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公開日 2004/11/02 16:07

世界初、FTTHとDVDレコーダーを組み合わせた映像配信サービスの試験運用がスタート

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●(株)パワードコム、(株)東芝、東京電力(株)の3社は、光ファイバーネットワークを使った高品位なDVD映像配信サービス「ひかり de DVD」の試験運用を12月1日より開始することを明らかにした。本日都内において3社合同の記者会見と、新たなサービスに関する詳細の説明が行われた。

「ひかり de DVD」は映画やアニメなどに著作権保護を加えたDVDコンテンツを高速の光ファイバー(FTTH)ネットワークを通じて、DVDレコーダーからDVD-RAMディスクに記録して楽しめるサービスだ。

今回のサービスにおいてパワードコムはこれまでコンシューマー・法人双方に向けて提供してきたサービスから蓄積してきたノウハウをベースに、配信システムの構築、ユーザーの認証やサポート、課金業務などを担当する。東芝はサービスに対応したDVDレコーダーの供給と、著作権保護技術CPRMのネットワーク対応を実装した著作権保護システムの構築・運営を進め、また東京電力は同社の占有型FTTHサービス「TEPCOひかり」をインフラとして提供することになる。

インターネットを使った映像配信サービスはこれまでにもPCや専用STBを端末に使ったものが登場していたが、今回3社により発表されたサービスのアドバンテージは、広帯域・占有型の光ファイバー回線により、高速で安定度が高く、かつセキュアな環境下でのダウンロードが可能な点にある。その上、ネットワーク対応DVDレコーダーによりDVD-RAMに記録することで、高品位な映像をコンテンツの著作権を保護しながらアーカイブすることができるのである。本サービスによりユーザーは、家にいながらDVDコンテンツの購入やレンタルがオンデマンドに楽しめるようになる。

今回の試験運用のロードマップは、11月2日より12月12日まで「ひかり de DVD」のホームページにてモニター参加者を募り、12月1日から2005年3月31日の期間にかけてサービスが実施される。モニターは合計1,000名が予定されており、参加の条件には 1)関東の「TEPCOひかり」サービス提供エリアにおいて既に回線の加入、または加入の予定があること 2)本サービスに対応する東芝製DVDレコーダー「RD-X4TP」を購入すること 3)サービスに関するアンケートに回答することが挙げられる。期間中、モニター参加者には洋画、邦画、音楽、アニメなどをはじめ、国内外のコンテンツホルダー19社によって提供される約300タイトルに渡るコンテンツの購入・レンタルが可能になる。


通常の「クイックメニュー」に「DVD BBサービス」が加わる

サービスに対応する東芝のDVDレコーダー「RD-X4TP」
なお本サービスに対応する東芝のDVDレコーダー「RD-X4TP」は、同社製DVDレコーダー「RD-X4」の基本機能にネットワークダウンロード機能を追加した製品だ。通常のメニュー画面には「DVD BBサービス」のメニューが加えられており、こちらに入ると専用のGUIとリモコンからダウンロードしたいタイトル選択や視聴が直感的に操作することができる。

サービスへのログイン画面

サービスのトップメニュー画面

映画や音楽、アニメなど好みのタイトルが購入・レンタル視聴できる


サービスタイトルの詳細画面

コンテンツダウンロード中の画面
ダウンロード可能なコンテンツは期限限定視聴の「レンタル方式」と無期限視聴の「セル方式」に分かれており、MPEG-2フォーマットの映像をCPRM対応のDVD-RAMにVR方式で記録することになる。1タイトルあたりのセル価格は980円から3,150円程度、レンタル価格は210円から420円が予定されており、レンタルの場合の貸出期間は24時間(1日)から最大168時間(7日間)に設定される見込みだ。

本サービスが採用するDRM(デジタル著作権管理)システムは、本年8月に規格化が完了したネットワークダウンロード用のCPRMコンテンツ保護方式となる。同方式により暗号化、および保護したコンテンツがネットワークを介してセキュアな環境で配信される。またこれを記録したDVD-RAMディスクにおいても固有のメディアIDを使用して複合鍵も暗号化するため、同一のディスク内でのみ複合化が可能になる。

また「TEPCOひかり」回線のサービスは、収容局からユーザーの端末までの光ファイバーを1軒で占有する最大100Mbpsのクローズドネットワークなので、高速で安全なサービスを楽しむことができる。


(株)パワードコム 中根滋氏

(株)東芝 山田尚志氏

東京電力(株) 勝又淳旺氏
本日の発表会にはパワードコム、東芝、東京電力から代表者が足を運び挨拶を行った。はじめにパワードコムの代表取締役社長兼CEOの中根滋氏は「当社がこれまでに蓄積してきた配信プラットフォームのノウハウを最大限に活かし、ビジネス・コンシューマー双方に新しいビジネスチャンスを築き上げていきたい」と抱負を語った。東芝デジタルメディアネットワーク社主席技監である山田尚志氏は「“映像の東芝”の名にかけて、素晴らしいサービスを立ち上げていきたい。レコーダーの普及によって、映像配信サービスをより一般的なものにしていきたい」と語った。また東京電力の光ネットワーク・カンパニープレジデントである勝又淳旺氏は「“テプコひかり”は今年度中に800万人に加入者を拡大したいと考えている。100メガのサービスで出来ることを色々発見しながらお客様になくてはならないと感じていただけるサービスを提案していきたい」と決意を示した。

