公開日 2007/08/22 19:28
マランツ、プレミアムシリーズに「SA-11S2」「SC-11S1」「SM-11S1」3機種を投入
株)マランツ コンシューマーマーケティングは、同社プレミアムシリーズの新モデルとして、SACD/CDプレーヤー「SA-11S2」、プリアンプ「SC-11S1」、パワーアンプ「SM-11S1」の3機種を発売する。
ミドルクラスモデルでセパレートアンプを投入するのは25年ぶりとのこと。昨年発売したフラグシップモデル「SC-7S2」「MA-9S2」の技術がふんだんに盛り込まれている。
■SACD/CDプレーヤー「SA-11S2」¥472,500(税込) 9月発売
SA-11S1の後継機種。同社商品企画部の澤田龍一氏は、「型番だけを見ると、SA-11S1のマイナーチェンジと思えるかもしれないが、まったく中身が異なる。むしろSA-7S1と中がほとんど同じで、違うところを探す方が難しいくらい」と説明する。SA-7S1との具体的な違いは、デジタルアイソレーターを省略したことと、電源トランスが一回り小さくなったこと。それ以外は全くと言っていいほど同じだという。
メカモジュールには、SA-7S1に搭載した同社オリジナルの「SACDM-1」を採用。最大10mmの肉厚アルミ押し出し材を使用したベースブロック、サイド、トップ部が一体化したケースでメカニズムを強固にシャーシにマウントする構造はSA-7S1と同じ。ただし、シャーシに合わせて一部サイズ変更を行っている。ディスクの読み取りを制御するサーボや読み取った信号をデコードする基板部も、SA-7S1と同じものという。
DACには、SEIKO NPC社の「SM5866AS」を左右独立搭載。SA-11S1から使われているものだが、「扱いが難しいDACで、これまで蓄積したノウハウを盛り込み、より性能を引き出している」(澤田氏)。DSPを使用したデジタルフィルターなども、SA-7S1と同様となっている。
SACD再生時には、DAC内蔵のDSDフィルターを組み替えることで、3つのフィルターモードを選択可能。CD再生時にはマランツ独自のDSP「PEC777f2」が動作し、ダイレクト8倍オーバーサンプリングや、内蔵デジタルフィルターによる帯域外ノイズの除去、群遅延のないフラットな周波数特性などを実現している。フィルターは特性が異なる3つが選択可能。ノイズシェーパー機能やDCフィルターのオン/オフも同様に継承されている。
DAC以降のアナログ段は、フルバランス・ダブルディファレンシャル構成で、これもSA-7S1と同様。同社独自のHDAM-SA2やHDAMを多数用いているほか、すべてディスクリート回路で構成されている。
トランスは新開発の大容量トロイダルトランス。オーディオ回路用の捲き線には、プラスマイナスが独立したバイファイラ捲きを採用している。容量は80VAで、SA-7S1の120VAよりは少ないが、前モデルのSA-11S1の60VAよりは大幅に高めている。
クロックの精度にも配慮。内蔵するマスタークロックはCD/SACDそれぞれ専用のものを搭載したほか、レギュレーターもそれぞれに用意。再生するディスクに合わせて専用回路のみ動作する仕様とした。さらに、外部クロック入力端子も備え、44.1/88.2/176.4kHzのクロックが入力できる。
さらに、フロントパネルでアナログ音声の位相反転機能を搭載。反転処理はデジタル信号の段階で行うため、音質劣化は生じないという。バランス入力のホット/コールドがヨーロッパ方式アンプとも、通常のストレート接続のバランスケーブルで接続できる。また、リモコンのDISPLAYボタンにより、ディスプレイの表示を消すこともできる。
シャーシは黒鋼板と銅メッキ鋼板のダブルレイヤードシャーシ。リアパネルには銅メッキ鋼板を採用している。
■プリアンプ「SC-11S1」¥472,500(税込)10月発売
本機も、フラグシップ機「SC-7S2」の開発コンセプトを継承し、完全新開発したモデル。同社オリジナルの高速電流アンプモジュール「HDAM」は、新たに開発した「HDAM SA3」を、各所に34個も搭載している。電圧ゲインがゼロのコンプリメンタリーカスコード・プッシュプル型回路のアンプモジュールで、ハイスピード化も実現。スルーレートは200V/μsec以上となっているが、これはこれ以上の測定が行えないための表記で、様々なテストから、「これまでの2〜3倍程度は早いのではないか」(澤田氏)という。
