公開日 2012/11/22 10:00
“明るい3Dプロジェクター”との相性抜群 ー エプソン「EH-TW6100W」で楽しむ『アバター3D』
【特別企画】林正儀のイチオシBDソフトレビュー
「アバター」はIMAXなど3D上映館で何度見たことか。でも市販品としては2D版のみの発売だった。それが今回3D版ブルーレイとしてリリースされるのは3Dファン冥利だ。このディスクは3D/2D切り替えに対応しているが、ここでは3Dのみを視聴した。ワイヤレスHDとHDMI接続の画質差などもあわせてチェックしてみたい。
エプソン「EH-TW6100W」で「アバター 3Dブルーレイ&DVDセット」を見る
「EH-TW6100W」のセットアップは、同梱のトランスミッターにBDプレーヤーからのHDMI出力をつなぎ、プロジェクター側で「ワイヤレスHD」の機能をONにする。ワイヤレス接続は簡単に行え、すぐに鮮明な3D映像が楽しめる。
「アバター」ならではの色の緻密さや吸い込まれるような自然な遠近感など、もちろんのことだがワイヤレスでもケーブル接続の時と全く変わらないクオリティで映像が楽しめる。WirelessHDでは1080PのフルHD映像と音声を非圧縮のまま伝送できる。これでプレーヤーとプロジェクターとの間に延々と信号ケーブルを引きまわす必要がなくなり、すっきりとスマートな機器設置が可能になる。
まず冒頭の“チャプター1〜2”、宇宙船内のカプセルのシーンは、誰もがため息をつくほど圧倒的な遠近の描き込みが見事。無重力で活動する隊員の動きが手前から奥の奥までグ〜ンと見通せる。これぞ3Dの手本と言えるほど、ナチュラルな立体描写だろう。カキワリのようなぎこちない3Dとは比較にならないスムーズな移行。映像も鮮明・緻密で、ものすごい情報量だと感嘆する。このチャプターでは宇宙に浮かぶ精密細工のような船体や、黒バックに輝くキラ星の美しさにも見とれてしまった。
もっと美しいのが神秘の星“パンドラ”だ。“チャプター7”では熱帯雨林のようにうっそうとした森や断崖絶壁を、悠然と怪鳥たちが飛び、色彩がとても美しい。このシーンは空撮のようにふわっとした浮遊感があり、まるでパンドラの3Dワールドに迷い込んだような錯覚である。誇張感のない、とても自然な3D描写なのですんなりと目がついていく。疲れるどころか、眼球運動が楽しくてしょうがないという感じである。
“チャプター8”はさわると引っ込む植物花が楽しいが、最後にシュモクザメのようなハンマーヘッドが出現し驚かされる。手前に花があり、奥の方にぶ厚い皮をもった大型獣がいるという構図なので、遠近がとてもリアルなのだ。
よくサラウンドのチェックで使うのが、“チャプター10”の狼獣の夜景シーンだ。あちこちから鳥や獣の声がしてコワさ倍増。映像では黒階調が丁寧なことが要求される。暗い3Dだと黒がつぶれるが、エプソンのEH-TW6100Wであれば明るくグラデーションも丁寧で、闇にらんらんと光る眼が不気味だ。
パンドラではすべての生き物が自然発光し、夜を明るく照らす。ホタルよりもっと深みのある蛍光色の輝き、色あいも多彩そのもの。中でも“チャプター11”の、主人公に精霊が舞い降りるシーンは見逃せない。アバターになったジェイクの体を羽毛のような生物がふんわりと漂い、とても神秘的だ。私のお気に入りシーンのひとつである。
さあ、原住民ナヴィの仲間になるには、怪鳥イクランに乗ることが条件だ。それにはぽっかりと浮くハレルヤマウンテンという岩山をいくつも昇って、ようやく群れにたどり着く。絵画を思わせる幻想的な光景だ。イクランは飛行動物で、固体ごとに色や模様が異なる。
“チャプター17”にかけてはダイナミックな空中飛行にひやひや、わくわくする。崖を急降下しながら、方向を変え蛇行をくりかえす。次の“チャプター18”では真っ赤な羽をもった巨大な怪鳥が空から襲ってくるのだが、このあたりの立体的なスピードと方向感は、3D映像の醍醐味といえるだろう。
