プレミアムヘッドホンガイド 2013 WINTER page 12/120

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る。ジャンルはオールマイティーだが、ジャズやクラシックなど、静謐なアコースティックサウンドが好きなら、迷わず選んでよいだろう。まさに、アーティストの意思を生々しく伝える原音追求型の音づくりだ。　プレミ....

る。ジャンルはオールマイティーだが、ジャズやクラシックなど、静謐なアコースティックサウンドが好きなら、迷わず選んでよいだろう。まさに、アーティストの意思を生々しく伝える原音追求型の音づくりだ。　プレミアムイヤホン「IE 800」は、いわばアーティストが意図したサウンドを尊重しつつ、拡張するような方向にある。これまで数えきれないほどのイヤホンに接してきたが、この音づくりは未体験ゾーン。ひとことで表せば「3Dサウンド」である。それをかなえるために数々の高度な技術が詰め込まれているのだが、よくぞこんな小型ボディの中に、と感嘆するほどだ。ボディはセラミック製で超小型。ドライバーには、本機のために新たに開発されたXWB (エクストラ・ワイドバンド) トランスデューサーを搭載。このパーツはドイツ国内工場にある特殊なクリーンルームで製造されるそうだ。また、豊かな低域を再現するために、通気口を設けたアコースティックカバーを採用している。ケーブルはケブラー繊維入りなので耐久性が高く、取り回しもしやすい。さらに楕円型のイヤーチップ（非アレルギー性シリコン）を付属するなど、快適な装着感も追求されている。　そのサウンドはボーカルでもギターでも、メインとなる音がしっかりと中心に定位し、そこから左右、そして前後にも広がってゆく。それが決してわざとらしくない。ひずみも少なく、きわめてナチュラルなトーンなのである。バッキングをつとめる楽器、たとえばベースやドラムス、弦楽器などは、その周囲に配置されて穏やかに鳴っている。その様子も立体的なのだ。　ゼンハイザーが自信を持って贈る「MOMENTUM」と「IE800」。それは「音」そのものに対する認識を変えてしまうほど、圧倒的なサウンドを、僕たちに提供してくれる。それは「音」を表現するアーティストとの関係を、もっと深く、濃くすることと分ちがたく結びついてゆく。（中林直樹）12 PREMIUM HEADPHONE GUIDE