スマホのバッテリー消費を気にせず楽しめる
ARグラスで目指す“自分だけのシアター“体験。「Rokid Max」&「Rokid Station」は最強タッグ?
昨今、加速度的に進化を遂げているARグラス界隈に、また面白いアイテムが登場した。先日発表された、ARグラス向けの “ポータブルAndroid TVデバイス” 、「Rokid Station」だ。
人工知能技術やARグラスなどを手掛けるRokid社が展開するアイテム。同社のARグラス「Rokid Max」と組み合わせることで、スマホなしで動画配信サービスなどを楽しめるのが特徴だ。
ARグラスとの連携アイテムは他にも、「Xreal Air」+「Xreal Beam」や、「VITURE One」+モバイルドック/ネックバンド(Androidベースの独自OS搭載)などがある。
Rokid Stationは、見た目的にはXreal BeamやVITUREのモバイルドックと同じような、手のひらサイズのデバイスだが、Android TVを搭載したポータブルストリーミングデバイスである点が他とは異なっている。
質量は148g。Rokid Max(75g)と合わせても223gと軽量で、持ち運びにも便利。5,000mAhのバッテリーを内蔵し、充電しながらの使用も可能で、モバイルバッテリーにもなるとのこと。
早速使ってみよう。最初に試したのは、Rokid MaxとMacBook Airの組み合わせ。付属のUSB-Cケーブルでつなぐだけですぐ、MacBook Airの画面が装着したRokid Maxにミラーリング表示された。外部ディスプレイとして認識され、拡張表示もできる。
Rokid Maxで見える画面はとても明るく、文字も画像もくっきり映し出される。人の目に近いという55 PPDの高精細な表示性能を持ち、ウェブサイトの閲覧なども快適で、細部までキレイに見える。6段階の輝度調整も便利で、ボタンを押すだけですぐに変更でき、周辺状況や見え方の好みに合わせて最適な状態にできる。
ちなみに、本体の画面輝度は600nit。前モデルの「Rokid Air」が1,800nitと公表されていたため、大きく下がったように見えるが、実際は違うのだという。
ARグラスで映像を人の目に届けるには、複数のフィルターを通す必要ある。Rokid Airの1,800nitという数値はそのフィルターを通す前のことで、フィルターを通した後の最終的に人の目で感知できる輝度は300nit相当だったそう。つまりRokid Maxでは大幅に輝度が向上しており、より細部まで明るくはっきりとした画面表示を実現できているのだ。
ほかにも、0.00Dから-6.00Dまでの近視補正機構がついているので、メガネユーザーもW掛けせずに使えるのはメリットだろう。
音量は10段階で調整できる。内蔵スピーカーはAAC TECHNOLOGY製のAR専用スピーカーを採用しているそう。前モデルのRokid Airでも同メーカーのものを使っていたが、Rokid Maxでは最新世代のスピーカーを搭載しており、音質がアップデートされているほか、オープンバック構造でより音漏れを抑えられるようになったのだという。
さて、MacBook Airの画面を映していて気になったのが、完全に頭を固定することができない以上、どうしても画面がちょっと揺れること。なので、PC画面をミラーリング表示して文章を打つより、拡張ディスプレイ表示にして、Rokid Maxを通して正面で資料やウェブサイトなどをチェック、目線を下に落としてPC画面で文字を打つ、みたいな使い方がベターかなと感じた。
ただ、長時間の仕事になると、下向きっぱなしで姿勢も悪くなりがち、すなわち顔のたるみを加速させるという最悪な状況に陥る。できればその打開策の一つになっていただきたいので、画面の揺れを抑える機能が備わってほしい。
続いて、Rokid Stationと組み合わせて使ってみる。Rokid Stationに付属するMicro HDMI - USB-Cケーブルを使って、Rokid Maxと接続。Android TVを使うため、アカウントやWi-Fiの設定をしていけば、見慣れた画面が現れる。
今回、私が日課にしているU-NEXTでのアニコナ(名探偵コナンのアニメ)視聴をRokidタッグでやってみた。特に難しい操作は何もなく、U-NEXTのアプリをインストールして、ログインして再生するだけ。手軽なのは嬉しい。
