• ブランド
    特設サイト
公開日 2017/09/27 10:27

【製品批評】アキュフェーズ「DP-430」― 新開発回路でさらなる進化を遂げたCD専用プレーヤー

サウンドはニュートラル
小林 貢
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
製品批評


CDプレーヤー
ACCUPHASE
DP-430
¥330,000(税抜)



DP-430のベースとなったのは、2013年に発表されたDP-410である。その前作であるDP-400からDP-410のモデルチェンジのスパンが5年であった事を考えると、ほぼ計画通りの新型機の投入という事になる。型番やデザイン、据え置きとなった価格などからマイナーチェンジの範疇ではと考えてしまうが、実際には随所に大幅な手が加えられている。

DP-430前面

CDトランスポート部に高剛性、高精度の自社開発CDドライブを搭載しているのは前作と共通。フローティング構造のトラバース・メカニズムを採用しているが、ここはCDドライブ本体と異なり軽量化。そして厳選したシリコン系ダンパーにより支えている。DAC部は同社独自のMDS変換方式を継続して搭載しているが、前作DP-410がPCM1796を4回路並列接続していたのに対し、本機ではAK4490EQを4基搭載し、4回路並列動作させている。

背面

もうひとつの大きな変更点はフィルターアンプであり、新開発のANCC(アキュフェーズ・ノイズ&ディストーション・キャンセリング・サーキット)が搭載されている。同回路は初段で発生する歪みやノイズを後段アンプで打ち消し歪みを極小化するという。AK4490EQとANCCの搭載により、DP-410に比べSN比が114dBから117dB、歪み率が0.001%から0.0008%へと大幅に改善されている。

内部構造

USB DACは384kHz/32bit、11.2MHzまでのDSDに対応する。電源トランスはアナログ部、デジタル部を分離・独立巻きとしてDAコンバーターはレファレンス電源を強化、安定度を高め低雑音化を実現している。また音質劣化が少なく精緻なデジタル式の音量コントロールをDAC内で行うことで、雑音の発生を伴うことなく-60dBまでの音量調整を可能にしている。

本機は従来機以上に、色づけや固有の響きを感じさせない、鮮度感の高いニュートラルなサウンドが聴ける。独立系レーベルの高音質録音CDを聴くと、多くのCDでは制作・録音サイドがCDのスペックを生かしきっていなかったのでは、と思えてくる。

『ブルックナー』ではホールの空間の透明度が高まり、これまで聴いてきたCD再生機以上に広がりのある音場空間に、ピュアで瑞々しい響きの楽音が浮かび上がってくる。DSD方式で一発録音した筆者制作の『ジュビレーション』は、これまで聴いてきた以上に鮮度の高さが際立ち2人のトロンボーン奏者のソロチェンジも溌剌として、2本のトロンボーンの音色の違いも、より正確に表現された。そして20〜30Hz付近の超低域成分が高密度で記録された『レヴェランス』でも、キックドラムやベースの量感やブーミングを強めることなく再生する。

高音質、高品位なCD専用機はある意味で希少といえるが、それだけに本機に惹かれるオーディオファンにとって貴重な存在となるに違いない。

(小林 貢)


Specifications
<トランスポート部>●フォーマット:CD標準フォーマット(44.1kHz/16bit)、エラー訂正方式/CIRC、チャンネル数/2チャンネル、回転数/500〜200rpm(CLV)線速度/1.2〜1.4m/s ●読み取り方式:非接触光学式読み取り ●レーザーダイオード/発光波長:GaAlAs(ダブルヘテロ接合可視光半導体レーザーダイオード)/667nm ●トランスポート出力:COAXIAL/IEC 60958準拠、OPTICAL/JEITA CP−1212準拠 <デジタル.プロセッサー部> ●入力:COAXIAL/IEC60958 AES−3準拠、OPTICAL/JEITA CP−1212準拠、USB/USB2.0ハイスピード(480Mbps)準拠 ●対応フォーマット:COAXIAL/32kHz〜192kHz(各16〜24bit 2ch PCM)、OPTICAL/32kHz〜96kHz(各16〜24bit 2ch PCM)、USB/32kHz〜384kHz(各16〜32bit 2ch PCM)2.8224MHz 5.6448MHz 11.2896MHz(1bit 2ch DSD)(11.2896MHz:ASIOのみ)●DAC:4MDS方式 ●周波数特性:0.7Hz〜50kHz +0、−3.0dB ●全高調波歪率:0.0008%(20Hz〜20kHz)●SN比:117dB ●ダイナミックレンジ:113dB ●チャンネルセパレーション:113dB ●出力電圧/出力インピーダンス:2.5V/50Ω ●出力レベルコントロール:0dB〜−60.0dB(デジタル方式)1dBステップ <全体> ●消費電力:13W ●サイズ:465W×151H×393Dmm ●質量:14.0kg ●取り扱い:アキュフェーズ(株)



※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 ヤマダデンキ、「ブラックフライデー」セールを11/16より開始。ベスト電器、マツヤデンキでも開催
2 iPhone買い換え、手持ちモデルを手放す際に必ずやっておくべきこととは?
3 ケーブル接続の「バランス/アンバランス」ってつまり何?
4 「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ」11月23日・24日開催。出展メーカーや連続試聴イベントの内容はコチラ!
5 <Inter BEE>ゼンハイザー、国内未発売製品を初お披露目/NHK、“自由に変形する”ディスプレイ/コルグ「Live Extreme」試聴デモ
6 THIEAUDIO「Origin」は低音好き垂涎!骨伝導搭載・クアッドハイブリッド構成のイヤホンを聴く
7 B&Wの人気シリーズ、トゥイーター・オン・トップ式ブックシェルフ3機種の魅力を探る
8 ビクター“nearphones”「HA-NP1T」速攻レビュー! イヤーカフ型ながら聴きイヤホンを女性ライターが使ってみた
9 MUSE HiFi、真空管搭載ポータブルDAC/AMP「M5 ULTRA」。ESS社と独自回路を共同開発
10 スピーカーの“原音再生”をデジタルフィルターで解決!テレビや車に搭載広がるEilex PRISMの秘密に迫る
11/15 10:43 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX