公開日 2020/09/30 11:01
敏腕 録音プロデューサーが証言、CD-Rは「Ritek Pro“CG”」一択。求めるのは不変の音楽バランス
【特別連載 第6回】Ritek Pro“CG”/「プロが求める価値」
音楽用途を中心としたBtoB市場からスタートを切った高品質光ディスク「Ritek Pro“CG”」(CD-RとDVD-R)。連載第6回となる今回は、かつて大手レコード会社へ所属、レコード大賞企画賞や数多くの音楽雑誌の賞を獲得してきた、録音プロデューサーであり、現在、グリーンフィンレコーズの代表をつとめる温井亮氏をお招きして、すでに「Ritek Pro“CG”」を使用されている録音現場の声をお聞きしていく。なお、連載第1回にもご登場いただいた、「Ritek Pro“CG”」の商品開発アドバイザーもつとめた、音楽専門のCD-Rデュプリケートサービス事業で業界トップの実績を誇るディーアンドエーミュージック 代表取締役の白川幸宏氏、そして、That'sブランドの販売会社であった株式会社スタート・ラボで代表取締役社長 兼CEOを務めた揚伯裕氏のお二人にも加わっていただいた。
温井亮(ぬくい・りょう) Profile:録音プロデューサー。グリーンフィンレコーズ代表、トライベイス・ミュージック・スタジオを運営する。大手レコード会社勤務時代に日本レコード大賞企画賞を受賞。クラシック、民族音楽、純邦楽などアコースティック系音楽を中心に復刻盤や編集盤も合わせて数百枚の音楽CDを制作。独立後も精力的に継続し、最近はジャズ、ソウル、クラシック、テクノ、エレクトロニカなどを選曲するDJとしても幅広く活動する一方、シュトックハウゼン、ライリー、グラス、ライヒ、シェフェールらの影響を受けた電子音楽のリリースを進めている。
■「Ritek Pro“CG”」の登場に安堵
―― 温井さんのお仕事において、CD-Rに求めることはズバリ何なのでしょうか。
温井 録音プロデューサーとして、CDを制作する仕事に20年以上にわたって携わっています。録音作業の終わりに、その日の分をCD-Rに焼いてミュージシャンの方にお渡しします。帰ってCD-Rを聴かれたミュージシャンの方から、意見や指摘をフィードバックしていただくわけです。ですから、CD-Rに求められる一番大事なことは、意図してつくりあげたものがきちんと入っていること。話の土台が揺らいでしまったら、やりとりがかみ合わなくなってしまいますからね。音楽のバランスが変わらない、それが一番大事なことです。その選択基準から今、迷うことなく「Ritek Pro“CG”」を使わせていただいています。
―― かつて、プロ市場では定番と言える存在として「That's」がありました。
温井 ほぼ「That's」しか使わなかったですね。変わり得る存在はなかったですから。だから、Ritekが出るまではわざわざ“言い訳”をしていたんです。「今日の作業はこちらになります」とCD-Rを渡すときに、「焼いたときにこういうふうに音が変わっていますから」と必ず言い足すわけです。レコーダーに収まっている音とCD-Rに焼いた音は、厳密には違っていることを事前に知っておいていただかないと、ミュージシャンとの意思疎通がはかれなくなりますからね。
非圧縮のファイルにして送る手もありますが、非圧縮だとファイルサイズが大きくなり、ダウンロードするのを面倒がる人もいます。作業後にCD-Rに焼いてすぐ渡すのがベストですが、それがだめなら送るのが次善の策。特にベテランのミュージシャンからは「CDプレーヤーで聴いて確かめたい」という要望がとても多いですね。
―― 「Ritek Pro“CG”」を選ばれたポイントをもう少し詳しくお聞かせいただけますか。
温井 さきほども申し上げましたが、何よりもまず、焼く前後で音楽のバランスが変わらないこと。意図したミックスが正しく伝わるかどうか、それは周波数のバランスが問題になります。例えば、焼いた後で低音が大きくなってしまえば、ミュージシャンから「低音でかいじゃん、修正して!」となってしまいます。「Ritek Pro“CG”」なら、そうしたことが本当に起きにくい。品質も凄く安定していて、書き込み時にエラーがまったく出ないことも強調できます。