映像を見る時はやっぱり集中したい。そこで、先ほどMacBook Airで仕事をしていた時は使っていなかった、遮光カバーを取り付ける。当たり前ながら画面のくっきり感は増すし、周辺が遮光されることでなのか、画面サイズも大きく感じられた。
公式では「前方6mの距離で215インチ相当の大画面」と謳われている。個人的に映画館の後ろの席で見ているような感覚になって、自分だけの映画館といっても過言ではない!…かもしれないなと思った。
Rokid Stationの音量は25段階で、60cmくらいの距離にいる人に確認してもらったが、18以上ではさすがに「音鳴ってるな」とわかるが、15ほどだとほとんど聞こえないとのこと。装着してる側としては、まあ15くらいで十分に映像の音は聞き取れるし、同じ部屋で過ごす相手にも迷惑をかけずに使えそうだと感じた。
ちなみに、Rokid Maxの構造上低音が抜けやすい面はあるが、外に向けて音が拡散していってしまうとことはなく、指向性があって、しっかり耳に届いてくるし、セリフなども聞き取りやすかった。より集中したい時は、Bluetoothでワイヤレスイヤホンと接続すればOKだ。
なお、遮光カバーをしても、ノーズパッドの下あたりには隙間ができるので、全く周辺の状況がわからないということはない。猫がケーブルに手をかけようと近づいてきても阻止できたし、ご飯を急かされればすぐに対処できたので、映像の世界と現実をスムーズに行き来できる。
スマートフォンとの組み合わせは、私が持っているiPhone 12 miniとNothing Phone (2)では、どちらも直接ケーブルで繋いでミラーリングすることはできない。iPhoneはアダプターを使えば可能だが、Rokid Stationがあれば、Chromecastで両方とも映し出すことができる。
Nothing Phone (2)をミラーリングして「Pokémon UNITE」をちょっとだけやってみた。もちろんスマホ仕様なので、操作はしにくかったのだけど、大画面のおかげでキャラクターの動きも細部まで見やすいし、視界いっぱいにゲーム世界が広がるのは、かなり楽しいものだなと実感した。今回ゲーム機では試していないのだが、Rokid Stationと同時に発売される「Rokid Hub」を使えば、Nintendo Switchとドックモードで接続できるそうだ。また別途アダプターを介する必要はあるが、PS5との互換性もあるとのこと。
気になった点としては、わりと短時間で熱が発生したこと。使っている最中に、Rokid Maxは本体上部の中央あたりの眉間にあたるところ、Rokid Stationは本体の中央から左下あたりが発熱する。
Rokid Maxのほうは、感覚的に熱いというか、暑い…。Rokid Stationは常に手に持っていることはなかったので、最初気づかなかったのだが、映像を見終えて操作する際に気づいた。せっかく「小型&軽量などこでも映画館!」的に使いたいのに、長時間使うにはちょっと懸念が残る。ぜひとも発熱対策を頑張って欲しい。
そして、使い終えてRokid Maxを外したときにひとつ、個人的なデメリットがある。これはもしかすると鼻が高ければカバーできるかもしれないのだが、Rokid Maxの装着時、ノーズパッド(鼻あて)だけで固定するのは厳しく、画面をきちんと見るために、眉間あたりも密着する感じになっていた。
そうすると、Rokid Maxを外した際、本体の上部中央(ちょうど熱を持つ部分)とノーズパッドにファンデーションがついてしまった。ノーズパッドへのメイク落ちは “眼鏡あるある” だし、本体上部と眉間あたりの密着も、Rokid Maxに限らず、ARグラス全般でそうかもしれない。ちなみに、ファンデーションをしなかったとしても、汚れの主は皮脂によるものだから、すっぴんでも汚れるのは不可避だった。
で、この眼鏡系アイテムを使った時のメイク落ち(皮脂汚れ)、やっぱりテンション下がるんですよね…。毎回汚れてしまうことも悲しいし、それを拭くのも、メイク直すのもやっぱり手間。めちゃくちゃ個人的ではあるが、持ち運べるワークスペースとして外出先で使うというのはちょっと現実的じゃなく、家で使うにも高頻度に…とはいかないかなと思った。使い捨ての汚れ防止シートみたいな、そういうのあったらいいな…。
とまあ、気になる点はあったものの、実際に明るくキレイな画面で映像も見やすいし、ARグラス慣れしていない私からすれば、「自分だけのシアター」感はあったと思う。スマホのバッテリーを気にせずに動画を楽しめるメリットもあるし、Rokid Maxを手にするなら、Rokid Stationはベストな相棒と言える。気になる方はぜひ、この2製品のタッグで体験してみてほしい。
