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公開日 2014/02/19 12:00

いま話題の「Bluetooth」ってどんなもの? − 基礎知識から使い方まで解説!

Phile-web編集部
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スマートフォンの普及と共に、その中に保存した音源を無線でオーディオ機器へ伝送して手軽に楽しむことができるワイヤレスオーディオは、メインストリームの存在となった。大手家電メーカーからオーディオブランド、ヘッドホンブランドに至るまで、各社がこぞってバラエティーに富んだ新製品を送りだしている。本稿ではBluetooth規格のおさらいをしつつ、特に今注目を集めている“ポータブルBluetoothスピーカー”を改めて紹介していきたい。

Bluetoothの魅力は「音楽を気軽に楽しめること」


Bluetoothは、現在最も普及しているワイヤレス規格のひとつと言える。ご存じの通り、ほとんどのスマートフォンやタブレット、あるいはパソコンに、Bluetoothが内蔵されている。Bluetoothとは何か、一言で言えば「様々な機器同士を接続する近距離無線通信方式」だ。マウスやキーボードなど周辺機器の接続にも使用されているし、Bluetoothスピーカーやイヤホンとスマートフォンをワイヤレスでつなぎ、音楽信号を伝送することもできる。

Bluetoothの大きな魅力は、スピーカー側、スマートフォン/プレーヤー側共に、圧倒的に対応製品が多いことだろう。また、Wi-Fiルーターなどを介さず1対1でつながるシンプルさや、対応機器同士をかざすだけでペアリングできる「NFC」対応も進み、接続が手軽に行える点なども挙げられる。

対応機器の多さや手軽さもあり、Bluetooth製品を扱ったり選んだりするのに必要な知識はそれほど多くない。それでもBluetoothの仕様で覚えておきたいのが、「プロファイル」と「コーデック」だ。プロファイルとは、様々な用途で用いられるBluetoothについて、使い方ごとに定められた共通の通信手順である。例えば、Bluetoothのオーディオ伝送については、一般的には「A2DP」が用いられている。

ほんの4年前には、iOSもこのA2DPに対応しておらず、Bluetoothによる本格的なオーディオ伝送ができないという状況だった。しかし、今ではスマートフォン、タブレット、パソコンなどBluetooth対応機器のほとんどが、このA2DPに対応している。


<Bluetoothここをチェック!>
■プロファイルとは?
Bluetoothは音楽やデータ、通話音声などさまざまな情報をワイヤレスでやりとりすることができるが、そのためにはデータをやりとりさせたい機器同士が同じプロファイルに対応している必要がある。オーディオ機器の場合は以下に対応しているかをチェック!

A2DP (Advanced Audio Distribution Profile)
スピーカーやヘッドホンにステレオ音声を伝送するためのプロファイル。
AVRCP (Audio/Video Remote Control Profile)
再生/停止などリモコン機能に対応するプロファイル。
HFP (Hands-Free Profile)
ハンズフリー通話に対応するプロファイル。モノラル音声のやりとりや、通信の発信・着信機能を備える。



■NFCとは?
NFCは「Near Field Communication」の略で、近距離無線通信技術の規格のひとつ。NFC対応機器同士をかざすだけでペアリングが完了するので、より簡単&手軽にBluetooth対応機器を使えるのがポイントだ。



■Bluetoothのバージョンとは?
バージョンは現在1.0〜4.0までがリリースされている。スピーカーやイヤホンなどではver.2.1以降に対応していればOK。
ver.2.1:NFCに対応するなど、以前のバージョンよりペアリングが簡略化された。
ver.3.0:通信速度や省電力性が向上した。
ver.4.0:さらに省電力化を実現した。



そして、Bluetoothで音質にこだわるなら「コーデック」に注目したい。Bluetooth伝送においては、基本的に音楽信号が圧縮されている。ようは音質が“劣化”していると言わざるをえないのだ。この圧縮を行うときの仕組みが「コーデック」であり、通常のBluetoothでは「SBC」という方式を用いている。

Bluetooth伝送におけるオーディオ再生の音質を高めるために、圧縮効率の優れたコーデックを採用して音質を高めようというのが「aptX」だ。「aptX」対応のBluetoothスピーカーとスマートフォンを組み合わせれば、SBCに比べて高音質で再生することができる。

ただ、「aptX」はBluetoothスピーカー側の対応に加えて、スマートフォンやタブレットなど送信するプレーヤー側も対応している必要がある。現時点ではiPhoneやiPadはaptXに非対応だ。こうした点にも注意しておきたい。

また「AAC」コーデックに対応したモデルもある。これは、AAC方式で圧縮された音源をそのAACのまま伝送ができるというもので、音質的にメリットがある。こちらも「aptX」同様、採用するモデルが増えている。

