公開日 2015/04/28 19:12
「IFA2015」はウェアラブルやコネクテッドホームに注目。ハイテッカー氏が魅力を語る
9月4日から開催
世界最大のコンシューマーエレクトロニクスショー「IFA2015」が9月4日から9日まで、ドイツの首都・ベルリンで開催される。今年のIFAがフォーカスするポイントを各国のジャーナリストに紹介するIFAグローバル・プレスカンファレンスが、地中海に浮かぶ小さな島国、マルタ共和国で開催された。
エレクトロニクスの新製品が発表される展示会としてだけでなく、トレードショーとしても世界中で他に類を見ない大規模なスケールで開催されているIFA。期間中の受注総額、総来場者数等の記録を毎年塗り替えながら成長してきた。
昨年は1924年に前身である「ドイツ放送展」が開催されてから90周年のアニバーサリーイヤーを迎え、また新たにレコードを打ち立てた。「IFAへの出展は欠かせない」−−− 実績に裏付けられた評判は、世界中のエレクトロニクスメーカーやサービスプロバイダーに広がっている。
IFAの開催規模を示すバロメーターである「実質展示面積」は毎年順調に拡大している。「IFAに出展して、ビジネスを成功させるためになるべく良い展示スペースで華やかな展示を行いたい」。そんな出展社から寄せられる強い期待を背に受けながら、IFAの本番開催まで半年を切るタイミングで、成功に向けたプランをどのように描いているのか。メッセ・ベルリン社 IFAグローバル統轄本部長のイエンズ・ハイテッカー氏が、グローバルプレスカンファレンスに集まった日本人記者によるグループインタビューに答えた。
グローバルプレスカンファレンスに集まった多くの記者から「IFA2015ではどんなテーマがトレンドになるのか?」という質問がハイテッカー氏に寄せられていたが、日本人記者一同も同じ質問をぶつけてみた。
「エレクトロニクスという分野はオーディオビジュアルから白物、モバイル、通信まで広範囲にわたっており、全てにイノベーティブなトピックスがあります。中でも今年は、家庭内のエレクトロニクス製品をネットワークでつなぐ『コネクテッドホーム』や『コネクテッドリビング』をベースにした提案に注目が集まるとみています」。
「今までにもIFA TechWatchなどのテーマ展示でコネクテッドホームは紹介されてきましたが、どちらかと言えば少し未来の研究技術として捉えられていました。近年はそれが現実のものとして、かたちになる期待が膨らんでいます。インストーラーや小売業者にとっても、エレクトロニクス製品は単品で売り切るのではなく、使い方や『できること』の総体をコンシューマーに提案して、販売していく時代になりました。ビジネスとしてのコネクテッドホームが軌道に乗ってきたということです」。
IFA2015では会場のそこかしこにコネクテッドホームに関連する製品やサービスが展示されるだろうと、ハイテッカー氏は関心を寄せる。毎年最新の技術にハイライトしてきた「IFA TechWatch」にも、テーマ展示としてのコネクテッドホームのスペースが引き続き設けられる。IFAとしてもこのトレンドを一過性のものに終わらせることなく、エレクトロニクス産業の成長を促す格好で後押ししていく構えだ。
さらに今年は通信・モバイル系の出展社が多く集まる「IFA Communication」の展示エリアが昨年よりも拡大される。ハイテッカー氏は「モバイル・通信系の製品や技術はコネクテッドホームの製品やサービスを結びつける重要な役割を担っています。それの展示面積が広がったということには大事な意味があります」と語る。ハイテッカー氏の口から明言されることはなかったものの、今年のIFAグローバル・プレスカンファレンスには初めてマイクロソフトが参加したことから、今年のIFAには同社が参加する可能性も浮かび上がってきている。
ちなみに、IFA2015のテーマを一言で表すスローガン、あるいはコミュニケーション・キーワードをつくらないのかという問いに対して、ハイテッカー氏はこう答える。
「あえて設けません。なぜなら、エレクトロニクスのトレンドはものすごいスピードで移り変わるからです。例えば今日、キーワードを掲げたとしても、IFAが開催されるまでのあと5ヶ月の間に陳腐化してしまうことだって有り得ます。それよりも大事なことは、皆さんがIFAに来場して面白いものを自身の目で見つけることです。皆さんが見つけたものが集まってトレンドになります。主催者である私たちの仕事は、皆さんが思い思いにIFAを楽しんでもらうことをお手伝いすることです。だから、一つの方向に目先を誘導してしまうようなことはなるべくしたくないのです」。