―― 「That's」亡き後、代替する力量を備えたCD-Rが見つからないため、CD-Rそのものを使うことを諦め、他の手段に鞍替えされた業者もあるようですが、温井さんはそのようなお考えはありましたか。
温井 どうすればいいんだろうと、いろいろな方法を織り交ぜながら何とかやりくりして凌いでいたのが実情です。ネットワーク環境もかなり進化しましたが、ファイルのサイズがあまりに大きい場合、なかなかダウンロードできないからと止めてしまう人もいます。そこへ、「CD-Rならこれだ!」というものがようやく現れました。音楽バランスが変わらないので、共通の土台で話ができるようになり、本当に楽になりました。事前に“言い訳”をしないで済みますから(笑)。「Ritek Pro“CG”」が出てきてくれて本当にありがたかったです。
―― 「Ritek」というブランドに対する印象は変わられましたか。
温井 実は、Ritekはまったく知りませんでした。でも、われわれは良い製品なら使うだけですから。本当にいまは、信頼して使用できるCD-Rが「Ritek Pro“CG”」をおいて他にない状況ですから、ぜひ、「CD-Rと言えばRitekだよね」と皆に言われるくらい、CD-Rの代名詞となるような存在になってもらえたらと思っています。
―― 日本市場での認知をあげるチャンスというわけですね。
白川 「Ritek Pro“CG”」の登場により、Ritekに対する認識が良い方向に覆されました。日本国内、特に一般コンシューマーにはほとんど浸透していないブランドですから、これを機に、Ritekというブランドをどう浸透させ、イメージをつくりあげていくか。ここ一番の勝負所になるのではないでしょうか。
■肌感覚で掴むさらなる伸びしろ
―― まだ、登場したばかりですが、敢えて改善点を挙げるとすると、どのような点になりますか。
温井 音楽として聴く場合に必要な部分はあらかた出ています。厳しい意見としてさらに言わせていただくと、高域の安定感をもっと充実させてほしい。印象として8-10kHzくらいまではよいのですが、12kHz辺りから上の情報量がやや不足しているように感じます。高域の情報量は音楽の持つ空気感を再現するのに重要な要素です。That's「CD-R for master」は、焼くと高域と低域がほんの少し増えた印象があります。プレスすると高域と低域がほんの少し減って、結果的に意図した音楽バランスになったんですね。
揚 「That's」CD-Rのラインナップの頂点にマスターメディア用としてラインナップしていたのが「CD-R for master」というモデルです。数多くの業務用市場でご採用いただき、競合商品は市場にありませんでした。覚えていらっしゃる方もいるかと思いますが、2014年にディーアンドエーミュージック社が企画・製作した、奥田民生のライブツアーでの「お持ち帰りCD」にも採用していただきました。圧倒的な信頼を市場から得ていた商品のひとつで、Ritek社にもぜひ挑戦してほしいハイレベルの商品です。
白川 That's「CD-R for master」は、製造工程そのものは他の業務用モデルと変わらないのですが、その中から、色素の塗り方、成型の仕方などの良かったものを抜き出していたはずです。いい状態になれば、情報量も落ちて来ない。すなわち高域も上がってくる傾向が出てきます。That'sでも市販品では高域が落ちていました。「Ritek Pro“CG”」も今後、成型や塗布の精度が上がってくれば、高域ももう少し改善される余地があると思います。材料の選び方などもかかわってきますが、もっと全体がフラットになってくるはずです。高域もスパッと落ちてしまっているのではなく、(製造方法により)落ち方の程度はさまざまです。音源によっても、また印象が変わります。That'sはそのバランスが絶妙でした。
空気感のようなものをもっと出したい、フラットにしたい。これはとても重要ですが、完璧にフラットにすることは技術的にはかなり難しい。デコボコ感をどの程度フラットにもっていけるかは、製造のバラつきの制御を含め、メーカーがどこまで意識して取り組めるかにかかっています。
