは標準的な480pで再生すると5分で約50MBとなる。エンターテインメント用途で使っていると、少し油断するだけで早々に3GBを突破してしまう。
ドコモとしても、ただデータ容量を使わないのではなくコスパを意識して使いたい場合やZ世代に向けては、ahamoを推奨している。irumoは本当に通話だけしか使わない、メインは別にあってサブ機として利用するスマートフォン用に、といったシーン以外では難しいところがある。
こうしたメリット・デメリットを見比べていくと、irumoはOCNモバイルONEユーザーからすればほぼ “改悪” 、それ以外でirumoの提示する条件に合うユーザーからしても、検討をするには現時点では尚早なように思える。実際に自分が契約する場合は割引がどれだけ適用されるのか、そしてahamoではなくirumoにすべき理由がどこまであるのか。もちろん他のキャリアや格安サービスも含めて、じっくり吟味することをオススメしたい。
このうち「eximo」は小容量から無制限のデータ利用まで多様なニーズをカバーし、ahamoと合わせてドコモの料金プランとして提供される。現在提供するギガホ/ギガライト(5G向け含む)に置き換わるかたちだ。
注目なのはデータ利用量が少なく低廉な料金を求めるユーザー向けのプランだという「irumo」。7月1日に、NTTレゾナントがNTTドコモに吸収合併される予定だが、このNTTレゾナントが提供する「OCNモバイルONE」が6月26日に終了となる。OCNモバイルONE継続の可能性も噂されていたが、代わりにirumoが格安プランとして用意されたようだ。
ただし、このirumoの設定を調べると、OCNモバイルONEをただリネームしたプランではなく、むしろ “改悪” されたとしか見えないため、SNSなどでも様々な意見が飛び交っている。
■料金比較では値上げに
irumoは月間利用可能データ量として「0.5GB」「3GB」「6GB」「9GB」の4パターンを用意し、月額料金は550円/0.5GB、2,167円/3GB、2,827円/6GB、3,377円/9GBとなる。これは割引前の設定で、dカードお支払割やドコモ光セット割またはhome 5G セット割を適用すると、0.5GBは変わらず550円だが、ほかは880円/3GB、1,540円/6GB、2,090円/9GBに割り引かれる。
これに対してOCNモバイルONEだが、まずデータ量は「0.5GB」「1GB」「3GB」「6GB」「10GB」の5パターンを用意していた。料金設定は550円/0.5GB、770円/1GB、990円/3GB、1,320円/6GB、1,760円/10GB。データ量が異なる場合は一概に比較できないが、6GB以上はOCNモバイルONEよりirumoのほうが高くなっている。
さらに、OCNモバイルONEでは「MUSICカウントフリー」オプションが使えた。これはSpotfiyやAmazon Music Unlimitedなどの対象音楽配信サービスについては、通信容量にカウントしない=使い放題できるという無料オプションだ。現時点でirumoで同様のオプションが用意されるかは明らかになっていないが、これがなくなるのであれば、少ない利用可能データ量のさらなる節約が求められてしまうし、低容量プランはかなり使いづらくなる。
■料金以外にも制限が
もう1つ挙げられるのは、通信品質の問題だ。irumoはeximo/ahamoと同等の通信速度であると紹介ページに明記されており、これは嬉しいポイントといえる。
しかし、同時に「当社設備内でネットワークの混雑時に『5Gギガホ プレミア』『ahamo』等の他の料金プランよりも先に通信速度の制限(通信制御)を実施するため、通信速度が遅くなる場合(例えば動画視聴ではご利用の通信環境により画質が低下する場合)があります」という記載がある。つまり、理論値の通信速度こそドコモ水準だが、安定性という面においては、eximo/ahamoが優先されることになる。
上述したirumoの割引適用のハードルもある。すべての割引を適用してOCNモバイルONEより少し安いもしくは高いという設定のため、一部しか適用できなければ割高感がある。
こうなると目玉になるのはやはり550円で利用可能な0.5GBプランだが、このプランのみ「通信速度が最大3Mbps」「エリアに関わらず、4G(LTE)ネットワーク」という制限がかかっている。同額のOCNモバイルONEにおける0.5GBプランでは、最大通信速度は他プランと同様で、特に制限を設けていない。
■誰に向けたプランになるのか?
ではドコモが押し出すirumoのメリットとはなにか? それは「irumoであればドコモのサポートが受けられる」という点だ。事実、本プランの発表イベントにおいて、ドコモは何度もこのことをプッシュしている。
いわゆる格安プランでは、使い始めるための設定・準備が煩雑になる傾向がある。また何かの際のサポートはウェブ中心であったりして安心感が薄い。こうしたことから「ドコモのサービスと一緒にしたい」「店頭でサポートを受けたい」という声が多く寄せられているという。
利用料金を見直すことで、特にシニア層に多い「スマートフォンを積極的には利用しないので料金は抑えたい、だけど安心して使いたい」というニーズに対応する側面がirumoにはありそうだ。
だが、irumoの価格設定ではまだ吸収しきれていないようで、店頭サポートは一部有料での提供となる。具体的には初期設定サポート(データ移行)は2,200円/回、アプリ設定サポートは1,650円/回、その他設定に関するいくつかのサポートは1,100円/回となるので、予想外の出費が発生しうる点は注意しないといけない。
それでも、irumoはドコモのプランとしてみると、安い設定なのだ。たとえばUQモバイルでは、月4GBが利用できるミニミニプランで2,365円(割引前)/1,078円(割引後)であり、これも同容量ではないため比較しづらいが同程度の水準になっている。混雑時以外は普通にドコモ回線であるirumoは、その点で優位だ。
他とではなくドコモ内で比べるのであれば、月20GBで2,970円のahamoが相手になってくるわけだが、割引前の料金のことも踏まえると、irumoの3GBプランが有力な選択肢と考えられる。
基本的にギガを余らせてしまう、Wi-Fi接続を積極的に使うので料金を抑えたいというユーザーがメイン層になるとして、はたして3GBという数字は十分なのか。外出時に多少なりともサブスクリプションサービスで音楽を聞いたり、動画を見たり、SNSを楽しんだりする場合は、正直3GBは心もとない。
Spotifyを例に挙げると、「標準音質」の状態で、1曲(5分)あたり約4MB、1時間で約43MBほどを消費する。YouTubeでは標準的な480pで再生すると5分で約50MBとなる。エンターテインメント用途で使っていると、少し油断するだけで早々に3GBを突破してしまう。
ドコモとしても、ただデータ容量を使わないのではなくコスパを意識して使いたい場合やZ世代に向けては、ahamoを推奨している。irumoは本当に通話だけしか使わない、メインは別にあってサブ機として利用するスマートフォン用に、といったシーン以外では難しいところがある。
こうしたメリット・デメリットを見比べていくと、irumoはOCNモバイルONEユーザーからすればほぼ “改悪” 、それ以外でirumoの提示する条件に合うユーザーからしても、検討をするには現時点では尚早なように思える。実際に自分が契約する場合は割引がどれだけ適用されるのか、そしてahamoではなくirumoにすべき理由がどこまであるのか。もちろん他のキャリアや格安サービスも含めて、じっくり吟味することをオススメしたい。