公開日 2014/11/14 10:00
鴻池賢三が解説! プロジェクター投影方式の種類と特徴
CRT、LCD、LCoS、DLP…それぞれのメリットは?
※本記事はアクセスが多いため、2018年3月1日に最新の情報に更新しています。
ホームシアター用プロジェクターは、ブラウン管を利用したCRT方式に始まり、新しい映像デバイスの登場と共に進化を続けてきた。現在では、高圧水銀ランプを光原とするLCD(透過型液晶)方式、LCoS(反射型液晶)方式、DLP方式の3方式が主流だ。
各方式には原理面からメリットとデメリットがあり、どの方式が最適かは、ユーザーの用途や予算によって判断が分かれる。ここでは、基礎知識とて、各方式の簡単な原理と、そのメリットおよびデメリットを紹介していこう。
■CRT方式(ブラウン管)
ホームシアタープロジェクターの元祖と言える方式。赤色、緑色、青色をそれぞれ担当する3本のブラウン管を用いることから、「三管式」と呼ばれるケースも多い。映像を映し出す原理は、ブラウン管で作り出した赤色、緑色、青色の映像を、それぞれに配した3組のレンズを通してスクリーン面で重ね合わせ、カラー映像が完成する。
高輝度化が進んだ現代のプロジェクターに比べると、映像が暗いのが最大の弱点。他にも、原則、画面サイズや投写位置が固定されるため、設置場所が自由に選べなかったり、100kg級の重量、赤/緑/青の映像を精密に重ね合わせる微調整が必要など、取扱いが難しい。導入はマニアの専用室がメインと考えて良いだろう。現在、新しい製品は生産されていないが、ブラウン管が描き出す透明感のある色彩、残像感の無いクリアな映像は魅力的で、未だ大切に使用しているファンも多い。
■LCD方式(透過型液晶方式)
現在、ホームシアター用プロジェクターで主流の方式の一つ。映像を作り出すデバイスに透過型液晶パネルを使用する。映像を映し出す原理は、光源のランプを一旦、光の三原色である赤色、緑色、青色に分解。透過型液晶パネルで各色の映像を作った後、プロジェクター内で合成して、1組のレンズから投写する。
透過型液晶デバイスは、切れ間なく連続的に赤色、緑色、青色の光を投射しているので、安定したカラー映像が得られ、赤色、緑色、青色のいずれかを単色で表示するような場面でも、白色表示時と同等に明るく鮮やかな色彩が得られる特長を持つ。製品は、データ用のコンパクトで安価なモデルから、画質重視のホームシアター用ミドルクラスまで豊富で、幅広いニーズに応えてくれるのもメリットだ。
一方、各画素を駆動するための配線が画素間に位置するため、それが映し出される映像に格子のような影となって現れる。言い換えると、画素のツブツブが目立ち易いというデメリットがある。
■LCoS方式(反射型液晶方式)
ハイエンド機を中心に、ホームシアター用プロジェクターで採用されている方式の一つ。映像を作り出すデバイスとして反射型液晶パネルを使用する。映像を映し出す原理は透過型液晶と似ていて、光源のランプを一旦光の三原色である赤色、緑色、青色に分解。反射型液晶パネルで各色の映像を作った後、プロジェクター内で合成して、1組のレンズから投写する。
反射型液晶デバイスは、透過型液晶と同様に安定したカラー映像が得られるのに加え、各画素を駆動するための配線が、画素の裏面に位置するため、画素間の隙間を狭くすることができ、画素のツブツブが目立たず滑らかな映像が得られる。
高画質用途に適したLCoS方式は、4K対応モデルも登場しているが、比較的高価でモデル数も少ないことから、ユーザーにとって選択の自由度が少ないのはデメリットと言えるだろう。マニアのハイエンドシアター向けと言える。
■DLP方式
半導体の開発と生産で世界的大手のテキサス・インスツルメンツ(TI)社が生み出した、DMD(Digital Micromirror Device)を核とするプロジェクション方式。DMDとは、半導体の上に画素数分の小さなミラーを形成したデジタルデバイス。光原からやって来た光に対し、ミラーの方向を変えることで光のオンとオフをコントロールして映像を作り出す。
