公開日 2021/09/21 06:30
「テレワーク用イヤホン」のメリットとは? 約1700円のお手軽機、JVC「HA-FR9」を試す
リモートワークでの使い勝手はいかに?
■テレワーク用イヤホンについて考える
自宅用PCの使いみちといえば、WEBページの閲覧やメールの送受信といった「インターネット」、動画や音楽を再生する「マルチメディア」がすぐに思い浮かぶ。建前では文書作成など業務寄りの機能・アプリも備えているが、もっぱら趣味と日常生活の道具として利用してきたのではないだろうか。
しかし、この1、2年でその認識が大きく変化した。社会の変化によりテレワーク対応が求められ、自宅用PCを仕事に使うことが日常の風景に。テレビ会議やWEB会議と呼ばれる「会議参加者の声と映像を受信しながら自分の声と映像を送信する」アプリへの対応が必須となり、それにあわせPC周りのスペックも見直さざるをえなくなった。
スペック見直しの要点は3つ、「音」と「映像」、そして「(インターネット接続の)速度」ということになるが、なかでも着手しやすく費用対効果が大きいのは「音」。相手の声をクリアに、自分の声も鮮明に相手に届けるには、テレワークを考慮した設計のイヤホンを導入することが近道といえる。イヤホンにはワイヤードかワイヤレス(Bluetooth)かという2つの選択肢があるが、扱いやすさと費用対効果でいえば断然ワイヤードが有利だ。
ワイヤードイヤホンはPCのイヤホン端子(ステレオミニジャック)に挿せばOK、定期的な充電の必要もなければバッテリー不足で窮地に陥ることもない。充電ケース/ケーブルも必要なし、使用後は適当に結わえてPCの横にでも置いておけばいい。マイク装備をうたう製品(端子は4極なので見分けが付く)であれば、オーディオ再生兼集音用として利用できる。
音質についても、Bluetoothイヤホンのほとんどは音声通話にHFPプロファイルを使用するため、声以外の帯域に含まれる情報は大幅にカットされてしまうが、ワイヤードイヤホンで集音した音は基本的に無圧縮/無劣化でテレビ会議アプリに伝わる(相手のところへ送信される過程で圧縮されるが)。技術的には古いワイヤードだが、音質的にはいまだ優位性があるのだ。
もちろん、PCとつなぐケーブルが存在しないというワイヤレスイヤホンのアドバンテージは大きい。環境雑音をAIで取り除くなど最新技術・トレンドを導入した製品も多く、ワイヤレスイヤホンが注目を集める理由にも納得だ。しかし、費用対効果という視点に立ち返ると、仕事で使うならこれでいいんじゃないか、と思わせるワイヤードイヤホンがあることもまた事実だ。
そう思わせた製品が、JVCブランドから発売されたテレワーク用イヤホン「HA-FR9」。どこがどのようにテレワーク用なのか、実際にテレビ会議/ウェビナー(テレビ会議システムを利用したオンライン発表会)で利用したときのインプレッションを紹介してみよう。
■ワイヤードだからこその優位性とは
HA-FR9を箱から出して最初に気付いた点が、リモコン部のデザイン。オーディオ用イヤホンは、この部分に再生/停止ボタンやボリュームボタンが配置されているところ、本機ではマイクをオン/オフするスイッチが用意されている。イヤホン本体のマイクを(電気的に)オン/オフするため、テレビ会議アプリの設定に影響を受けないところがミソだ。うっかりマイクを切り忘れ独り言が漏れ伝わる、という「テレビ会議あるある」はこれで確実に回避できる。
MacBookで試してみたが、マイクのスイッチがオンのときリモコン部に息を吹きかけると、システム環境設定「サウンド」パネル/入力タブの入力音量グラフはすぐに反応したが、スイッチをオフにすると無反応になる。ZOOMの設定パネルも同様に、外部マイクとして認識されてはいるものの、大声を出してもマイクの入力レベルに反応はない。Mac/Windowsとも、マイクを電気的にオフにする手順は意外に複雑だから、これはなかなか重宝する機能といえるだろう。
HA-FR9で集音した自分の声を聴いてみたが、ときどきBluetoothイヤホンで感じられるデジタル加工したような印象のない、自然な声だ。録音した自分の声は何度聞いても慣れないが、 “無加工感” は確かにある。
流れで、ストリーミングサービス(Apple Music)も試してみた。Official髭男dism「プリテンダー」、Tom Misch「Disco Yes」、吉田美奈子「恋は流星」、Andy Gibb「永遠の愛」と思いつくままに古今東西のポップスを再生したところ、これがなかなかイケる。
ドライバーは9mm径のダイナミック型だけあって低域には厚みがあり、ボーカルは歯切れよくギターのカッティングも心地いい。フリューゲルホンの音色にも光沢感があり、伸びやかだ。サ行がやや刺さり気味なこと、もう少しシルキーさが欲しいことなど、オーディオ目線では粗い部分も否めないが、仕事の合間に気分転換で音楽を愉しむにはじゅうぶんな力がある。
テレワーク用にイヤホンでも...そう思い立ったときには、まず自分が必要としている機能が何なのかよく考えてみよう。音楽鑑賞なのか通話なのか、ワイヤレスなのかワイヤードなのか。これまで視野になかった通話重視のワイヤードイヤホンが最良の選択肢だった、という可能性も大いにありうるはずだ。
