祝!劇場公開決定
『オッペンハイマー』は大画面で見るべき!2回観たノーラン・フリークが断言する圧倒的表現力
映画『オッペンハイマー』の日本公開が3月29日にようやっと決定した。2回この映画を鑑賞したノーラン・フリークとして、この映画は絶対に映画館で観るべき、できればなるべく大きなスクリーンで観て欲しい、と願ってやまない。
1度目は昨年8月、台湾にあるアジア最大級のIMAXシアター「ミラマーシアター(美麗華影城)」で観た。2度目はアメリカから直輸入したUHD-BDディスクを、200インチのスクリーンを持つ某オーディオビジュアル評論家の自宅で鑑賞した。
『オッペンハイマー』の映画が全世界公開されたのは、昨年7月末のことだった。しかし、待てど暮らせど国内公開の情報は出てこない。「原爆の父」と呼ばれた人物の伝記映画だから、少々センシティブな反響が予測される8月の公開は難しいかもしれない、との思いはあったが、8月後半になっても動きが見えない。
痺れを切らした筆者は海外で観ることを検討し始めた。最初は飛行機で2時間で行ける韓国。だが色々情報を集めているうちに、台湾のミラマーシアターがアジア圏で一番大きいIMAXスクリーンを持っており、音質/画質のクオリティも期待できると分かり、矢も盾もたまらずフライトを取った。
先に断っておくと、台湾ではもちろん英語音声、字幕も繁体字である。己のリスニング力だけが頼りである(なおアメリカ盤のディスクにも、日本語字幕、日本語吹き替えともに入っていない)。
それでも、『オッペンハイマー』は映画館で見てよかったと思える映画であった。映像作家クリストファー・ノーランの面目躍如であり、IMAXのスクリーンを存分に生かし切った大胆な描写が随所に見られた。「映像をもって語らしめる」ノーランの手腕は、言語を超えるとも言って良い。
特に素晴らしいのは、オッペンハイマーの敵役として登場するロバート・ダウニーJr.の演技である。激昂するシーンは鬼気迫り息を呑む。第二次世界大戦前後を描く比較的時間軸の長い映画であるが、特殊メイクの腕も素晴らしく、若い時代から年老いたシーンまでまったく違和感なく見せてくる。
いうまでもなくキリアン・マーフィーも素晴らしい。過去のノーラン映画の「常連」でありながら、いまひとつスポットの当たってこなかった彼の表現力の深さにもまた驚かされた。
はっきり言えば「日本での公開が逡巡された」理由も分からないではないシーンがあることは事実である。しかし、ノーランが3時間かけて描きたかったテーマはそれではない。むしろ、原爆を完成させ、それを実地使用した瞬間から世界が変わってしまった、そのことに対するオッペンハイマーの後悔を軸に物語は進んでゆく。いわば反核・反戦映画であると言ってもよいだろう。
だからこそ、日本での公開を喜びたいし、アカデミー賞有力候補ともいわれる今の映画表現の最先端を体験してほしいと思う。公式サイトの情報では、まだ公開日のみで、具体的な映画館については触れられていない。IMAXで公開されるかどうかも明らかにされていないが、映像作家ノーランの描いた世界を、日本においてもなるべく大きな画面で堪能できることを願ってやまない。
『オッペンハイマー』 (原題:Oppenheimer)
監督、脚本:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェン、クリストファー・ノーラン
出演:キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー
原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン 『オッペンハイマー』(2006年ピュリッツァー賞受賞/ハヤカワ文庫、2024年1月刊行予定)
2023年/アメリカ
配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画
1度目は昨年8月、台湾にあるアジア最大級のIMAXシアター「ミラマーシアター(美麗華影城)」で観た。2度目はアメリカから直輸入したUHD-BDディスクを、200インチのスクリーンを持つ某オーディオビジュアル評論家の自宅で鑑賞した。
『オッペンハイマー』の映画が全世界公開されたのは、昨年7月末のことだった。しかし、待てど暮らせど国内公開の情報は出てこない。「原爆の父」と呼ばれた人物の伝記映画だから、少々センシティブな反響が予測される8月の公開は難しいかもしれない、との思いはあったが、8月後半になっても動きが見えない。
痺れを切らした筆者は海外で観ることを検討し始めた。最初は飛行機で2時間で行ける韓国。だが色々情報を集めているうちに、台湾のミラマーシアターがアジア圏で一番大きいIMAXスクリーンを持っており、音質/画質のクオリティも期待できると分かり、矢も盾もたまらずフライトを取った。
先に断っておくと、台湾ではもちろん英語音声、字幕も繁体字である。己のリスニング力だけが頼りである(なおアメリカ盤のディスクにも、日本語字幕、日本語吹き替えともに入っていない)。
それでも、『オッペンハイマー』は映画館で見てよかったと思える映画であった。映像作家クリストファー・ノーランの面目躍如であり、IMAXのスクリーンを存分に生かし切った大胆な描写が随所に見られた。「映像をもって語らしめる」ノーランの手腕は、言語を超えるとも言って良い。
特に素晴らしいのは、オッペンハイマーの敵役として登場するロバート・ダウニーJr.の演技である。激昂するシーンは鬼気迫り息を呑む。第二次世界大戦前後を描く比較的時間軸の長い映画であるが、特殊メイクの腕も素晴らしく、若い時代から年老いたシーンまでまったく違和感なく見せてくる。
いうまでもなくキリアン・マーフィーも素晴らしい。過去のノーラン映画の「常連」でありながら、いまひとつスポットの当たってこなかった彼の表現力の深さにもまた驚かされた。
はっきり言えば「日本での公開が逡巡された」理由も分からないではないシーンがあることは事実である。しかし、ノーランが3時間かけて描きたかったテーマはそれではない。むしろ、原爆を完成させ、それを実地使用した瞬間から世界が変わってしまった、そのことに対するオッペンハイマーの後悔を軸に物語は進んでゆく。いわば反核・反戦映画であると言ってもよいだろう。
だからこそ、日本での公開を喜びたいし、アカデミー賞有力候補ともいわれる今の映画表現の最先端を体験してほしいと思う。公式サイトの情報では、まだ公開日のみで、具体的な映画館については触れられていない。IMAXで公開されるかどうかも明らかにされていないが、映像作家ノーランの描いた世界を、日本においてもなるべく大きな画面で堪能できることを願ってやまない。
『オッペンハイマー』 (原題:Oppenheimer)
監督、脚本:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェン、クリストファー・ノーラン
出演:キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー
原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン 『オッペンハイマー』(2006年ピュリッツァー賞受賞/ハヤカワ文庫、2024年1月刊行予定)
2023年/アメリカ
配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画