しかし、これは説明してもなかなかわかりにくいことで、Ritekの優秀な技術者でも、そこまでは聴き分けられないでしょう。成型にしても塗布にしても、測定レベルでは厳しくチェックしているはずですが、そうした数字には表れないところを追い込まないとできない次元なのです。That'sの福島工場でも、成型機の音やディスクの光の反射の加減から微妙な良し悪しを判断することができた職人がいたはずです。
揚 おっしゃる通りです。製造過程において、どこのメーカーでも出来上がりの良い部分とそうでない部分が出てしまいます。いかに“トロ”の部分の比率を上げていくかがひとつの課題でした。生産量が上がれば、自ずと成型精度は高まり、トロの部分も増えていきます。その意味からも、会話を重ね、改善を重ねていくことが重要になると認識しています。
白川 台湾のRitekの技術者が、直接現場を見て、より多くのユーザーに接し、声を聞くこと、現場を知ることですね。
温井 もうひとつ、改善要望を挙げるとすれば、若干ですが解像度が落ちる点についてです。高域が減る件と合わせると、音像がちょっとだけ小さくなり、奥行きが狭くなる感じがあります。特に、クラシックなどホールでハイビット・ハイサンプリング録音しているものでは顕著に感じます。製造工程をマニュアル化し、コストまで考慮して商品として成立させることを考えると、かなりハードルが高いかもしれません。しかし、現在もやられているようなひとつひとつの改善の積み重ねの先に、その答えも出てくるかもしれないですね。
■若い世代へCD-Rの楽しみを伝えることが大事
―― クラウド全盛の時代に、ディスクそのものが“オワコン”との見方をする方もいらっしゃいます。そのような中でどのようにCD-Rの存在意義を示すのか。音楽用以外でのBtoB市場の開拓はもちろん、BtoC市場においても、音楽、オーディオの楽しみとしてのCD-Rを今一度、訴えていくことが必要となります。
白川 恐らく「CD-Rを使ってみて」と薦められても、自ら購入して使ってみようと思う人は少ないのではないでしょうか。例えば、「オーディオアクセサリー」など専門誌の付録に、音源を入れた「Ritek Pro“CG”」をつけていただき、多くのオーディオファンの手の届くところで、音の良さを実感していただくことが大切です。
温井 オーディオファンにはどちらかというと年配の方が多く、“もの”としての魅力を感じてレコードやカセットテープ、CDをお持ちの方は珍しくありません。しかし、それを若い人にも広げていかなければいけない。職業柄、若いミュージシャンや一般のヘビーリスナーと話をする機会も多いのですが、「Spotify」や「Apple Music」をサブスクで楽しむ一方で、CDやレコード、カセットテープも購入している人が実は少なくありません。
なんで買うのかを聞いてみると、「データだと失くしてしまう心配があるから」と言うんです。パソコンに保存してあった大事な音楽コンテンツが消えてしまった、そんな経験をしている若い人も少なくないのではないでしょうか。CD-Rなら自分で集めたお気に入りの曲を好きなように順番に並べてアーカイブすることもできます。そうしたCD-Rの利点を、もっと若い世代に知ってもらいたいですね。
揚 「Ritek Pro“CG”」は、記録膜をはじめとする各層が、記録性能や耐久性に優れ、また、劣化しにくい構造になっています。さらに、それらを十分に活かせる生産管理も徹底しており、長期間にわたり劣化なく使用できる点においても、他より優れた能力が実証されています。
―― BtoBのチャネル拡大についてはいかがでしょう。
温井 Ritek Pro“CG”は、そういった安定した性能を持っていますので、新しく立ち上げた小規模レーベル「Swing-By Records」で販売するCDにも、実際にはCD-Rですが、通常の使用ではほぼ遜色が無いということで使わせていただいています。これは実験的に、あえてプレスを利用せずに、制作枚数を限定して、ジャケットにはプロイラストレーターが注文時のユーザーの希望に応じて一枚一枚手書きで描き込むというこだわりを一貫しています。この使用法においては、書き込みエラーが無いなどハンドリング上のことを含め、音の安定性と印刷の綺麗さが大きな意味を持ってきます。作り手が直にエンドユーザーへ届けられるコミケなど即売会の文化も隆盛で、そうした方向も販路拡大のひとつの突破口になるかもしれませんね。