人工知能技術やARグラスなどを手掛けるRokid社が展開するアイテム。同社のARグラス「Rokid Max」と組み合わせることで、スマホなしで動画配信サービスなどを楽しめるのが特徴だ。
ARグラスとの連携アイテムは他にも、「Xreal Air」+「Xreal Beam」や、「VITURE One」+モバイルドック/ネックバンド(Androidベースの独自OS搭載)などがある。
Rokid Stationは、見た目的にはXreal BeamやVITUREのモバイルドックと同じような、手のひらサイズのデバイスだが、Android TVを搭載したポータブルストリーミングデバイスである点が他とは異なっている。
質量は148g。Rokid Max(75g)と合わせても223gと軽量で、持ち運びにも便利。5,000mAhのバッテリーを内蔵し、充電しながらの使用も可能で、モバイルバッテリーにもなるとのこと。
Rokid Max+Rokid Stationはどこまで使える?実際試してみた
早速使ってみよう。最初に試したのは、Rokid MaxとMacBook Airの組み合わせ。付属のUSB-Cケーブルでつなぐだけですぐ、MacBook Airの画面が装着したRokid Maxにミラーリング表示された。外部ディスプレイとして認識され、拡張表示もできる。
Rokid Maxで見える画面はとても明るく、文字も画像もくっきり映し出される。人の目に近いという55 PPDの高精細な表示性能を持ち、ウェブサイトの閲覧なども快適で、細部までキレイに見える。6段階の輝度調整も便利で、ボタンを押すだけですぐに変更でき、周辺状況や見え方の好みに合わせて最適な状態にできる。
ちなみに、本体の画面輝度は600nit。前モデルの「Rokid Air」が1,800nitと公表されていたため、大きく下がったように見えるが、実際は違うのだという。
ARグラスで映像を人の目に届けるには、複数のフィルターを通す必要ある。Rokid Airの1,800nitという数値はそのフィルターを通す前のことで、フィルターを通した後の最終的に人の目で感知できる輝度は300nit相当だったそう。つまりRokid Maxでは大幅に輝度が向上しており、より細部まで明るくはっきりとした画面表示を実現できているのだ。
ほかにも、0.00Dから-6.00Dまでの近視補正機構がついているので、メガネユーザーもW掛けせずに使えるのはメリットだろう。
音量は10段階で調整できる。内蔵スピーカーはAAC TECHNOLOGY製のAR専用スピーカーを採用しているそう。前モデルのRokid Airでも同メーカーのものを使っていたが、Rokid Maxでは最新世代のスピーカーを搭載しており、音質がアップデートされているほか、オープンバック構造でより音漏れを抑えられるようになったのだという。
さて、MacBook Airの画面を映していて気になったのが、完全に頭を固定することができない以上、どうしても画面がちょっと揺れること。なので、PC画面をミラーリング表示して文章を打つより、拡張ディスプレイ表示にして、Rokid Maxを通して正面で資料やウェブサイトなどをチェック、目線を下に落としてPC画面で文字を打つ、みたいな使い方がベターかなと感じた。
ただ、長時間の仕事になると、下向きっぱなしで姿勢も悪くなりがち、すなわち顔のたるみを加速させるという最悪な状況に陥る。できればその打開策の一つになっていただきたいので、画面の揺れを抑える機能が備わってほしい。
続いて、Rokid Stationと組み合わせて使ってみる。Rokid Stationに付属するMicro HDMI - USB-Cケーブルを使って、Rokid Maxと接続。Android TVを使うため、アカウントやWi-Fiの設定をしていけば、見慣れた画面が現れる。
今回、私が日課にしているU-NEXTでのアニコナ(名探偵コナンのアニメ)視聴をRokidタッグでやってみた。特に難しい操作は何もなく、U-NEXTのアプリをインストールして、ログインして再生するだけ。手軽なのは嬉しい。
映像を見る時はやっぱり集中したい。そこで、先ほどMacBook Airで仕事をしていた時は使っていなかった、遮光カバーを取り付ける。当たり前ながら画面のくっきり感は増すし、周辺が遮光されることでなのか、画面サイズも大きく感じられた。
