公開日 2019/07/22 11:08
Sonosが“いい音”をリビングに取り戻す − 最新モデル「Sonos Amp」体験イベントをレポート
マルチルームやサラウンド再生も体験
ワイヤレスオーディオを牽引し、世界中で人気を集めるオーディオブランド Sonos。同ブランドの最新モデル「Sonos Amp」については、ファイルウェブはいちやはくレビュー記事をお届けした。このSonos AmpをはじめとするSonos製品を体験できるスペシャルイベントが、6月15日に東京・渋谷で開催された。
Sonos Ampは、Sonos独自のワイヤレス機能を内蔵し、音楽ストリーミングからアナログ入力まで幅広いソースを再生できるプリメインアンプ。7月から直販サイトなどで発売されている。70,800円(税抜)という価格でコンパクトなサイズながら、125W/chの出力を実現。さらにはHDMI ARC入力の搭載やAirplay2対応など、豊富な機能性も誇る。
イベント前日にはメディア向け内覧も開催されたが(関連ニュース)、一般の方にとっては今回がSonos Ampをいち早く体験できる機会とあり、当日はあいにくの雨にもかかわらず大勢の方にご参加いただいた。
会場となった「EDGEof」は8つのフロアから構成され、スタートアップ企業などが集うコミュニケーションスペース。今回は8階のEDGEof Clubが会場に選ばれた。キッチン/リビング/ダイニング/ベッドルームをワンスペースに配置した広々とした空間には、Sonosの各製品を配置。実際の家の中のように、Sonosならではのシームレスな音楽体験ができるような環境が用意された。
■Sonosは「世界中の音楽を1つのアプリでコントロールできる」
本イベントのために、Sonos社でヨーロッパ・アジア全域を担当するInstalled Solution LeadのPatrick Gall氏がアムステルダムから来日。Sonos Japanのジェネラルマネージャーの瀬戸和信氏と共に、Sonosの特徴や、Sonos Ampの詳細について説明を行った。また、オーディオ評論家 土方久明氏が、実際に使用した体験をもとにSonosの魅力を紹介した。
Sonosが日本に導入されたのは昨年10月だが、創業は2002年。米サンタバーバラで設立されて、ネットワークオーディオやワイヤレススピーカーの先駆的ブランドとして、欧米中心に人気を集めてきた。瀬戸和信氏は、「Sonosは世界で1,900万台以上、約800万世帯で使用されています」と紹介。Wi-Fiネットワークを用いたワイヤレス再生やマルチルーム再生を特徴とする同社のスピーカーは、音楽ストリーミングとの親和性も高く、ストリーミングの隆盛と共に、さらに多くのユーザーへと普及していった。
現在Sonosは、ワイヤレススピーカーとして「Sonos One」や「Sonos Play:5」といったワイヤレススピーカー、「Sonos Beam」や「Sonos PlayBar」「Sonos Playbase」といったサウンドバー/テレビボード型スピーカーをはじめ、サブウーファー、アンプなどをラインナップ。いずれもSonosのネットワーク機能に対応している。
Sonosは「Listen Better」をコンセプトに掲げている。この言葉には、音楽があることで、家族や友人との会話もはずみ、さらに楽しい時間が過ごせることをもっと多くの方に体験してほしいというメッセージが込められているという。
瀬戸氏はライフスタイルやメディアの変化の中で、「“新しい音楽との出会い”がすごく減っているのでは」と感じていたと話す。また、イヤホンやヘッドホンなどのパーソナルなオーディオの普及の一方で、誰かと音楽を一緒に楽しむという贅沢な時間が減っている中で、Sonosの使命は「良い音をリビングなどの生活空間に取り戻すこと」だと語った。
Sonosならではの音楽体験とは何か。瀬戸氏は「世界中の音楽をたった1つのアプリで自在にコントロールして再生できます」とアピールする。Sonosアプリは、日本では50を超える音楽ストリーミングを横断的に再生できる。しかも、土方氏が後述するように、誰でも扱える優れた操作性を備え、部屋中のSonosから自由自在に再生できる。
