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公開日 2009/10/13 12:51
【山形国際ドキュメンタリー映画祭 連続企画(4)】ディレクターとコーディネーターが語る今年のYIDFF
10月8日(木)から15日(木)にかけて、山形市で山形国際ドキュメンタリー映画祭(Yamagata International Documentary Film Festival 以下YIDFF )が開催されている。映画祭のプログラムから、映画祭ディレクターの藤岡朝子さんとアジア部門コーディネーターの若井真木子さんに、作品について語っていただいた。
◯個性的なアジアドキュメンタリー
YIDFFアジア千波万波部門は、アジアの若手ドキュメンタリー作家を支援する目的で解説された部門で、今年は57の国、地域より655作品の応募があり、この中から19本が上映される。
_ アジア若手作家を応援するアジア千波万波部門では、審査員はどんな方ですか?
若井真木子氏 (アジア千波万波部門コーディネーター): 今年の審査員は、インドのシャブナム・ヴィルマニさんと日本の大木裕之さんのお二人にお願いしています。上映されるお二人の作品には、偶々ですが、ロードムービーといえるような共通点があります。
シャブナム監督の映画「カビールを巡る旅」は、インドの詩と音楽と文学の源泉ともいえるカビールというインド15世紀の神秘詩人を巡る映画です。監督のシャブナミさんも歌ったり、踊ったりする方で、監督自身がカビールの言葉が綴られている歌を歌っている吟遊詩人のような方と旅をしていく映画です。これは4部作の大作映画なんですよ。映画の世界に入り込んでトランスするような映画体験ができる映画です。
大木監督の映画も似たところがあって、従来の映画の型にはまらない映画です。今年は新作のロードムービーが上映されます。
_ アジア千波万波のコンペで上映される作品はどんなものですか?
若井:アジア千波万波の作品は、粒ぞろいではない、というと語弊があるかもしれませんが、それぞれ、どこかとがったところがあります。若い映画作家の作品や、あるいはキャリアがあってもまだ、とんがっている作品が多いんです。そういう突き抜けた感じでおもしろいものがあります。
「アメリカ通り」は韓国ベドゥン市の米軍基地周辺の基地村に取材したもの。最近ロシア人とフィリピン人が増えているという現状を写しています。ここで働いている女性たちと同じ世代の女性監督が、約2年ぐらい、基地村で女性たちと関わってから、この映画を撮っています。
「長居青春酔夢歌」は大阪のホームレスのおじさんと支援者の話です。強制排除が起こるときにどう対応するかという映像も写っていて、現代日本のリアルな状況の映画です。
「改宗」は、イスラムの彼と結婚するために、女の子がムスリムに改宗するという話です。「ビラル」はインドカルコタの町に盲目の両親と暮らすビラルという子供の話ですが、彼の顔にはものすごいインパクトを受けました。
日本の監督では、瀬戸内海の島で出会った友人とおじさんとの関係を、日本人の女性監督がおった映画を上映します。監督がドイツの映像大学に留学した際の作品です。
_ プログラムを全部見ると、今、アジア各国で若い人たちが置かれている状況が、リアルに感じられてきそうです。
藤岡:アジア部門では、作品が荒けずりでも若く個性的なものが多いということですね。いびつなものであるほど、そこには何か個性的な魅力ががあるという意味で、この部門では、ウェルメイドなものをならべるというより、変なものをならべるほうが、その個性をひきだすことができるのではないかという精神です。
審査員のシャブナムさんの作品など、コーディネーターの若井もすっかりはまっているんですが(笑)、映画の体験のしかたがひっくりかえるような映画かなあと思います。
◯日本を紹介する視線が新鮮なニュー・ドックスジャパン
_ ニュードックス・ジャパンはどのような特集ですか?
