公開日 2022/03/28 14:30
今週のオーディオグレードソフト、レーベル「スチュディオ・エクレール」の優秀録音盤を紹介
季刊オーディオアクセサリー184号より
今週のオーディオグレードソフトは、季刊オーディオアクセサリー184号(2022.2.21発売)の「優秀録音盤」で紹介された個性的なレーベル「スチュディオ・エクレール」から厳選の3枚を紹介する。
演奏者の目線から楽器の特性や作品の理解、収録会場やエンジニアにこだわる
「スチュディオ・エクレール」は、ピアニスト・中山ナミ子氏が主宰する新進のレーベル。演奏者の目線から楽器の特性や作品の理解、収録会場やエンジニアにこだわり、完成度の高い録音作品を目指すという(井上千岳/『AA184号』P.277 優秀録音盤より)。
中山ナミ子氏は、桐朋女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。卒業後は柳川守のもとで研鑽を積む。在学中より渡仏を重ね、10年に渡りパスカル・ドゥヴァイヨンに、その後パリへ留学し、パリ・エコールノルマル音楽院にてエリック・ヴィドンヌに学ぶ。パリ、東京にて定期的にソロリサイタルを開催。在日フランス大使館後援「フランス音楽の午後」をはじめ、近年はオール・フレンチプログラムでのコンサートも行っている。レパートリーにはラヴェル、ドビュッシーの他、ベートーヴェン、ショパン、シューマンがある。
レーベルの第一弾として発売された中山氏のファーストCDでもある『鏡−ミロワール−ラヴェル・ピアノ作品』は、演奏のほか、マイクバランス、編集ディレクション、デザインも自身で手掛けている。
→ →『中山ナミ子/ 鏡−ミロワール−ラヴェル・ピアノ作品(CD)』の購入はこちら
鳴っているそのままを収めた、本当にピアノらしい音に感動
『ブラームス:後期ピアノ作品集』は、レーベル「スチュディオ・エクレール」の最新作である。演奏者の目線から楽器の特性や作品の理解、収録会場やエンジニアにこだわり、完成度の高い録音作品を目指すという。すでにご自身の『鏡-ミロワール-ラヴェルピアノ作品』がリリースされているが、このブラームスはデビュー作から5年目という桐榮哲也の演奏だ。中山氏もマスタリングに立ち会っているそうである。
本当にピアノらしい音というのはこういうものと言っていい。ホールで鳴っているそのままの音がまったく修飾も変質もなく豊かに出てくる。奏者の柔らかなタッチと共感に満ちた表現が実にデリケートな心配りで収められているのは、中山氏のピアニストとしての感性に負うところも大きいのであろう。作品のしみじみとした枯淡の寂しさが切々と伝わってくる、静かな感動に満ちた1枚である。(井上千岳/『AA184号』P.277 優秀録音盤より)
個人的なところと、人にむけて外に押し出す(express)のバランスのいい演奏
桐榮哲也によるブラームスの後期ピアノ作品集。オーディエンスに向かって弾くという
よりも、自分のために奏でているような側面もある曲たちだが、その個人的なところと、
人にむけて外に押し出す(express)のバランスのいい演奏。録音も絶妙なバランスを衝いている。ホールを使いつつもそのステージ上に豪奢な響きのある空間が独立。それをたまたまそこに居合わせて密かに聴けてしまっているような感覚。音楽的な録音だ。(鈴木 裕/『AA184号』P.279 優秀録音盤より)
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構想5年の意欲作! 古典調律と平均律を聴き比べるユニークな1枚!
