公開日 2011/07/19 10:05
スマホ内の音楽/動画をワイヤレスで迫力再生!ワイヤレススピーカーの利便性を高橋敦がチェック
先進の「apt-X」「AAC」コーデック対応で低遅延・音質向上
スマートフォンに「Bluetooth」という機能がついているの、ご存じですか? 保存した音楽や動画などを、ワイヤレスでスピーカーから再生できる機能です。わずらわしいケーブルがないから、置き場所や使用シーンも自由自在。ベッドサイドで、テレビ周りで、浴室で…さまざまな場所/シーンで活躍するワイヤレススピーカー3モデルを、高橋敦氏がレポートします。
スマホ内の音楽/動画をワイヤレスで楽しもう
スマートフォンの音楽再生機能を自宅でも活用したい。そう思ったときにまず考えつくのは、スマートフォンのイヤホン端子からアンプ内蔵スピーカーに接続したり、あるいはiPhoneと専用のDock搭載スピーカーを組み合わせたりというスタイルだろう。
しかしそのスタイルだと、スマートフォンを手で持って操作しにくい、あるいはできなくなってしまうのが難点。それに、音楽を聞いているときメールや着信があった場合も、スピーカーのところまでわざわざ確認しにいかなければならなくなる。スマートフォンならではの操作しやすさを損なってしまうのでは、快適な音楽環境とは言い難い。
そこで解決策。だったら、スマートフォンとスピーカーをワイヤレスで接続すればいいのだ。
実は多くのスマートフォンや多機能ケータイには、Bluetoothという無線機能が初めから搭載されている。なのでBluetooth対応のスピーカーと組み合わせればまさにスマートに、ワイヤレスのスピーカー再生機能を実現できるのだ。
今回は、Bluetoothを利用しての音楽再生に早くから取り組んでいるブランド、ロジテックのBluetoothスピーカー新製品を紹介しよう。
家のいろいろな場所で便利に使える「LBT-MPSP100」
「apt-X」「AAC」コーデックにも対応
「LBT-MPSP100」は、まずはコンパクトさがポイント。デスクトップでもベッドサイドでも邪魔にならないし、ふと音楽を聴きたくなったなら、どの部屋にでもさっと持ち込むことができる。小さなボディながら、出力4.5W+4.5Wを確保しているのも注目だ。
かばんの中でも場所をとらないので、出張や旅行のお供にもよさそうだ。乾電池駆動にも対応しているので、自動車内やアウトドアでの活躍も期待できる。著作権保護機能(SCMS-T)対応なので、音楽はもちろん、スマートフォンのワンセグ音声を楽しむことも可能だ。
機能面での大きなトピックは、スマートフォンとの間の音声伝送コーデックとして、従来からのSBCの他に「apt-X」と「AAC」の2つにも対応したこと。
新コーデックにはまず音質向上という利点があるが、apt-Xにはさらに、音声の遅延が大幅に短くなるという利点もある。
SBC伝送では、送信側での再生から受信側で実際に音が出るまでに約0.2〜0.25秒のタイムラグが発生する。その程度のラグは音楽再生だけならあまり気にならないかもしれない。しかしスマートフォンといえば動画再生機能もポイント。そのときにこのラグが問題になる。例えば役者の口の動きと台詞がずれていたり、音楽の演奏の動きと音がずれていたり。それが何とも気持ち悪いのだ。
対してapt-X伝送でのタイムラグは僅か約0.032秒。映像との時差が気になることはない。この点は、スマートフォンを映像再生機器としても活用している方には、大きなメリットとなるはずだ。
なお、apt-X伝送を実現するには送信側の対応も必要だ。今秋以降に発売されるスマートフォンではapt-X対応が進むと見られているので、情報をチェックしておこう。
またAAC伝送についてはiPhone3GS/iPod Touch3G以降のモデルをiOSのVer.4.3.1以降にアップデートする事で対応可能。これらのモデルをお持ちなら、こちらはすぐにでも導入できる。
ほかに利便性の面では、スマートフォンとの組み合わせにおいて、いわゆるハンズフリー通話も実現。着信時には音楽がフェードアウトして呼び出し音が鳴り、通話を開始すれば本機のスピーカーから相手の声が再生される。