<Bluetoothここをチェック!>
■コーデックとは?
データを圧縮・伸長する際の方式のこと。コーデックによって音質が変わるため、製品選びのときは注目したいポイントのひとつだ。

SBC(SubBand Codec):Bluetoothの標準的なコーデック。
AAC:iTunesなどでおなじみの音楽フォーマット「AAC」のファイルをそのまま伝送できるコーデック。AACをSBCに圧縮するプロセスを省略できるので、SBCに比べて音質的に有利。
aptX:SBCの約5分の1程度の圧縮率で済むため、音質的に有利。通信速度も速く、遅延も少ない。ただし利用するためには、Bluetoothスピーカー側はもちろんプレーヤー側もaptXに対応していることが必要だ。


「Bluetoothは音が悪い」は本当?

Bluetoothは音が悪いという印象を持つ方もいるかもしれないが、実際のところどうだろうか。確かに圧縮伝送という点では音質的には不利である。しかし、前述のaptXやAACのようなコーデックに対応した製品やプレーヤーを用いれば、圧縮伝送であることにはかわりないが、より高音質での再生が可能となるのである。

また、もしBluetoothスピーカーが「音が悪い」というイメージがあったとすれば、それはポータブル用途である故の筐体やユニットにかけられるサイズ的な制限、あるいはより一般向けの製品である故のコスト的な制限による部分が大きいと言える。オーディオ的に考えてみれば、手のひらサイズの筐体に小口径のフルレンジユニットを搭載して高音質を実現するというのはどだい難しい話なのである。

しかし、その点はもはや心配いらないだろう。各メーカーが努力を続けた結果、これまでは考えられなかったような音質を、Bluetoothスピーカーで実現できるようになったのだ。限られた筐体サイズとユニット径で高音質を得るための様々な工夫や技術開発に、各社が取り組んでいる。DSPを用いた独自の音質チューニング、パッシブラジエーターを使った低域強化、ユニットの改善やデジタルアンプの強化などにより、Bluetooth伝送やサイズの限界を超えたサウンドが可能となってきたのである。

なお、ワイヤレスオーディオの規格というと、Bluetoothの他に代表的なものとしてAirPlayがある。AirPlayは非圧縮のALAC方式で伝送を行っているため、原理的にはBluetoothより音が良いということになる。しかし、1対1での接続の手軽さ、対応機器の多さ、ペアリングの手軽さなどという点で、Bluetoothは勝っていると言えるだろう。

ポータブル、防水、無指向性などシーンに合わせて製品を選ぼう

今回の特集で取り上げたBluetooh製品に共通するポイントは「デザインや音質にこだわっている」こと、そして「コンパクトで持ち運び可能」なこと、バッテリーを内蔵するなど「様々な場所で使いやすい」ことである。

バッテリーを内蔵しているモデルは、電源環境がない外出先や屋外でも音楽を楽しむことができる。これからの季節、バーベキューやお花見といった屋外のシーンでも、Bluetoothスピーカーは活躍してくれることだろう。音楽を聴きながらスマートフォンを充電できるモデルも登場している。

また、最近では「防水」対応製品も増えている。たとえばSCOSCHEの「boomBOTTOLE」は、アウトドア対応Bluetoothスピーカーのはしりと言える。ボトル型の形状のこの製品は、生活防水と耐衝撃性能を持っており、自転車のボトルホルダーに入れて使う、アウトドアにおいてバックから下げて使うなど、いわゆるスピーカーというイメージとは異なるより広範な用途が可能になっている。

防水/耐衝撃性能を備えるほか、アウトドアユース向けの機能を強化したSCOSCHEの「boomBOTTOLE」

通常のステレオ再生ではなく、無指向性でより広いスイートスポットを提供してくれるモデルは、大勢が集まる場面で大いに役立ってくれる。たとえばULTIMATE EARSの「UE BOOM」は1台で使う場合は360度からそのサウンドを楽しむことができるが、さらに2台を同時に用いてのステレオ再生にも対応している。


ULTIMATE EARSの「UE BOOM」は、1台での利用はもちろん、2台を同時に用いてのステレオ再生にも対応している
また、複数台のスマートフォンやポータブルプレーヤーとのペアリングが可能になった製品も増えた。パーティーやイベントなどで、お互いのお気に入りの音楽を聴かせ合うなんていうシチュエーションには、非常に便利な機能だ。

Bluetoothスピーカーの魅力は何と言っても“音楽を手軽に楽しめる”という点である。しかも、今回紹介するような製品はそこに「音の良さ」も加わる。スマートフォンにイヤホンを組み合わせて「一人で」楽しむのも良いが、たまにはスマートフォンに入っているお気に入りの楽曲を、Bluetoothスピーカーを使って「みんなで」共有してみてはいかがだろうか。

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