HOME > レビュー > 製品批評 > 2006年6月21日号(6/14発行)
レビュー
80周年の最終モデルとして登場した多くの銘パワーアンプのクオリティを引き出す超弩級アンプ
- LUXMAN
- プリアンプ
- C-1000f
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力感の変化をともなう分解能の高さが特筆もの 今まで味わうことができなかった満足感を得られる
ラックスマンは昨年創業80周年を迎え、それを記念するモノラルパワーアンプB-1000fを市場に送り出して、われわれの度肝を抜いた。今回発売されることになったC-1000fは、それと対をなすコントロールアンプで、やはり80周年記念モデルの最後を飾る機種となっている。
ボワ・ノアールでの試聴である。試聴の定番となっているCD『アルジェのイタリア女』の序曲が鳴り始めた時の興奮は、いまでも忘れない。ディスクが回転し初めてから、音が出るまでのわずかな時間の静寂の雰囲気がいつもと違った。録音音場の暗騒音がいままでになく緻密に聞こえたのだ。そして、ピアニッシモで始まる弦のピッチカートの響きの沈み込みが深い。やがてフォルテで奏される弦の全奏が響く。ここまで聴くと、いままでと何が違ったのかが明白になった。ピアニッシモのしなやかな感触から一転して立ち上がった音の力が違う。響きの深さが違う。そして、細部の音の見え方が違う。木管のメロディが入ってくると、その違いは決定的に思えた。木管の音が空気の中に籠もらず、空間を飛翔している印象、つまり音離れがいいのだ。
アバド指揮のこのグラモフォン盤は、70年代の録音で、現代のレベルからすれば決して高音質の盤ではないが、システムによって、再生されるサウンドはかなり変わる。起こりやすいのは、中・高音の突っ張り。冒頭の序曲の中でも随所にそんな箇所がある。いままでにこのディスクを再生して落第だと思わせた高級機が何台もあるのだ。だから、いつもこのディスクをかける時は緊張している。技術者が精根こめて造った製品でも、時にこの網にかかってしまうのだ。
しかし、C-1000fの場合、それは杞憂であった。このアンプは表現のふところが深い。音の鮮鋭感をぎりぎりまで出せるが、だからといって中・高音が突っ張ったりはしない。突っ張ろうとするエネルギーをぎりぎりまで表出しながら、こなしきってしまうのだ。
<この製品の情報は「オーディオアクセサリー」121号にも掲載されています>
スペック
【SPEC】
●入力感度/入力インピーダンス:コアキシャル(LINE1〜3)→333mV/51kΩ、バランス(BAL1〜3) →333mV/102kΩ ●出力/出力インピーダンス:コアキシャル→定格1V/210Ω、最大4.5V、バランス→定格1V/420Ω、最大9.0V ●全高調波歪率:コアキシャル→0.0016%((1kHz)、バランス→0.0007%(1kHz) ●周波数特性:(20Hz〜20kHz)+0、-0.1dB、(10Hz〜116kHz)+0、-3.0dB ●SN比:コアキシャル→124dB 1kHz(IHF-A)、バランス→128dB 1kHz(IHF-A) ●入力:コアキシャル、バランス各3系統 ●出力:コアキシャル、バランス各2系統 ●消費電力:28W(電気用品安全法)、2.3W(スタンバイ時) ●外形寸法:440W×134H×429Dmm ●質量:23kg ●取り扱い:ラックスマン(株) TEL/045-470-6991