いま国内や欧州でも注目を浴びつつあるハイレゾオーディオの特設展示をやってみてはどうかという声も上がった。これに対してハイテッカー氏は「IFAを訪れたら、いい音が体験できるということをもっと強くアピールしたい」と前向きな姿勢を示す。だが、特設展示というかたちにはこだっていないようだ。「いまも様々なメーカーが、IFAでいい音を来場者に体験させる機会をつくっています。かつては据え置きのコンポーネントを中心にオーディオを展開していた企業も、いまの音楽ファンが求めるポータブルやワイヤレスなどのリスニングスタイルに合わせて“いい音”を提案しています。ハイレゾの枠を超えて、いい音で音楽を聴くための様々な出会いの場が広がるIFAになれば良いと考えています」。
今年のIFA2015も出展希望社が順調に集まり、既に会場はオーバーブッキングだという。新ホールの「CityCube」は、昨年とおなじサムスン電子が全展示エリアを押さえて勢いに乗る。一方で、日本企業の参加状況はどうだろうか。
「大手メーカーは変わらず参加いただけると思います。一方で、海外向けテレビの自社開発・販売の撤退を決めた東芝のように、出展分野やブースの規模の面で出展スタイルが変わる場合もあると思います。ソニーやパナソニックもIFAにとって非常に大事な出展社です。さらに今年はIFA TechWatchなどに若く勢いのある企業が出展いただけることを嬉しく思います。京都大学もIFA+Summitに加わってくれることになりました。IFAへの出展をマーケティングや開発研究の糧にしようというチャレンジを、私たちは大いに歓迎します」とハイテッカー氏は語る。なお、今年のIFAには日本からも幾つかのスタートアップ系の注目企業が集まりそうだ。
Apple Watchが発売されたこともあり、今年は「ウェアラブル」に大きな関心が集まっている。IFA2015では「フィットネス&スポーツ」と銘打った、ウェアラブルの製品や技術、サービスを集めた特設スペースが新設される。ハイテッカー氏はその展示場所について、iPhoneやIPad、スマートフォンなどモバイルに関連するアクセサリー製品を取り扱う出展社が軒を連ねる「iZone」の近くになるだろうとした。「このほかにもソニーやLG、サムスンなど強力なウェアラブル製品を持つメーカーは、それぞれのブースで独自の見せ方でウェアラブルにスポットを当てると思います。『フィットネス&スポーツ』には、ウェアラブルを扱うスタートアップを含む新興系の出展社が多く集まることになるでしょう」。
マルタで開催されたグローバル・プレスカンファレンスではまだ、IFA期間中に開催されるグローバル・キーノートのイベント登壇者の名前が明らかにされなかった。「今日の時点ではまだ、決まっていることをオープンにできません。メッセ・ベルリンとしては、ぜひ日本の企業のキーパーソンにもご登壇いただきたいと思っています。過去にはパナソニック、東芝、エプソンがキーノートスピーチを開催いただき、非常に強い反響がありました。キーノートスピーチでメッセージを発信することは、ヨーロッパでのブランディングを成功させるためにも非常に重要な取り組みの一つだと考えています」と、ハイテッカー氏は日本企業に対してキーノートスピーチの壇上に上がって欲しいとラブコールを送った。
エレクトロニクスの新製品が発表される展示会としてだけでなく、トレードショーとしても世界中で他に類を見ない大規模なスケールで開催されているIFA。期間中の受注総額、総来場者数等の記録を毎年塗り替えながら成長してきた。
昨年は1924年に前身である「ドイツ放送展」が開催されてから90周年のアニバーサリーイヤーを迎え、また新たにレコードを打ち立てた。「IFAへの出展は欠かせない」−−− 実績に裏付けられた評判は、世界中のエレクトロニクスメーカーやサービスプロバイダーに広がっている。
IFAの開催規模を示すバロメーターである「実質展示面積」は毎年順調に拡大している。「IFAに出展して、ビジネスを成功させるためになるべく良い展示スペースで華やかな展示を行いたい」。そんな出展社から寄せられる強い期待を背に受けながら、IFAの本番開催まで半年を切るタイミングで、成功に向けたプランをどのように描いているのか。メッセ・ベルリン社 IFAグローバル統轄本部長のイエンズ・ハイテッカー氏が、グローバルプレスカンファレンスに集まった日本人記者によるグループインタビューに答えた。
グローバルプレスカンファレンスに集まった多くの記者から「IFA2015ではどんなテーマがトレンドになるのか?」という質問がハイテッカー氏に寄せられていたが、日本人記者一同も同じ質問をぶつけてみた。
「エレクトロニクスという分野はオーディオビジュアルから白物、モバイル、通信まで広範囲にわたっており、全てにイノベーティブなトピックスがあります。中でも今年は、家庭内のエレクトロニクス製品をネットワークでつなぐ『コネクテッドホーム』や『コネクテッドリビング』をベースにした提案に注目が集まるとみています」。
