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公開日 2020/12/04 15:36

2020年度「音の匠」はヤマハの遠隔合奏システム「SYNCROOM」が顕彰。新時代の音楽ツールとして評価

YouTubeにて「記念講演」を公開
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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一般社団法人日本オーディオ協会は、2020年の第24回「音の匠」として、ネットワークを通じて離れた場所にいる人間同士が合奏することができるヤマハのオンライン合奏ツール「SYNCROOMプロジェクト」を顕彰した。

ヤマハのオンライン合奏ツール「SYNCROOM」

日本オーディオ協会は、エジソンが初めて蓄音器「フォノグラフ」を出したとされる12月6日を「音の日」として定め、文化創造や社会貢献をされた個人または組織を「音の匠」として顕彰している。例年はリアルイベントとして表彰式などが開催されるが、今年はオーディオ協会のYouTubeチャンネルにて「顕彰式」ならびに「記念講演会」が公開された。

オーディオ協会会長の小川理子氏は、「SYNCROOMプロジェクト」顕彰の理由について、「コロナ禍で音楽活動が制約を受ける中で、音楽の可能性を広げる新しい時代の新しいツールであること」が高く評価されたと説明している。

「音の匠」として顕彰されたSYNCROOMプロジェクトメンバー

「SYNCROOMプロジェクト」を担当するヤマハ(株)の原 貴洋氏の記念公演では、遠隔演奏における最大の障壁と言える「遅延」をどのように解決したのか、また具体的な活用事例などが紹介された。

音の「遅延」を最小限にするためのさまざまな技術が盛り込まれている

ヤマハの遠隔合奏に対する取り組みの歴史は古く、2005年ごろからスタートしていたが、当時の伝送情報量は限りがあり、MIDIでの伝送が限界だったという。その後光回線の充実などにより、2011年に「NETDUETTO」を公開、そして2020年6月に「SYNCROOM」として正式にリリースされた。実際に、ゴスペラーズなどのアーティストもSYNCROOMを配信に活用しているという。

SYNCROOMの大きな特徴として、ネットワークではどうしてもデータフローにヨレが生まれてしまうが、それを監視・計測し、なるべく小さな遅れでデータが送れるようにバランスをとっているという。

開発主幹の大島 治氏は、「MIDIで遠隔演奏のチャレンジを始めた頃は、ネット越しで楽器を演奏することの価値を訴求することが非常に難しかった」と言う。しかし、その後web2.0という言葉などが登場し、インターネットが単なる情報収集のインフラとしてだけではなく、相互コミュニケーションの場となっていったことから、ヤマハの取り組みにも理解が進んできたと語っている。

ただ楽器を売るだけではなく、楽器を楽しめる場そのものも提供していきたい、リアルの演奏の場に加えて、オンラインの楽器演奏という選択肢を増やしていくこともSYNCROOMの目指すところのひとつだと言う。

演奏活動の選択肢を広げる

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