公開日 2018/04/17 14:14

100kHzまで対応のレコード「HD Vinyl」'19年発売へ。開発社CEOに聞くその可能性

レーザーで溝を成型
編集部:風間雄介
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
オーストリアのRebeat社は、開発中の高音質アナログレコード技術「HD Vinyl」を採用したアナログレコードが、2019年夏以降に発売されるとアナウンスした。同社CEOのGuenter Loibl氏に話を聞いた。

Rebeat CEOのGuenter Loibl氏

「HD Vinyl」は、Rebet社がもともと着想を得て、現在はJOANNEUM RESEARCHが開発を進めている技術だ。4月11日に480万ドルの資金調達に成功し、これを元手にして、2019年夏までにHD Vinyl技術を採用したスタンパー製造が可能になるという。

HD Vinylはその名の通り、これまでのアナログレコードに比べて音が良いことが第一の特徴だという。

高音質を実現するため、音源としてハイレゾオーディオファイルをインポートする。その後、オーディオファイルを3Dのトポグラフィックモデルに変換。そして3Dモデルを最適化したのち、レーザーを使ってレコードの溝を成型し、スタンパーが完成する。このスタンパーをもとに、HD Vinylのアナログレコードがプレスされるという流れだ。なお、HD Vinylのスタンパー素材にはセラミックが使われている。

ハイレゾ音声をインポートし、3Dのトポグラフィックモデルに変換する

通常のレコードではレコード針と溝の一部しか接触しないが、HD Vinylでは、針とぴったり合う溝をエッチングすることで、アングルエラーを抑えられるという。ただし溝と針をぴったり合わせるためには、当然ながらHD Vinylの溝に合う形状の針が必要となる。

溝と針の形状をぴったり合わせることでアングルエラーを排除

なおHD Vinylは、既存のアナログレコードやターンテーブルと100%の互換性を備えており、これらでも問題なく再生することができるという。

Rebeat社のLoibl CEOが紹介するHD Vinylのスペックは非常に高い。周波数特性は20Hz - 100kHz。既存レコードの20Hz - 20kHzに対し、非常に高い周波数特性を実現していると同社は説明する。

また再生時間も長く、70分の再生が可能という。これも既存のアナログレコードの50分程度に比べて長い。

さらに1つのスタンパーで作れるアナログレコードの数も多く、既存のものが2,000程度であるのに対して、HD Vinylでは10,000程度のコピーが作れるという

また既存のスタンパーはアナログレコードを作っていくごとにクオリティが下がっていくが、HD Vinylのスタンパーはクオリティが安定していることも特徴としている。これにより、生産キャパシティーの規模拡大にも対応しやすいとのこと。

既存のアナログレコード(右)とHD Vinyl(左)の違い

HD Vinylは環境にも配慮し、生産工程によって有毒性の物質を使っていないとも説明。また製造工程が既存のアナログレコードに対してシンプルであることも特徴としている。さらに前述の通りアングルエラーも無いとのこと。

またS/Nは、既存のアナログレコードが60-70dB程度であるところ、HD Vinylは80dBを実現しているとも述べている。

なおLoibl CEOはHD Vinylについて、「5年以内に、世界で80%のマーケットシェアを得られる」と予測している。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 オンキヨーの特許技術を搭載したヘッドホンアンプキットを作ってみた…ら思ったよりも高難度!でも音は最高!
2 B&W「707S3 Prestige Edition」とDALI「KUPID」がスピーカー両部門で首位堅持<ハイファイオーディオ売れ筋ランキング11月>
3 高額査定のポイントとは? 買取専門店に聞いた、オーディオ売るコツ/買うコツ
4 カーオーディオの頂点からホームへ──AV Kansai岩元秀明氏が構築した理想郷。京都・宇治に誕生したハイエンドショールーム
5 マライア・キャリーの美声を110インチのホームシアターで堪能!“クリスマスの女王”からの特別プレゼント
6 ヤマハ、オートバックスとの協業で車載スピーカーを開発中。新たな振動抑制技術も投入
7 final、音色を個人最適化できる完全ワイヤレスイヤホン「TONALITE」の一般販売スタート
8 Sonos、最上位サウンドバーやヘッドホンなどが最大20%オフの「New Year Sale」。12/27から
9 iFace、税込1980円のUSB-Cイヤホン。3.5mmプラグ仕様モデルも
10 B&W、予約制マンスリー試聴会を来年1/10より実施。第1回は「803 D4で聴くニューイヤーコンサート」
12/24 11:01 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX