PR改めて知りたいオーディオ基礎知識解説 Powered by オーディオランド
ケーブル接続の「バランス/アンバランス」ってつまり何?
オーディオは実に奥深く、様々な要素が音に影響してくる。だからこそ楽しい趣味なのだが、初心者のうちは分からないことも多く、また熟練したファンであっても、詳しいことは意外と知らないなんてことがあるのではないだろうか。
そこで、オーディオ買取専門店「オーディオランド」のご協力のもと、オーディオにまつわる改めて知りたい基礎知識を炭山アキラ氏が解説する。本項では、改めて知りたい「ケーブル接続におけるバランス/アンバランス」について紹介しよう。
少し上級のディスクプレーヤーやアンプなどには、入出力端子にRCAと呼ばれるものとXLRと呼ばれるものが装備されていることが多い。前者は外径約8mm、内径3mmの同心円状で、後者は外径15mmのスリーブに2mm径のピンが3本挿さる穴が空いている。
どちらも同じように機器の間で音楽信号の受け渡しに用いられるものだが、それではなぜこの2方式が存在するのか。そもそも入門クラスの製品はほとんどRCA端子しか装備されておらず、ならばXLRなんて必要なのか、あるいは廉価製品の方に欠損があるのか。
機器の間をつないで音楽信号を流通させる、いわゆるインターコネクトケーブルは、外部からのノイズの侵入を防がなければならず、それにはシールドと呼ばれる信号線を覆う導体が必要になる。RCA端子は中心導体と周辺を覆うシールドという形になっており、1本の中心導体が信号の+側、その周辺を覆う導体が−側の信号経路とシールドを兼ねる、1芯シールドケーブルと相似形になっている。外来ノイズの侵入を防ぎつつ音楽信号を伝送するための、非常にシンプルで合理的な端子として、圧倒的なデファクトスタンダードになっている、ということだ。
もっとも、信号線の+と−が非対称なのは良くないからと、高級RCAケーブルは信号線を2本通してシールド線を−信号線のどちらか片側(多くは入り口側)へ導通させた、2芯シールドタイプも多い。
RCA接続では、音楽信号の増幅回路につながっているのは+側だけで、−側はアースへ流れ込んでいる。一方、XLR接続は+と−両方に回路がつながっており、それで前者はアンバランス接続、後者をバランス接続という。バランス接続では、もし厳重なシールドをかいくぐってノイズが信号に混入しても、+と−に同じノイズが侵入し、しかも+信号と−信号は逆相の同一信号だから、キャンセルされてほとんど影響を受けなくなる、という利点がある。それで専ら業務用として開発されたのがXLR接続である。
その利点を生かそうと、民生用のオーディオ機器にも採用されるようになったXLR端子だが、専ら高級機に導入されている。なぜかといえば、前述の通り本来ならXLR=バランス接続は+/−両方に回路が必要で、コストが倍増するからだ。ディスクプレーヤーの出力端子などには、アンバランスの出力段からトランスで逆相の信号を作り出してXLR出力としているものもあるが、どちらにしてもコスト増であることに変わりはない。
そのコスト増を引き受け、なおXLR接続に利点があるのか。局所的にも、前述のノイズに強いポイントは必ず発揮されるが、個人的には、プレーヤーからパワーアンプまで全段バランス接続にした時、XLR接続は桁外れの強みを発揮すると感じている。器の大きさが何倍にも増し、引き締まった端正な表現とノイズフロアの圧倒的な低さを両立する、スケールの大きな表現である。
XLR端子は1番ピンがグラウンドで、2番と3番のピンが信号を伝送している。それが、機材によって2番がホット(+)の機材と3番がホットになったものが混在しているので注意せねばならない。とはいっても、混在していたら音が出ないということはないのだが、逆相で音が出てしまう可能性があるからだ。大半の機材は2/3番ホットの切り替えスイッチがあるから、少なくとも自宅の装置はどちらかに合わせておきたい。現在は2番ホットが主流のようである。
XLRに比べて、RCA=アンバランス接続に利点はないのかといえば、そうでもない。XLRはプラグもジャックも大ぶりで、導体以外の異種金属がどうしても大きくなる。そのせいもあろうかと思うが、RCAはXLRより時に素直な音だな、と感じさせることがある。必ずそうなるというわけではないが、高級コンポーネンツを使用しているマニアの中にもRCA派がいるというのは間違いない。
また、昨今はアナログレコード周辺でも、MCカートリッジでは「phono balance」と呼ばれる接続法が盛んになりつつある。出口側がXLR端子になったフォノケーブルで、トーンアームとフォノイコライザーを結ぶ方式だ。カートリッジの発電は+/−とも発電しているから、そもそもがバランス出力されているといってよく、phono balance自体は何の変換もなしに行えるものである。
ただし、一括りにphono balanceと呼ばれているものの中にも、2種類あるということは覚えておいてほしい。「バランス伝送」と「バランス増幅」だ。前者は繊細なフォノ信号をノイズから守るための伝送方式、後者はフォノイコライザーの回路までバランスで駆動する方式である。
もちろん前者のみでも相当の効果を見込むことができるが、以前廉価なフォノイコを2台借りてバランス増幅を実験してみたところ、2台5万円程度の廉価フォノイコにして、とてつもない実体感と解像度が聴こえてきてたまげたことがある。完全バランス増幅のフォノイコライザーはそう多くないが、挑む価値のある課題であると私は信じている。
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そこで、オーディオ買取専門店「オーディオランド」のご協力のもと、オーディオにまつわる改めて知りたい基礎知識を炭山アキラ氏が解説する。本項では、改めて知りたい「ケーブル接続におけるバランス/アンバランス」について紹介しよう。
■ケーブル接続の「バランス/アンバランス」とは何?
