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レビュー
優秀録音ハイレゾ音源レビュー
TVアニメ「平家物語」オリジナル・サウンドトラック 諸行鎮魂位相 requiem phases+
牛尾憲輔 その他 無 FLAC WAV96kHz/24bit
レーベル:ポニーキャニオン 配信サイト:e-onkyo music
■高橋 敦レビュー
2010年代後半から様々な映像作品のサウンドトラックを手掛ける牛尾憲輔氏。近年では特に山田尚子監督アニメ作品の劇伴が印象的で、こちら『平家物語』も同じく山田監督とのコンビだ。牛尾氏の音楽キャリアの原点は石野卓球さんの音源制作スタッフとのことで、その軸足はエレクトリックなサウンドに置かれている印象。その氏を起用したところに、今回のアニメ『平家物語』の意図が表れているのかもしれない。琵琶などの和楽器を主役に据えつつ全体としては現代的なサウンドという曲などでは、特にそのように感じられる。
サウンドとしては空間表現の秀逸さも光る。電子音、グリッチ音などの配置の美しさは牛尾さんの音楽全般の特徴だが、今回はやはり和楽器に注目。例えば「moonlight」は三人の笛が左右と中央奥にいる「だけ」とも言える配置。しかしそれを十分な空間再現性を備えるスピーカシステムで聴くと、その三角形の角同士をつなぐ線上、そして三角形に囲まれた空間に、三人の誰かひとりの演奏ではない、集合的な気配のようなものが生まれている。これは単純に響きが重なり合っただけで生まれるものとは思えず、どのような録音やミックスが行われているのか興味深い。
(FLAC 96/24にて試聴)
総合点
9.4点
低域の伸び9.3点
高域の伸び9.4点
セパレーション9.3点
ディテール9.3点
透明感9.4点
空気感9.3点
質感9.3点
静寂感9.4点
残響
奥行き
音像
アタック