ホームシアター用では、1つのDMDを用い、カラーホイールで3色〜6色程度に分割したモノカラー映像を、時間差で高速に重ねてカラー映像に見せる単板式が主流。映画館や超ハイエンドホームシアター用では、赤色、緑色、青色にそれぞれ1つ、合計3つのDMDを使用する製品もあるが、数百万円と高価。
DLP方式のメリットは、画素間の隙間が小さく、滑らかで明るい映像。黒の再現性が高く、色付きの無い漆黒と高コントラストも魅力だ。また、原理的に残像が少なくキレの良い映像に根強いファンも多い。
一方、ホームシアター用で主流の単板式は、モノカラー映像を時間差で投影する事から、動きのある映像で色ズレを起こし、個人差は有るものの、虹状の模様(レインボーノイズ)が見えるデメリットがある。このレインボーノイズは映像のパターンや個人差によって知覚されることもあるが、最近ではカラーホイールの分割数を増やしたり高速回転化によって、ここ数年で大きく改善されている。なお、原理的にレインボーノイズの発生しない三板式は100万円前後からと高価で、家庭用としては普及していない。
また最近では、光原のLED化により、赤色、緑色、青色のLEDを高速で切り替えてカラー映像を投写できる単板式が登場。カラーホイールを廃したことで、コンパクト、低価格、レインボーノイズの劇的な低減など、多くのメリットを両立している。ポケットサイズのコンパクトなプロジェクターで開発が進んでおり、さらに今後、フルHD1080pに対応するオプトマ製プロジェクター「HD90」の登場もあり、ホームシアター用としても期待できる新方式だ。
DLP方式は多数のメーカーが製品化を手がけており、価格帯もバリエーションも豊富。手の平サイズのモバイル機から、データ用、ゲーム用、ホームシアター向けまで、ユーザーの多様なニーズにきめ細かく応えてくれる。
(鴻池賢三)
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ホームシアター用プロジェクターは、ブラウン管を利用したCRT方式に始まり、新しい映像デバイスの登場と共に進化を続けてきた。現在では、高圧水銀ランプを光原とするLCD(透過型液晶)方式、LCoS(反射型液晶)方式、DLP方式の3方式が主流だ。
各方式には原理面からメリットとデメリットがあり、どの方式が最適かは、ユーザーの用途や予算によって判断が分かれる。ここでは、基礎知識とて、各方式の簡単な原理と、そのメリットおよびデメリットを紹介していこう。
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■CRT方式(ブラウン管)
ホームシアタープロジェクターの元祖と言える方式。赤色、緑色、青色をそれぞれ担当する3本のブラウン管を用いることから、「三管式」と呼ばれるケースも多い。映像を映し出す原理は、ブラウン管で作り出した赤色、緑色、青色の映像を、それぞれに配した3組のレンズを通してスクリーン面で重ね合わせ、カラー映像が完成する。
高輝度化が進んだ現代のプロジェクターに比べると、映像が暗いのが最大の弱点。他にも、原則、画面サイズや投写位置が固定されるため、設置場所が自由に選べなかったり、100kg級の重量、赤/緑/青の映像を精密に重ね合わせる微調整が必要など、取扱いが難しい。導入はマニアの専用室がメインと考えて良いだろう。現在、新しい製品は生産されていないが、ブラウン管が描き出す透明感のある色彩、残像感の無いクリアな映像は魅力的で、未だ大切に使用しているファンも多い。
■LCD方式(透過型液晶方式)
現在、ホームシアター用プロジェクターで主流の方式の一つ。映像を作り出すデバイスに透過型液晶パネルを使用する。映像を映し出す原理は、光源のランプを一旦、光の三原色である赤色、緑色、青色に分解。透過型液晶パネルで各色の映像を作った後、プロジェクター内で合成して、1組のレンズから投写する。