少し上級のディスクプレーヤーやアンプなどには、入出力端子にRCAと呼ばれるものとXLRと呼ばれるものが装備されていることが多い。前者は外径約8mm、内径3mmの同心円状で、後者は外径15mmのスリーブに2mm径のピンが3本挿さる穴が空いている。
どちらも同じように機器の間で音楽信号の受け渡しに用いられるものだが、それではなぜこの2方式が存在するのか。そもそも入門クラスの製品はほとんどRCA端子しか装備されておらず、ならばXLRなんて必要なのか、あるいは廉価製品の方に欠損があるのか。
機器の間をつないで音楽信号を流通させる、いわゆるインターコネクトケーブルは、外部からのノイズの侵入を防がなければならず、それにはシールドと呼ばれる信号線を覆う導体が必要になる。RCA端子は中心導体と周辺を覆うシールドという形になっており、1本の中心導体が信号の+側、その周辺を覆う導体が−側の信号経路とシールドを兼ねる、1芯シールドケーブルと相似形になっている。外来ノイズの侵入を防ぎつつ音楽信号を伝送するための、非常にシンプルで合理的な端子として、圧倒的なデファクトスタンダードになっている、ということだ。
もっとも、信号線の+と−が非対称なのは良くないからと、高級RCAケーブルは信号線を2本通してシールド線を−信号線のどちらか片側(多くは入り口側)へ導通させた、2芯シールドタイプも多い。
RCA接続では、音楽信号の増幅回路につながっているのは+側だけで、−側はアースへ流れ込んでいる。一方、XLR接続は+と−両方に回路がつながっており、それで前者はアンバランス接続、後者をバランス接続という。バランス接続では、もし厳重なシールドをかいくぐってノイズが信号に混入しても、+と−に同じノイズが侵入し、しかも+信号と−信号は逆相の同一信号だから、キャンセルされてほとんど影響を受けなくなる、という利点がある。それで専ら業務用として開発されたのがXLR接続である。
その利点を生かそうと、民生用のオーディオ機器にも採用されるようになったXLR端子だが、専ら高級機に導入されている。なぜかといえば、前述の通り本来ならXLR=バランス接続は+/−両方に回路が必要で、コストが倍増するからだ。ディスクプレーヤーの出力端子などには、アンバランスの出力段からトランスで逆相の信号を作り出してXLR出力としているものもあるが、どちらにしてもコスト増であることに変わりはない。
そのコスト増を引き受け、なおXLR接続に利点があるのか。局所的にも、前述のノイズに強いポイントは必ず発揮されるが、個人的には、プレーヤーからパワーアンプまで全段バランス接続にした時、XLR接続は桁外れの強みを発揮すると感じている。器の大きさが何倍にも増し、引き締まった端正な表現とノイズフロアの圧倒的な低さを両立する、スケールの大きな表現である。
XLR端子は1番ピンがグラウンドで、2番と3番のピンが信号を伝送している。それが、機材によって2番がホット(+)の機材と3番がホットになったものが混在しているので注意せねばならない。とはいっても、混在していたら音が出ないということはないのだが、逆相で音が出てしまう可能性があるからだ。大半の機材は2/3番ホットの切り替えスイッチがあるから、少なくとも自宅の装置はどちらかに合わせておきたい。現在は2番ホットが主流のようである。
XLRに比べて、RCA=アンバランス接続に利点はないのかといえば、そうでもない。XLRはプラグもジャックも大ぶりで、導体以外の異種金属がどうしても大きくなる。そのせいもあろうかと思うが、RCAはXLRより時に素直な音だな、と感じさせることがある。必ずそうなるというわけではないが、高級コンポーネンツを使用しているマニアの中にもRCA派がいるというのは間違いない。
また、昨今はアナログレコード周辺でも、MCカートリッジでは「phono balance」と呼ばれる接続法が盛んになりつつある。出口側がXLR端子になったフォノケーブルで、トーンアームとフォノイコライザーを結ぶ方式だ。カートリッジの発電は+/−とも発電しているから、そもそもがバランス出力されているといってよく、phono balance自体は何の変換もなしに行えるものである。
ただし、一括りにphono balanceと呼ばれているものの中にも、2種類あるということは覚えておいてほしい。「バランス伝送」と「バランス増幅」だ。前者は繊細なフォノ信号をノイズから守るための伝送方式、後者はフォノイコライザーの回路までバランスで駆動する方式である。
もちろん前者のみでも相当の効果を見込むことができるが、以前廉価なフォノイコを2台借りてバランス増幅を実験してみたところ、2台5万円程度の廉価フォノイコにして、とてつもない実体感と解像度が聴こえてきてたまげたことがある。完全バランス増幅のフォノイコライザーはそう多くないが、挑む価値のある課題であると私は信じている。
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