また、使用数は減ってきていますが、やはり見逃せないのはスタジオです。いろいろな場面で“モノ”が使われなくなり、データとネットでのやりとりで完結してしまう流れの中で、スタジオではまだまだ高品質なCD-Rが求められています。
白川 当社で昔、花王のDATのプロモーションを請け負った際、ネームバリューのある大手のスタジオに採用してもらい、それを記事化することで大変大きな効果がありました。“音にうるさい人が使っているなら間違いない”との印象を明確に伝えることです。
温井 DATはよかったですよね。発売する音源のマスターとしても使用していました。では何がよかったのか。その“何か”のようなものを、一般の方にわかりやすく伝えることが大事です。「Ritek Pro“CG”」の場合には、色づけがなく音が記録されるということ。オーディオファンの間にも最近、そうした志向が見受けられ、モニタースピーカーを使う方が増えてきています。モニタースピーカーはまさに、色付けのない音を聴くためのスピーカーですから。
―― それでは最後に、聴き洩らしているようなこと、言い足りないようなところがあればお願いします。
温井 「Ritek Pro“CG”」の音質についていろいろ述べさせていただきましたが、それ以外に感心したポイントとして、レーベル印刷が大変キレイなことが挙げられます。アート系の方からも「印刷面の下地がマットでインクのノリがよく、特に淡いグラデーションがよく出る」「盤面に他の製品にあるような製品番号が刻印されていないのですっきりしている」といった意見が出ていました。先ほど申し上げたアーカイブという観点からも、今は自宅で手軽にレーベル印刷ができますから、大事に長くとっておきたくなる、また、家族や友人にプレゼントしたくなる、よりキレイなレーベル印刷をしたCD-R制作が楽しめます。
白川 コロナ禍で変化する業界や世の中の動きへ、どう対応していくかも考えないといかなければなりません。音楽の聴き方や楽しみ方、制作のやり方が変わってきます。そこで、CD-Rが過去のモノとして置き去りにならないように、有意義な用途や楽しみ方を伝えるためのアプローチの仕方、またその頻度が重要になってきます。
ステイホームの時代になり、なんでもデータでやりとりしようとする風潮が高まっていますが、同時に、ネットワークに関連した著作権の整理も今後、進んでいきます。ネットワーク上でのやりとりが容易になり、世の中もそちらへ急速にシフトしていきます。そのような中で、作り手側や楽しむ側が左右されずにアナログ回帰できるか。メディアですからすでに、CD-Rは世の中の流れからは逆行する商品です。だからこそより一層、その良さや楽しみ方への“気づき”がないと、誰も振り向いてはくれません。
揚 さらに注目を集められるよう、いきなりの王道はありませんから、地道にいい商品を継続して出し続けること、ボリュームを少しずつでも増やしていくことに尽きると思います。
(協力:Ritek)
■「Ritek Pro“CG”」をプレゼント。その高品質をご体感ください
本記事をお読みいただいた方を対象に、「Ritek Pro“CG”」(CD-R/DVD-R)のモニタープレゼントを実施します。本製品の販売を取り扱うアールアイジャパンのご提供により、「Ritek Pro“CG”」のCD-R 10枚セットを抽選で10名様、DVD-R 10枚セットを抽選で10名様、合わせて20名の方にモニタープレゼントします。ご当選いただいた方には、商品に関する簡単なモニターアンケートにご回答いただくことが条件となります。
下記、アールアイジャパンのキャンペーン申込専用メールアドレスまで、件名に「CGプレゼント希望」と明記の上、CD-RとDVD-Rとどちらを希望するか、氏名、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、本記事への感想をご記入の上、ご応募ください。
