公開日 2021/12/27 06:30
小型だがその音質は近年屈指。新進気鋭EARMENの「Tradutto」「TR-Amp」に注目
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2021年のデジタルオーディオ再生事情は着実な進化を遂げてきた。ソース視点で書くなら、ハイレゾを代表とするデジタル楽曲ファイル再生に加え、Amazon Music UnlimitedやApple Musicなどのストリーミングの存在感が大きく増してきたことだ。一方、ハードウェア視点での事情だが、ここ最近は小型で高品位なオーディオ製品が増えている。
今回取り上げるEARMENブランドの2モデル、USB DAC「Tradutto」とUSB DAC/ヘッドホンアンプ/プリアンプの「TR-Amp」は、上述したソフトウェア、ハードウェア事情にフィットする注目のプロダクトである。
■現代的なソース、再生環境に対応するスペック
EARMENは2019年に創業した新進気鋭のオーディオブランドで、アメリカのイリノイ州、シカゴ・ウィネトカに本拠地を持ちつつ、製品の設計や製造はヨーロッパのセルビア、基板の製造はスイスで行われている。
最初にお伝えしたいのは、この2モデルはそれぞれ想定される使用シーンが違うということ。両者とも小型サイズだが、Traduttoは比較的ハイエンドなデスクトップ環境で、TR-Ampはもう少しカジュアルなデスクトップ環境やヘッドホンリスニングなどに向けられている。
まずは、ブランドの最新モデルであるTraduttoからチェックしていこう。シャーシは高い絶縁性とノイズ耐性を持つフルブロック・アルミニウムの削り出しで製作されており、外形寸法150W×30H×150Dmmで質量550gと大変小型だが、製品の立ち位置としては小型のハイエンドDACという面持ちだ。
対応レゾリューションは高く、PCMは最大768kHz/32bit、DSDは最大22.5MHz(DSD512)をサポートし、MQA再生にも対応する。昨年から今年にかけてレゾリューション競争は事実上終焉したが、Traduttoが持つハイスペックなレゾリューションは魅力の1つとなる。
音の要となるDACチップには、ESS製「ES9038Q2M」を搭載し、最新のSuper Speed USB規格に準拠した2000MIPSのクロックスピードと512KBのメモリー能力を持つ、XMOS社の16コアチップ「XU216」を採用する。
これらのデバイスが装着される基板にも抜かりはなく、表面実装4層金メッキ基板を採用した上、ドイツ製WIMAフィルム・コンデンサとMELF型低ノイズ抵抗の搭載や、テキサス・インスツルメンツ製の「SoundPlus OPA1642」のオペアンプを搭載している。
電源供給についてはDC電源アダプタとなるものの、デジタルとアナログ回路への電源供給回路はセパレートされ、デジタルドメインでの高音質化対策の肝となるジッター低減にも注力する形で精度の高いクロック同期が行われている。
また、Traduttoは小型ボディのわりに入出力端子も充実しており、入力端子はUSB-B、同軸デジタル、光TOSデジタル端子を搭載。Bluetooth接続も可能で、一般的なSBCとAACに加え、aptX、aptX HD、aptX LL、LDACのコーデックをサポートするなど全方位的な対応力を見せる。
出力端子については、RCAインターコネクト端子に加え、4.4mmのバランスライン出力も搭載する。1つユニークな点として、Traduttoのアナログ段はバランス回路で構成されているため、4.4mmとXLRの変換ケーブルを使用すれば、XLR入力を持つプリアンプとバランス接続が行える。
もう一方のTR-Ampはバッテリーを搭載する手のひらに乗るほど小型のUSB DACで、ヘッドホンアンプまたはプリアンプの機能も備える。つまりスピーカーを利用するホームオーディオ環境からヘッドホンリスニングにも利用できる汎用性の高さが魅力のオーディオ機器だ。
アルミ製の筐体は美しい赤色のアルマイト処理がされ、高品位なバッテリーが内蔵されている。本モデルは小型筐体でネックとなる内部のノイズを極限まで低減するコンセプトを掲げており、Tradutto同様に高品位なパーツが多数搭載されている。その一例を列挙すると、表面実装の4層金メッキ基板や低ESR(等価直列抵抗)タンタル・コンデンサの採用など抜かりがない。DACチップは、ESS「ES9038Q2M」を搭載し、PCMは最大384kHz/32bit、DSDは11.2MHz (DSD256 DoP)が再生可能。MQAソースにも対応している。
ヘッドホンアンプ部にも力を入れており、ワイドレンジかつ超低ノイズで最大128dBのダイナミック・レンジを誇る、テキサス・インスツルメンツ「TPA6120」を搭載する。
入力端子として2つのUSB-Cポートを備えているが、内1つはパワーチャージ用となっている。ここで注目したいポイントが、2系統のUSB-C端子を利用してデジタル入力と給電/充電を別々に行えることだ。これにより動作時は常にバッテリーから給電されるので、ノイズに対してもアドバンテージがあるとアナウンスされている。
出力についてはフロントに備えられた6.3mmステレオ、3.5mmステレオのヘッドホン端子に加えて、リア部にRCAインターコネクト端子を1系統装備。ヘッドホン端子は同時に利用することができるほか、RCA出力はボリューム固定モードと音量可変が可能なプリアウトモードをリア部のトグルスイッチで切り替えることができる。
2台のスペックを見る限り、小型だがスペックは高く、オーディオマニアライクな趣も感じさせてくれるが、実際の音質はどうだろうか?