自宅用PCの使いみちといえば、WEBページの閲覧やメールの送受信といった「インターネット」、動画や音楽を再生する「マルチメディア」がすぐに思い浮かぶ。建前では文書作成など業務寄りの機能・アプリも備えているが、もっぱら趣味と日常生活の道具として利用してきたのではないだろうか。
しかし、この1、2年でその認識が大きく変化した。社会の変化によりテレワーク対応が求められ、自宅用PCを仕事に使うことが日常の風景に。テレビ会議やWEB会議と呼ばれる「会議参加者の声と映像を受信しながら自分の声と映像を送信する」アプリへの対応が必須となり、それにあわせPC周りのスペックも見直さざるをえなくなった。
スペック見直しの要点は3つ、「音」と「映像」、そして「(インターネット接続の)速度」ということになるが、なかでも着手しやすく費用対効果が大きいのは「音」。相手の声をクリアに、自分の声も鮮明に相手に届けるには、テレワークを考慮した設計のイヤホンを導入することが近道といえる。イヤホンにはワイヤードかワイヤレス(Bluetooth)かという2つの選択肢があるが、扱いやすさと費用対効果でいえば断然ワイヤードが有利だ。
ワイヤードイヤホンはPCのイヤホン端子(ステレオミニジャック)に挿せばOK、定期的な充電の必要もなければバッテリー不足で窮地に陥ることもない。充電ケース/ケーブルも必要なし、使用後は適当に結わえてPCの横にでも置いておけばいい。マイク装備をうたう製品(端子は4極なので見分けが付く)であれば、オーディオ再生兼集音用として利用できる。
音質についても、Bluetoothイヤホンのほとんどは音声通話にHFPプロファイルを使用するため、声以外の帯域に含まれる情報は大幅にカットされてしまうが、ワイヤードイヤホンで集音した音は基本的に無圧縮/無劣化でテレビ会議アプリに伝わる(相手のところへ送信される過程で圧縮されるが)。技術的には古いワイヤードだが、音質的にはいまだ優位性があるのだ。
もちろん、PCとつなぐケーブルが存在しないというワイヤレスイヤホンのアドバンテージは大きい。環境雑音をAIで取り除くなど最新技術・トレンドを導入した製品も多く、ワイヤレスイヤホンが注目を集める理由にも納得だ。しかし、費用対効果という視点に立ち返ると、仕事で使うならこれでいいんじゃないか、と思わせるワイヤードイヤホンがあることもまた事実だ。
そう思わせた製品が、JVCブランドから発売されたテレワーク用イヤホン「HA-FR9」。どこがどのようにテレワーク用なのか、実際にテレビ会議/ウェビナー(テレビ会議システムを利用したオンライン発表会)で利用したときのインプレッションを紹介してみよう。
■ワイヤードだからこその優位性とは
HA-FR9を箱から出して最初に気付いた点が、リモコン部のデザイン。オーディオ用イヤホンは、この部分に再生/停止ボタンやボリュームボタンが配置されているところ、本機ではマイクをオン/オフするスイッチが用意されている。イヤホン本体のマイクを(電気的に)オン/オフするため、テレビ会議アプリの設定に影響を受けないところがミソだ。うっかりマイクを切り忘れ独り言が漏れ伝わる、という「テレビ会議あるある」はこれで確実に回避できる。
MacBookで試してみたが、マイクのスイッチがオンのときリモコン部に息を吹きかけると、システム環境設定「サウンド」パネル/入力タブの入力音量グラフはすぐに反応したが、スイッチをオフにすると無反応になる。ZOOMの設定パネルも同様に、外部マイクとして認識されてはいるものの、大声を出してもマイクの入力レベルに反応はない。Mac/Windowsとも、マイクを電気的にオフにする手順は意外に複雑だから、これはなかなか重宝する機能といえるだろう。
HA-FR9で集音した自分の声を聴いてみたが、ときどきBluetoothイヤホンで感じられるデジタル加工したような印象のない、自然な声だ。録音した自分の声は何度聞いても慣れないが、 “無加工感” は確かにある。
流れで、ストリーミングサービス(Apple Music)も試してみた。Official髭男dism「プリテンダー」、Tom Misch「Disco Yes」、吉田美奈子「恋は流星」、Andy Gibb「永遠の愛」と思いつくままに古今東西のポップスを再生したところ、これがなかなかイケる。
ドライバーは9mm径のダイナミック型だけあって低域には厚みがあり、ボーカルは歯切れよくギターのカッティングも心地いい。フリューゲルホンの音色にも光沢感があり、伸びやかだ。サ行がやや刺さり気味なこと、もう少しシルキーさが欲しいことなど、オーディオ目線では粗い部分も否めないが、仕事の合間に気分転換で音楽を愉しむにはじゅうぶんな力がある。
テレワーク用にイヤホンでも...そう思い立ったときには、まず自分が必要としている機能が何なのかよく考えてみよう。音楽鑑賞なのか通話なのか、ワイヤレスなのかワイヤードなのか。これまで視野になかった通話重視のワイヤードイヤホンが最良の選択肢だった、という可能性も大いにありうるはずだ。