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公開日 2011/01/11 10:30

大胆なデザインと高品位サウンドが両立 − iPhone/iPod対応一体型パーソナルオーディオ「CLX-70」を聴く

ケンウッド新製品レビュー
レビュー/高橋 敦
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KENWOOD「CLX-70」。本体向かって右側にドックを配置したオリジナリティ豊かなデザインが特徴的なモデルだ
iPod対応システムコンポにおいて、iPodドックを本体のどの場所にレイアウトするかというテーマは、全体のデザインの印象を大きく左右するポイントだ。いちばん無難なのは、本体正面か天板の中央に配置することで、全体の左右対称性を崩さないメリットがある。実際に採用例は多い。しかしこのケンウッドの「CLX-70」は挑戦的だ。全体の奥行を縮めたスリムなラインにまとめ、流れる曲線をそのままスムースにつなげて、本体右端を滑らかに削り落としたようなシェイプで、ドックが設置されている。このデザインコンセプトは特に、iPhoneやiPod touchをドックに置いてみたときの収まりが良いと感じる。

天面にスロットローディングタイプのCDドライブを搭載

フロントパネルのフタを開けるとヘッドホン出力端子やUSB、SDカードスロットがあらわれる


本体搭載のコントロールボタンの周囲は、電源投入時にイルミネーションが点灯する

本機付属のリモコン
ドックはデジタル接続タイプ。iPodから音声データをデジタルのままで受け取って本機の側で処理することで、再生音質を高めている。アンプ回路もプリとメインの回路を共にデジタル増幅回路としたフルデジタルプロセッシングで、スピーカー出力直前まで純度の高い増幅を行う。また、このスリムなボディでありながらも、内部には左右独立のスピーカーキャビネットを搭載していることも注目点だ。

iPhone/iPodのデジタル接続に対応するドックを搭載

筆者宅にて、iPhoneに保存した音源を試聴した

実際の音質面を確認していこう。Jacintha「Lush Life」から。ひとつひとつの音の感触は期待以上に迫真。女性ボーカルの立ち姿が揺らぎなくすっとしており、声がよく届いてくる。歌い回しや息づかいの描写も十分。ジャズボーカルの妙を楽しめるだけの再現性を備える。

シンバルは少しざらついた感触だが、それが生々しさにもつながっている。落としどころとしては悪くない。ウッドベースの輪郭は明瞭で音程感もたしか。D-BASS機能(いわゆるベースブースト)を適当に調整することで、音色の太さも得られる。

試聴音源をJimi Hendrix「Valleys Of Neptune」に変えると、高域の荒さが好い方向に発揮され、ドラムスがシンバルもスネアもバシバシッと決まる。一方ギターの歪みは柔らかな倍音感でソフトな印象。描き分けもしっかりとしている。

なお音質補正機能としては、D-BASSの他に、各ジャンルに合わせたプリセットイコライザーも用意されており、D-BASSと排他的に利用できる(同時には利用できない)。また「DTS Envelo Spearker」という機能も用意されており、こちらは音場感を広げるものだ。左右の広がりのみならず前後の立体感も引き出される。

CDからUSBメモリーやSDカードへの録音も行える。録音はMP3/192kbps固定の等速録音

バーチャルサラウンド再生機能「DTS Envelo Speaker」を搭載し、コンパクトな筐体ながら広がり感豊かなサウンドが楽しめる

まずは高いデザイン性に目を惹かれるだろうが、音の方も納得のレベルである。であるからこそ逆に、「デザインが気に入った人は選んでまちがいなし!」と言える製品だ。


【SPEC】●スピーカー形式:バスレフ、フルレンジ70mm ●実用最大出力:20W×2 ●端子:アナログ音声入力、オーディオ入力端子(D.AUDIO IN)、サブウーファープリアウト ●定格消費電力:30W ●外形寸法:465W×188H×105Dmm ●問い合わせ先:ケンウッド カスタマーサポートセンター TEL/0570-010-114

◆筆者プロフィール 高橋 敦
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。

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