さらには、LBT-MPSP100にBluetooth送信アダプタをセットにしたパッケージ「LDS-TVSP100」も提供される。こちらはテレビとの組み合わせを想定した製品。テレビのイヤホン端子に送信アダプタを接続して利用する。
例えばリビングのテレビを、お父さんやお子さんはソファから、お母さんはキッチンから見ているというようなシチュエーションを考えてみよう。テレビの音量が小さいとお母さんには聞こえないし、大きくするとお父さんお子さんにはうるさい。そこで、キッチンにワイヤレススピーカーを置けば問題解決というわけだ。
そして送信アダプタはもちろんapt-X対応。テレビのスピーカーとワイヤレススピーカーの音声がずれて聞こえて気持ち悪いというようなことはない。
スピーカーとしての実際の音質も、この小ささや価格帯の製品としては十分にクリア。軽快に転がるようなスピード感も特徴的だ。音域バランスとしては中域が押し出されており、ボーカルや台詞を強く届けてくれる。
またテスト環境を用意してiPhoneにて、従来のSBC伝送と新たに対応されたAAC伝送の比較も行ってみた。
改めて較べるとSBCでは、ピアノの強打やボーカルの力を込めた部分に、ささくれた感触がある。AACにするとそれがずいぶんと軽減される印象だ。それとも関連するが、音の強弱の幅、いわゆるダイナミックレンジの表現も、その幅を少し広げる。総じて、より素直な伝送が実現されていると確認できる。
総じてスマートフォンの内蔵スピーカーに対しては明らかに高音質である。スマートフォン内蔵スピーカーの大きな弱点であるステレオ感の薄さあるいは無さについても、本機を使えば解消される。
据え置いてガッツリ使える「LBT-MPSP200SV」
バランスのよい再生能力を持つ
SBCのみ対応ながらも全体的な音質には優れる、「LBT-MPSP200SV」というモデルも用意される。こちらはスピーカー自体のサイズがアップしており、総合的な音質が向上しているのだ。ドラムスやウッドベースの太い響きの空気感などに顕著である。出力もLBT-MPSP100よりアップし、7.5W+7.5Wに増強されている。
高域にはSBC伝送のためか少しのざらつきがあるが、それを強くは感じさせないように音が仕上げられており、耳障りではない。
また帯域バランスはよりフラットな傾向で、ボーカル以外の楽器にも耳を傾けたいという方にはうれしいところだ。
使い勝手の面では、スマートフォンを置くためのスタンドと充電用のUSB端子に注目。スピーカーから離れても、近くにいても使いやすい心配りだ。「LBT-MPSP100」が家のなかのいろいろな場所に持ち歩いて便利に使えるモデルだとすれば、「LBT-MPSP200SV」はベッドサイドやデスクなどに据え置いて集中的に使うのが向いているモデルと言えるのではないだろうか。
お風呂のなかで音楽&動画試聴が可能な「LBT-SPWP100」
着信にも対応できる
最後に「LBT-SPWP100」は、防水仕様が特長だ。お風呂からアウトドアまで、様々な場面での活躍を期待できる。
こちらのポイントは、スピーカー本体のボタンで音楽再生とハンズフリー通話の基本操作を行えること。スマートフォンは濡れる心配のない、例えばお風呂の外の脱衣所に置いておき、スピーカーの側から操作して音楽を楽しみつつ、通話も待ち受けることができる。バスルームやキッチンにぴったりのスピーカーだ。
このようにロジテックのBluetoothスピーカー新製品は、実際に想定されるシチュエーションでの快適さや音の良さを追求し、そして実現した、魅力的な製品である。どの製品も手頃な価格で手に入れやすいのも嬉しいところ。スマートフォンやテレビをいまよりもっと楽しむための、キーアイテムになってくれるのではないだろうか。携帯電話との接続互換性検証を徹底して行っているため、手持ちのスマートフォンで使えるBluetooth機器を検索するシステムも用意されている(こちら)。お手持ちのスマートフォンで使える機器を探してみて、ワイヤレス接続がひらく便利な世界をぜひ体験してみていただきたい。
