優秀録音ハイレゾ音源レビュー

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残響散歌/朝が来る

Aimer ポップス FLAC
96kHz/24bit
レーベル:Sony Music Labels Inc. 配信サイト:e-onkyo music

■高橋 敦レビュー
近年のトレンドにも沿う全体で3分ほどの短さにまとめつつも、曲構成の見事さが光る一曲。アニメOPで使われる前半は「イントロ→A→B→サビ」という一般的な流れ。しかしそこからの後半は「間奏→A→B→ギターソロ→B後半→サビ→アウトロ」と、Bメロからギターソロに移行する展開だ。Bからサビに行かないことでリスナーにまず意外性を与え、そしていったん出し惜しみされたサビへの期待感の高まりも生み出している。最後のサビでの強烈な「来たーッ!」感はこの構成によって演出されているわけだ。
サウンド面では、特にベースやバスドラムにおいて、ある程度大型のスピーカーでないと再生できないくらい低い響きが生かされていることが特徴的。その低音成分はテレビやパソコンのスピーカーでは再生不能だ。しかしそのおかげで、そういった環境で再生された際にも低音が割れたり潰れたりすることはないし、そのように低音が抜けた際にも全体のバランスは維持されるように工夫されてもいる。アニメOPとしてテレビで聴かれても違和感なく、それでいてオーディオシステムで聴けば真価が発揮される、巧みな音作りだ。
なお空間の響きやエフェクトによるリバーブ成分、つまり「残響」はやや控えめな印象。音数が多くテンポも速めな高密度アレンジなので、残響は少し抑えておかないとモワンとぼやけて見晴らしの悪いサウンドになってしまうからだろう。
(FLAC 96/24にて試聴)

総合点 9.2
低域の伸び9.3点 高域の伸び9.2点 セパレーション9.3点 ディテール9.1点 透明感9.1点 空気感9.1点 質感9.2点 静寂感9.1点 残響 奥行き 音像 アタック