藤岡:日本をめぐる映画を世界に発信するという部門です。今年は10本を上映します。この部門でも、今年は外からきた監督が、ある地域についての映画を作るという傾向があります。
「日々の呟き」はフランス人監督が、太宰治と現代をテーマとした作品。「田中さんはラジオ体操をしないは、オーストラリアの監督が作ったも映画です。オキデンキという会社を解雇され、それに対しての抗議運動を20年近くされている方の魅力を伝えるというものです。今、労働や労働環境についてが問題として、とりあげられることが多いですね。これもそれに関連していますけれど、面白く描いています。
これらの作品は、日本をエキゾシズムから美的に見るという従来の見方ではない、リアルな日本の現状を見る視点があって、インターナショナルコンペティションの「ナオキ」にも通じていますね。
◯農村社会、里山、地域コミュニティをめぐる映画
藤岡:また、今年の特徴として、地域発信ということがいろんな作品に現れているなあと思います。その場合もその地域に属していない人がそういう映画をとっている場合が今回、多いですね。
逗子市の米軍基地をめぐって、土地とコミュニティの関係を扱った「フェンス」もそうした映画です。
「ほんがら」は、近江八幡の老人たちがやっていたお祭りを若い人にどうやって世代交代していくかという町おこしの話です。
_ 「究竟の地 ― 岩崎鬼剣舞の一年」では、農村に伝えられた伝統芸能がテーマですね。
藤岡:過去から未来に向けてのあるコミュニティの再生をどうやっておこなっているか、ということに興味を持っている作家さんの作品が今年は多いです。
_ それだけ、伝統を伝えて来た地域コミュニティの存続が危機に瀕しているということでしょうか。
藤岡:そうですね。それに、外部から地域に入ってきた映像作家だからこそ、そのコミュニティの意味や価値の重要性に着目しているのではないかというのがありますね。
_ 山形国際ドキュメンタリー映画祭の発足に大きく関り、アジア部門の大賞にもその名前が冠されている小川紳介監督も、山形に移住し映画活動をされていたのですね。小川監督の「ニッポン国古屋敷村」は特別招待作品で上映されます。オープニング上映された「阿賀の記憶」は、佐藤真監督が阿賀に滞在して作った映画「阿賀に生きる」をめぐり、さらに記憶をさぐるという映画です。
藤岡:特別招待作品の「稲作ユートピア」は、タイ北部の小規模農家についての映画です。タイでも農業が大型化して家族ぐるみの農家をできなくなってしまっているんですが、映画では映画作家が広いたんぼを借りて、実際に稲作をおこなっています。やはり特別招待作品で上映される日本の映画「こつなぎ」は、岩手県の山の入会権をめぐって、長く裁判闘争をおこなってきた住民の姿を撮影している映画です。
農村社会、里山、地域コミュニティという言葉も、今年のキーワードかなあと思いますね。
_ お話をありがとうございました。
---
【上映作品紹介】
■「カビールを巡る旅」(4作) シャブナム・ヴィルマニ監督(2008年/391分/インド/ビデオ)
現代インドの思想や音楽に息づく15世紀神秘詩人カビールの思想を巡る4部作
■「ナム」 大木裕之監督(2004-2009年/70分/日本/ビデオ)
監督自身もメタモルフォーセスを続ける大木裕之新作ロードムービー
■「アメリカ通り」American Alley
韓国/2008/韓国語、英語/カラー/ビデオ/90分
監督:キム・ドンリョン Kim Dong-ryung
米軍基地が面積の約40%を占めるトンドゥチョン市の「アメリカ通り」で韓国人女性のKが働き続けた40年以上の歴史と、近年増えてきたロシア人、フィリピン人女性の今。
■「長居青春酔夢歌」 Nagai Park Elegy
日本/2009/日本語/カラー/ビデオ/69分
監督:NDS佐藤零郎
大阪の長居公園でブルーシートの家の住人が強制排除されようとしている状況が目の前にある時どうするか。NDS(中崎町ドキュメンタリースペース)製作。
■「改宗」The Convert
タイ/2008/タイ語/カラー/ビデオ/83分
監督:パーヌ・アーリー、コン・リッディー、カウィーニポン・ケットゥプラシット Panu Aree, Kong Rithdee, Kaweenipon Ketprasit
バンコクの仏教徒女性がムスリムのエイクとの結婚を機にイスラム教に改宗する。まっすぐな言葉で緩やかに描かれるロード・ムービー。