公式では「前方6mの距離で215インチ相当の大画面」と謳われている。個人的に映画館の後ろの席で見ているような感覚になって、自分だけの映画館といっても過言ではない!…かもしれないなと思った。
Rokid Stationの音量は25段階で、60cmくらいの距離にいる人に確認してもらったが、18以上ではさすがに「音鳴ってるな」とわかるが、15ほどだとほとんど聞こえないとのこと。装着してる側としては、まあ15くらいで十分に映像の音は聞き取れるし、同じ部屋で過ごす相手にも迷惑をかけずに使えそうだと感じた。
ちなみに、Rokid Maxの構造上低音が抜けやすい面はあるが、外に向けて音が拡散していってしまうとことはなく、指向性があって、しっかり耳に届いてくるし、セリフなども聞き取りやすかった。より集中したい時は、Bluetoothでワイヤレスイヤホンと接続すればOKだ。
なお、遮光カバーをしても、ノーズパッドの下あたりには隙間ができるので、全く周辺の状況がわからないということはない。猫がケーブルに手をかけようと近づいてきても阻止できたし、ご飯を急かされればすぐに対処できたので、映像の世界と現実をスムーズに行き来できる。
スマートフォンとの組み合わせは、私が持っているiPhone 12 miniとNothing Phone (2)では、どちらも直接ケーブルで繋いでミラーリングすることはできない。iPhoneはアダプターを使えば可能だが、Rokid Stationがあれば、Chromecastで両方とも映し出すことができる。
Nothing Phone (2)をミラーリングして「Pokémon UNITE」をちょっとだけやってみた。もちろんスマホ仕様なので、操作はしにくかったのだけど、大画面のおかげでキャラクターの動きも細部まで見やすいし、視界いっぱいにゲーム世界が広がるのは、かなり楽しいものだなと実感した。今回ゲーム機では試していないのだが、Rokid Stationと同時に発売される「Rokid Hub」を使えば、Nintendo Switchとドックモードで接続できるそうだ。また別途アダプターを介する必要はあるが、PS5との互換性もあるとのこと。
気になった点としては、わりと短時間で熱が発生したこと。使っている最中に、Rokid Maxは本体上部の中央あたりの眉間にあたるところ、Rokid Stationは本体の中央から左下あたりが発熱する。
Rokid Maxのほうは、感覚的に熱いというか、暑い…。Rokid Stationは常に手に持っていることはなかったので、最初気づかなかったのだが、映像を見終えて操作する際に気づいた。せっかく「小型&軽量などこでも映画館!」的に使いたいのに、長時間使うにはちょっと懸念が残る。ぜひとも発熱対策を頑張って欲しい。
そして、使い終えてRokid Maxを外したときにひとつ、個人的なデメリットがある。これはもしかすると鼻が高ければカバーできるかもしれないのだが、Rokid Maxの装着時、ノーズパッド(鼻あて)だけで固定するのは厳しく、画面をきちんと見るために、眉間あたりも密着する感じになっていた。
そうすると、Rokid Maxを外した際、本体の上部中央(ちょうど熱を持つ部分)とノーズパッドにファンデーションがついてしまった。ノーズパッドへのメイク落ちは “眼鏡あるある” だし、本体上部と眉間あたりの密着も、Rokid Maxに限らず、ARグラス全般でそうかもしれない。ちなみに、ファンデーションをしなかったとしても、汚れの主は皮脂によるものだから、すっぴんでも汚れるのは不可避だった。
で、この眼鏡系アイテムを使った時のメイク落ち(皮脂汚れ)、やっぱりテンション下がるんですよね…。毎回汚れてしまうことも悲しいし、それを拭くのも、メイク直すのもやっぱり手間。めちゃくちゃ個人的ではあるが、持ち運べるワークスペースとして外出先で使うというのはちょっと現実的じゃなく、家で使うにも高頻度に…とはいかないかなと思った。使い捨ての汚れ防止シートみたいな、そういうのあったらいいな…。
とまあ、気になる点はあったものの、実際に明るくキレイな画面で映像も見やすいし、ARグラス慣れしていない私からすれば、「自分だけのシアター」感はあったと思う。スマホのバッテリーを気にせずに動画を楽しめるメリットもあるし、Rokid Maxを手にするなら、Rokid Stationはベストな相棒と言える。気になる方はぜひ、この2製品のタッグで体験してみてほしい。