瀬戸氏は実際に、会場に設置された複数のスピーカーやアンプを手元のタブレットでコントロールするデモを実施。各スピーカーから別の音楽を鳴らしたり、スピーカーごとに音量を変えたり、全てのスピーカーを同期させたりと、自在な再生を実際に聴かせてくれた。「音を聴くというより、音を浴びるという感覚になることができます」と瀬戸氏は話すが、実際に体験するとまさに言葉の通りだ。正確な同期や音場補正の効果もあるのだろう、複数のSonosによる包まれるようなサウンドには、ステレオ再生とはまた異なる魅力がある。
全製品に対して継続的なソフトウェア・アップデートを行うことで、過去の製品も「常に最新の状態」で扱えることも紹介。長い間安心して使えることもSonosの魅力だという。
このように先進的なSonosシステムにおいて、Sonos Ampは「既存のシステムとのブリッジの役割を果たします」と瀬戸氏。例えば、Sonos Ampがあれば、すでに所有しているお気に入りのスピーカーで、Sonosならではの自由自在な音楽体験を享受できる。CDプレーヤーやフォノイコ内蔵レコードプレーヤーを接続して、アプリから入力切り替えもできる。「既存のオーディオ資産をSonos化するための“ブリッジ”の役割を果たすのです」と瀬戸氏は語る。
■出力と機能性をさらに進化させたSonos Amp
Patrick Gall氏は、Sonos Amp開発の背景や特徴について説明を行った。同社は「Connect:Amp」というネットワーク対応アンプを10年にわたりラインナップしていたが、Sonos Ampはこのロングセラー機を大きく進化させたものだ。開発にあたっては、インストーラーやオーディオマニア、そしてユーザーに徹底したヒアリングを行ったが、多く寄せられた意見が「さらなる高出力」「テレビとの接続性の強化」「Airplay2への対応」「デザイン」の4つだったという。
Gall氏は、まずは優れた出力を実感してほしいとSonos Ampで音楽を再生。プレゼンではELACのフロア型スピーカーシステム「VELA FS407.2」(ペア/700,000円・税抜)が組み合わせられたが、価格は約10倍のスピーカーシステムを、Sonos Ampは悠々と鳴らす。75%ほどのボリューム位置で、広い会場でも十分な音量が取れている。Gall氏は「大型スピーカーも鳴らすことができる駆動力を獲得することができた」とそのサウンドに自信を見せた。
テレビとの接続性については、ARC対応のHDMIを搭載することで解決。IRセンサーを本体前面に搭載し、テレビのリモコンからアンプの音量などを操作することも可能だ。また光デジタル入力にも対応しているため(別売の光アダプターが必要)、ARCに対応していないテレビの音声も入力できる。
AirPlay 2への対応も果たし、さらに広範なコンテンツの再生も可能になった。そのほか、オーディオファンにはお馴染みのRoonにも対応するなど、Sonos以外のネットワーク機能にも対応することで、既存システムとの共存もしやすい。Gall氏は「Sonosのマジックはソフトウェアにある」と語り、アプリを含む優れたソフトウェアが優れたユーザー体験を提供することを強調していた。
■Sonos Ampはピュアオーディオとしても使える実力を持つ
Gall氏からバトンを受けて登場したのは、オーディオ評論家の土方久明氏。土方氏にはSonos AmpのレビューをPHILE WEBですでに執筆してもらっているように、長期間にわたってSonos AmpをはじめとするSonos製品を実際に自宅で使っている。
特にネットワークオーディオへの造詣が深い土方氏だが、日本上陸前からSonosには注目していたとのこと。日本においても、オーディオに関わる人達の間でSonosの実力は知られていて、話題に上がることも度々だったと話す。
音楽リスニングのスタイルが大きく変化し始めた2000年頃以降、IT技術に強みのあるメーカーがオーディオにおいても存在感を高めてきたと土方氏。「Sonosはその代表のひとつ」と述べた。さらに、音楽ストリーミングの普及により、その選曲や操作を担うアプリが、優れた音楽体験を実現する重要な要素だとした。その上で、「Sonosのアプリの仕上がりは大変素晴らしいもので、このカテゴリーのアプリの中でナンバーワンといえる」と評価した。
Amazon AlexaやGoogleアシスタント(※SonosにおけるGoogleアシスタントの日本国内対応は2020年初旬を予定)といった音声アシスタントも、音楽リスニングに大きな変化をもたらしている。しかし、Hi-Fiオーディオを嗜むファンはその恩恵を受けることが従来難しく、音楽ストリーミングやスマートスピーカーを中心とする最新の音楽リスニングと、伝統的なオーディオリスニングの間に乖離を感じていたという。
