公開日 2023/06/08 06:30
無料“だからこそ”やる!BS12が送るまさかの番組編成、中の人に話を聞いてみた
最近の悩みは「サメ映画枯渇問題」
ファイルウェブでは日々、オーディオ&ビジュアルを軸とした様々な情報をお伝えしている。例えばテレビ、プロジェクターのようなビジュアル製品で楽しむことが出来る映像ソフトや、番組放送情報についてもその一環として記事化している。そういったコンテンツをより良く楽しむのであれば……という切り口で、機器の紹介記事との相互補完が生まれるという関係性にある。
素晴らしいコンテンツを、より良い機器で観てほしいというミッションの下、日々そういった記事を(趣味が高じた息抜きも兼ねながら)執筆しているが、取り上げる度にSNSや、掲載先のコメント欄が異様に盛り上がるニュースがある。BS12 トゥエルビの「日曜アニメ劇場」の放送情報だ。記者も書きながら「コレ放送すんの? 無料で!?」と “まさか” のチョイスに毎度驚いている。
「日曜アニメ劇場」以外にも、ゴールデンウィークの特集放送「怪獣映画特集」や、いろいろ怒られない? と、思わず心配してしまう「シン・ゴールデンサメ劇場」といった常識に囚われない特集を行うBS局、一体どんな人たちが番組編成をしているのか……。
あまりに気になったので、取材を申し込んでみるとあっさりOKされた。取材当日、本拠地(ワールド・ハイビジョン・チャンネル株式会社)に赴いた記者を待ち構えていたのは、広報宣伝部の大野秀樹氏、樽谷明希氏、編成部 菊池洋子氏(以下敬称略)の御三方。話を聴いていくと「この人たちだったら、このラインナップ組むよ!」と納得するほかない “濃い話” が終始繰り広げられたので、その一部始終をお届けしたい。
───本日はよろしくお願いします。まずは簡単に、BS12 トゥエルビの放送局としての成り立ち、沿革をお聞かせ下さい。
樽谷 BS12 トゥエルビ(以下、BS12)は、三井物産の子会社である弊社、ワールド・ハイビジョン・チャンネルが運営するBS放送局になります。2007年の12月1日に開局しまして、昨年の12月1日に15周年を迎えました。
当初は、QVCや、MTV、ディズニーチャンネル、キッズステーションといった外部チャンネルに番組を提供してもらい放送枠を埋めていたのですが、徐々に自社制作番組や、こちらが放送したいコンテンツを調達するといった事例が増えてきました。今では、メインコンテンツとしてプロ野球中継、アジアドラマを展開しつつ、邦画、洋画、アニメ、旅番組など、バラエティ豊かなラインナップを編成するようになりました。
最近では放送事業を展開しつつ、eスポーツ事業にも注力しておりまして、「原宿 STREET GAMERS」というプロeスポーツチームを結成して『PUBG MOBILE』の国内リーグに出場するほか、部門ごとにeスポーツ大会に参戦しています。
また番組編成というところでは、「BS12らしさ」というのを重視しています。後ほど詳しい説明が入るとは思いますが、近々ではゴールデンウィークに「サメ映画」「怪獣映画」を1週間放送したりですとか、年末年始には高倉健さんの映画など、他局ではやらないような物を編成してコアなファンの方に届けられるようにしています。
実際に「こういうのやっちゃうのBS12? ……粋だなあ」みたいな嬉しいお声もいただいておりまして、そういった「らしさ」を追求した番組編成を行っています。
───BS12の番組編成を記事に取り上げる度、読者の方からのポジティブな反応をいただいております。先程仰っていたコンテンツを選定する上で「らしさ」の基準などがあれば教えてください。
菊池 基準を設けていないという訳では無いのですが、明確に「これ」というのは決めていません。BSをよく見ていただいている方のニーズを大切にしつつ、実際に作品を見た上でちゃんと面白いと思った物を選ぶようにしています。
また「このタイミングで放送したら楽しんでもらえそう」とか、「単発で放送してもあまり目立たないけど、シリーズや束でやったら面白そう」というアイデアが浮かんだら、周りと相談しながら編成を練っていく形を取っています。
BS12はチャンネルの並び順とか、知名度的なハンデはまだまだあると思います。いわゆる名作とか傑作をそのまま編成してもなかなか気付いてもらえません。そこで特集を組んだり、まだ皆様に届けられていないコンテンツを発掘してBS12ならではの編成を作り上げるように試行錯誤を繰り返しています。
企画の進め方も決まった流れがあるという訳では無く、普段の雑談から面白いなあと思うことがあれば、「どうやったら企画にできるかな」と考え、周りの意見を聞いて反応が悪くなければ実現させる方向でプランニングしたりしていますね。
これまでの実績や視聴者の傾向を踏まえた上ではありますが、編成するに当たっては「これ絶対ウケる」という確証までは無くとも、最終的には自分が面白いと思った感覚を信じることが大事だと思っています。各担当と試行錯誤しながら施策などを実行していくのですが、編成だけで無く、広報宣伝を巻き込み全体で盛り上げていくという流れが出来ているので、視聴者からポジティブな反応をいただけるような編成が出来ているのかな、と思っています。
───「日曜アニメ劇場」の枠では『装甲騎兵ボトムズ』の長編OVAや、『戦闘メカ ザブングル』の総集編映画(『ザブングルグラフィティ』)などを放送されています。サンライズのロボットアニメという知名度だけでも十分視聴者の興味を惹けると思いますが、放送するにあたって一つ一つ実際に視聴されているのでしょうか?
菊池 全部観ます! 特にアニメ作品は、放送的な側面も含めてしっかり観るようにしています。
大野 アニメ作品を編成する上で特に過去の作品だと、セリフや描写一つとっても現代の放送基準に対する表現上の問題から、テレビで流すのが難しいところもやっぱりあったりします。では、放送表現上芳しく無い部分をカットすればOKという訳でも無く、放送用の編集を加えることで、話の流れが飛んだり、作品の主題が削がれてしまうのでは? というところもあるので「流したいけど、どうにもならないタイトル」は、惜しいですがありますね。
菊池 大野の言う通り、アニメは1シーンをカットしてしまうとストーリーの意味合いや演出が変わってくることもあり、作品をしっかりお届けするのが難しいと思っています。BS12を観てくださるアニメファンであれば、カット編集にすぐ気付かれると思うので、期待を裏切ってしまうことになるのかと。
なので、放送したいタイトルがあればまずは通しで観て、表現上の問題のクリアを前提に「面白い」と思えば次のステップに進めますし、少しでも「難しいな」と思ったら取りやめます。逆に誰もが知る名作でも、観て感じた「面白さ」が、今の時代にあわないと思うところがあれば、惜しいですが選定から外すということもあります。
───シーンのカットについてお話が出たところで、放送尺にあわせての編集などもされているとは思いますが、その当たりのお話を伺えますでしょうか?
菊池 なるべくカットを入れないようにしているのですが、尺がどうしても合わない作品に関しては関係各所の確認を頂いた上でカットする場合はあります。エンドロールや表現上の問題でカットすることもあります。あとは、なくてもストーリーの主題が成立するという部分も作品の尺によってはカットしています。こういうこともあるので、放送作品の事前チェックはやはり欠かせません。
大野 「日曜アニメ劇場」の枠だと、本編はほぼほぼカットせずに放送しています。放送尺に合わせた編集は洋画が多い傾向にありますね。
素晴らしいコンテンツを、より良い機器で観てほしいというミッションの下、日々そういった記事を(
「日曜アニメ劇場」以外にも、ゴールデンウィークの特集放送「怪獣映画特集」や、いろいろ怒られない? と、思わず心配してしまう「シン・ゴールデンサメ劇場」といった常識に囚われない特集を行うBS局、一体どんな人たちが番組編成をしているのか……。
あまりに気になったので、取材を申し込んでみるとあっさりOKされた。取材当日、本拠地(ワールド・ハイビジョン・チャンネル株式会社)に赴いた記者を待ち構えていたのは、広報宣伝部の大野秀樹氏、樽谷明希氏、編成部 菊池洋子氏(以下敬称略)の御三方。話を聴いていくと「この人たちだったら、このラインナップ組むよ!」と納得するほかない “濃い話” が終始繰り広げられたので、その一部始終をお届けしたい。
■らしさを追求した番組編成。その基準は「特になし」!?
───本日はよろしくお願いします。まずは簡単に、BS12 トゥエルビの放送局としての成り立ち、沿革をお聞かせ下さい。
樽谷 BS12 トゥエルビ(以下、BS12)は、三井物産の子会社である弊社、ワールド・ハイビジョン・チャンネルが運営するBS放送局になります。2007年の12月1日に開局しまして、昨年の12月1日に15周年を迎えました。
当初は、QVCや、MTV、ディズニーチャンネル、キッズステーションといった外部チャンネルに番組を提供してもらい放送枠を埋めていたのですが、徐々に自社制作番組や、こちらが放送したいコンテンツを調達するといった事例が増えてきました。今では、メインコンテンツとしてプロ野球中継、アジアドラマを展開しつつ、邦画、洋画、アニメ、旅番組など、バラエティ豊かなラインナップを編成するようになりました。
最近では放送事業を展開しつつ、eスポーツ事業にも注力しておりまして、「原宿 STREET GAMERS」というプロeスポーツチームを結成して『PUBG MOBILE』の国内リーグに出場するほか、部門ごとにeスポーツ大会に参戦しています。
また番組編成というところでは、「BS12らしさ」というのを重視しています。後ほど詳しい説明が入るとは思いますが、近々ではゴールデンウィークに「サメ映画」「怪獣映画」を1週間放送したりですとか、年末年始には高倉健さんの映画など、他局ではやらないような物を編成してコアなファンの方に届けられるようにしています。
実際に「こういうのやっちゃうのBS12? ……粋だなあ」みたいな嬉しいお声もいただいておりまして、そういった「らしさ」を追求した番組編成を行っています。
───BS12の番組編成を記事に取り上げる度、読者の方からのポジティブな反応をいただいております。先程仰っていたコンテンツを選定する上で「らしさ」の基準などがあれば教えてください。
菊池 基準を設けていないという訳では無いのですが、明確に「これ」というのは決めていません。BSをよく見ていただいている方のニーズを大切にしつつ、実際に作品を見た上でちゃんと面白いと思った物を選ぶようにしています。
また「このタイミングで放送したら楽しんでもらえそう」とか、「単発で放送してもあまり目立たないけど、シリーズや束でやったら面白そう」というアイデアが浮かんだら、周りと相談しながら編成を練っていく形を取っています。
BS12はチャンネルの並び順とか、知名度的なハンデはまだまだあると思います。いわゆる名作とか傑作をそのまま編成してもなかなか気付いてもらえません。そこで特集を組んだり、まだ皆様に届けられていないコンテンツを発掘してBS12ならではの編成を作り上げるように試行錯誤を繰り返しています。
企画の進め方も決まった流れがあるという訳では無く、普段の雑談から面白いなあと思うことがあれば、「どうやったら企画にできるかな」と考え、周りの意見を聞いて反応が悪くなければ実現させる方向でプランニングしたりしていますね。
これまでの実績や視聴者の傾向を踏まえた上ではありますが、編成するに当たっては「これ絶対ウケる」という確証までは無くとも、最終的には自分が面白いと思った感覚を信じることが大事だと思っています。各担当と試行錯誤しながら施策などを実行していくのですが、編成だけで無く、広報宣伝を巻き込み全体で盛り上げていくという流れが出来ているので、視聴者からポジティブな反応をいただけるような編成が出来ているのかな、と思っています。
■検討中から全部観る! なるべくカットをしないファンへの寄り添い
───「日曜アニメ劇場」の枠では『装甲騎兵ボトムズ』の長編OVAや、『戦闘メカ ザブングル』の総集編映画(『ザブングルグラフィティ』)などを放送されています。サンライズのロボットアニメという知名度だけでも十分視聴者の興味を惹けると思いますが、放送するにあたって一つ一つ実際に視聴されているのでしょうか?
菊池 全部観ます! 特にアニメ作品は、放送的な側面も含めてしっかり観るようにしています。
大野 アニメ作品を編成する上で特に過去の作品だと、セリフや描写一つとっても現代の放送基準に対する表現上の問題から、テレビで流すのが難しいところもやっぱりあったりします。では、放送表現上芳しく無い部分をカットすればOKという訳でも無く、放送用の編集を加えることで、話の流れが飛んだり、作品の主題が削がれてしまうのでは? というところもあるので「流したいけど、どうにもならないタイトル」は、惜しいですがありますね。
菊池 大野の言う通り、アニメは1シーンをカットしてしまうとストーリーの意味合いや演出が変わってくることもあり、作品をしっかりお届けするのが難しいと思っています。BS12を観てくださるアニメファンであれば、カット編集にすぐ気付かれると思うので、期待を裏切ってしまうことになるのかと。
なので、放送したいタイトルがあればまずは通しで観て、表現上の問題のクリアを前提に「面白い」と思えば次のステップに進めますし、少しでも「難しいな」と思ったら取りやめます。逆に誰もが知る名作でも、観て感じた「面白さ」が、今の時代にあわないと思うところがあれば、惜しいですが選定から外すということもあります。
───シーンのカットについてお話が出たところで、放送尺にあわせての編集などもされているとは思いますが、その当たりのお話を伺えますでしょうか?
菊池 なるべくカットを入れないようにしているのですが、尺がどうしても合わない作品に関しては関係各所の確認を頂いた上でカットする場合はあります。エンドロールや表現上の問題でカットすることもあります。あとは、なくてもストーリーの主題が成立するという部分も作品の尺によってはカットしています。こういうこともあるので、放送作品の事前チェックはやはり欠かせません。
大野 「日曜アニメ劇場」の枠だと、本編はほぼほぼカットせずに放送しています。放送尺に合わせた編集は洋画が多い傾向にありますね。
次ページ「ネットの反応も全部見る」BS局ならでは(?)の反応調査とは
関連リンク
クローズアップCLOSEUP
-
大人気のJBL最新TWS「LIVE BUDS 3」が30%オフ!楽天ブラックフライデーで安すぎる注目機
-
高音質と機能性を両立する新たなスタンダード機!AVIOT完全ワイヤレス「TE-V1R」レビュー
-
初めてのスクリーンなら シアターハウス「WCBシリーズ」が推し!高コスパで“王道シアター”
-
ファッション性と機能性のバランスが抜群なヘッドホンAVIOT「WA-Q1」レビュー
-
【読者限定割引クーポンあり】多彩なコーデックと強力なANCで快適リスニング!「EarFun Air Pro 4」レビュー
-
ソニーの新ながら聴きイヤホン「LinkBuds Fit」徹底レビュー!スピーカーとも連携
-
ソニー「BRAVIA Theatre Quad」“本格”シアターを“手軽に”実現
-
ソニー「BRAVIA Theatre Bar 9/Bar 8」は「リビングシアターの理想形」
アクセスランキング
RANKING
11/22 10:41 更新