以下に会場で行われた質疑応答の模様を掲載する。

Q:録画メディアをDVD-RAMに限定した理由は
A:RAMが一番信頼性が高かった。DVD-RAMは現在価格が400円くらいまで下がってきたので手に入りやすいのではないか。価格の面ではDVD-Rも優れており、VR記録のできるものが出てきたが、導入については検討を進めていきたい

Q:HDDへのコンテンツ記録や、DVDからのムーブはできるのか
A:HDDへ直接のダウンロードはコピープロテクションの関係等で今のところ対応を考えていない

Q:ファームウェアのアップデートなどで、RD-X4以降の機種を本サービスに対応させていく予定はないのか。今後の発売モデルも全てサービスに対応させていくのか
A:当社(東芝)より既に発売させて頂いているネットワーク対応DVDレコーダーについてはメモリーの空き容量などの問題で対応は無理だと考えている。これから発売する機種については積極的に対応させていきたい

Q:当面東芝のDVDレコーダーだけでの対応になるのか
A:トライアルの時点では1000名のモニターを募り、それぞれのニーズを数多く集めたい。ニーズをヒヤリングした後、3月末以降に事業化の大きなパラメーターを決定していくので、その時点で色んなプラットフォームを実現できるよう可能性を広げていきたい。レコーダーについては、とくに技術レベルで実現できることを色々と検討しながら決めていきたい

Q:実際の事業化はいつ頃か、その際の事業モデルは
A:トライアルが終了する3月末には大きなイメージを決定したい。詳細についてはそれ以降になるだろう

Q:サービスの全国展開はあり得るのか
A:事業の展開をみながらフレキシブルに考えていきたい。サービスが大きくなった際には他の企業にもどんどん参加してもらいたいと考えている

Q:地上デジタル放送の再送信サービスに対応させる予定は
A:今のところ考えていない。放送局の持つ魅力的なコンテンツを、本サービスに含めていくことは今後十分に考えられる

Q:HDコンテンツに対応する予定は
A:まだ時期尚早と考えている。ある程度、エンコーダーとデコーダーを搭載した機器が普及してからだろう。現時点では機器の普及状況と能力に不足があり、一般化にはあと2・3年はかかると思う

Q:番組の検索機能など、GUIを充実させていく方向性はあり得るのか
A:現在も十分技術的には対応できる状態だ。今後の課題として取り組みたい

Q:映像配信サービスの端末としては、現在普及台数ではパソコンのほうが多いし、コンテンツ保護にも対応できる。対パソコンでこのサービスを拡大していく自信はあるのか
A:我々の将来に向けての大きな絵はユビキタス・ネットワークの実現だ。人と機器のインターフェイスとして、最も優れたデバイスを模索していた時、CE機器の中にPCの機能を持ってくると大変魅力的なものになることがわかり、今回のサービス提案に至った次第だ。今回のトライアルではお客様のニーズを聴きながらPC・CE機器それぞれのビジネスモデルを比較して、良いものを実現したい。

Q:パワードコムのサービスとライバル企業との違いとなるポイントは
A:当社(パワードコム)かなり速い段階からコンテンツのポータル、ストリーミングサービスを進めてきた。高画質な映像を配信するサービスの土台となるノウハウが他よりも多く蓄積してきている

Q:今回のサービスが「TEPCOひかり」の加入者数にどう影響を及ぼすか、期待を聴かせて欲しい
A:(東京電力)昨今マーケットの広がりを実感している。100メガで何が出来るのかというテーマをこれまでも追求しながら、他社インフラとの差別化をしてきたが、今回の仕掛けでは流通革命を含めたいろんな仕掛けに役立てることができると感じている。これをきっかけに次のステップへ進めることができるだろう。これまでと違ったセグメントに一石を投じて行きたい

Q:サービスの仕様を他社に公開するのか
A:最終的には公開も考えている。そうなった場合、他のサービス企業とインターフェイスを合わせてやっていくというかたちになるので、セキュリティ、ネットワークの規格をまずは確立していきたい

Q:サーバー型放送と仕様を併せ、一体化していく計画は
A:今回のサービスはタイトル、コンテンツを売っていくサービス。放送局が提供するサーバー型サービスのビジネスモデルとは形式は似ているが、サービスを一体化していくことは難しいと思う

Q:用意される映像のタイトル数は
A:約300タイトルをトライアルで用意する

Q:MPEG-2のエンコード速度
A:3メガから4メガ前後を狙っている

Q:配信プラットフォームとしてTEPCO以外のADSLなどサービスを使うことはありえるのか
A:「テプコひかり」しか考えていない(パワードコム)。将来ユーザーコミュニケーションが確立してきて、その他のサービスも強く求められた場合はそのとき考えるが、今のところはデータ容量、安定性などを考えた場合は光ファイバーにしかできないサービスだと思っている

(Phile-web編集部 山本)

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