HOME > レビュー > 製品批評 > 2007年12月12日号(12/5発行)
レビュー
あらゆるジャンルのソースに対して力を存分に発揮する高級プリアンプ
- LUXMAN
- プリアンプ
- C-800f
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瞬時に耳を欹てるほどの流麗な響き
2006年末に発売された高級パワーアンプM-800Aとのペアになるプリアンプで、同社のフラグシップ機C-1000fと同系のデザイン、音量調整、電気回路を採用している。機能的に見ても、入力端子はバランス、RCAとも4系統、出力端子はバランス、RCAとも2系統と充実しており、アンバランス接続時に出力系統ごとのレベル調整ができる「バイアンプ出力モード」も設けられており、リモートコントロールも用意されている。
話題の中心は、なんと言っても独自の高性能ボリュームコントーロール。C-1000fで搭載したLECUA1000と基本は同じだが、良く使う可変範囲に重みづけをして小型化したLECUA1000-WMを搭載。固定抵抗を減らして小型化し、その分、価格を抑えることができた。独自の帰還回路ODNFは、1000fと同じver.2.4を搭載している。
電源が充実しているのも、C-1000fからの伝承。これは、パワーアンプを十分にドライブし、力感のあるサウンドを得るのに役立っている。電源に6,600μFという大容量の電解コンデンサーを使ったのは、パワーアンプドライブの瞬発力を高めるためである。
クラウディオ・アバド指揮、ロンドン交響楽団の『メンデルスゾーン/交響曲第3番《スコットランド》』(グラモフォン盤)の冒頭、ストリングスの哀愁を感じさせるメロディを聴いた瞬間、自然に耳を欹(そばだて)ていた。なんと流麗な響きだろう。この感触は、美しく哀愁に満ちたサウンドに満ちた第一楽章が終わるまで持続していた。これだけ透明で、歪みの少ないサウンドは高級セパレートアンプならではのものだ。
では荒々しい表現にはどう対応しているのか? 絶好のレファレンスは、ブーレーズ指揮シカゴ交響楽団のCD『火の鳥』(グラモフォン盤)だ。トラック11〜13を聴いたが、この間には、音楽の荒々しい表現がすべて詰まっているといってもいい。不死の魔王カスチェイが登場する時の大太鼓の強打、ティンパニのフォルテでの連打、金管楽器の咆哮などなどが次々と聞かれるが、このペアで再生した時のサウンドは、荒々しい響きにさらに力感が加わることで、より次元の高い音楽表現となっている。
このペアは、ポップス系の音楽に対しても、ジャズに対しても、持てる力を存分に発揮する。本機を試しに、ボワ・ノアールのレファレンスパワーアンプ、テクニカルブレーンTBP-Zeroを繋いで鳴らしてみたが、全く違和感なく、クリアで力強いサウンドを聴かせてくれた。汎用性も高いアンプだと診断できる。
<この製品の情報は「オーディオアクセサリー」127号にも掲載されています>
スペック
【SPEC】●入力感度/インピーダンス:300mV/47.5KΩ(アンバランス)、300mV/95.0KΩ(バランス) ●出力/出力インピーダンス:定格1V/564Ω 最大5.5V(アンバランス)、定格1V/1,128Ω 最大11V(バランス) ●全高調波歪率:0.009% (20Hz〜20KHz)(アンバランス)、0.005% (20Hz〜20KHz)(バランス) ●周波数特性:5Hz〜20KHz +0,-0.1dB、1Hz〜117KHz +0,-3.0dB ●S/N比:123dB (IHF-A)(アンバランス)、126dB (IHF-A)(バランス) ●入力:アンバランス×3、バランス×3 ●出力:アンバランス×2、バランス×2 ●消費電力:24W ●外形寸法:440W×117H×427Dmm ●質量:17.6kg ●問い合わせ:ラックスマン(株) TEL/045-470-6991