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公開日 2022/10/19 18:50
NHKの受信料1割値下げは“過去最大規模”。「訪問によらない営業」へのシフトなど業務改革推進
経営計画修正案のパブリックコメントを募集中
NHKは、経営計画(2021-2023年度)の修正案を発表し、10月12日よりパブリックコメントの募集を開始した。この経営計画について、メディア向けの説明会が開催された。
■構造改革や経営努力で“過去にない”1割の受信料値下げを実現
NHKでは現在の経営計画(2021-2023年度)において、「スリムで強靭なNHK」を目指して業務や受信料、ガバナンスといった構造改革に取り組んでいる。その進捗に見通しが立ったことから、受信料の値下げやBS放送チャンネル削減のスケジュールなどの修正案が公表されたかたちだ。
現経営計画での具体的な取り組みとしては、営業スタイルを従来の「巡回訪問営業」から、NHKホームページやアプリ、ケーブル会社や不動産などの窓口・ホームページ、番組・イベントなどを用いる「訪問によらない営業」へと転換。これにより営業経費は2022年度時点で155億円の削減(対2020年度比)を実現、営業経費率は10%を下回り9.3%になるなど、計画以上のコスト削減を実現できたという。
そのほかにもあらゆる領域で業務改革を推し進め、当初の2023年度までに550億円を削減する、という計画は達成できる見通しだと説明している。
一方、これまでは地上波・BSの各チャンネルごとで番組管理を行っていたところ、報道や教育などジャンルごとで管理し、それぞれを最適なチャンネルで放送する体制にシフト。これにより制作の総量を圧縮し、NHKならではの多様で高品質なコンテンツの取材、制作に経営資源を集中しているとのこと。
また、子会社や関連会社、財団といったグループ団体との一体化も推進。機能や役割を見直して全体の規模を縮小しており、対2020年度比で業務委託費は10%、子会社役人は30人削減、過去最大で65個あった関連団体も最終的に22団体となる見通しだという。
こういった構造改革や経営努力の成果が出たことにより、視聴者に還元すべく受信料の値下げを決めたという。値下げは2023年度10月より実施する予定で、地上波放送は最大2,100円、衛星放送は最大3,200円の年間値下げが行われるほか、学生免除の範囲も拡大され、非扶養の学生も原則受信料が免除される。
NHKには経営努力によって生まれた繰越金が存在しており、当面の間、受信料値下げで発生する収入減はその繰越金のうち1,500億円を用いて補填しつつ、徐々に支出を下げていき、新受信料で経営できる体制にしていく狙い。1割もの値下げはこれまででも最大規模とのことで、「物価が高くなっているなか、視聴者の負担を少しでも軽減できれば」と述べていた。
これにより2023年度の収支見込みは、以前の経営計画では事業収入6,880億円(うち受信料:6,690億円)/事業支出6,800億円で80億円の黒字となっていたのに対し、事業収入6,440億円(うち受信料:6,240億円)/事業支出6,720億円で280億円の赤字へと修正。この赤字額の充当に繰越金が使われる格好となる。
また、この繰越金を用い、受信料以外のかたちでの還元も行うと説明。視聴者の将来的な負担軽減に向け、放送ネットワークインフラ維持コストの低減や、設備投資コスト削減に向けた投資、情報空間の健全性担保のための投資、日本のコンテンツ業界の人材育成などに700億円程度を使うほか、災害時などの視聴者負担の増加抑止のための財政安定化に少なくとも500億円程度が必要だとしている。
■BS停波は2024年に実施。地上波コンテンツも信頼性など強化
今回の修正案では、BSプレミアムを2024年3月末に停波することも発表された。それに先駆け2023年12月に番組改定が行われ、従来のBS1を「新BS2K(仮称)」、BS4Kを「新BS4K(仮称)」として放送スタートする。
また地上波放送は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢などの影響により、放送を取り巻く環境変化が大きく加速したことから、放送における重点項目のうち「安心・安全を支える」「あまねくを伝える」の2つを強化していくことも発表された。
1つ目の「安心・安全を支える」については、フェイクニュースの影響や危険性が増すなか、事実を見極めるための情報の取材・制作機能やジャーナリズム人材の育成を強化したり、学習形態の多様化に応じた教育コンテンツの充実など、コンテンツ強化や信頼性向上に貢献し、「暮らしの安全を支える『信頼できる情報』の発信を強化する」と説明。
2つ目の「あまねくを伝える」は、民放事業者と協力して放送ネットワークを維持する、リスクマネジメントや持続可能性を維持した投資を行いつつ、生産性の向上にも取り組むことで「地域インフラへの投資を強化し、放送通信融合の時代に、世代や場所に関わらず『放送の価値』を届け続ける」と説明している。
地上波では全ての視聴者に信頼できる情報を確実に提供しつつ、BS2Kはライブ感を重視した機動的な編成を実施、BS4Kは世界に通用する多彩なコンテンツ、高精細クオリティを提供するなど、地上波では味わえない新たな価値を創造していくとしている。