「アプリや音声アシスタントと音楽ストリーミングを組み合わせることで実現する豊かな音楽体験と、伝統的なHi-Fiオーディオの楽しみ方、Sonos Ampはこの2つをつなぎ合わせることができるのです」と土方氏は話す。これまで使ってきたお気に入りのスピーカーで、Sonosならではのオーディオ体験が可能になるのだ。
最初のデモでは、ホセ・ジェイムズ「Just The Two Of Us」をApple Musicから再生。今回使用したスピーカー、ELAC「VELA FS407.2」は、十分な駆動力を持ったアンプを組み合わせないと、低域のコントロールが難しい。「Sonos Ampは、VELA FS407.2の低域をしっかりと制動してくれ、聴きどころであるベースラインの躍動感やリアリティを引き出してくれました。だから、この曲の独特のリズムを味わうことができるのです」と土方氏は話す。
土方氏はこれだけコンパクトなアンプながら、Hi-Fiオーディオにおける重要なポイントである質感表現や定位感を再現していることも特筆できると紹介。「こういった部分は、ある意味で出力以上に、コンパクトなアンプでは引き出しにくい要素ですが、Sonos Ampはそれらをしっかり再現しています。パワフルで明瞭な音調も魅力ですが、音場再現にも予想以上で、Hi-Fiオーディオとしても十分に使える」と評した。また、デモではレコードプレーヤーで再生した音楽をSonos Ampから再生した。
土方氏はSonosのユーザビリティーの高さについても高く評価。自宅でSonosを使い始めたところ、ふだんオーディオ機器を取材しているときは興味を持たない家族が、気づくとSonosで音楽を日常的に聴いていたというエピソードを紹介した。
「Sonos Ampをはじめ、Sonosを使うことで、音楽を聴く時間が自然と増えるという実感がありました。それが何より、Sonosの素晴らしさの証明になるのではないでしょうか」とプレゼンを結んだ。
■Sonosはホームシアターにも発展する
Sonos AmpおよびSonosシステムの大きな特徴として、各機器を組み合わせて4.1chサラウンドシステムを構築できることがある。今回のイベントでは、Sonos Ampがフロント2ch、2基のSonos Oneがリア2chを担う4chシアターシステムも会場に用意された(今回はフロント2chに使用したFOCALのスピーカーシステム「Chorus 706」の低域再生能力を踏まえ、あえてサブウーファーを用いたなかった)。
サラウンドシステムの構築というと煩雑なイメージもあるかもしれないが、Sonos製品の場合、アプリを操作するだけの簡単な設定でサラウンド設定が行える。Sonos Amp以外にも、例えば同社のサウンドバー「Sonos Playbar」もフロント3chとして用いることができる。
Sonosシステムによる4.0chサラウンドの臨場感は想像以上で、自然な包まれ感とダイナミックなサウンドで映画を楽しませてくれる。今回はBDプレーヤーから映画を再生したが、Sonos AmpのHDMI端子はARC対応なので、テレビとSonos AmpをHDMIケーブルで接続しておけば、テレビに接続した様々なソース機器のサウンドを楽しむことができる。
Gall氏は「センターレスのフロント2chでも繋がりが自然なサラウンドが得られるように、DSPやチューニングで工夫しています」と語っていた。
プレゼンテーションと試聴の後、来場した方々にSonosに触れてもらい、体験していただく時間が設けられた。会場ではSonos Ampだけでなく、Sonos OneやSonos Play:5も音が聴ける状況で複数用意され、家に設置した場合のようにマルチルーム再生を楽しむことができた。また、来場者からはGall氏や瀬戸氏に多くの質問を投げかけ、Sonosに対する関心の高さが改めて伺えた。
◇
音楽ストリーミングの登場によって、私たちは素晴らしい音楽の膨大なアーカイブにいつでも簡単にアクセスできるようになった。しかし、それはある意味で、膨大な音楽の海へ投げ出されたようなものでもあり、むしろ何を聴けばいいのか、どうやって聴けばいいのか、迷ってしまっている方も多いのではないだろうか。