高橋 敦:プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
スマホ内の音楽/動画をワイヤレスで楽しもう
スマートフォンの音楽再生機能を自宅でも活用したい。そう思ったときにまず考えつくのは、スマートフォンのイヤホン端子からアンプ内蔵スピーカーに接続したり、あるいはiPhoneと専用のDock搭載スピーカーを組み合わせたりというスタイルだろう。
しかしそのスタイルだと、スマートフォンを手で持って操作しにくい、あるいはできなくなってしまうのが難点。それに、音楽を聞いているときメールや着信があった場合も、スピーカーのところまでわざわざ確認しにいかなければならなくなる。スマートフォンならではの操作しやすさを損なってしまうのでは、快適な音楽環境とは言い難い。
そこで解決策。だったら、スマートフォンとスピーカーをワイヤレスで接続すればいいのだ。
実は多くのスマートフォンや多機能ケータイには、Bluetoothという無線機能が初めから搭載されている。なのでBluetooth対応のスピーカーと組み合わせればまさにスマートに、ワイヤレスのスピーカー再生機能を実現できるのだ。
今回は、Bluetoothを利用しての音楽再生に早くから取り組んでいるブランド、ロジテックのBluetoothスピーカー新製品を紹介しよう。
家のいろいろな場所で便利に使える「LBT-MPSP100」
「apt-X」「AAC」コーデックにも対応
「LBT-MPSP100」は、まずはコンパクトさがポイント。デスクトップでもベッドサイドでも邪魔にならないし、ふと音楽を聴きたくなったなら、どの部屋にでもさっと持ち込むことができる。小さなボディながら、出力4.5W+4.5Wを確保しているのも注目だ。
かばんの中でも場所をとらないので、出張や旅行のお供にもよさそうだ。乾電池駆動にも対応しているので、自動車内やアウトドアでの活躍も期待できる。著作権保護機能(SCMS-T)対応なので、音楽はもちろん、スマートフォンのワンセグ音声を楽しむことも可能だ。
機能面での大きなトピックは、スマートフォンとの間の音声伝送コーデックとして、従来からのSBCの他に「apt-X」と「AAC」の2つにも対応したこと。
apt-Xとは? Bluetoothの転送方法(コーデック)。SBCと比較してパケットサイズが小さく、1パケット受信すると即デコードするしくみになっているため、遅延が少ないのが特徴。 |
AACとは? 音声圧縮方式のひとつで、Advanced Audio Codingの略。地上デジタル放送の音声などに使われている。同じデータ転送速度の場合、SBCやMP3に比べて高音質なのが特徴。 |
新コーデックにはまず音質向上という利点があるが、apt-Xにはさらに、音声の遅延が大幅に短くなるという利点もある。
SBC伝送では、送信側での再生から受信側で実際に音が出るまでに約0.2〜0.25秒のタイムラグが発生する。その程度のラグは音楽再生だけならあまり気にならないかもしれない。しかしスマートフォンといえば動画再生機能もポイント。そのときにこのラグが問題になる。例えば役者の口の動きと台詞がずれていたり、音楽の演奏の動きと音がずれていたり。それが何とも気持ち悪いのだ。
対してapt-X伝送でのタイムラグは僅か約0.032秒。映像との時差が気になることはない。この点は、スマートフォンを映像再生機器としても活用している方には、大きなメリットとなるはずだ。
なお、apt-X伝送を実現するには送信側の対応も必要だ。今秋以降に発売されるスマートフォンではapt-X対応が進むと見られているので、情報をチェックしておこう。
またAAC伝送についてはiPhone3GS/iPod Touch3G以降のモデルをiOSのVer.4.3.1以降にアップデートする事で対応可能。これらのモデルをお持ちなら、こちらはすぐにでも導入できる。
ほかに利便性の面では、スマートフォンとの組み合わせにおいて、いわゆるハンズフリー通話も実現。着信時には音楽がフェードアウトして呼び出し音が鳴り、通話を開始すれば本機のスピーカーから相手の声が再生される。
