製品批評

Vol.488
毎週水曜更新 2012年10月10日号(10/3発行)

新開発の電解タフピッチ銅を採用した電源プラグ&IECコネクター

文/井上千岳プロフィール

製品名

多重層プレーティングを施し、特に高域の情報と解像度が増す

製品画像

<左>RHシリーズ <右>SGシリーズ

ジョデリカはヨルマケーブルなどを輸入するシーエスフィールド(株)が立ち上げた、オリジナルのブランドである。これまでにもスピーカースタンドなどユニークなアクセサリーを開発してきたが、ここで紹介するのは電源ケーブルのプラグおよびIECインレットだ。

一般にコネクターの導通部(ブレードと刃受け)には、リン青銅や真鍮、ベリリウム銅などが使用される。適度な弾力と耐久性、導電性が求められるからだが、ここでは電解タフピッチ銅が使用されている。導電性の高さで銅は極めて優れた金属だが、それを合金ではなく単体として構成したことが第一の特徴である。

さらに銅の表面に独自の研究による多重プレーティングを施しているのが、もうひとつの特徴だ。これには2種類あって、SGシリーズは銅と金、RHシリーズは銅、銀、金、ロジウムという多層プレーティングが施されている。

一般的なプレーティングでは、表面に磁性物質が含まれる。これが磁化されることで電流に電磁作用を及ぼし、電源の劣化につながるという。SG、RH両シリーズではいずれもこれを非磁性で行う新技術を開発し、同時に多層プレーティングにも精密な処理が施されている。本体をタフピッチ銅としたうえで、種々の金属の特質を加えて音調を整える極めて入念な仕上げに大きな意味がある。

電源ケーブルのパーツとしては高額な製品だが、なるほどそれだけの意味はある。SGシリーズではレンジが広がり、特に高域の情報量と解像度が増す。チェロの質感と響きがくっきりして細かな表情が明確に引き出され、アカペラは余韻が厚く乗る印象だ。ジャズやオーケストラでは低域の分解能も上がり、彫りが深い。

高品位な電源ケーブルにいっそうの音質向上を図りたいときに、まず考慮に入れたいものである。

HRシリーズはさらに音数が増え、微小信号の出方が滑らか。高域が極めてスムーズに伸び、空間の実在感も鮮やかだ。

<この製品の情報は「オーディオアクセサリー」146号から転載しています>

スペック

【SPEC】●ラインナップ:SGシリーズ→「ETP-950SG」「ETP-920SG」(ともに¥26,250)=銅と金の多重層プレーティング/RHシリーズ→「ETP-960RH」「ETP-930RH」(ともに¥44,100)=銅、銀、金、ロジウムの多重層プレーティング ●適応ケーブル直径:6.6-18mm ●適応ワイヤー直径:1.0-3.4mm ●外形寸法:52×37×71.5mm ●質量:60g ●問い合わせ:シーエスフィールド(株) TEL/076-491-2207

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