締め切りは10月12日(月)まで。当選は商品の発送をもって代えさせていただきます。ご応募くださった読者の個人情報(氏名・住所・電話番号・メールアドレス)はプレゼント当選時の連絡・発送業務に利用させていただきます。
キャンペーン申込専用メールアドレス:ri-japan@kfmu.jp
温井亮(ぬくい・りょう) Profile:録音プロデューサー。グリーンフィンレコーズ代表、トライベイス・ミュージック・スタジオを運営する。大手レコード会社勤務時代に日本レコード大賞企画賞を受賞。クラシック、民族音楽、純邦楽などアコースティック系音楽を中心に復刻盤や編集盤も合わせて数百枚の音楽CDを制作。独立後も精力的に継続し、最近はジャズ、ソウル、クラシック、テクノ、エレクトロニカなどを選曲するDJとしても幅広く活動する一方、シュトックハウゼン、ライリー、グラス、ライヒ、シェフェールらの影響を受けた電子音楽のリリースを進めている。
■「Ritek Pro“CG”」の登場に安堵
―― 温井さんのお仕事において、CD-Rに求めることはズバリ何なのでしょうか。
温井 録音プロデューサーとして、CDを制作する仕事に20年以上にわたって携わっています。録音作業の終わりに、その日の分をCD-Rに焼いてミュージシャンの方にお渡しします。帰ってCD-Rを聴かれたミュージシャンの方から、意見や指摘をフィードバックしていただくわけです。ですから、CD-Rに求められる一番大事なことは、意図してつくりあげたものがきちんと入っていること。話の土台が揺らいでしまったら、やりとりがかみ合わなくなってしまいますからね。音楽のバランスが変わらない、それが一番大事なことです。その選択基準から今、迷うことなく「Ritek Pro“CG”」を使わせていただいています。
―― かつて、プロ市場では定番と言える存在として「That's」がありました。
温井 ほぼ「That's」しか使わなかったですね。変わり得る存在はなかったですから。だから、Ritekが出るまではわざわざ“言い訳”をしていたんです。「今日の作業はこちらになります」とCD-Rを渡すときに、「焼いたときにこういうふうに音が変わっていますから」と必ず言い足すわけです。レコーダーに収まっている音とCD-Rに焼いた音は、厳密には違っていることを事前に知っておいていただかないと、ミュージシャンとの意思疎通がはかれなくなりますからね。
非圧縮のファイルにして送る手もありますが、非圧縮だとファイルサイズが大きくなり、ダウンロードするのを面倒がる人もいます。作業後にCD-Rに焼いてすぐ渡すのがベストですが、それがだめなら送るのが次善の策。特にベテランのミュージシャンからは「CDプレーヤーで聴いて確かめたい」という要望がとても多いですね。
―― 「Ritek Pro“CG”」を選ばれたポイントをもう少し詳しくお聞かせいただけますか。
温井 さきほども申し上げましたが、何よりもまず、焼く前後で音楽のバランスが変わらないこと。意図したミックスが正しく伝わるかどうか、それは周波数のバランスが問題になります。例えば、焼いた後で低音が大きくなってしまえば、ミュージシャンから「低音でかいじゃん、修正して!」となってしまいます。「Ritek Pro“CG”」なら、そうしたことが本当に起きにくい。品質も凄く安定していて、書き込み時にエラーがまったく出ないことも強調できます。
―― 「That's」亡き後、代替する力量を備えたCD-Rが見つからないため、CD-Rそのものを使うことを諦め、他の手段に鞍替えされた業者もあるようですが、温井さんはそのようなお考えはありましたか。
温井 どうすればいいんだろうと、いろいろな方法を織り交ぜながら何とかやりくりして凌いでいたのが実情です。ネットワーク環境もかなり進化しましたが、ファイルのサイズがあまりに大きい場合、なかなかダウンロードできないからと止めてしまう人もいます。そこへ、「CD-Rならこれだ!」というものがようやく現れました。音楽バランスが変わらないので、共通の土台で話ができるようになり、本当に楽になりました。事前に“言い訳”をしないで済みますから(笑)。「Ritek Pro“CG”」が出てきてくれて本当にありがたかったです。
