公開日 2014/11/14 10:00
鴻池賢三が語る、DLP投影方式の魅力
DLPが作り出す究極の「デジタル」映像
※本記事はアクセスが多いため、2016年10月24日に最新の情報に更新しています。
■DLPが作り出す究極の「デジタル」映像
DLP方式の魅力は、完全な「デジタル」であること。半導体上に形成されたミラーを用いると言う画期的かつユニークなアイデアにより、映像を映し出すための多くの優れた特性を備えている。
現在一般的な画素型と呼ばれる映像装置は、解像度の見地からは、全てデジタル方式と言える。その中でも、主流の液晶方式は、明暗の階調表現に際し、液晶分子の向きをアナログ的にコントロールすることから、デジタル入力した映像も、パネル直前ではドライバーと呼ばれる表示デバイス駆動用の回路によってアナログ電圧に変換されている。アナログは人間の視覚特性に沿ったメリットがある一方、曖昧さが残るのも事実である。グレードや品質によっては、デジタル入力された映像が持つ情報量を損ないかねない。オーディオに例えれば、デジタル入力した音声もアナログアンプで増幅するイメージだ。
一方、DLP方式は、半導体の上に形成されたミラーの方向を変える事で、光の「オン」と「オフ」の二値で高速にスイッチして映像を作り出す。一定時間内に「オン」の時間が長いほど明るく、短いと暗いと言った具合に明暗をコントロールする。デジタル制御が映像に直結しているので、精密で安定した階調表現が可能という訳だ。オーディオに例えれば、デジタルアンプで増幅するイメージだ。
アナログアンプとデジタルアンプにグレード差、一長一短や好みがあるように、液晶とDLPのどちらが優れているかは一概に言えないが、DLP方式はシンプルかつ精密な、新時代のデジタル映像方式と言える。そしてそこには、画質面で様々なメリットがあるのだ。
1. 明るく滑らか
DLP方式の心臓部は、ミラーを用いた究極の反射型デバイスであるDMD(Digital Micromirror Device)にある。まず、ミラーは光原ランプの光を高効率で反射できる特性を備える。さらに、ミラーを動かす仕組みが裏面にあることで、画素間の隙間も極小化でき、反射面積が広く取れることから、明るい映像を映し出すことができる。また、画素間の隙間が目立たないことで、投写される映像が滑らかで美しいのもDLPの魅力だ。
2. 黒の表現力と圧倒的なネイティブコントラスト
一般的に液晶方式は暗部の階調表現に課題がある。透過型液晶は光漏れをゼロにするのが困難で、黒浮きが生じ、絶対的な黒の締まり、言い換えると黒の表現が苦手である。高品位モデルでは、各種の光学フィルターを設けて減光することで、黒の沈みを改善しているが、輝度が犠牲になるというジレンマもある。
一方、DLP方式は、ミラーで光をオン・オフする構造のため、黒の表現が得意である。加えて、デジタル方式による精密な階調再現性は暗部にも有効で、ディテールの豊かな黒を表現できる。それでいて、明部はミラーをオンにすることにより高効率で輝きを伴う明るさを実現。高画質映像で最も大切な要素の一つと言われるコントラスト性能に優れ、メリハリとキレの良い映像美が実現可能だ。
3. 豊かな色表現
黒の表現能力は、暗部の色彩表現にも大きな効用をもたらす。映像装置における「黒浮き」とは、画素を構成する赤色、緑色、青色の光が漏れている状態である。例えば、暗い赤色を表示したい場合にも、緑色や青色の漏れがあると、加法混色されて色が薄くなってしまうのである。一方、黒の表現能力に長けたDLP方式の場合、漏れ光が少ないため、暗部の色表現が正確で深い色彩の表現も得意。明部から暗部までリニアな色表現は、映像の立体感にも寄与する。
4. 動画解像度の高さ
DMD上に形成されたミラーは、オンとオフで光の反射を瞬時に切り替え可能。超高速でオンとオフがスイッチされるため、残像が少ないのも特長だ。現在、4K解像度のホームシアタープロジェクターが登場しているが、静止画と同等の動画解像度を維持できる製品は存在しない。動画解像度に優れたDLPなら、動きの早い映像や、カメラがパンするようなシーンでも高い解像度を維持でき、高精細で美しく、さらに長時間視聴しても疲れ難いのは何よりだ。
5. 小型、軽量、高信頼
DLPの心臓部であるDMDやカラーホイールを含む光学エンジンは、世界的半導体企業であるTI社によるもの。プロジェクターメーカー毎に特徴を出しにくいというデメリットもあるが、どのメーカーも心臓部の品質は信頼に値する。単板式のDLPエンジンはコンパクトさが特徴で、完成品であるプロジェクターも小型軽量の製品が多い。DLP方式は、小型、軽量、高信頼の証と言える。
■さいごに
一般的な単板式のDLPプロジェクターは、色が虹のように割れたように見えるレインボーノイズ現象が付きまとうが、最近ではカラーホイールの分割数増加や高速回転により、ここ数年でも大きく改善されている。レインボーノイズが気になるユーザーは、是非最新製品を自身の目で確かめて欲しい。また、光原ランプのLED化により、カラーホイールの代わりに、赤色、緑色、青色のLEDを高速に切り替える次世代製品も開発されている。単板式でもレインボーノイズが皆無のDLPプロジェクターが急速に普及しそうだ。今後、ますますDLPプロジェクターから目が離せない。