さらには、LBT-MPSP100にBluetooth送信アダプタをセットにしたパッケージ「LDS-TVSP100」も提供される。こちらはテレビとの組み合わせを想定した製品。テレビのイヤホン端子に送信アダプタを接続して利用する。
例えばリビングのテレビを、お父さんやお子さんはソファから、お母さんはキッチンから見ているというようなシチュエーションを考えてみよう。テレビの音量が小さいとお母さんには聞こえないし、大きくするとお父さんお子さんにはうるさい。そこで、キッチンにワイヤレススピーカーを置けば問題解決というわけだ。
そして送信アダプタはもちろんapt-X対応。テレビのスピーカーとワイヤレススピーカーの音声がずれて聞こえて気持ち悪いというようなことはない。
スピーカーとしての実際の音質も、この小ささや価格帯の製品としては十分にクリア。軽快に転がるようなスピード感も特徴的だ。音域バランスとしては中域が押し出されており、ボーカルや台詞を強く届けてくれる。
またテスト環境を用意してiPhoneにて、従来のSBC伝送と新たに対応されたAAC伝送の比較も行ってみた。
改めて較べるとSBCでは、ピアノの強打やボーカルの力を込めた部分に、ささくれた感触がある。AACにするとそれがずいぶんと軽減される印象だ。それとも関連するが、音の強弱の幅、いわゆるダイナミックレンジの表現も、その幅を少し広げる。総じて、より素直な伝送が実現されていると確認できる。
総じてスマートフォンの内蔵スピーカーに対しては明らかに高音質である。スマートフォン内蔵スピーカーの大きな弱点であるステレオ感の薄さあるいは無さについても、本機を使えば解消される。
据え置いてガッツリ使える「LBT-MPSP200SV」
バランスのよい再生能力を持つ
SBCのみ対応ながらも全体的な音質には優れる、「LBT-MPSP200SV」というモデルも用意される。こちらはスピーカー自体のサイズがアップしており、総合的な音質が向上しているのだ。ドラムスやウッドベースの太い響きの空気感などに顕著である。出力もLBT-MPSP100よりアップし、7.5W+7.5Wに増強されている。
高域にはSBC伝送のためか少しのざらつきがあるが、それを強くは感じさせないように音が仕上げられており、耳障りではない。
また帯域バランスはよりフラットな傾向で、ボーカル以外の楽器にも耳を傾けたいという方にはうれしいところだ。
使い勝手の面では、スマートフォンを置くためのスタンドと充電用のUSB端子に注目。スピーカーから離れても、近くにいても使いやすい心配りだ。「LBT-MPSP100」が家のなかのいろいろな場所に持ち歩いて便利に使えるモデルだとすれば、「LBT-MPSP200SV」はベッドサイドやデスクなどに据え置いて集中的に使うのが向いているモデルと言えるのではないだろうか。
お風呂のなかで音楽&動画試聴が可能な「LBT-SPWP100」
着信にも対応できる
最後に「LBT-SPWP100」は、防水仕様が特長だ。お風呂からアウトドアまで、様々な場面での活躍を期待できる。
こちらのポイントは、スピーカー本体のボタンで音楽再生とハンズフリー通話の基本操作を行えること。スマートフォンは濡れる心配のない、例えばお風呂の外の脱衣所に置いておき、スピーカーの側から操作して音楽を楽しみつつ、通話も待ち受けることができる。バスルームやキッチンにぴったりのスピーカーだ。
このようにロジテックのBluetoothスピーカー新製品は、実際に想定されるシチュエーションでの快適さや音の良さを追求し、そして実現した、魅力的な製品である。どの製品も手頃な価格で手に入れやすいのも嬉しいところ。スマートフォンやテレビをいまよりもっと楽しむための、キーアイテムになってくれるのではないだろうか。携帯電話との接続互換性検証を徹底して行っているため、手持ちのスマートフォンで使えるBluetooth機器を検索するシステムも用意されている(こちら)。お手持ちのスマートフォンで使える機器を探してみて、ワイヤレス接続がひらく便利な世界をぜひ体験してみていただきたい。
高橋 敦:プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。