2夜連続放送
100年前の記録映像を8Kスキャン・カラー化。NHK『映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間』本日22時から
NHKスペシャル『映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間』が、NHK総合にて本日9月2日(22時〜)と、翌3日(21時〜)の2日間に渡って前後編で放送される。
番組では、1923年に発生した関東大震災直後、モノクロフィルムで撮影された映像を8Kスキャンの上、カラー化を実施。当時の様子をより鮮明に見ることができる。放送に先立ち、番組プロデューサーの木村氏へオンライン取材を実施。当時の映像に手を加えた経緯や、番組の見どころについて紹介していただいた。
番組の成り立ちについて、関東大震災の発生から100年という大きな節目に際し、NHKとして何を伝えるべきか、また、首都直下型地震の発生の懸念や、日本全体で頻発する地震被害について改めて考える機会として番組の企画をスタートさせたと木村氏は語る。
街の様子や、建造物についても木造建築が殆どで耐震基準という概念も無く、現代とは異なったシチュエーションで発生した関東大震災。しかし、番組の制作を進める中での「災害に直面する人というのは100年経ってもそうそう大きく変わるものでは無い」という気付きから、現代に通ずるテーマが幾つも見つかったとのことだ。
その例として挙がったのが、火の粉から発生する地震火災や、パニックに伴う群集事故、混乱に乗じて発信される流言飛語。状況や時代が変わった現代でも起こりうる災害発生に伴うリスクだ。こういった問題について考えるためにも関東大震災の全貌を知っておく必要があると説明してくれた。
100年前の時事である関東大震災。今では被災した方も非常に少なくなり、直接お話しを伺うことも難しくなるなど、リアリティを伴って当時の出来事を伝える難しさが生じる。番組は、貴重な記録映像を中心に構成されるが、混乱した状況下でカメラを回していたということもあり、映像としては不鮮明。さらに、モノクロ撮影のため被写体の判別が難しいという問題に直面した。
関東大震災に直面した当時の人々の断絶感を、現代を生きる我々の「自分ごと」として捉えてもらうためにはどう伝えるか。映像という手法でそのギャップを埋めるためにモノクロフィルムの高鮮彩・カラー化を行うことで、映像としてのリアリティを追求したという。その高鮮彩・カラー化を行う上で大きな一助となったのが、元となるフィルムに多くの情報量を有する35mmフィルムが使用されていたことだと木村氏は振り返る。
番組制作に当たって当時のフィルムをスキャニングし、そのデータにカラー化を施すことで当時の映像にリアリティを持たせることに成功した。スキャンデータは、外部会社の協力の下、現在日本に1台のみ導入される「OXScan12Kフィルムスキャナー」を用いて、12Kオーバースキャンにて8Kデータを作成。カラー化作業については、NHK技研の開発したカラー化AIを使用した。
スキャンしたフィルムは複数本で、同一のフィルム内でも映像の状況の良し悪しがあったとのこと。制作時間の都合など、様々な制約から全カットには手を加えられなかったものの、可能な限り視聴者に当時の状況を知ってもらえるような映像に仕上げたと語る。フィルムの状態が良くないものでも、映像としての重要度が高い箇所については、カラー化後に時間を掛けてのレストア作業を行ったという。
カラー化については、低画質なものでも行うことができたが、元データが鮮明であるほど、実体感を伴った着色ができると木村氏。そこで上記の通り8Kスキャンデータを元にしたカラー化が実施された。
着色工程については、基本的にAIが着色を施していき、AIでは補えない部分を手作業によって行う。最終的には当時の街並みに詳しい専門家の考証や、大正時代の絵葉書など、様々な資料を見ながら可能な限りのファクトチェックを経て映像を完成させた。
仕上がった高精彩・カラー化映像をチェックしてみると、オリジナルフィルムの映像ではっきりと識別することができなかった細部が明らかに。映り込んだ市井の人々の表情や、映像を1コマずつ分析することで、撮影場所や撮影日時までを特定することができたという。
NHK総合での放送になるため、最終的な編集作業、および納品は2Kで行われてはいるが、フィルムスキャンを8Kで行ったことで、木村氏のいう実体感の伴ったものとして、100年前の記録映像が甦った。
また、「被服廠跡地の火災旋風」など、残された映像では捉えられなかった側面については、30年前に行われた調査で聴き取り回った証言音声と、科学的知見に基づく実験を駆使して当時の様子をシミュレート。映像だけでなく、当時を知る方による生々しい状況までもが番組内で放送される。
かつての出来事を振り返る上で、制作に並々ならぬ熱量が込められた本番組。制作にあたり何を第一に考えたのか、という問いに対して木村氏は「番組を通じ関東大震災を追体験することで、日頃の防災・減災意識を高めたり、地震災害に直面した際には、放送から得た内容が役立つはずと信じて制作した」と結んだ。