冒頭で述べた通り、NHKはこの修正案へのパブリックコメントを募集している。経営計画は寄せられた意見を参考に取りまとめられ、経営委員会の議決後、総務大臣に提出される予定だ。
■構造改革や経営努力で“過去にない”1割の受信料値下げを実現
NHKでは現在の経営計画(2021-2023年度)において、「スリムで強靭なNHK」を目指して業務や受信料、ガバナンスといった構造改革に取り組んでいる。その進捗に見通しが立ったことから、受信料の値下げやBS放送チャンネル削減のスケジュールなどの修正案が公表されたかたちだ。
現経営計画での具体的な取り組みとしては、営業スタイルを従来の「巡回訪問営業」から、NHKホームページやアプリ、ケーブル会社や不動産などの窓口・ホームページ、番組・イベントなどを用いる「訪問によらない営業」へと転換。これにより営業経費は2022年度時点で155億円の削減(対2020年度比)を実現、営業経費率は10%を下回り9.3%になるなど、計画以上のコスト削減を実現できたという。
そのほかにもあらゆる領域で業務改革を推し進め、当初の2023年度までに550億円を削減する、という計画は達成できる見通しだと説明している。
一方、これまでは地上波・BSの各チャンネルごとで番組管理を行っていたところ、報道や教育などジャンルごとで管理し、それぞれを最適なチャンネルで放送する体制にシフト。これにより制作の総量を圧縮し、NHKならではの多様で高品質なコンテンツの取材、制作に経営資源を集中しているとのこと。
また、子会社や関連会社、財団といったグループ団体との一体化も推進。機能や役割を見直して全体の規模を縮小しており、対2020年度比で業務委託費は10%、子会社役人は30人削減、過去最大で65個あった関連団体も最終的に22団体となる見通しだという。
こういった構造改革や経営努力の成果が出たことにより、視聴者に還元すべく受信料の値下げを決めたという。値下げは2023年度10月より実施する予定で、地上波放送は最大2,100円、衛星放送は最大3,200円の年間値下げが行われるほか、学生免除の範囲も拡大され、非扶養の学生も原則受信料が免除される。
NHKには経営努力によって生まれた繰越金が存在しており、当面の間、受信料値下げで発生する収入減はその繰越金のうち1,500億円を用いて補填しつつ、徐々に支出を下げていき、新受信料で経営できる体制にしていく狙い。1割もの値下げはこれまででも最大規模とのことで、「物価が高くなっているなか、視聴者の負担を少しでも軽減できれば」と述べていた。
これにより2023年度の収支見込みは、以前の経営計画では事業収入6,880億円(うち受信料:6,690億円)/事業支出6,800億円で80億円の黒字となっていたのに対し、事業収入6,440億円(うち受信料:6,240億円)/事業支出6,720億円で280億円の赤字へと修正。この赤字額の充当に繰越金が使われる格好となる。
また、この繰越金を用い、受信料以外のかたちでの還元も行うと説明。視聴者の将来的な負担軽減に向け、放送ネットワークインフラ維持コストの低減や、設備投資コスト削減に向けた投資、情報空間の健全性担保のための投資、日本のコンテンツ業界の人材育成などに700億円程度を使うほか、災害時などの視聴者負担の増加抑止のための財政安定化に少なくとも500億円程度が必要だとしている。
■BS停波は2024年に実施。地上波コンテンツも信頼性など強化
今回の修正案では、BSプレミアムを2024年3月末に停波することも発表された。それに先駆け2023年12月に番組改定が行われ、従来のBS1を「新BS2K(仮称)」、BS4Kを「新BS4K(仮称)」として放送スタートする。
また地上波放送は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢などの影響により、放送を取り巻く環境変化が大きく加速したことから、放送における重点項目のうち「安心・安全を支える」「あまねくを伝える」の2つを強化していくことも発表された。
1つ目の「安心・安全を支える」については、フェイクニュースの影響や危険性が増すなか、事実を見極めるための情報の取材・制作機能やジャーナリズム人材の育成を強化したり、学習形態の多様化に応じた教育コンテンツの充実など、コンテンツ強化や信頼性向上に貢献し、「暮らしの安全を支える『信頼できる情報』の発信を強化する」と説明。
2つ目の「あまねくを伝える」は、民放事業者と協力して放送ネットワークを維持する、リスクマネジメントや持続可能性を維持した投資を行いつつ、生産性の向上にも取り組むことで「地域インフラへの投資を強化し、放送通信融合の時代に、世代や場所に関わらず『放送の価値』を届け続ける」と説明している。
地上波では全ての視聴者に信頼できる情報を確実に提供しつつ、BS2Kはライブ感を重視した機動的な編成を実施、BS4Kは世界に通用する多彩なコンテンツ、高精細クオリティを提供するなど、地上波では味わえない新たな価値を創造していくとしている。
冒頭で述べた通り、NHKはこの修正案へのパブリックコメントを募集している。経営計画は寄せられた意見を参考に取りまとめられ、経営委員会の議決後、総務大臣に提出される予定だ。