(鴻池賢三)
Phile-web内オプトマ特設サイト『OPTOMA DLP WORLD』に戻る
■DLPが作り出す究極の「デジタル」映像
DLP方式の魅力は、完全な「デジタル」であること。半導体上に形成されたミラーを用いると言う画期的かつユニークなアイデアにより、映像を映し出すための多くの優れた特性を備えている。
現在一般的な画素型と呼ばれる映像装置は、解像度の見地からは、全てデジタル方式と言える。その中でも、主流の液晶方式は、明暗の階調表現に際し、液晶分子の向きをアナログ的にコントロールすることから、デジタル入力した映像も、パネル直前ではドライバーと呼ばれる表示デバイス駆動用の回路によってアナログ電圧に変換されている。アナログは人間の視覚特性に沿ったメリットがある一方、曖昧さが残るのも事実である。グレードや品質によっては、デジタル入力された映像が持つ情報量を損ないかねない。オーディオに例えれば、デジタル入力した音声もアナログアンプで増幅するイメージだ。
一方、DLP方式は、半導体の上に形成されたミラーの方向を変える事で、光の「オン」と「オフ」の二値で高速にスイッチして映像を作り出す。一定時間内に「オン」の時間が長いほど明るく、短いと暗いと言った具合に明暗をコントロールする。デジタル制御が映像に直結しているので、精密で安定した階調表現が可能という訳だ。オーディオに例えれば、デジタルアンプで増幅するイメージだ。
アナログアンプとデジタルアンプにグレード差、一長一短や好みがあるように、液晶とDLPのどちらが優れているかは一概に言えないが、DLP方式はシンプルかつ精密な、新時代のデジタル映像方式と言える。そしてそこには、画質面で様々なメリットがあるのだ。
1. 明るく滑らか
DLP方式の心臓部は、ミラーを用いた究極の反射型デバイスであるDMD(Digital Micromirror Device)にある。まず、ミラーは光原ランプの光を高効率で反射できる特性を備える。さらに、ミラーを動かす仕組みが裏面にあることで、画素間の隙間も極小化でき、反射面積が広く取れることから、明るい映像を映し出すことができる。また、画素間の隙間が目立たないことで、投写される映像が滑らかで美しいのもDLPの魅力だ。
2. 黒の表現力と圧倒的なネイティブコントラスト
一般的に液晶方式は暗部の階調表現に課題がある。透過型液晶は光漏れをゼロにするのが困難で、黒浮きが生じ、絶対的な黒の締まり、言い換えると黒の表現が苦手である。高品位モデルでは、各種の光学フィルターを設けて減光することで、黒の沈みを改善しているが、輝度が犠牲になるというジレンマもある。
一方、DLP方式は、ミラーで光をオン・オフする構造のため、黒の表現が得意である。加えて、デジタル方式による精密な階調再現性は暗部にも有効で、ディテールの豊かな黒を表現できる。それでいて、明部はミラーをオンにすることにより高効率で輝きを伴う明るさを実現。高画質映像で最も大切な要素の一つと言われるコントラスト性能に優れ、メリハリとキレの良い映像美が実現可能だ。
3. 豊かな色表現
黒の表現能力は、暗部の色彩表現にも大きな効用をもたらす。映像装置における「黒浮き」とは、画素を構成する赤色、緑色、青色の光が漏れている状態である。例えば、暗い赤色を表示したい場合にも、緑色や青色の漏れがあると、加法混色されて色が薄くなってしまうのである。一方、黒の表現能力に長けたDLP方式の場合、漏れ光が少ないため、暗部の色表現が正確で深い色彩の表現も得意。明部から暗部までリニアな色表現は、映像の立体感にも寄与する。
4. 動画解像度の高さ
DMD上に形成されたミラーは、オンとオフで光の反射を瞬時に切り替え可能。超高速でオンとオフがスイッチされるため、残像が少ないのも特長だ。現在、4K解像度のホームシアタープロジェクターが登場しているが、静止画と同等の動画解像度を維持できる製品は存在しない。動画解像度に優れたDLPなら、動きの早い映像や、カメラがパンするようなシーンでも高い解像度を維持でき、高精細で美しく、さらに長時間視聴しても疲れ難いのは何よりだ。
5. 小型、軽量、高信頼
DLPの心臓部であるDMDやカラーホイールを含む光学エンジンは、世界的半導体企業であるTI社によるもの。プロジェクターメーカー毎に特徴を出しにくいというデメリットもあるが、どのメーカーも心臓部の品質は信頼に値する。単板式のDLPエンジンはコンパクトさが特徴で、完成品であるプロジェクターも小型軽量の製品が多い。DLP方式は、小型、軽量、高信頼の証と言える。
■さいごに
一般的な単板式のDLPプロジェクターは、色が虹のように割れたように見えるレインボーノイズ現象が付きまとうが、最近ではカラーホイールの分割数増加や高速回転により、ここ数年でも大きく改善されている。レインボーノイズが気になるユーザーは、是非最新製品を自身の目で確かめて欲しい。また、光原ランプのLED化により、カラーホイールの代わりに、赤色、緑色、青色のLEDを高速に切り替える次世代製品も開発されている。単板式でもレインボーノイズが皆無のDLPプロジェクターが急速に普及しそうだ。今後、ますますDLPプロジェクターから目が離せない。
(鴻池賢三)
Phile-web内オプトマ特設サイト『OPTOMA DLP WORLD』に戻る