透過型液晶デバイスは、切れ間なく連続的に赤色、緑色、青色の光を投射しているので、安定したカラー映像が得られ、赤色、緑色、青色のいずれかを単色で表示するような場面でも、白色表示時と同等に明るく鮮やかな色彩が得られる特長を持つ。製品は、データ用のコンパクトで安価なモデルから、画質重視のホームシアター用ミドルクラスまで豊富で、幅広いニーズに応えてくれるのもメリットだ。
一方、各画素を駆動するための配線が画素間に位置するため、それが映し出される映像に格子のような影となって現れる。言い換えると、画素のツブツブが目立ち易いというデメリットがある。
■LCoS方式(反射型液晶方式)
ハイエンド機を中心に、ホームシアター用プロジェクターで採用されている方式の一つ。映像を作り出すデバイスとして反射型液晶パネルを使用する。映像を映し出す原理は透過型液晶と似ていて、光源のランプを一旦光の三原色である赤色、緑色、青色に分解。反射型液晶パネルで各色の映像を作った後、プロジェクター内で合成して、1組のレンズから投写する。
反射型液晶デバイスは、透過型液晶と同様に安定したカラー映像が得られるのに加え、各画素を駆動するための配線が、画素の裏面に位置するため、画素間の隙間を狭くすることができ、画素のツブツブが目立たず滑らかな映像が得られる。
高画質用途に適したLCoS方式は、4K対応モデルも登場しているが、比較的高価でモデル数も少ないことから、ユーザーにとって選択の自由度が少ないのはデメリットと言えるだろう。マニアのハイエンドシアター向けと言える。
■DLP方式
半導体の開発と生産で世界的大手のテキサス・インスツルメンツ(TI)社が生み出した、DMD(Digital Micromirror Device)を核とするプロジェクション方式。DMDとは、半導体の上に画素数分の小さなミラーを形成したデジタルデバイス。光原からやって来た光に対し、ミラーの方向を変えることで光のオンとオフをコントロールして映像を作り出す。
ホームシアター用では、1つのDMDを用い、カラーホイールで3色〜6色程度に分割したモノカラー映像を、時間差で高速に重ねてカラー映像に見せる単板式が主流。映画館や超ハイエンドホームシアター用では、赤色、緑色、青色にそれぞれ1つ、合計3つのDMDを使用する製品もあるが、数百万円と高価。
DLP方式のメリットは、画素間の隙間が小さく、滑らかで明るい映像。黒の再現性が高く、色付きの無い漆黒と高コントラストも魅力だ。また、原理的に残像が少なくキレの良い映像に根強いファンも多い。
一方、ホームシアター用で主流の単板式は、モノカラー映像を時間差で投影する事から、動きのある映像で色ズレを起こし、個人差は有るものの、虹状の模様(レインボーノイズ)が見えるデメリットがある。このレインボーノイズは映像のパターンや個人差によって知覚されることもあるが、最近ではカラーホイールの分割数を増やしたり高速回転化によって、ここ数年で大きく改善されている。なお、原理的にレインボーノイズの発生しない三板式は100万円前後からと高価で、家庭用としては普及していない。
また最近では、光原のLED化により、赤色、緑色、青色のLEDを高速で切り替えてカラー映像を投写できる単板式が登場。カラーホイールを廃したことで、コンパクト、低価格、レインボーノイズの劇的な低減など、多くのメリットを両立している。ポケットサイズのコンパクトなプロジェクターで開発が進んでおり、さらに今後、フルHD1080pに対応するオプトマ製プロジェクター「HD90」の登場もあり、ホームシアター用としても期待できる新方式だ。
DLP方式は多数のメーカーが製品化を手がけており、価格帯もバリエーションも豊富。手の平サイズのモバイル機から、データ用、ゲーム用、ホームシアター向けまで、ユーザーの多様なニーズにきめ細かく応えてくれる。
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