―― 「Ritek」というブランドに対する印象は変わられましたか。
温井 実は、Ritekはまったく知りませんでした。でも、われわれは良い製品なら使うだけですから。本当にいまは、信頼して使用できるCD-Rが「Ritek Pro“CG”」をおいて他にない状況ですから、ぜひ、「CD-Rと言えばRitekだよね」と皆に言われるくらい、CD-Rの代名詞となるような存在になってもらえたらと思っています。
―― 日本市場での認知をあげるチャンスというわけですね。
白川 「Ritek Pro“CG”」の登場により、Ritekに対する認識が良い方向に覆されました。日本国内、特に一般コンシューマーにはほとんど浸透していないブランドですから、これを機に、Ritekというブランドをどう浸透させ、イメージをつくりあげていくか。ここ一番の勝負所になるのではないでしょうか。
■肌感覚で掴むさらなる伸びしろ
―― まだ、登場したばかりですが、敢えて改善点を挙げるとすると、どのような点になりますか。
温井 音楽として聴く場合に必要な部分はあらかた出ています。厳しい意見としてさらに言わせていただくと、高域の安定感をもっと充実させてほしい。印象として8-10kHzくらいまではよいのですが、12kHz辺りから上の情報量がやや不足しているように感じます。高域の情報量は音楽の持つ空気感を再現するのに重要な要素です。That's「CD-R for master」は、焼くと高域と低域がほんの少し増えた印象があります。プレスすると高域と低域がほんの少し減って、結果的に意図した音楽バランスになったんですね。
揚 「That's」CD-Rのラインナップの頂点にマスターメディア用としてラインナップしていたのが「CD-R for master」というモデルです。数多くの業務用市場でご採用いただき、競合商品は市場にありませんでした。覚えていらっしゃる方もいるかと思いますが、2014年にディーアンドエーミュージック社が企画・製作した、奥田民生のライブツアーでの「お持ち帰りCD」にも採用していただきました。圧倒的な信頼を市場から得ていた商品のひとつで、Ritek社にもぜひ挑戦してほしいハイレベルの商品です。
白川 That's「CD-R for master」は、製造工程そのものは他の業務用モデルと変わらないのですが、その中から、色素の塗り方、成型の仕方などの良かったものを抜き出していたはずです。いい状態になれば、情報量も落ちて来ない。すなわち高域も上がってくる傾向が出てきます。That'sでも市販品では高域が落ちていました。「Ritek Pro“CG”」も今後、成型や塗布の精度が上がってくれば、高域ももう少し改善される余地があると思います。材料の選び方などもかかわってきますが、もっと全体がフラットになってくるはずです。高域もスパッと落ちてしまっているのではなく、(製造方法により)落ち方の程度はさまざまです。音源によっても、また印象が変わります。That'sはそのバランスが絶妙でした。
空気感のようなものをもっと出したい、フラットにしたい。これはとても重要ですが、完璧にフラットにすることは技術的にはかなり難しい。デコボコ感をどの程度フラットにもっていけるかは、製造のバラつきの制御を含め、メーカーがどこまで意識して取り組めるかにかかっています。
しかし、これは説明してもなかなかわかりにくいことで、Ritekの優秀な技術者でも、そこまでは聴き分けられないでしょう。成型にしても塗布にしても、測定レベルでは厳しくチェックしているはずですが、そうした数字には表れないところを追い込まないとできない次元なのです。That'sの福島工場でも、成型機の音やディスクの光の反射の加減から微妙な良し悪しを判断することができた職人がいたはずです。
揚 おっしゃる通りです。製造過程において、どこのメーカーでも出来上がりの良い部分とそうでない部分が出てしまいます。いかに“トロ”の部分の比率を上げていくかがひとつの課題でした。生産量が上がれば、自ずと成型精度は高まり、トロの部分も増えていきます。その意味からも、会話を重ね、改善を重ねていくことが重要になると認識しています。