霧が立ちこめるパンドラの森には、神の木ホームツリーがそびえている。“チャプター19”あたりから登場するが、この星の命の中心となるようなミステリアスな生命体なのだ。無数の糸のような触覚がナヴィたちの心を癒し、生命の危機さえ救ってくれる。映像的にも透明感のある神秘的で神々しい被写体だから、ノイズ感などなく高画質に見せたいものだ。それがエプソンのEH-TW6100Wなら簡単に再現される。
明るい3D映像でスリル満点のファンタジーワールドを満喫
後半のハイライトは、地球人の軍隊が森やナヴィ族に襲いかかる“チャプター22”からのシークエンスだろう。この数十分のために、製作スタッフはいったいどれだけの時間と予算をかけたのだろうか。隊列を組んだ飛行体からの激しいミサイル攻撃でホームツリーは倒されてしまう。スクリーンいっぱいに巨木が炎上し、黒煙に包まれるこの場面は何度見ても悲しい。
だが反撃がはじまった。空からはイクランの大群が襲い、地上ではハンマーヘッドや狼獣など、みんなの森を守ろうと立ち上がったのだ。怪獣総進撃である。
“チャプター31”の空中大バトルは圧巻だ。映像の遠近法と音響の遠近法をこれほどまでに駆使した3D映画は他にないはずだ。深い位置からミサイルがこちらへ飛んできたり、飛行機がイクランを追って上下左右と目まぐるしく方向をかえる、そのスピード感がスリリング。これも代表的なチェックシーンと太鼓判を押す。
“チャプター33”の地上に降りてからの格闘は、メカロボがナイフをふりまわす肉弾戦だ。ついに地球人が捕獲、降伏するまで一瞬も目が離せない、ハラハラドキの連続だった。このスケールやリアリティは、やはりプロジェクター投写ならではのものだと実感させられた次第だ。
◆プロフィール:林 正儀
福岡県出身。工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術系高校の教師というキャリアを持つ。現在、日本工学院専門学校の講師で、音響・ホームシアターの授業を受け持つ。教鞭をとっている経験から、初心者向けに難しい話題をやさしく説明するテクニックには特に定評がある。
エプソン「EH-TW6100W」で「アバター 3Dブルーレイ&DVDセット」を見る
「EH-TW6100W」のセットアップは、同梱のトランスミッターにBDプレーヤーからのHDMI出力をつなぎ、プロジェクター側で「ワイヤレスHD」の機能をONにする。ワイヤレス接続は簡単に行え、すぐに鮮明な3D映像が楽しめる。
「アバター」ならではの色の緻密さや吸い込まれるような自然な遠近感など、もちろんのことだがワイヤレスでもケーブル接続の時と全く変わらないクオリティで映像が楽しめる。WirelessHDでは1080PのフルHD映像と音声を非圧縮のまま伝送できる。これでプレーヤーとプロジェクターとの間に延々と信号ケーブルを引きまわす必要がなくなり、すっきりとスマートな機器設置が可能になる。
まず冒頭の“チャプター1〜2”、宇宙船内のカプセルのシーンは、誰もがため息をつくほど圧倒的な遠近の描き込みが見事。無重力で活動する隊員の動きが手前から奥の奥までグ〜ンと見通せる。これぞ3Dの手本と言えるほど、ナチュラルな立体描写だろう。カキワリのようなぎこちない3Dとは比較にならないスムーズな移行。映像も鮮明・緻密で、ものすごい情報量だと感嘆する。このチャプターでは宇宙に浮かぶ精密細工のような船体や、黒バックに輝くキラ星の美しさにも見とれてしまった。
もっと美しいのが神秘の星“パンドラ”だ。“チャプター7”では熱帯雨林のようにうっそうとした森や断崖絶壁を、悠然と怪鳥たちが飛び、色彩がとても美しい。このシーンは空撮のようにふわっとした浮遊感があり、まるでパンドラの3Dワールドに迷い込んだような錯覚である。誇張感のない、とても自然な3D描写なのですんなりと目がついていく。疲れるどころか、眼球運動が楽しくてしょうがないという感じである。