「今までにもIFA TechWatchなどのテーマ展示でコネクテッドホームは紹介されてきましたが、どちらかと言えば少し未来の研究技術として捉えられていました。近年はそれが現実のものとして、かたちになる期待が膨らんでいます。インストーラーや小売業者にとっても、エレクトロニクス製品は単品で売り切るのではなく、使い方や『できること』の総体をコンシューマーに提案して、販売していく時代になりました。ビジネスとしてのコネクテッドホームが軌道に乗ってきたということです」。
IFA2015では会場のそこかしこにコネクテッドホームに関連する製品やサービスが展示されるだろうと、ハイテッカー氏は関心を寄せる。毎年最新の技術にハイライトしてきた「IFA TechWatch」にも、テーマ展示としてのコネクテッドホームのスペースが引き続き設けられる。IFAとしてもこのトレンドを一過性のものに終わらせることなく、エレクトロニクス産業の成長を促す格好で後押ししていく構えだ。
さらに今年は通信・モバイル系の出展社が多く集まる「IFA Communication」の展示エリアが昨年よりも拡大される。ハイテッカー氏は「モバイル・通信系の製品や技術はコネクテッドホームの製品やサービスを結びつける重要な役割を担っています。それの展示面積が広がったということには大事な意味があります」と語る。ハイテッカー氏の口から明言されることはなかったものの、今年のIFAグローバル・プレスカンファレンスには初めてマイクロソフトが参加したことから、今年のIFAには同社が参加する可能性も浮かび上がってきている。
ちなみに、IFA2015のテーマを一言で表すスローガン、あるいはコミュニケーション・キーワードをつくらないのかという問いに対して、ハイテッカー氏はこう答える。
「あえて設けません。なぜなら、エレクトロニクスのトレンドはものすごいスピードで移り変わるからです。例えば今日、キーワードを掲げたとしても、IFAが開催されるまでのあと5ヶ月の間に陳腐化してしまうことだって有り得ます。それよりも大事なことは、皆さんがIFAに来場して面白いものを自身の目で見つけることです。皆さんが見つけたものが集まってトレンドになります。主催者である私たちの仕事は、皆さんが思い思いにIFAを楽しんでもらうことをお手伝いすることです。だから、一つの方向に目先を誘導してしまうようなことはなるべくしたくないのです」。
いま国内や欧州でも注目を浴びつつあるハイレゾオーディオの特設展示をやってみてはどうかという声も上がった。これに対してハイテッカー氏は「IFAを訪れたら、いい音が体験できるということをもっと強くアピールしたい」と前向きな姿勢を示す。だが、特設展示というかたちにはこだっていないようだ。「いまも様々なメーカーが、IFAでいい音を来場者に体験させる機会をつくっています。かつては据え置きのコンポーネントを中心にオーディオを展開していた企業も、いまの音楽ファンが求めるポータブルやワイヤレスなどのリスニングスタイルに合わせて“いい音”を提案しています。ハイレゾの枠を超えて、いい音で音楽を聴くための様々な出会いの場が広がるIFAになれば良いと考えています」。
今年のIFA2015も出展希望社が順調に集まり、既に会場はオーバーブッキングだという。新ホールの「CityCube」は、昨年とおなじサムスン電子が全展示エリアを押さえて勢いに乗る。一方で、日本企業の参加状況はどうだろうか。
「大手メーカーは変わらず参加いただけると思います。一方で、海外向けテレビの自社開発・販売の撤退を決めた東芝のように、出展分野やブースの規模の面で出展スタイルが変わる場合もあると思います。ソニーやパナソニックもIFAにとって非常に大事な出展社です。さらに今年はIFA TechWatchなどに若く勢いのある企業が出展いただけることを嬉しく思います。京都大学もIFA+Summitに加わってくれることになりました。IFAへの出展をマーケティングや開発研究の糧にしようというチャレンジを、私たちは大いに歓迎します」とハイテッカー氏は語る。なお、今年のIFAには日本からも幾つかのスタートアップ系の注目企業が集まりそうだ。
Apple Watchが発売されたこともあり、今年は「ウェアラブル」に大きな関心が集まっている。IFA2015では「フィットネス&スポーツ」と銘打った、ウェアラブルの製品や技術、サービスを集めた特設スペースが新設される。ハイテッカー氏はその展示場所について、iPhoneやIPad、スマートフォンなどモバイルに関連するアクセサリー製品を取り扱う出展社が軒を連ねる「iZone」の近くになるだろうとした。「このほかにもソニーやLG、サムスンなど強力なウェアラブル製品を持つメーカーは、それぞれのブースで独自の見せ方でウェアラブルにスポットを当てると思います。『フィットネス&スポーツ』には、ウェアラブルを扱うスタートアップを含む新興系の出展社が多く集まることになるでしょう」。
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