Sonosがあれば、一生かかっても聴き切れないだろう音楽の海を自在に行き来して、素晴らしい音楽を体験することができる。さらには、Sonos Ampのような既存のオーディオとSonosの世界を橋渡ししてくれる製品も用意されている。ぜひ、Sonosを実際に使って、自由自在に音楽を楽しみ尽くしてほしい。
Sonos Ampは、Sonos独自のワイヤレス機能を内蔵し、音楽ストリーミングからアナログ入力まで幅広いソースを再生できるプリメインアンプ。7月から直販サイトなどで発売されている。70,800円(税抜)という価格でコンパクトなサイズながら、125W/chの出力を実現。さらにはHDMI ARC入力の搭載やAirplay2対応など、豊富な機能性も誇る。
イベント前日にはメディア向け内覧も開催されたが(関連ニュース)、一般の方にとっては今回がSonos Ampをいち早く体験できる機会とあり、当日はあいにくの雨にもかかわらず大勢の方にご参加いただいた。
会場となった「EDGEof」は8つのフロアから構成され、スタートアップ企業などが集うコミュニケーションスペース。今回は8階のEDGEof Clubが会場に選ばれた。キッチン/リビング/ダイニング/ベッドルームをワンスペースに配置した広々とした空間には、Sonosの各製品を配置。実際の家の中のように、Sonosならではのシームレスな音楽体験ができるような環境が用意された。
■Sonosは「世界中の音楽を1つのアプリでコントロールできる」
本イベントのために、Sonos社でヨーロッパ・アジア全域を担当するInstalled Solution LeadのPatrick Gall氏がアムステルダムから来日。Sonos Japanのジェネラルマネージャーの瀬戸和信氏と共に、Sonosの特徴や、Sonos Ampの詳細について説明を行った。また、オーディオ評論家 土方久明氏が、実際に使用した体験をもとにSonosの魅力を紹介した。
Sonosが日本に導入されたのは昨年10月だが、創業は2002年。米サンタバーバラで設立されて、ネットワークオーディオやワイヤレススピーカーの先駆的ブランドとして、欧米中心に人気を集めてきた。瀬戸和信氏は、「Sonosは世界で1,900万台以上、約800万世帯で使用されています」と紹介。Wi-Fiネットワークを用いたワイヤレス再生やマルチルーム再生を特徴とする同社のスピーカーは、音楽ストリーミングとの親和性も高く、ストリーミングの隆盛と共に、さらに多くのユーザーへと普及していった。
現在Sonosは、ワイヤレススピーカーとして「Sonos One」や「Sonos Play:5」といったワイヤレススピーカー、「Sonos Beam」や「Sonos PlayBar」「Sonos Playbase」といったサウンドバー/テレビボード型スピーカーをはじめ、サブウーファー、アンプなどをラインナップ。いずれもSonosのネットワーク機能に対応している。
Sonosは「Listen Better」をコンセプトに掲げている。この言葉には、音楽があることで、家族や友人との会話もはずみ、さらに楽しい時間が過ごせることをもっと多くの方に体験してほしいというメッセージが込められているという。
瀬戸氏はライフスタイルやメディアの変化の中で、「“新しい音楽との出会い”がすごく減っているのでは」と感じていたと話す。また、イヤホンやヘッドホンなどのパーソナルなオーディオの普及の一方で、誰かと音楽を一緒に楽しむという贅沢な時間が減っている中で、Sonosの使命は「良い音をリビングなどの生活空間に取り戻すこと」だと語った。
Sonosならではの音楽体験とは何か。瀬戸氏は「世界中の音楽をたった1つのアプリで自在にコントロールして再生できます」とアピールする。Sonosアプリは、日本では50を超える音楽ストリーミングを横断的に再生できる。しかも、土方氏が後述するように、誰でも扱える優れた操作性を備え、部屋中のSonosから自由自在に再生できる。
瀬戸氏は実際に、会場に設置された複数のスピーカーやアンプを手元のタブレットでコントロールするデモを実施。各スピーカーから別の音楽を鳴らしたり、スピーカーごとに音量を変えたり、全てのスピーカーを同期させたりと、自在な再生を実際に聴かせてくれた。「音を聴くというより、音を浴びるという感覚になることができます」と瀬戸氏は話すが、実際に体験するとまさに言葉の通りだ。正確な同期や音場補正の効果もあるのだろう、複数のSonosによる包まれるようなサウンドには、ステレオ再生とはまた異なる魅力がある。