“チャプター8”はさわると引っ込む植物花が楽しいが、最後にシュモクザメのようなハンマーヘッドが出現し驚かされる。手前に花があり、奥の方にぶ厚い皮をもった大型獣がいるという構図なので、遠近がとてもリアルなのだ。
よくサラウンドのチェックで使うのが、“チャプター10”の狼獣の夜景シーンだ。あちこちから鳥や獣の声がしてコワさ倍増。映像では黒階調が丁寧なことが要求される。暗い3Dだと黒がつぶれるが、エプソンのEH-TW6100Wであれば明るくグラデーションも丁寧で、闇にらんらんと光る眼が不気味だ。
パンドラではすべての生き物が自然発光し、夜を明るく照らす。ホタルよりもっと深みのある蛍光色の輝き、色あいも多彩そのもの。中でも“チャプター11”の、主人公に精霊が舞い降りるシーンは見逃せない。アバターになったジェイクの体を羽毛のような生物がふんわりと漂い、とても神秘的だ。私のお気に入りシーンのひとつである。
さあ、原住民ナヴィの仲間になるには、怪鳥イクランに乗ることが条件だ。それにはぽっかりと浮くハレルヤマウンテンという岩山をいくつも昇って、ようやく群れにたどり着く。絵画を思わせる幻想的な光景だ。イクランは飛行動物で、固体ごとに色や模様が異なる。
“チャプター17”にかけてはダイナミックな空中飛行にひやひや、わくわくする。崖を急降下しながら、方向を変え蛇行をくりかえす。次の“チャプター18”では真っ赤な羽をもった巨大な怪鳥が空から襲ってくるのだが、このあたりの立体的なスピードと方向感は、3D映像の醍醐味といえるだろう。
霧が立ちこめるパンドラの森には、神の木ホームツリーがそびえている。“チャプター19”あたりから登場するが、この星の命の中心となるようなミステリアスな生命体なのだ。無数の糸のような触覚がナヴィたちの心を癒し、生命の危機さえ救ってくれる。映像的にも透明感のある神秘的で神々しい被写体だから、ノイズ感などなく高画質に見せたいものだ。それがエプソンのEH-TW6100Wなら簡単に再現される。
明るい3D映像でスリル満点のファンタジーワールドを満喫
後半のハイライトは、地球人の軍隊が森やナヴィ族に襲いかかる“チャプター22”からのシークエンスだろう。この数十分のために、製作スタッフはいったいどれだけの時間と予算をかけたのだろうか。隊列を組んだ飛行体からの激しいミサイル攻撃でホームツリーは倒されてしまう。スクリーンいっぱいに巨木が炎上し、黒煙に包まれるこの場面は何度見ても悲しい。
だが反撃がはじまった。空からはイクランの大群が襲い、地上ではハンマーヘッドや狼獣など、みんなの森を守ろうと立ち上がったのだ。怪獣総進撃である。
“チャプター31”の空中大バトルは圧巻だ。映像の遠近法と音響の遠近法をこれほどまでに駆使した3D映画は他にないはずだ。深い位置からミサイルがこちらへ飛んできたり、飛行機がイクランを追って上下左右と目まぐるしく方向をかえる、そのスピード感がスリリング。これも代表的なチェックシーンと太鼓判を押す。
“チャプター33”の地上に降りてからの格闘は、メカロボがナイフをふりまわす肉弾戦だ。ついに地球人が捕獲、降伏するまで一瞬も目が離せない、ハラハラドキの連続だった。このスケールやリアリティは、やはりプロジェクター投写ならではのものだと実感させられた次第だ。
◆プロフィール:林 正儀
福岡県出身。工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術系高校の教師というキャリアを持つ。現在、日本工学院専門学校の講師で、音響・ホームシアターの授業を受け持つ。教鞭をとっている経験から、初心者向けに難しい話題をやさしく説明するテクニックには特に定評がある。