フォノイコライザーは新開発。MC/MM対応で、オープンループでの周波数特性をRIAAカーブとし、RIAAネットワークを介してフィードバックをかけることで、低域から高域までのNFB量を一定に保つことができたという。
ボリューム回路はおなじみの、英Wolfson社のIC「WM8816」を採用。チャンネルあたり3個、計6個のHDAM SA3と組み合わせることで、バランス出力型の高性能ボリュームアンプを実現している。連動誤差はほとんどなく、0dB〜100dBの全レベルに渡って0.5dB以下という精度を誇る。
ヘッドホンアンプはボリュームに対応し、バランス入力型のものを新開発。高音質オペアンプとディスクリート回路による電流帰還型のアンプを組み合わせたヘッドホン専用のパワーアンプとなっている。
また、反ったアナログレコードや、ライブでの空調の唸りなど、超低域をカットしてウーファーの異常振幅を抑える機能「サブソニックフィルター」も搭載。HDAM SA3を使用したアクティブフィルタータイプで、15Hz以下の低域信号を12dB/oct.の特性で遮断する。音質的な変化はほとんどないという。
電源回路には、SC-7S2と同様のチョークインプット式の回路を採用。コンデンサーインプット方式に比べ高周波ノイズが提言できる。電源トランスはトロイダル型で、SC-7S2と同様の2重シールド構造とし、コアリングとともにアルミケースに充填。シャーシへの固定方法もSC-7S2と同様。
そのほか、同社独自の「F.C.B.S.」機能も継承。SC-11S1を最大4台まで接続することができ、音量や入力切り替えなどを連動操作できる。2台のSC-11S1を組み合わせて、それぞれをモノラルプリアンプとして使用するバイアンプモードも利用できる。また、プリ/パワーを2台ずつ使用したコンプリートバイアンプシステムや、5.1ch/7.1chシステムなどを組むことも可能。
さらに、本機の電源を、パワーアンプ「SM-11S1」と連動させられるリモート・パワーコントロール機能も備えた。2系統のトリガー出力端子を備え、SM-11S1を2台まで連動動作させることができる。
■パワーアンプ「SM-11S1」¥577,500(税込)10月発売
澤田氏が「ボリュームノブのないPM-11S1のよう」と形容する通り、外観は同社の“ニュー・プレミアム・デザイン”を継承している。大きな特徴は、L/Rのアンプブロックを筐体の左右ではなく、前後に置いたこと。スピーカーケーブルの+と−は互いに平行になっており、逆向きに同じ電流が流れることで外部ノイズの影響を受けにくくしているが、この概念をアンプのレイアウトに応用したものという。これにより電流ループ面積が最小化されるという。PM-11S1も並行配置だが、SM-11S1では、整流回路をL+/L-/R+/R-用にそれぞれ独立して搭載。ブロックコンデンサーも通常の2倍の4個とし、L/Rの平滑回路を完全独立化させている。
電流アンプモジュールには、SC-11S1と同様、HDAM SA3を計12個搭載している。
アンプは、ボルテージアンプとパワーバッファーアンプの2ステージ構成。スピーカー駆動時の逆起電力の影響を排除するためという。ボルテージアンプには電流帰還型で、入力部とインプットバッファーアンプにHDAM SA3を採用している。パワーバッファーアンプも電流帰還型で、入力部には新開発のコンプリメンタリー・カスコード・プッシュプル回路を採用。これにウィルソン型のカレントミラー回路とカスコードブートストラップ回路を組み合わせている。
電源トランスはMA-9S2と同等サイズ。重量は6.6kgと大型で、2段コア、遮音プレート、珪素鋼板コアリングなどの内部構造と、アルミ外装ケースなども踏襲している。
入力端子はバランス1系統、アンバランス1系統を装備。それぞれゲインを個別に3段階(+6dB/0dB/-6dB)で設定でき、ハイファイシステムとAVシステムでゲインを自動的に切り替えることができる。
そのほか、アンプ中央のデジタルパワーメーターにも独自技術が用いられている。電圧と電流と検出し、算出するのは一般的なデジタルパワーメーターと同様だが、本機では電流を検出する際、ホール素子を用いた磁気センサーで行うため、音質劣化が無い。また、出力値を算出する回路もDSPではなくPLDを採用し、ノイズ発生を抑制している。
