公開日 2019/07/13 07:00
ソニー「WF-1000XM3」対アップル「AirPods」、遅延に強い完全ワイヤレスイヤホンはどっち?
iPhoneとの組み合わせで検証
ソニーから話題の完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」が、本日7月13日より発売された。5つ星級のノイズキャンセリング性能や優れた遮音性、そしてなにより高音質と、ソニーが力を注ぎ込んだ本命モデルだ。
さらにこのWF-1000XM3、特徴として左右独立伝送を実現している。それもAndroid端末だけでなく、iPhoneなどiOS端末でも左右独立伝送できるのがキーポイントだろう。
この左右独立伝送により、ソニーは「本体の左右側それぞれがプレーヤーからのBluetooth信号を同時に伝送することで、接続安定性が大幅に向上」したと説明している。さらには「動画視聴の際の映像と音声のずれを前モデルから約1/4に低減」させたというのだ。
そう言えば、このようなアピールをしたモデルが最近あった。遅延の少なさでは完全ワイヤレス最強の一角、アップルの新「AirPods」だ。
AirPodsもまた、左右独立伝送に対応したモデル。さらに、第2世代へと進化したなかで、接続の高速化・安定化を実現するとともに、「ゲームの遅延を最大30%改善」したことをプッシュしている。
WF-1000XM3は1/4に低減、AirPodsは30%改善。従来モデルとの比較ではあるし、一方は動画視聴で、もう一方はゲームでと条件が異なっているが、大幅な遅延対策が行われたことには変わりない。
低遅延をプッシュするこの2モデル、どちらがより遅延しないのだろう? ということで、試聴比較してみた。なお、今回はiPhone 7 Plusとの組み合わせで確認している。またWF-1000XMは「接続優先」モードを選んだ。
■Netflixで映像鑑賞の遅延をチェック
まずは映像鑑賞での遅延を確認していく。結論を先に言えば、両モデルの遅延の差はほぼ感じられない。そしてそもそも、両モデルともに遅延がほとんど感じられない。
セリフのリップシンクや、爆発から轟音が響くまでのスムーズさ、ビタッと決まるSEのタイミングなどなど。そのすべてにおいて、WF-1000XM3もAirPodsも、ワイヤレスはここまで来たのだなと感心するしかないほどにハイレベルだ。
ただ、これはある程度わかっていたことでもある。以前に新旧AirPodsの遅延を確認した際にも、遅延は気にならない程度にしか発生していなかった。それに左右独立伝送方式ではない完全ワイヤレスイヤホンでも、最近のモデルはそう目くじらを立てるような遅延は感じられないからだ。
■スマホゲームでチェック
では、ゲームではどうだろうか。まずは遅延しないに越したことはないゲームとして『Fate/Grand Order』をプレイしてみる。
ここで差が現れた。WF-1000XM3の方が、遅れている。ほんの僅かにだが、タップしてから音が耳に届くまで、少しの遅れを感じる。
ただし、AirPodsが遅れていないわけではない。遅延という面ではかなり優秀なAirPodsだが、本当に少しだけだが絵と音にズレがある。それよりさらに僅かながら遅れるのがWF-1000XM3だ。付け加えると、旧AirPodsはギリギリの接戦で、WF-1000XM3より遅れている。つまり新AirPods>WF-1000XM3>旧AirPodsの順で遅延性能が優秀というランキングだ。
続いてアイドルリズムゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』。いわゆる音ゲーだが、これは正直、AirPodsもWF-1000XM3も厳しい。
そもそも0.1秒の遅延がスコアに直結する音ゲーにおいて、それがほんの少しであっても遅延している時点で厳しいのは当たり前だ。
あえて言うならば、AirPodsの方が遅延が少ないため、WF-1000XM3より戦える。その差としては、タップしたときの「シャン」音が “ズレてるな” と感じるのがAirPods、裏打ちしているように聴こえるのがWF-1000XM3という感じだ。ただ、音楽と降ってくるアイコンのタイミング自体が合っていないので、「シャン」音がどうだろうとあまり関係はないかもしれない。
しかし、フォローするわけではないが、それでも低遅延を謳わない一般的な完全ワイヤレスイヤホンに対しては、両モデルとも明らかに遅延していない。高次元なところで競っていることは誤解なきようお伝えしておきたい。
■遅延だけを気にするならAirPods、でも・・・
このように、遅延だけでチェックしてみると、映像鑑賞では差がなく、ゲームではAirPodsの勝利という結果となった。
ただし、音質という面では、遅延の僅かな差とは比べ物にならないくらい開きがある。WF-1000XM3の圧勝だ。遅延しか確認しないつもりだったのに、これほどに音が違うとさすがに言わざるを得ない。
FGOでは一つ一つの攻撃の音の迫力がまったく違うし、宝具も「モーション変更されたのかな?」というくらいカッコよく感じられる。セリフもクリアで聞いていて気持ちが良い。スマホから音を直出しよりも格段に快適にプレイできる。
デレステも、(遅れに目をつぶれば)一番重要なポイントとも言える音楽の情報量が明らかにアップして、「こんな音が入っていたんだ」という驚きすらある。MVでアイドルたちのライブを楽しむなら、このクオリティの向上は一度体験しておいて損はない。
映像鑑賞は言うまでもないだろう。遅延に差がない以上、音質の差がなにより大きい。ノイズキャンセリングやDSEE HX技術によるアップスケーリングでの高音質化など、さらに差を広げる要素も多い。
またAndroid端末の場合、aptXなど低遅延コーデックに対応するならばWF-1000XM3が遅延面でも追いつく、もしくは上に立つだろう。
こうなるとAirPodsの旗色がかなり悪いが、「気軽」「少し価格が安い」「ゲームの遅延が少ない」という点で勝っているのは確か。自身のライフスタイルにはどの要素がマッチするのか? 製品選びの参考になれば幸いだ。
さらにこのWF-1000XM3、特徴として左右独立伝送を実現している。それもAndroid端末だけでなく、iPhoneなどiOS端末でも左右独立伝送できるのがキーポイントだろう。
この左右独立伝送により、ソニーは「本体の左右側それぞれがプレーヤーからのBluetooth信号を同時に伝送することで、接続安定性が大幅に向上」したと説明している。さらには「動画視聴の際の映像と音声のずれを前モデルから約1/4に低減」させたというのだ。
そう言えば、このようなアピールをしたモデルが最近あった。遅延の少なさでは完全ワイヤレス最強の一角、アップルの新「AirPods」だ。
AirPodsもまた、左右独立伝送に対応したモデル。さらに、第2世代へと進化したなかで、接続の高速化・安定化を実現するとともに、「ゲームの遅延を最大30%改善」したことをプッシュしている。
WF-1000XM3は1/4に低減、AirPodsは30%改善。従来モデルとの比較ではあるし、一方は動画視聴で、もう一方はゲームでと条件が異なっているが、大幅な遅延対策が行われたことには変わりない。
低遅延をプッシュするこの2モデル、どちらがより遅延しないのだろう? ということで、試聴比較してみた。なお、今回はiPhone 7 Plusとの組み合わせで確認している。またWF-1000XMは「接続優先」モードを選んだ。
■Netflixで映像鑑賞の遅延をチェック
まずは映像鑑賞での遅延を確認していく。結論を先に言えば、両モデルの遅延の差はほぼ感じられない。そしてそもそも、両モデルともに遅延がほとんど感じられない。
セリフのリップシンクや、爆発から轟音が響くまでのスムーズさ、ビタッと決まるSEのタイミングなどなど。そのすべてにおいて、WF-1000XM3もAirPodsも、ワイヤレスはここまで来たのだなと感心するしかないほどにハイレベルだ。
ただ、これはある程度わかっていたことでもある。以前に新旧AirPodsの遅延を確認した際にも、遅延は気にならない程度にしか発生していなかった。それに左右独立伝送方式ではない完全ワイヤレスイヤホンでも、最近のモデルはそう目くじらを立てるような遅延は感じられないからだ。
■スマホゲームでチェック
では、ゲームではどうだろうか。まずは遅延しないに越したことはないゲームとして『Fate/Grand Order』をプレイしてみる。
ここで差が現れた。WF-1000XM3の方が、遅れている。ほんの僅かにだが、タップしてから音が耳に届くまで、少しの遅れを感じる。
ただし、AirPodsが遅れていないわけではない。遅延という面ではかなり優秀なAirPodsだが、本当に少しだけだが絵と音にズレがある。それよりさらに僅かながら遅れるのがWF-1000XM3だ。付け加えると、旧AirPodsはギリギリの接戦で、WF-1000XM3より遅れている。つまり新AirPods>WF-1000XM3>旧AirPodsの順で遅延性能が優秀というランキングだ。
続いてアイドルリズムゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』。いわゆる音ゲーだが、これは正直、AirPodsもWF-1000XM3も厳しい。
そもそも0.1秒の遅延がスコアに直結する音ゲーにおいて、それがほんの少しであっても遅延している時点で厳しいのは当たり前だ。
あえて言うならば、AirPodsの方が遅延が少ないため、WF-1000XM3より戦える。その差としては、タップしたときの「シャン」音が “ズレてるな” と感じるのがAirPods、裏打ちしているように聴こえるのがWF-1000XM3という感じだ。ただ、音楽と降ってくるアイコンのタイミング自体が合っていないので、「シャン」音がどうだろうとあまり関係はないかもしれない。
しかし、フォローするわけではないが、それでも低遅延を謳わない一般的な完全ワイヤレスイヤホンに対しては、両モデルとも明らかに遅延していない。高次元なところで競っていることは誤解なきようお伝えしておきたい。
■遅延だけを気にするならAirPods、でも・・・
このように、遅延だけでチェックしてみると、映像鑑賞では差がなく、ゲームではAirPodsの勝利という結果となった。
ただし、音質という面では、遅延の僅かな差とは比べ物にならないくらい開きがある。WF-1000XM3の圧勝だ。遅延しか確認しないつもりだったのに、これほどに音が違うとさすがに言わざるを得ない。
FGOでは一つ一つの攻撃の音の迫力がまったく違うし、宝具も「モーション変更されたのかな?」というくらいカッコよく感じられる。セリフもクリアで聞いていて気持ちが良い。スマホから音を直出しよりも格段に快適にプレイできる。
デレステも、(遅れに目をつぶれば)一番重要なポイントとも言える音楽の情報量が明らかにアップして、「こんな音が入っていたんだ」という驚きすらある。MVでアイドルたちのライブを楽しむなら、このクオリティの向上は一度体験しておいて損はない。
映像鑑賞は言うまでもないだろう。遅延に差がない以上、音質の差がなにより大きい。ノイズキャンセリングやDSEE HX技術によるアップスケーリングでの高音質化など、さらに差を広げる要素も多い。
またAndroid端末の場合、aptXなど低遅延コーデックに対応するならばWF-1000XM3が遅延面でも追いつく、もしくは上に立つだろう。
こうなるとAirPodsの旗色がかなり悪いが、「気軽」「少し価格が安い」「ゲームの遅延が少ない」という点で勝っているのは確か。自身のライフスタイルにはどの要素がマッチするのか? 製品選びの参考になれば幸いだ。