■「馬先生の診療所」 Doctor Ma's Country Clinic
中国/2008/中国語/カラー/ビデオ/215分
監督:叢峰(ツォン・フォン) Cong Feng
甘粛省の山間にある、馬先生の東洋医学の診療所。待合室の来訪者の声に耳を澄まし、農村に生きる現実を映し出す。
■「ビラル」 BILAL
インド/2008/ベンガル語/カラー/ビデオ/88分
監督:ソーラヴ・サーランギ Sourav Sarangi
コルカタの喧騒の中、盲目の両親と暮らす3歳のビラル。
■「 ユリ 愛するについて」 YURI--About Loving
ドイツ/2008/日本語/カラー/ビデオ/64分
監督:東美恵子
瀬戸内海のとある島で、監督の友人ユリと48歳年上の「おっちゃん」が出会う。監督はユリに愛するとは?と語りかける。
<ニュー・ドックス・ジャパン部門 より>
■「日々の呟き」A Whispered Life
フランス/2009/ビデオ/110分
監督:ジル・シオネ、マリー=フランシーヌ・ル・ジャリュ Gilles Sionnet, Marie-Francine Le Jalu
太宰治の文章に呼応しながら7人の日本人に、フランス人作者が向かい合う。
■「田中さんはラジオ体操をしない」Tanaka-san Will Not Do Calisthenics
オーストラリア/2008/ビデオ/75分
監督:マリー・デロフスキー Maree Delofski
解雇された会社の前で抗議活動を続ける田中さんと、東京に来たオーストラリア人監督との不思議な友情をユーモアで描く。
■「フェンス」 第一部:失楽園 第二部:断絶された地層
Fence Part One: Lost Paradise, Part Two: Fragmented Stratum
日本/2008/ビデオ/167分
監督:藤原敏史 Fujiwara Toshifumi
米海軍基地のフェンスに隔てられた里山の記憶と今の暮らし。日本社会は戦後の歴史の矛盾にどう向き合ったのか?
■「究竟の地 ― 岩崎鬼剣舞の一年」Ultimate Land--A Year of Iwasaki Onikenbai
日本/2008/ビデオ/161分
監督:三宅流 Miyake Nagaru
岩手県の農村に伝わる郷土芸能・岩崎鬼剣舞。地域の人々の身体に刻まれた伝統の記録。
<特別招待作品より>
■「こつなぎ ― 山を巡る百年物語」
日本/2009/ビデオ/120分
監督 中村一夫 Kazuo Nakamura
岩手県二戸で村民が山の入会権を求めて裁判闘争をおこなってきた軌跡を追う。
日本
写真提供:川島浩
■「稲作ユートピア」Agrarian Utopia
タイ/2009/カラー/122分
監督 ウルポン・ラクササド
タイ北部の小規模農家をフィクション交えた独自のスタイルで描く。
<明日へ向かって 部門より>
EUNIC JAPAN (在日EU文化機関ネットワーク)との共催特集「明日へ向かって」では青少年をテーマとした作品5本が上映される。いずれも、EU圏の監督たちが自国の外へ出て作った作品だ。
■「凧」
Kitesポーランド/2008/ビデオ/79分
監督:ベアタ・ジャノヴィチ Beata Dzianowicz
ポーランド人監督がカブールの芸術学校でアフガンの若者たちに映画を教える。
プログラム等詳細については、以下のサイトへ。
山形国際ドキュメンタリー映画祭
http://www.yidff.jp/2009/2009.html
映画祭の入場券は、1回券(前売り¥1,000、当日¥1,200)、割引となる3枚綴り、10枚綴り券。全作品を鑑賞できるカタログ付き共通鑑賞券(¥10,000)が用意されている。
全国のチケットぴあ(Pコード 461−035)、コンビニ(サークルK、サンクス、ファミリーマート)、宮城、山形、福島のJR東日本みどりの窓口、びゅうプラザ、映画祭事務局で発売中。
(取材・構成 山之内優子)
◯個性的なアジアドキュメンタリー
YIDFFアジア千波万波部門は、アジアの若手ドキュメンタリー作家を支援する目的で解説された部門で、今年は57の国、地域より655作品の応募があり、この中から19本が上映される。
_ アジア若手作家を応援するアジア千波万波部門では、審査員はどんな方ですか?
