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公開日 2002/12/30 17:06
シスコ・システムズのビジネスデザイン戦略(前編)
●Senka21に執筆中の工藤恒夫氏の新年号からの新連載「BtoB企業のビジネスデザイン戦略」の第1回を、今日と明日の2回にわたってお届けする。
「BtoB企業のビジネスデザイン(以下BD)戦略」の連載を開始するに当って、先ず最初にBtoBの定義をしておきたい。BtoB(Business to Business)とは、企業向け電子商取引きと定義されている場合が多いが、本稿ではインターネット経由の企業間取引に限定せずに、現実世界の企業間取引も含めた総べての生産財企業を指している。なお、BtoBは最近では「B2B」と表記されることも多い。ところで、BtoBに対し、もう一方のビジネス・タイプはBtoC(Business to Consumer)と呼ばれている。BtoC(B2Cとも表記される)は一般消費者を対象とする消費財企業を言う。
日本経済は91年にバブルが崩壊して以来、景気の低迷が続き、21世紀に入った現在でさえ、回復の兆さえ見えず、ますます深まるデフレ不況下にある。不況から脱却できなかった日本の90年代は、“失われた10年(Lost decade)”と呼ばれるようになった。
一方、米国の90年代は“輝ける10年”であった。90年代特に90年代半ば以降、米国の好況を牽引したのはIT(情報技術)産業であった。GE、IBM、マイクロソフト、インテル、シスコ・システムズ、サン・マイクロシステムズ、オラクル、デル・コンピュータ等のIT関連の一群のBtoB企業が米国繁栄のリード企業であった。
これらの企業に加えて、ヤフー、アマゾン・ドット・コム、イーベイに代表される誕生間もない若いドット・コム企業群の急成長もまた米国好況の一翼を担ったのである。
米国経済成長の牽引車の役割を果たしてきた上記の若いIT企業は、インテル、デル・コンピュータ等のIT関連企業はそれぞれ独自のビジネスデザイン戦略で世界No1の地位を獲得している。また伝統的な大企業であるGEやIBMは、企業の構造改革を断行し、時代に合った新しいビジネスデザイン戦略を展開することによって、再び成長を取り戻すことができたのである。
その意味では、デフレ不況下で低迷を余儀なくされている多くの日本企業にとって、それぞれの業界において、世界No1の地位を獲得した企業のビジネス戦略は大いに参考になると思う。これから連載を始める世界のエクセレント・カンパニーの成長の秘密をヒントにして、日本企業が再び成長路線に復帰できるよう切に念願して、新シリーズの執筆に着手したい。
90年代を代表するIT関連の成長企業の中でも、シスコ・システムズ(以下シスコ)は最も高い成長を実現しただけでなく、84年の創立後わずか12年で株式時価総額1000億ドルになった。その成長スピードは世界最速と言われている。過去において、最も成長スピードの速い企業であったマイクロソフトでさえ、株式時価総額が1000億ドルに到達するには、上場後20年を要している。その後、2000年の3月にはシスコの株式時価総額はマイクロソフトを抜いて世界No1となった。
ちなみに、1位シスコの時価総額は58兆8200億円、2位マイクロソフト・57兆3500億円、3位GE・55兆1100億円、4位インテル・50兆4900億円、5位NTTドコモ・41兆1800億円。以下6位ボーダフォン・エアタッチ、7位エクソン・モービル、8位ノキア、9位ドイツ・テレコム、10位オラクルと続く(データは2000年3月27日現在、日本企業は3月28日現在・「出所・ブルムバーグより野村證券投資情報部作成」)。
会社創立後僅か14年の、いわば青年期の企業・シスコが株式時価総額で世界のNo1に昇りつめると予想した人間はおそらく一人もいないであろう。
(明日・後編に続く/Senka21編集部)
「BtoB企業のビジネスデザイン(以下BD)戦略」の連載を開始するに当って、先ず最初にBtoBの定義をしておきたい。BtoB(Business to Business)とは、企業向け電子商取引きと定義されている場合が多いが、本稿ではインターネット経由の企業間取引に限定せずに、現実世界の企業間取引も含めた総べての生産財企業を指している。なお、BtoBは最近では「B2B」と表記されることも多い。ところで、BtoBに対し、もう一方のビジネス・タイプはBtoC(Business to Consumer)と呼ばれている。BtoC(B2Cとも表記される)は一般消費者を対象とする消費財企業を言う。
日本経済は91年にバブルが崩壊して以来、景気の低迷が続き、21世紀に入った現在でさえ、回復の兆さえ見えず、ますます深まるデフレ不況下にある。不況から脱却できなかった日本の90年代は、“失われた10年(Lost decade)”と呼ばれるようになった。
一方、米国の90年代は“輝ける10年”であった。90年代特に90年代半ば以降、米国の好況を牽引したのはIT(情報技術)産業であった。GE、IBM、マイクロソフト、インテル、シスコ・システムズ、サン・マイクロシステムズ、オラクル、デル・コンピュータ等のIT関連の一群のBtoB企業が米国繁栄のリード企業であった。
これらの企業に加えて、ヤフー、アマゾン・ドット・コム、イーベイに代表される誕生間もない若いドット・コム企業群の急成長もまた米国好況の一翼を担ったのである。
米国経済成長の牽引車の役割を果たしてきた上記の若いIT企業は、インテル、デル・コンピュータ等のIT関連企業はそれぞれ独自のビジネスデザイン戦略で世界No1の地位を獲得している。また伝統的な大企業であるGEやIBMは、企業の構造改革を断行し、時代に合った新しいビジネスデザイン戦略を展開することによって、再び成長を取り戻すことができたのである。
その意味では、デフレ不況下で低迷を余儀なくされている多くの日本企業にとって、それぞれの業界において、世界No1の地位を獲得した企業のビジネス戦略は大いに参考になると思う。これから連載を始める世界のエクセレント・カンパニーの成長の秘密をヒントにして、日本企業が再び成長路線に復帰できるよう切に念願して、新シリーズの執筆に着手したい。
90年代を代表するIT関連の成長企業の中でも、シスコ・システムズ(以下シスコ)は最も高い成長を実現しただけでなく、84年の創立後わずか12年で株式時価総額1000億ドルになった。その成長スピードは世界最速と言われている。過去において、最も成長スピードの速い企業であったマイクロソフトでさえ、株式時価総額が1000億ドルに到達するには、上場後20年を要している。その後、2000年の3月にはシスコの株式時価総額はマイクロソフトを抜いて世界No1となった。
ちなみに、1位シスコの時価総額は58兆8200億円、2位マイクロソフト・57兆3500億円、3位GE・55兆1100億円、4位インテル・50兆4900億円、5位NTTドコモ・41兆1800億円。以下6位ボーダフォン・エアタッチ、7位エクソン・モービル、8位ノキア、9位ドイツ・テレコム、10位オラクルと続く(データは2000年3月27日現在、日本企業は3月28日現在・「出所・ブルムバーグより野村證券投資情報部作成」)。
会社創立後僅か14年の、いわば青年期の企業・シスコが株式時価総額で世界のNo1に昇りつめると予想した人間はおそらく一人もいないであろう。
(明日・後編に続く/Senka21編集部)