公開日 2019/10/07 19:28
HD Impressionレーベル、高木里代子ソロピアノシリーズなど新作CD3枚リリース
主宰者・阿部哲也氏が語る
高音質音楽レーベルHD Impressionから、新作CD3作が発売された。
HD Impressionは、カモミールシリーズ含め、オーディオクリーン藤田恵美の音楽を長年録り続けている阿部哲也氏が主宰する音楽レーベル。2018年には藤田恵美のカモミールシリーズ5作目『camomile colors』をリリースし、同シリーズとしては初のLPも2019年5月に発売していることでも知られる。
阿部氏は日本で指折りのハイレゾサラウンド録音のノウハウも持つエンジニアでもある。この秋の新作も音にこだわったものばかり。阿部氏にその音作りについてうかがった。
この秋の新作1作は高木里代子。高木のソロピアノシリーズとしては3作目となるアルバム『Resonance』である。群馬県高崎市にあるTAGO STUDIOのピアノ「FAZIOLI」を使用してのスタジオ録音である。
阿部氏は次のように語る。
「前作2作は、小ホールでのライブ録音で、その場で聴いているかのような空間を録音することを追求してきましたが、今回の狙いは銘機FAZIOLIを、音像として形作れるかがテーマでした。グランドピアノの音域による響板と弦の振動や方向性を確認し、マイクの位置と角度を決めました。ピアノの低音域と高音域が左右に定位すること、しっかりと地に足が着いて箱が鳴ること、グランドピアノの音像を捉えること。これらはなかなか難しいのですが意識して頑張りました」
「空間表現は、ヘッドフォンをせず、スタジオの響きと弾き手が呼吸しながら演奏することを狙いました。阿部マイクと言われている、サラウンドマイクを使用し、空気感を付け加えることで、臨場感を出しました。高木里代子の繊細な音色と、ダイナミックな演奏が一体となって、グランドピアノという音像の中に、しっかりと鍵盤があり、指先が見える音源に仕上げることができたと思います」
2作目は牧山純子 京都コンポーザーズジャズオーケストラ『Luxury Red』。ヴァイオリンとジャズオーケストラというレアなコラボレーションである。
「牧山純子が京都コンポーザーズジャズオーケストラのリーダー、谷口知巳氏の誘いを受けて行っていたコラボライブがありまして、収録してみようという話になりました。ライブでは音量差が問題でありますが、レコーディングは、セパレートに録音すればバランスはとれます。ただ、歌ものではないため、大人数のビッグバンドとうまく混ざらなければ、浮いてしまいます。ヴァイオリンは大阪ではガイドとして弾いてもらい、東京に戻ってから、ホールで録音しました。響きも一緒に録音すると、臨場感はここまで表現できるのです。レアな編成でレアなサウンド、新たなジャンルとも言える作品を楽しんでいただきたいです」
3作目は、保坂修平『YAKUMO』。ジャズ、クラシックの融合した保坂のオリジナル10曲を収録した作品である。小泉八雲の精神世界へのシンパシーを表現した組曲「YAKUMO」も収録。ギターカルテットに管弦を加えたシンフォニックなサウンドであり、「和ジャズ」の新世界とも言える。
「こちらも高崎にあるタゴスタジオにてピアノ、ギター、ベース、ドラムのカルテットを録音し、弦楽器、フルート、ヴォーカルは、東神奈川にある、かなっく音楽ルームにて録音しました。メロディがフルートのものは一発録りです。ノーEQ、ノーコンプです。音色はマイクの選択とマイキングの位置、ヘッドアンプの選択で決定しました。各楽器ブースにはアンビエントマイクを立てて、臨場感も録音しています。全体的に飾り気のない音に仕上げました。このような飾り気のない音は演奏者の技量が問われますが、このバンドはそうでなければ、良さが伝わらないのです。少し過剰気味なことをすると、演奏者の意図が消えてしまいます。これがジャズということでしょう。飾り気がないことで中身が問われます。そんな時代になってきているからこそ、このアルバムは、じっくりと聴き込んでいただきたいですね」
音楽を理解するところを第一とし、その音楽の本質を捉えた作品群。詳細はHD ImpressionのHPより確認できる。
HD Impressionは、カモミールシリーズ含め、オーディオクリーン藤田恵美の音楽を長年録り続けている阿部哲也氏が主宰する音楽レーベル。2018年には藤田恵美のカモミールシリーズ5作目『camomile colors』をリリースし、同シリーズとしては初のLPも2019年5月に発売していることでも知られる。
阿部氏は日本で指折りのハイレゾサラウンド録音のノウハウも持つエンジニアでもある。この秋の新作も音にこだわったものばかり。阿部氏にその音作りについてうかがった。
この秋の新作1作は高木里代子。高木のソロピアノシリーズとしては3作目となるアルバム『Resonance』である。群馬県高崎市にあるTAGO STUDIOのピアノ「FAZIOLI」を使用してのスタジオ録音である。
阿部氏は次のように語る。
「前作2作は、小ホールでのライブ録音で、その場で聴いているかのような空間を録音することを追求してきましたが、今回の狙いは銘機FAZIOLIを、音像として形作れるかがテーマでした。グランドピアノの音域による響板と弦の振動や方向性を確認し、マイクの位置と角度を決めました。ピアノの低音域と高音域が左右に定位すること、しっかりと地に足が着いて箱が鳴ること、グランドピアノの音像を捉えること。これらはなかなか難しいのですが意識して頑張りました」
「空間表現は、ヘッドフォンをせず、スタジオの響きと弾き手が呼吸しながら演奏することを狙いました。阿部マイクと言われている、サラウンドマイクを使用し、空気感を付け加えることで、臨場感を出しました。高木里代子の繊細な音色と、ダイナミックな演奏が一体となって、グランドピアノという音像の中に、しっかりと鍵盤があり、指先が見える音源に仕上げることができたと思います」
2作目は牧山純子 京都コンポーザーズジャズオーケストラ『Luxury Red』。ヴァイオリンとジャズオーケストラというレアなコラボレーションである。
「牧山純子が京都コンポーザーズジャズオーケストラのリーダー、谷口知巳氏の誘いを受けて行っていたコラボライブがありまして、収録してみようという話になりました。ライブでは音量差が問題でありますが、レコーディングは、セパレートに録音すればバランスはとれます。ただ、歌ものではないため、大人数のビッグバンドとうまく混ざらなければ、浮いてしまいます。ヴァイオリンは大阪ではガイドとして弾いてもらい、東京に戻ってから、ホールで録音しました。響きも一緒に録音すると、臨場感はここまで表現できるのです。レアな編成でレアなサウンド、新たなジャンルとも言える作品を楽しんでいただきたいです」
3作目は、保坂修平『YAKUMO』。ジャズ、クラシックの融合した保坂のオリジナル10曲を収録した作品である。小泉八雲の精神世界へのシンパシーを表現した組曲「YAKUMO」も収録。ギターカルテットに管弦を加えたシンフォニックなサウンドであり、「和ジャズ」の新世界とも言える。
「こちらも高崎にあるタゴスタジオにてピアノ、ギター、ベース、ドラムのカルテットを録音し、弦楽器、フルート、ヴォーカルは、東神奈川にある、かなっく音楽ルームにて録音しました。メロディがフルートのものは一発録りです。ノーEQ、ノーコンプです。音色はマイクの選択とマイキングの位置、ヘッドアンプの選択で決定しました。各楽器ブースにはアンビエントマイクを立てて、臨場感も録音しています。全体的に飾り気のない音に仕上げました。このような飾り気のない音は演奏者の技量が問われますが、このバンドはそうでなければ、良さが伝わらないのです。少し過剰気味なことをすると、演奏者の意図が消えてしまいます。これがジャズということでしょう。飾り気がないことで中身が問われます。そんな時代になってきているからこそ、このアルバムは、じっくりと聴き込んでいただきたいですね」
音楽を理解するところを第一とし、その音楽の本質を捉えた作品群。詳細はHD ImpressionのHPより確認できる。