若井真木子氏 (アジア千波万波部門コーディネーター): 今年の審査員は、インドのシャブナム・ヴィルマニさんと日本の大木裕之さんのお二人にお願いしています。上映されるお二人の作品には、偶々ですが、ロードムービーといえるような共通点があります。
シャブナム監督の映画「カビールを巡る旅」は、インドの詩と音楽と文学の源泉ともいえるカビールというインド15世紀の神秘詩人を巡る映画です。監督のシャブナミさんも歌ったり、踊ったりする方で、監督自身がカビールの言葉が綴られている歌を歌っている吟遊詩人のような方と旅をしていく映画です。これは4部作の大作映画なんですよ。映画の世界に入り込んでトランスするような映画体験ができる映画です。
大木監督の映画も似たところがあって、従来の映画の型にはまらない映画です。今年は新作のロードムービーが上映されます。
_ アジア千波万波のコンペで上映される作品はどんなものですか?
若井:アジア千波万波の作品は、粒ぞろいではない、というと語弊があるかもしれませんが、それぞれ、どこかとがったところがあります。若い映画作家の作品や、あるいはキャリアがあってもまだ、とんがっている作品が多いんです。そういう突き抜けた感じでおもしろいものがあります。
「アメリカ通り」は韓国ベドゥン市の米軍基地周辺の基地村に取材したもの。最近ロシア人とフィリピン人が増えているという現状を写しています。ここで働いている女性たちと同じ世代の女性監督が、約2年ぐらい、基地村で女性たちと関わってから、この映画を撮っています。
「長居青春酔夢歌」は大阪のホームレスのおじさんと支援者の話です。強制排除が起こるときにどう対応するかという映像も写っていて、現代日本のリアルな状況の映画です。
「改宗」は、イスラムの彼と結婚するために、女の子がムスリムに改宗するという話です。「ビラル」はインドカルコタの町に盲目の両親と暮らすビラルという子供の話ですが、彼の顔にはものすごいインパクトを受けました。
日本の監督では、瀬戸内海の島で出会った友人とおじさんとの関係を、日本人の女性監督がおった映画を上映します。監督がドイツの映像大学に留学した際の作品です。
_ プログラムを全部見ると、今、アジア各国で若い人たちが置かれている状況が、リアルに感じられてきそうです。
藤岡:アジア部門では、作品が荒けずりでも若く個性的なものが多いということですね。いびつなものであるほど、そこには何か個性的な魅力ががあるという意味で、この部門では、ウェルメイドなものをならべるというより、変なものをならべるほうが、その個性をひきだすことができるのではないかという精神です。
審査員のシャブナムさんの作品など、コーディネーターの若井もすっかりはまっているんですが(笑)、映画の体験のしかたがひっくりかえるような映画かなあと思います。
◯日本を紹介する視線が新鮮なニュー・ドックスジャパン
_ ニュードックス・ジャパンはどのような特集ですか?
藤岡:日本をめぐる映画を世界に発信するという部門です。今年は10本を上映します。この部門でも、今年は外からきた監督が、ある地域についての映画を作るという傾向があります。
「日々の呟き」はフランス人監督が、太宰治と現代をテーマとした作品。「田中さんはラジオ体操をしないは、オーストラリアの監督が作ったも映画です。オキデンキという会社を解雇され、それに対しての抗議運動を20年近くされている方の魅力を伝えるというものです。今、労働や労働環境についてが問題として、とりあげられることが多いですね。これもそれに関連していますけれど、面白く描いています。
これらの作品は、日本をエキゾシズムから美的に見るという従来の見方ではない、リアルな日本の現状を見る視点があって、インターナショナルコンペティションの「ナオキ」にも通じていますね。
◯農村社会、里山、地域コミュニティをめぐる映画
藤岡:また、今年の特徴として、地域発信ということがいろんな作品に現れているなあと思います。その場合もその地域に属していない人がそういう映画をとっている場合が今回、多いですね。
逗子市の米軍基地をめぐって、土地とコミュニティの関係を扱った「フェンス」もそうした映画です。
「ほんがら」は、近江八幡の老人たちがやっていたお祭りを若い人にどうやって世代交代していくかという町おこしの話です。
_ 「究竟の地 ― 岩崎鬼剣舞の一年」では、農村に伝えられた伝統芸能がテーマですね。
藤岡:過去から未来に向けてのあるコミュニティの再生をどうやっておこなっているか、ということに興味を持っている作家さんの作品が今年は多いです。
_ それだけ、伝統を伝えて来た地域コミュニティの存続が危機に瀕しているということでしょうか。
藤岡:そうですね。それに、外部から地域に入ってきた映像作家だからこそ、そのコミュニティの意味や価値の重要性に着目しているのではないかというのがありますね。
_ 山形国際ドキュメンタリー映画祭の発足に大きく関り、アジア部門の大賞にもその名前が冠されている小川紳介監督も、山形に移住し映画活動をされていたのですね。小川監督の「ニッポン国古屋敷村」は特別招待作品で上映されます。オープニング上映された「阿賀の記憶」は、佐藤真監督が阿賀に滞在して作った映画「阿賀に生きる」をめぐり、さらに記憶をさぐるという映画です。
藤岡:特別招待作品の「稲作ユートピア」は、タイ北部の小規模農家についての映画です。タイでも農業が大型化して家族ぐるみの農家をできなくなってしまっているんですが、映画では映画作家が広いたんぼを借りて、実際に稲作をおこなっています。やはり特別招待作品で上映される日本の映画「こつなぎ」は、岩手県の山の入会権をめぐって、長く裁判闘争をおこなってきた住民の姿を撮影している映画です。
農村社会、里山、地域コミュニティという言葉も、今年のキーワードかなあと思いますね。
_ お話をありがとうございました。
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【上映作品紹介】
■「カビールを巡る旅」(4作) シャブナム・ヴィルマニ監督(2008年/391分/インド/ビデオ)
現代インドの思想や音楽に息づく15世紀神秘詩人カビールの思想を巡る4部作
■「ナム」 大木裕之監督(2004-2009年/70分/日本/ビデオ)
監督自身もメタモルフォーセスを続ける大木裕之新作ロードムービー
■「アメリカ通り」American Alley
韓国/2008/韓国語、英語/カラー/ビデオ/90分
監督:キム・ドンリョン Kim Dong-ryung
米軍基地が面積の約40%を占めるトンドゥチョン市の「アメリカ通り」で韓国人女性のKが働き続けた40年以上の歴史と、近年増えてきたロシア人、フィリピン人女性の今。
■「長居青春酔夢歌」 Nagai Park Elegy
日本/2009/日本語/カラー/ビデオ/69分
監督:NDS佐藤零郎
大阪の長居公園でブルーシートの家の住人が強制排除されようとしている状況が目の前にある時どうするか。NDS(中崎町ドキュメンタリースペース)製作。
■「改宗」The Convert
タイ/2008/タイ語/カラー/ビデオ/83分
監督:パーヌ・アーリー、コン・リッディー、カウィーニポン・ケットゥプラシット Panu Aree, Kong Rithdee, Kaweenipon Ketprasit
バンコクの仏教徒女性がムスリムのエイクとの結婚を機にイスラム教に改宗する。まっすぐな言葉で緩やかに描かれるロード・ムービー。
■「馬先生の診療所」 Doctor Ma's Country Clinic
中国/2008/中国語/カラー/ビデオ/215分
監督:叢峰(ツォン・フォン) Cong Feng
甘粛省の山間にある、馬先生の東洋医学の診療所。待合室の来訪者の声に耳を澄まし、農村に生きる現実を映し出す。
■「ビラル」 BILAL
インド/2008/ベンガル語/カラー/ビデオ/88分
監督:ソーラヴ・サーランギ Sourav Sarangi
コルカタの喧騒の中、盲目の両親と暮らす3歳のビラル。
■「 ユリ 愛するについて」 YURI--About Loving
ドイツ/2008/日本語/カラー/ビデオ/64分
監督:東美恵子
瀬戸内海のとある島で、監督の友人ユリと48歳年上の「おっちゃん」が出会う。監督はユリに愛するとは?と語りかける。
<ニュー・ドックス・ジャパン部門 より>
■「日々の呟き」A Whispered Life
フランス/2009/ビデオ/110分
監督:ジル・シオネ、マリー=フランシーヌ・ル・ジャリュ Gilles Sionnet, Marie-Francine Le Jalu
太宰治の文章に呼応しながら7人の日本人に、フランス人作者が向かい合う。
■「田中さんはラジオ体操をしない」Tanaka-san Will Not Do Calisthenics
オーストラリア/2008/ビデオ/75分
監督:マリー・デロフスキー Maree Delofski
解雇された会社の前で抗議活動を続ける田中さんと、東京に来たオーストラリア人監督との不思議な友情をユーモアで描く。
■「フェンス」 第一部:失楽園 第二部:断絶された地層
Fence Part One: Lost Paradise, Part Two: Fragmented Stratum
日本/2008/ビデオ/167分
監督:藤原敏史 Fujiwara Toshifumi
米海軍基地のフェンスに隔てられた里山の記憶と今の暮らし。日本社会は戦後の歴史の矛盾にどう向き合ったのか?
■「究竟の地 ― 岩崎鬼剣舞の一年」Ultimate Land--A Year of Iwasaki Onikenbai
日本/2008/ビデオ/161分
監督:三宅流 Miyake Nagaru
岩手県の農村に伝わる郷土芸能・岩崎鬼剣舞。地域の人々の身体に刻まれた伝統の記録。
<特別招待作品より>
■「こつなぎ ― 山を巡る百年物語」
日本/2009/ビデオ/120分
監督 中村一夫 Kazuo Nakamura
岩手県二戸で村民が山の入会権を求めて裁判闘争をおこなってきた軌跡を追う。
日本
写真提供:川島浩
■「稲作ユートピア」Agrarian Utopia
タイ/2009/カラー/122分
監督 ウルポン・ラクササド
タイ北部の小規模農家をフィクション交えた独自のスタイルで描く。
<明日へ向かって 部門より>
EUNIC JAPAN (在日EU文化機関ネットワーク)との共催特集「明日へ向かって」では青少年をテーマとした作品5本が上映される。いずれも、EU圏の監督たちが自国の外へ出て作った作品だ。
■「凧」
Kitesポーランド/2008/ビデオ/79分
監督:ベアタ・ジャノヴィチ Beata Dzianowicz
ポーランド人監督がカブールの芸術学校でアフガンの若者たちに映画を教える。
プログラム等詳細については、以下のサイトへ。
山形国際ドキュメンタリー映画祭
http://www.yidff.jp/2009/2009.html
映画祭の入場券は、1回券(前売り¥1,000、当日¥1,200)、割引となる3枚綴り、10枚綴り券。全作品を鑑賞できるカタログ付き共通鑑賞券(¥10,000)が用意されている。
全国のチケットぴあ(Pコード 461−035)、コンビニ(サークルK、サンクス、ファミリーマート)、宮城、山形、福島のJR東日本みどりの窓口、びゅうプラザ、映画祭事務局で発売中。
(取材・構成 山之内優子)