【問い合わせ先】
(株)マランツ コンシューマー マーケティング
お客様相談センター
TEL/03-3719-3481
(Phile-web編集部)
ミドルクラスモデルでセパレートアンプを投入するのは25年ぶりとのこと。昨年発売したフラグシップモデル「SC-7S2」「MA-9S2」の技術がふんだんに盛り込まれている。
■SACD/CDプレーヤー「SA-11S2」¥472,500(税込) 9月発売
SA-11S1の後継機種。同社商品企画部の澤田龍一氏は、「型番だけを見ると、SA-11S1のマイナーチェンジと思えるかもしれないが、まったく中身が異なる。むしろSA-7S1と中がほとんど同じで、違うところを探す方が難しいくらい」と説明する。SA-7S1との具体的な違いは、デジタルアイソレーターを省略したことと、電源トランスが一回り小さくなったこと。それ以外は全くと言っていいほど同じだという。
メカモジュールには、SA-7S1に搭載した同社オリジナルの「SACDM-1」を採用。最大10mmの肉厚アルミ押し出し材を使用したベースブロック、サイド、トップ部が一体化したケースでメカニズムを強固にシャーシにマウントする構造はSA-7S1と同じ。ただし、シャーシに合わせて一部サイズ変更を行っている。ディスクの読み取りを制御するサーボや読み取った信号をデコードする基板部も、SA-7S1と同じものという。
DACには、SEIKO NPC社の「SM5866AS」を左右独立搭載。SA-11S1から使われているものだが、「扱いが難しいDACで、これまで蓄積したノウハウを盛り込み、より性能を引き出している」(澤田氏)。DSPを使用したデジタルフィルターなども、SA-7S1と同様となっている。
SACD再生時には、DAC内蔵のDSDフィルターを組み替えることで、3つのフィルターモードを選択可能。CD再生時にはマランツ独自のDSP「PEC777f2」が動作し、ダイレクト8倍オーバーサンプリングや、内蔵デジタルフィルターによる帯域外ノイズの除去、群遅延のないフラットな周波数特性などを実現している。フィルターは特性が異なる3つが選択可能。ノイズシェーパー機能やDCフィルターのオン/オフも同様に継承されている。
DAC以降のアナログ段は、フルバランス・ダブルディファレンシャル構成で、これもSA-7S1と同様。同社独自のHDAM-SA2やHDAMを多数用いているほか、すべてディスクリート回路で構成されている。
トランスは新開発の大容量トロイダルトランス。オーディオ回路用の捲き線には、プラスマイナスが独立したバイファイラ捲きを採用している。容量は80VAで、SA-7S1の120VAよりは少ないが、前モデルのSA-11S1の60VAよりは大幅に高めている。
クロックの精度にも配慮。内蔵するマスタークロックはCD/SACDそれぞれ専用のものを搭載したほか、レギュレーターもそれぞれに用意。再生するディスクに合わせて専用回路のみ動作する仕様とした。さらに、外部クロック入力端子も備え、44.1/88.2/176.4kHzのクロックが入力できる。
さらに、フロントパネルでアナログ音声の位相反転機能を搭載。反転処理はデジタル信号の段階で行うため、音質劣化は生じないという。バランス入力のホット/コールドがヨーロッパ方式アンプとも、通常のストレート接続のバランスケーブルで接続できる。また、リモコンのDISPLAYボタンにより、ディスプレイの表示を消すこともできる。
シャーシは黒鋼板と銅メッキ鋼板のダブルレイヤードシャーシ。リアパネルには銅メッキ鋼板を採用している。
■プリアンプ「SC-11S1」¥472,500(税込)10月発売
本機も、フラグシップ機「SC-7S2」の開発コンセプトを継承し、完全新開発したモデル。同社オリジナルの高速電流アンプモジュール「HDAM」は、新たに開発した「HDAM SA3」を、各所に34個も搭載している。電圧ゲインがゼロのコンプリメンタリーカスコード・プッシュプル型回路のアンプモジュールで、ハイスピード化も実現。スルーレートは200V/μsec以上となっているが、これはこれ以上の測定が行えないための表記で、様々なテストから、「これまでの2〜3倍程度は早いのではないか」(澤田氏)という。
フォノイコライザーは新開発。MC/MM対応で、オープンループでの周波数特性をRIAAカーブとし、RIAAネットワークを介してフィードバックをかけることで、低域から高域までのNFB量を一定に保つことができたという。
ボリューム回路はおなじみの、英Wolfson社のIC「WM8816」を採用。チャンネルあたり3個、計6個のHDAM SA3と組み合わせることで、バランス出力型の高性能ボリュームアンプを実現している。連動誤差はほとんどなく、0dB〜100dBの全レベルに渡って0.5dB以下という精度を誇る。
ヘッドホンアンプはボリュームに対応し、バランス入力型のものを新開発。高音質オペアンプとディスクリート回路による電流帰還型のアンプを組み合わせたヘッドホン専用のパワーアンプとなっている。
また、反ったアナログレコードや、ライブでの空調の唸りなど、超低域をカットしてウーファーの異常振幅を抑える機能「サブソニックフィルター」も搭載。HDAM SA3を使用したアクティブフィルタータイプで、15Hz以下の低域信号を12dB/oct.の特性で遮断する。音質的な変化はほとんどないという。
電源回路には、SC-7S2と同様のチョークインプット式の回路を採用。コンデンサーインプット方式に比べ高周波ノイズが提言できる。電源トランスはトロイダル型で、SC-7S2と同様の2重シールド構造とし、コアリングとともにアルミケースに充填。シャーシへの固定方法もSC-7S2と同様。
そのほか、同社独自の「F.C.B.S.」機能も継承。SC-11S1を最大4台まで接続することができ、音量や入力切り替えなどを連動操作できる。2台のSC-11S1を組み合わせて、それぞれをモノラルプリアンプとして使用するバイアンプモードも利用できる。また、プリ/パワーを2台ずつ使用したコンプリートバイアンプシステムや、5.1ch/7.1chシステムなどを組むことも可能。
さらに、本機の電源を、パワーアンプ「SM-11S1」と連動させられるリモート・パワーコントロール機能も備えた。2系統のトリガー出力端子を備え、SM-11S1を2台まで連動動作させることができる。
■パワーアンプ「SM-11S1」¥577,500(税込)10月発売
澤田氏が「ボリュームノブのないPM-11S1のよう」と形容する通り、外観は同社の“ニュー・プレミアム・デザイン”を継承している。大きな特徴は、L/Rのアンプブロックを筐体の左右ではなく、前後に置いたこと。スピーカーケーブルの+と−は互いに平行になっており、逆向きに同じ電流が流れることで外部ノイズの影響を受けにくくしているが、この概念をアンプのレイアウトに応用したものという。これにより電流ループ面積が最小化されるという。PM-11S1も並行配置だが、SM-11S1では、整流回路をL+/L-/R+/R-用にそれぞれ独立して搭載。ブロックコンデンサーも通常の2倍の4個とし、L/Rの平滑回路を完全独立化させている。
電流アンプモジュールには、SC-11S1と同様、HDAM SA3を計12個搭載している。
アンプは、ボルテージアンプとパワーバッファーアンプの2ステージ構成。スピーカー駆動時の逆起電力の影響を排除するためという。ボルテージアンプには電流帰還型で、入力部とインプットバッファーアンプにHDAM SA3を採用している。パワーバッファーアンプも電流帰還型で、入力部には新開発のコンプリメンタリー・カスコード・プッシュプル回路を採用。これにウィルソン型のカレントミラー回路とカスコードブートストラップ回路を組み合わせている。
電源トランスはMA-9S2と同等サイズ。重量は6.6kgと大型で、2段コア、遮音プレート、珪素鋼板コアリングなどの内部構造と、アルミ外装ケースなども踏襲している。
入力端子はバランス1系統、アンバランス1系統を装備。それぞれゲインを個別に3段階(+6dB/0dB/-6dB)で設定でき、ハイファイシステムとAVシステムでゲインを自動的に切り替えることができる。
そのほか、アンプ中央のデジタルパワーメーターにも独自技術が用いられている。電圧と電流と検出し、算出するのは一般的なデジタルパワーメーターと同様だが、本機では電流を検出する際、ホール素子を用いた磁気センサーで行うため、音質劣化が無い。また、出力値を算出する回路もDSPではなくPLDを採用し、ノイズ発生を抑制している。
【問い合わせ先】
(株)マランツ コンシューマー マーケティング
お客様相談センター
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