白川 台湾のRitekの技術者が、直接現場を見て、より多くのユーザーに接し、声を聞くこと、現場を知ることですね。
温井 もうひとつ、改善要望を挙げるとすれば、若干ですが解像度が落ちる点についてです。高域が減る件と合わせると、音像がちょっとだけ小さくなり、奥行きが狭くなる感じがあります。特に、クラシックなどホールでハイビット・ハイサンプリング録音しているものでは顕著に感じます。製造工程をマニュアル化し、コストまで考慮して商品として成立させることを考えると、かなりハードルが高いかもしれません。しかし、現在もやられているようなひとつひとつの改善の積み重ねの先に、その答えも出てくるかもしれないですね。
■若い世代へCD-Rの楽しみを伝えることが大事
―― クラウド全盛の時代に、ディスクそのものが“オワコン”との見方をする方もいらっしゃいます。そのような中でどのようにCD-Rの存在意義を示すのか。音楽用以外でのBtoB市場の開拓はもちろん、BtoC市場においても、音楽、オーディオの楽しみとしてのCD-Rを今一度、訴えていくことが必要となります。
白川 恐らく「CD-Rを使ってみて」と薦められても、自ら購入して使ってみようと思う人は少ないのではないでしょうか。例えば、「オーディオアクセサリー」など専門誌の付録に、音源を入れた「Ritek Pro“CG”」をつけていただき、多くのオーディオファンの手の届くところで、音の良さを実感していただくことが大切です。
温井 オーディオファンにはどちらかというと年配の方が多く、“もの”としての魅力を感じてレコードやカセットテープ、CDをお持ちの方は珍しくありません。しかし、それを若い人にも広げていかなければいけない。職業柄、若いミュージシャンや一般のヘビーリスナーと話をする機会も多いのですが、「Spotify」や「Apple Music」をサブスクで楽しむ一方で、CDやレコード、カセットテープも購入している人が実は少なくありません。
なんで買うのかを聞いてみると、「データだと失くしてしまう心配があるから」と言うんです。パソコンに保存してあった大事な音楽コンテンツが消えてしまった、そんな経験をしている若い人も少なくないのではないでしょうか。CD-Rなら自分で集めたお気に入りの曲を好きなように順番に並べてアーカイブすることもできます。そうしたCD-Rの利点を、もっと若い世代に知ってもらいたいですね。
揚 「Ritek Pro“CG”」は、記録膜をはじめとする各層が、記録性能や耐久性に優れ、また、劣化しにくい構造になっています。さらに、それらを十分に活かせる生産管理も徹底しており、長期間にわたり劣化なく使用できる点においても、他より優れた能力が実証されています。
―― BtoBのチャネル拡大についてはいかがでしょう。
温井 Ritek Pro“CG”は、そういった安定した性能を持っていますので、新しく立ち上げた小規模レーベル「Swing-By Records」で販売するCDにも、実際にはCD-Rですが、通常の使用ではほぼ遜色が無いということで使わせていただいています。これは実験的に、あえてプレスを利用せずに、制作枚数を限定して、ジャケットにはプロイラストレーターが注文時のユーザーの希望に応じて一枚一枚手書きで描き込むというこだわりを一貫しています。この使用法においては、書き込みエラーが無いなどハンドリング上のことを含め、音の安定性と印刷の綺麗さが大きな意味を持ってきます。作り手が直にエンドユーザーへ届けられるコミケなど即売会の文化も隆盛で、そうした方向も販路拡大のひとつの突破口になるかもしれませんね。
また、使用数は減ってきていますが、やはり見逃せないのはスタジオです。いろいろな場面で“モノ”が使われなくなり、データとネットでのやりとりで完結してしまう流れの中で、スタジオではまだまだ高品質なCD-Rが求められています。
白川 当社で昔、花王のDATのプロモーションを請け負った際、ネームバリューのある大手のスタジオに採用してもらい、それを記事化することで大変大きな効果がありました。“音にうるさい人が使っているなら間違いない”との印象を明確に伝えることです。