NHKスペシャル『映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間』は、NHK総合にてオンエア。前編の放送は本日9月2日(土)22時から、後編の放送は翌9月3日、21時に行なわれる。
番組では、1923年に発生した関東大震災直後、モノクロフィルムで撮影された映像を8Kスキャンの上、カラー化を実施。当時の様子をより鮮明に見ることができる。放送に先立ち、番組プロデューサーの木村氏へオンライン取材を実施。当時の映像に手を加えた経緯や、番組の見どころについて紹介していただいた。
■100年の節目に関東大震災を振り返る意義
番組の成り立ちについて、関東大震災の発生から100年という大きな節目に際し、NHKとして何を伝えるべきか、また、首都直下型地震の発生の懸念や、日本全体で頻発する地震被害について改めて考える機会として番組の企画をスタートさせたと木村氏は語る。
街の様子や、建造物についても木造建築が殆どで耐震基準という概念も無く、現代とは異なったシチュエーションで発生した関東大震災。しかし、番組の制作を進める中での「災害に直面する人というのは100年経ってもそうそう大きく変わるものでは無い」という気付きから、現代に通ずるテーマが幾つも見つかったとのことだ。
その例として挙がったのが、火の粉から発生する地震火災や、パニックに伴う群集事故、混乱に乗じて発信される流言飛語。状況や時代が変わった現代でも起こりうる災害発生に伴うリスクだ。こういった問題について考えるためにも関東大震災の全貌を知っておく必要があると説明してくれた。
■8Kスキャンの高画質とカラー化で写実感を増した記録映像
100年前の時事である関東大震災。今では被災した方も非常に少なくなり、直接お話しを伺うことも難しくなるなど、リアリティを伴って当時の出来事を伝える難しさが生じる。番組は、貴重な記録映像を中心に構成されるが、混乱した状況下でカメラを回していたということもあり、映像としては不鮮明。さらに、モノクロ撮影のため被写体の判別が難しいという問題に直面した。
関東大震災に直面した当時の人々の断絶感を、現代を生きる我々の「自分ごと」として捉えてもらうためにはどう伝えるか。映像という手法でそのギャップを埋めるためにモノクロフィルムの高鮮彩・カラー化を行うことで、映像としてのリアリティを追求したという。その高鮮彩・カラー化を行う上で大きな一助となったのが、元となるフィルムに多くの情報量を有する35mmフィルムが使用されていたことだと木村氏は振り返る。
番組制作に当たって当時のフィルムをスキャニングし、そのデータにカラー化を施すことで当時の映像にリアリティを持たせることに成功した。スキャンデータは、外部会社の協力の下、現在日本に1台のみ導入される「OXScan12Kフィルムスキャナー」を用いて、12Kオーバースキャンにて8Kデータを作成。カラー化作業については、NHK技研の開発したカラー化AIを使用した。
スキャンしたフィルムは複数本で、同一のフィルム内でも映像の状況の良し悪しがあったとのこと。制作時間の都合など、様々な制約から全カットには手を加えられなかったものの、可能な限り視聴者に当時の状況を知ってもらえるような映像に仕上げたと語る。フィルムの状態が良くないものでも、映像としての重要度が高い箇所については、カラー化後に時間を掛けてのレストア作業を行ったという。
カラー化については、低画質なものでも行うことができたが、元データが鮮明であるほど、実体感を伴った着色ができると木村氏。そこで上記の通り8Kスキャンデータを元にしたカラー化が実施された。
着色工程については、基本的にAIが着色を施していき、AIでは補えない部分を手作業によって行う。最終的には当時の街並みに詳しい専門家の考証や、大正時代の絵葉書など、様々な資料を見ながら可能な限りのファクトチェックを経て映像を完成させた。
仕上がった高精彩・カラー化映像をチェックしてみると、オリジナルフィルムの映像ではっきりと識別することができなかった細部が明らかに。映り込んだ市井の人々の表情や、映像を1コマずつ分析することで、撮影場所や撮影日時までを特定することができたという。
NHK総合での放送になるため、最終的な編集作業、および納品は2Kで行われてはいるが、フィルムスキャンを8Kで行ったことで、木村氏のいう実体感の伴ったものとして、100年前の記録映像が甦った。
また、「被服廠跡地の火災旋風」など、残された映像では捉えられなかった側面については、30年前に行われた調査で聴き取り回った証言音声と、科学的知見に基づく実験を駆使して当時の様子をシミュレート。映像だけでなく、当時を知る方による生々しい状況までもが番組内で放送される。
かつての出来事を振り返る上で、制作に並々ならぬ熱量が込められた本番組。制作にあたり何を第一に考えたのか、という問いに対して木村氏は「番組を通じ関東大震災を追体験することで、日頃の防災・減災意識を高めたり、地震災害に直面した際には、放送から得た内容が役立つはずと信じて制作した」と結んだ。
NHKスペシャル『映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間』は、NHK総合にてオンエア。前編の放送は本日9月2日(土)22時から、後編の放送は翌9月3日、21時に行なわれる。