今回取り上げるEARMENブランドの2モデル、USB DAC「Tradutto」とUSB DAC/ヘッドホンアンプ/プリアンプの「TR-Amp」は、上述したソフトウェア、ハードウェア事情にフィットする注目のプロダクトである。
■現代的なソース、再生環境に対応するスペック
EARMENは2019年に創業した新進気鋭のオーディオブランドで、アメリカのイリノイ州、シカゴ・ウィネトカに本拠地を持ちつつ、製品の設計や製造はヨーロッパのセルビア、基板の製造はスイスで行われている。
最初にお伝えしたいのは、この2モデルはそれぞれ想定される使用シーンが違うということ。両者とも小型サイズだが、Traduttoは比較的ハイエンドなデスクトップ環境で、TR-Ampはもう少しカジュアルなデスクトップ環境やヘッドホンリスニングなどに向けられている。
まずは、ブランドの最新モデルであるTraduttoからチェックしていこう。シャーシは高い絶縁性とノイズ耐性を持つフルブロック・アルミニウムの削り出しで製作されており、外形寸法150W×30H×150Dmmで質量550gと大変小型だが、製品の立ち位置としては小型のハイエンドDACという面持ちだ。
対応レゾリューションは高く、PCMは最大768kHz/32bit、DSDは最大22.5MHz(DSD512)をサポートし、MQA再生にも対応する。昨年から今年にかけてレゾリューション競争は事実上終焉したが、Traduttoが持つハイスペックなレゾリューションは魅力の1つとなる。
音の要となるDACチップには、ESS製「ES9038Q2M」を搭載し、最新のSuper Speed USB規格に準拠した2000MIPSのクロックスピードと512KBのメモリー能力を持つ、XMOS社の16コアチップ「XU216」を採用する。
これらのデバイスが装着される基板にも抜かりはなく、表面実装4層金メッキ基板を採用した上、ドイツ製WIMAフィルム・コンデンサとMELF型低ノイズ抵抗の搭載や、テキサス・インスツルメンツ製の「SoundPlus OPA1642」のオペアンプを搭載している。
電源供給についてはDC電源アダプタとなるものの、デジタルとアナログ回路への電源供給回路はセパレートされ、デジタルドメインでの高音質化対策の肝となるジッター低減にも注力する形で精度の高いクロック同期が行われている。
また、Traduttoは小型ボディのわりに入出力端子も充実しており、入力端子はUSB-B、同軸デジタル、光TOSデジタル端子を搭載。Bluetooth接続も可能で、一般的なSBCとAACに加え、aptX、aptX HD、aptX LL、LDACのコーデックをサポートするなど全方位的な対応力を見せる。
出力端子については、RCAインターコネクト端子に加え、4.4mmのバランスライン出力も搭載する。1つユニークな点として、Traduttoのアナログ段はバランス回路で構成されているため、4.4mmとXLRの変換ケーブルを使用すれば、XLR入力を持つプリアンプとバランス接続が行える。
もう一方のTR-Ampはバッテリーを搭載する手のひらに乗るほど小型のUSB DACで、ヘッドホンアンプまたはプリアンプの機能も備える。つまりスピーカーを利用するホームオーディオ環境からヘッドホンリスニングにも利用できる汎用性の高さが魅力のオーディオ機器だ。
アルミ製の筐体は美しい赤色のアルマイト処理がされ、高品位なバッテリーが内蔵されている。本モデルは小型筐体でネックとなる内部のノイズを極限まで低減するコンセプトを掲げており、Tradutto同様に高品位なパーツが多数搭載されている。その一例を列挙すると、表面実装の4層金メッキ基板や低ESR(等価直列抵抗)タンタル・コンデンサの採用など抜かりがない。DACチップは、ESS「ES9038Q2M」を搭載し、PCMは最大384kHz/32bit、DSDは11.2MHz (DSD256 DoP)が再生可能。MQAソースにも対応している。
ヘッドホンアンプ部にも力を入れており、ワイドレンジかつ超低ノイズで最大128dBのダイナミック・レンジを誇る、テキサス・インスツルメンツ「TPA6120」を搭載する。
入力端子として2つのUSB-Cポートを備えているが、内1つはパワーチャージ用となっている。ここで注目したいポイントが、2系統のUSB-C端子を利用してデジタル入力と給電/充電を別々に行えることだ。これにより動作時は常にバッテリーから給電されるので、ノイズに対してもアドバンテージがあるとアナウンスされている。
出力についてはフロントに備えられた6.3mmステレオ、3.5mmステレオのヘッドホン端子に加えて、リア部にRCAインターコネクト端子を1系統装備。ヘッドホン端子は同時に利用することができるほか、RCA出力はボリューム固定モードと音量可変が可能なプリアウトモードをリア部のトグルスイッチで切り替えることができる。
2台のスペックを見る限り、小型だがスペックは高く、オーディオマニアライクな趣も感じさせてくれるが、実際の音質はどうだろうか?