温井 DATはよかったですよね。発売する音源のマスターとしても使用していました。では何がよかったのか。その“何か”のようなものを、一般の方にわかりやすく伝えることが大事です。「Ritek Pro“CG”」の場合には、色づけがなく音が記録されるということ。オーディオファンの間にも最近、そうした志向が見受けられ、モニタースピーカーを使う方が増えてきています。モニタースピーカーはまさに、色付けのない音を聴くためのスピーカーですから。
―― それでは最後に、聴き洩らしているようなこと、言い足りないようなところがあればお願いします。
温井 「Ritek Pro“CG”」の音質についていろいろ述べさせていただきましたが、それ以外に感心したポイントとして、レーベル印刷が大変キレイなことが挙げられます。アート系の方からも「印刷面の下地がマットでインクのノリがよく、特に淡いグラデーションがよく出る」「盤面に他の製品にあるような製品番号が刻印されていないのですっきりしている」といった意見が出ていました。先ほど申し上げたアーカイブという観点からも、今は自宅で手軽にレーベル印刷ができますから、大事に長くとっておきたくなる、また、家族や友人にプレゼントしたくなる、よりキレイなレーベル印刷をしたCD-R制作が楽しめます。
白川 コロナ禍で変化する業界や世の中の動きへ、どう対応していくかも考えないといかなければなりません。音楽の聴き方や楽しみ方、制作のやり方が変わってきます。そこで、CD-Rが過去のモノとして置き去りにならないように、有意義な用途や楽しみ方を伝えるためのアプローチの仕方、またその頻度が重要になってきます。
ステイホームの時代になり、なんでもデータでやりとりしようとする風潮が高まっていますが、同時に、ネットワークに関連した著作権の整理も今後、進んでいきます。ネットワーク上でのやりとりが容易になり、世の中もそちらへ急速にシフトしていきます。そのような中で、作り手側や楽しむ側が左右されずにアナログ回帰できるか。メディアですからすでに、CD-Rは世の中の流れからは逆行する商品です。だからこそより一層、その良さや楽しみ方への“気づき”がないと、誰も振り向いてはくれません。
揚 さらに注目を集められるよう、いきなりの王道はありませんから、地道にいい商品を継続して出し続けること、ボリュームを少しずつでも増やしていくことに尽きると思います。
(協力:Ritek)
■「Ritek Pro“CG”」をプレゼント。その高品質をご体感ください
本記事をお読みいただいた方を対象に、「Ritek Pro“CG”」(CD-R/DVD-R)のモニタープレゼントを実施します。本製品の販売を取り扱うアールアイジャパンのご提供により、「Ritek Pro“CG”」のCD-R 10枚セットを抽選で10名様、DVD-R 10枚セットを抽選で10名様、合わせて20名の方にモニタープレゼントします。ご当選いただいた方には、商品に関する簡単なモニターアンケートにご回答いただくことが条件となります。
下記、アールアイジャパンのキャンペーン申込専用メールアドレスまで、件名に「CGプレゼント希望」と明記の上、CD-RとDVD-Rとどちらを希望するか、氏名、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、本記事への感想をご記入の上、ご応募ください。
締め切りは10月12日(月)まで。当選は商品の発送をもって代えさせていただきます。ご応募くださった読者の個人情報(氏名・住所・電話番号・メールアドレス)はプレゼント当選時の連絡・発送業務に利用させていただきます。
キャンペーン申込専用メールアドレス:ri-japan@kfmu.jp
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- アールアイジャパン株式会社(Ri-JAPAN)
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