小林 パストラルシンフォニーのスピーカー「Audio Performance Monitor AP101」などは、ユニットが浮いていると考えていいんですか。
福田 そうです。エアパッキングの働きをする非常に微細な隙間があります。そこにはバスレフ効果はありません。バスレフダクトは別にあります。
キャビネットも、コーンの振動をそのまま増幅するように振動すれば、弦楽器のボディのように有益なものになります。
このようなマイクロピュア・サウンド・ヒーリング・テクノロジーのメリットは格段の音質グレードアップだけでなく、それがローコストでできること。つまりユニットの開発は必要ないのです。従来のユニットを、さらに良い音で鳴らすことができますから。
小林 グレードの高い、ハイエンドレベルの再現性には本当に驚いています。
福田 最初の頃はリサイクルショップへ行き、ミニコンを買ってきて、そのスピーカーで実験をしていました。つまり「ローコストでいい音が出せる技術」なんですよ。
低音のスピードに遅れがなく、しっかりしてます。バスレフの反射音も遅れません。倍音もオクターブ五度もきれいに乗るので、きちんとした音のピラミッドが形成されます。したがってナチュラルな音で浸透力がある。
小林 見事なのは減衰音の確かさ。
福田 従来のユニットマウント方法では、信号が減衰すると、キャビネットの共振と混ざって不正確なものになるんですね。
小林 ウッドのバスレフポートはくり抜き製なんですって。
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福田 ダクトにはこだわります。倍音を正しく出すためのチューニングですが、音を聴きながらやりますので「調律」と言っております。まさしく楽器作りのアプローチですね。この調律がピタリと合うと、倍くらいの音量感が出てきます。
管楽器で、俗にトウナリ(遠鳴り)というのがありますよね。音が遠くまで届く楽器を遠鳴りする良い楽器と言うのですが、これは倍音をきちんと出さないと不可能です。バスレフポートのチューニングにも同じように、楽器の調律のような高度なアプローチが必要なんですね。
小林 ユニットのマウント技術に戻りますが。さて、どのような方法で固定しているのですか。
福田 そこも重要なノウハウになりますが、点支持です。点支持の良さは振動モードの起点が明確になることです。
小林 どんなに微弱な音も密度を保ったまま再現する。しかも神経質な音ではない。マイクロピュアのスピーカーは、モニター用として最適でしょうね。
福田 パストラルシンフォニーというスピーカーブランドを立ち上げるためには、PAやスタジオエンジニア、音楽家の皆さんが強力な支援をしてくれています。さらには、非常に優れた木工・塗装技術を持つ高瀬木工さんやフジゲンさん(※楽器などの製造でも有名な日本の匠的技術者集団企業。パストラルシンフォニーのパートナーでもある)などの企業の存在無しには考えられません。ハンドメイドそのものですからね。
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