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公開日 2002/10/01 19:12

衛星ラジオも地上波デジタルもいらない!? モトローラ新デジタルラジオ誕生

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デジタルラジオ・チップセットと、それを組み入れた製品サンプル
●モトローラ株式会社(米国テキサス州オースティン)の半導体セクターは、10月1日、新しいデジタルラジオ技術を組み入れたデジタルラジオ・チップセットを発表した。

これは従来のFM/AMファンにとっての朗報となるニュース。このチップセットによるデジタルラジオ技術は、従来のAM/FM信号に対応するラジオ受信機で利用するものである。正確にはアナログ放送をデジタルプロセッシングするアナログ-デジタルチューナーなのだが、極論すれば、衛星デジタルラジオの受信料を支払うこともなく、地上波デジタルラジオを待つ必要もなくなり、ラジオ放送はより多くのチャンネルと高音質を提供できるようになるという技術といえなくもない。

来日したモトローラ社のドライバ情報システム戦略マーケティングディレクター、ジョン・ハンセン氏は、「あきらかに日本市場を意識した新製品」という。以下、氏の言葉で説明いただいた。

「2002年の統計によると米国のラジオ局数は12,120局、世界で44,000局を数えます。この放送局に対し、よりよいラジオを提供していきたいというのが今回の技術です」。

「では“よりよいラジオ”はなんなのか。まず、はじめに現在放送を行っている局がまったく変わらないということが重要です。にもかかわらず、より多くのチャンネルを受信できるように、隣接周波数局の干渉を取り除き、しかも音質をよくしなければならない。雑音なく電波障害のないラジオです。また世界中どこでも、柔軟に将来に対応できるラジオでなければなりません。このような特長をすべて備えていながら、いまま同様のコストで製造できる。これがモトローラデジタルラジオです」。

「このラジオのマジックは、チューニングと音声処理が一連のソフトウェアで処理できるというところにあります。このソフト処理のラジオこそが“よりよいラジオ”と考えました」。

「隣接局どうしの干渉が、まず音質障害のおおきな原因です。この問題を2つの方法で解決していきます。」

「ひとつめは聴きたいと目標にしているラジオ局があるとします。その右に隣接する局とさらに隣接局を監視し、また反対側にも隣接する2局を監視し、絶えず5つの局を見ています。この近隣局からくるノイズをデジタル抽出します。また、このラジオは動的アナログ可変フィルター(IF)を持っています。このフィルターでバンドを調節しながらノイズ部分を除去していきます」。

「つぎにマルチパスについて説明します。マルチパスとは、発信局が発信した電波がラジオ(受信機)に直接届かず、反対側のビルや山にぶつかって戻ってきて干渉することです」。

「このマルチパスへの対応は、2つのアンテナを用いることで解決します。モトローラのラジオは2つのアンテナを装備することができ、これによって、2局を同時に受信することもできます。たとえば自動車の中で運転席とリアシートで別々のラジオを聴くことも可能ですし、同じ局を受信することもできます。同じ局を受信することにより、完全なデータを集めることができます。これにより受信環境を飛躍的に上げ、マルチパスを避けることができるようになりました」。

「このラジオは、受信した放送波を音声データとしてデジタル化して、様々な処理を加えていきます。ラジオに入ってくるノイズ状況を見て、ソフトウェアのほうでノイズを除去することができるようになっているのです」。

「また、このようなデジタルラジオを開発にあって、モトローラは、誰かがソフトウェアを書いてくれるだろうと期待しているわけではありません。これらはデジタルオーディオの分野で使用してきた、アーキテクチャーそのままなのです。ですから従来のソフトウェアにアクセスをはかることができ、ドルビーやTHX、dtsのアーキテクチャーにアクセスを図ることもできます」。

「モトローラのDSPは24ビットで、人の耳で聴くことのできるダイナミックレンジをもっています。音声出力をもっているのであらゆるサラウンド、フォーマットに対応することもできます。またこの点で、ラジオメーカーも特別なソフトウェアを書いて、モトローラ製とは違ったフィーチャーで差別化をできるともいえます」。

「今回、モトローラはラジオ製品を作るわけではなく、チップセットを供給します。また発信する側からの目から見ると、既存のシステムでモトローラのラジオに対応していただけます。しかし、アンテナから入ってきたアナログ信号はデジタル信号に置き換えて処理しますので、チューニング、音声処理の1500MIPの能力をもったベースバンドオーディオプロセッサーを使用します。従来のユーザーインターフェースもそのまま使用することができます」。


これまでのアナログラジオをソフトウェアでデジタルプロセッシングするという、新しい発想のラジオの登場だ。記者発表会でのQ&Aもご参照いただきたい。(AV REVIEW編集部)

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