全製品に対して継続的なソフトウェア・アップデートを行うことで、過去の製品も「常に最新の状態」で扱えることも紹介。長い間安心して使えることもSonosの魅力だという。
このように先進的なSonosシステムにおいて、Sonos Ampは「既存のシステムとのブリッジの役割を果たします」と瀬戸氏。例えば、Sonos Ampがあれば、すでに所有しているお気に入りのスピーカーで、Sonosならではの自由自在な音楽体験を享受できる。CDプレーヤーやフォノイコ内蔵レコードプレーヤーを接続して、アプリから入力切り替えもできる。「既存のオーディオ資産をSonos化するための“ブリッジ”の役割を果たすのです」と瀬戸氏は語る。
■出力と機能性をさらに進化させたSonos Amp
Patrick Gall氏は、Sonos Amp開発の背景や特徴について説明を行った。同社は「Connect:Amp」というネットワーク対応アンプを10年にわたりラインナップしていたが、Sonos Ampはこのロングセラー機を大きく進化させたものだ。開発にあたっては、インストーラーやオーディオマニア、そしてユーザーに徹底したヒアリングを行ったが、多く寄せられた意見が「さらなる高出力」「テレビとの接続性の強化」「Airplay2への対応」「デザイン」の4つだったという。
Gall氏は、まずは優れた出力を実感してほしいとSonos Ampで音楽を再生。プレゼンではELACのフロア型スピーカーシステム「VELA FS407.2」(ペア/700,000円・税抜)が組み合わせられたが、価格は約10倍のスピーカーシステムを、Sonos Ampは悠々と鳴らす。75%ほどのボリューム位置で、広い会場でも十分な音量が取れている。Gall氏は「大型スピーカーも鳴らすことができる駆動力を獲得することができた」とそのサウンドに自信を見せた。
テレビとの接続性については、ARC対応のHDMIを搭載することで解決。IRセンサーを本体前面に搭載し、テレビのリモコンからアンプの音量などを操作することも可能だ。また光デジタル入力にも対応しているため(別売の光アダプターが必要)、ARCに対応していないテレビの音声も入力できる。
AirPlay 2への対応も果たし、さらに広範なコンテンツの再生も可能になった。そのほか、オーディオファンにはお馴染みのRoonにも対応するなど、Sonos以外のネットワーク機能にも対応することで、既存システムとの共存もしやすい。Gall氏は「Sonosのマジックはソフトウェアにある」と語り、アプリを含む優れたソフトウェアが優れたユーザー体験を提供することを強調していた。
■Sonos Ampはピュアオーディオとしても使える実力を持つ
Gall氏からバトンを受けて登場したのは、オーディオ評論家の土方久明氏。土方氏にはSonos AmpのレビューをPHILE WEBですでに執筆してもらっているように、長期間にわたってSonos AmpをはじめとするSonos製品を実際に自宅で使っている。
特にネットワークオーディオへの造詣が深い土方氏だが、日本上陸前からSonosには注目していたとのこと。日本においても、オーディオに関わる人達の間でSonosの実力は知られていて、話題に上がることも度々だったと話す。
音楽リスニングのスタイルが大きく変化し始めた2000年頃以降、IT技術に強みのあるメーカーがオーディオにおいても存在感を高めてきたと土方氏。「Sonosはその代表のひとつ」と述べた。さらに、音楽ストリーミングの普及により、その選曲や操作を担うアプリが、優れた音楽体験を実現する重要な要素だとした。その上で、「Sonosのアプリの仕上がりは大変素晴らしいもので、このカテゴリーのアプリの中でナンバーワンといえる」と評価した。
Amazon AlexaやGoogleアシスタント(※SonosにおけるGoogleアシスタントの日本国内対応は2020年初旬を予定)といった音声アシスタントも、音楽リスニングに大きな変化をもたらしている。しかし、Hi-Fiオーディオを嗜むファンはその恩恵を受けることが従来難しく、音楽ストリーミングやスマートスピーカーを中心とする最新の音楽リスニングと、伝統的なオーディオリスニングの間に乖離を感じていたという。
「アプリや音声アシスタントと音楽ストリーミングを組み合わせることで実現する豊かな音楽体験と、伝統的なHi-Fiオーディオの楽しみ方、Sonos Ampはこの2つをつなぎ合わせることができるのです」と土方氏は話す。これまで使ってきたお気に入りのスピーカーで、Sonosならではのオーディオ体験が可能になるのだ。
最初のデモでは、ホセ・ジェイムズ「Just The Two Of Us」をApple Musicから再生。今回使用したスピーカー、ELAC「VELA FS407.2」は、十分な駆動力を持ったアンプを組み合わせないと、低域のコントロールが難しい。「Sonos Ampは、VELA FS407.2の低域をしっかりと制動してくれ、聴きどころであるベースラインの躍動感やリアリティを引き出してくれました。だから、この曲の独特のリズムを味わうことができるのです」と土方氏は話す。
土方氏はこれだけコンパクトなアンプながら、Hi-Fiオーディオにおける重要なポイントである質感表現や定位感を再現していることも特筆できると紹介。「こういった部分は、ある意味で出力以上に、コンパクトなアンプでは引き出しにくい要素ですが、Sonos Ampはそれらをしっかり再現しています。パワフルで明瞭な音調も魅力ですが、音場再現にも予想以上で、Hi-Fiオーディオとしても十分に使える」と評した。また、デモではレコードプレーヤーで再生した音楽をSonos Ampから再生した。
土方氏はSonosのユーザビリティーの高さについても高く評価。自宅でSonosを使い始めたところ、ふだんオーディオ機器を取材しているときは興味を持たない家族が、気づくとSonosで音楽を日常的に聴いていたというエピソードを紹介した。
「Sonos Ampをはじめ、Sonosを使うことで、音楽を聴く時間が自然と増えるという実感がありました。それが何より、Sonosの素晴らしさの証明になるのではないでしょうか」とプレゼンを結んだ。
■Sonosはホームシアターにも発展する
Sonos AmpおよびSonosシステムの大きな特徴として、各機器を組み合わせて4.1chサラウンドシステムを構築できることがある。今回のイベントでは、Sonos Ampがフロント2ch、2基のSonos Oneがリア2chを担う4chシアターシステムも会場に用意された(今回はフロント2chに使用したFOCALのスピーカーシステム「Chorus 706」の低域再生能力を踏まえ、あえてサブウーファーを用いたなかった)。
サラウンドシステムの構築というと煩雑なイメージもあるかもしれないが、Sonos製品の場合、アプリを操作するだけの簡単な設定でサラウンド設定が行える。Sonos Amp以外にも、例えば同社のサウンドバー「Sonos Playbar」もフロント3chとして用いることができる。
Sonosシステムによる4.0chサラウンドの臨場感は想像以上で、自然な包まれ感とダイナミックなサウンドで映画を楽しませてくれる。今回はBDプレーヤーから映画を再生したが、Sonos AmpのHDMI端子はARC対応なので、テレビとSonos AmpをHDMIケーブルで接続しておけば、テレビに接続した様々なソース機器のサウンドを楽しむことができる。
Gall氏は「センターレスのフロント2chでも繋がりが自然なサラウンドが得られるように、DSPやチューニングで工夫しています」と語っていた。
プレゼンテーションと試聴の後、来場した方々にSonosに触れてもらい、体験していただく時間が設けられた。会場ではSonos Ampだけでなく、Sonos OneやSonos Play:5も音が聴ける状況で複数用意され、家に設置した場合のようにマルチルーム再生を楽しむことができた。また、来場者からはGall氏や瀬戸氏に多くの質問を投げかけ、Sonosに対する関心の高さが改めて伺えた。
音楽ストリーミングの登場によって、私たちは素晴らしい音楽の膨大なアーカイブにいつでも簡単にアクセスできるようになった。しかし、それはある意味で、膨大な音楽の海へ投げ出されたようなものでもあり、むしろ何を聴けばいいのか、どうやって聴けばいいのか、迷ってしまっている方も多いのではないだろうか。
Sonosがあれば、一生かかっても聴き切れないだろう音楽の海を自在に行き来して、素晴らしい音楽を体験することができる。さらには、Sonos Ampのような既存のオーディオとSonosの世界を橋渡ししてくれる製品も用意されている。ぜひ、Sonosを実際に使って、自由自在に音楽を楽しみ尽くしてほしい。