本作は後藤友香理による、古典調律を施したピアノを運び込み、平均律と古典調律の2台のピアノの聴き比べで大好評を博した2020年の演奏会のライヴ録音。ピアノを平均律で調律することが一般的になったのは19世紀末からと言われており、それまでは人々は今とは違う音律で音楽を聴いていた。古典調律の復活が提唱されたこともあったが、演奏会場のピアノを調律替えすることが困難で、今ではほとんど見られなくなった。作曲者の意図に寄り添った丁寧な解釈とあいまって、聴き応えのある演奏となっている。
音質はナチュラル、中音域の響きが豊かで色彩的かつ鮮やか
後藤友香理のピアノリサイタル。構想5年、調律の違いが聴けるユニークなCDだ。調和を重視した古典調律と一般的な平均率(オクターブで2倍になる)。馴染みにくいテーマだが、調律の違う2台のピアノを持ちこんだライヴ録音で、バッハとシューマンを聴ける。音質はナチュラル、確かに古典調律をほどこしたピアノは、中音域の響きが豊かで色彩的かつ鮮やかだ。解説の絵入りブックレットも分かりやすい。(林正儀/『オーディオアクセサリー184号』P.281 優秀録音盤より)
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演奏者の目線から楽器の特性や作品の理解、収録会場やエンジニアにこだわる
「スチュディオ・エクレール」は、ピアニスト・中山ナミ子氏が主宰する新進のレーベル。演奏者の目線から楽器の特性や作品の理解、収録会場やエンジニアにこだわり、完成度の高い録音作品を目指すという(井上千岳/『AA184号』P.277 優秀録音盤より)。
中山ナミ子氏は、桐朋女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。卒業後は柳川守のもとで研鑽を積む。在学中より渡仏を重ね、10年に渡りパスカル・ドゥヴァイヨンに、その後パリへ留学し、パリ・エコールノルマル音楽院にてエリック・ヴィドンヌに学ぶ。パリ、東京にて定期的にソロリサイタルを開催。在日フランス大使館後援「フランス音楽の午後」をはじめ、近年はオール・フレンチプログラムでのコンサートも行っている。レパートリーにはラヴェル、ドビュッシーの他、ベートーヴェン、ショパン、シューマンがある。
レーベルの第一弾として発売された中山氏のファーストCDでもある『鏡−ミロワール−ラヴェル・ピアノ作品』は、演奏のほか、マイクバランス、編集ディレクション、デザインも自身で手掛けている。
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鳴っているそのままを収めた、本当にピアノらしい音に感動
『ブラームス:後期ピアノ作品集』は、レーベル「スチュディオ・エクレール」の最新作である。演奏者の目線から楽器の特性や作品の理解、収録会場やエンジニアにこだわり、完成度の高い録音作品を目指すという。すでにご自身の『鏡-ミロワール-ラヴェルピアノ作品』がリリースされているが、このブラームスはデビュー作から5年目という桐榮哲也の演奏だ。中山氏もマスタリングに立ち会っているそうである。
本当にピアノらしい音というのはこういうものと言っていい。ホールで鳴っているそのままの音がまったく修飾も変質もなく豊かに出てくる。奏者の柔らかなタッチと共感に満ちた表現が実にデリケートな心配りで収められているのは、中山氏のピアニストとしての感性に負うところも大きいのであろう。作品のしみじみとした枯淡の寂しさが切々と伝わってくる、静かな感動に満ちた1枚である。(井上千岳/『AA184号』P.277 優秀録音盤より)
個人的なところと、人にむけて外に押し出す(express)のバランスのいい演奏
桐榮哲也によるブラームスの後期ピアノ作品集。オーディエンスに向かって弾くという
よりも、自分のために奏でているような側面もある曲たちだが、その個人的なところと、
人にむけて外に押し出す(express)のバランスのいい演奏。録音も絶妙なバランスを衝いている。ホールを使いつつもそのステージ上に豪奢な響きのある空間が独立。それをたまたまそこに居合わせて密かに聴けてしまっているような感覚。音楽的な録音だ。(鈴木 裕/『AA184号』P.279 優秀録音盤より)
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構想5年の意欲作! 古典調律と平均律を聴き比べるユニークな1枚!
本作は後藤友香理による、古典調律を施したピアノを運び込み、平均律と古典調律の2台のピアノの聴き比べで大好評を博した2020年の演奏会のライヴ録音。ピアノを平均律で調律することが一般的になったのは19世紀末からと言われており、それまでは人々は今とは違う音律で音楽を聴いていた。古典調律の復活が提唱されたこともあったが、演奏会場のピアノを調律替えすることが困難で、今ではほとんど見られなくなった。作曲者の意図に寄り添った丁寧な解釈とあいまって、聴き応えのある演奏となっている。
音質はナチュラル、中音域の響きが豊かで色彩的かつ鮮やか
後藤友香理のピアノリサイタル。構想5年、調律の違いが聴けるユニークなCDだ。調和を重視した古典調律と一般的な平均率(オクターブで2倍になる)。馴染みにくいテーマだが、調律の違う2台のピアノを持ちこんだライヴ録音で、バッハとシューマンを聴ける。音質はナチュラル、確かに古典調律をほどこしたピアノは、中音域の響きが豊かで色彩的かつ鮮やかだ。解説の絵入りブックレットも分かりやすい。(林正儀/『オーディオアクセサリー184号』P.281 優秀録音盤より)
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