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公開日 2022/07/26 06:40

レコード再生にも効果あり! 新世代の接点安定剤「SuperTMD」をアナログシステム周りでテスト

【特別企画】ヘッドシェル・トーンアーム・フォノイコの接点などに効果あり
井上千岳/炭山アキラ
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アンダンテラルゴの接点安定剤、TMDの進化モデルとして登場した「SuperTMD」。今回はこの「SuperTMD」を、オーディオ評論家の井上千岳氏と炭山アキラ氏が自宅で愛用するアナログシステムまわりでテスト。その模様をレポートしよう。

「SuperTMD」のラインナップ。写真左が10mlの「STMD-10」27,500円(税込)、右が3mlの「STMD-3」11,000円(税込)。ともに綿棒やキムワイプサンプルも付属する

■微細な信号を扱うアナログ再生周りの効果のほどは?(井上)

「SuperTMD」は単なる接点復活剤やクリーナーではなく、そうした作用も含んだ総合的な接点安定剤である。顕微鏡レベルの微小な凹凸を埋めることで接触面積を拡大・安定させ、導通を大幅に改善する。すでにその効果はあちこちで取り上げられているが、ここではアナログ周りで試してみることにしたい。

まず外堀としてプレーヤーの電源ケーブル。信号から最も遠いところだがこれが効く。ある程度予期はしていたが、聴いてみるとそれよりずっと効果が大きいことに驚きを禁じ得ない。

アナログプレーヤーの電源ケーブルも効果あり

信号の通りがいい。バロックのそれぞれの楽器が楽々と鳴っているのがよく分かる出方で、ことに低音楽器が重さと深さを増して手応えと明瞭さが際立っている。独奏フルートは厚みが高まり、弦楽アンサンブルは鮮度と切れがいい。

ピアノはタッチの芯が強く骨格がしっかりしている。瞬発的なエネルギーが増大するのだ。また背景のS/Nが良く奥行が明瞭になる。オーケストラも全体の力が向上し、一音々々の切れが深まって鮮度が増している。

■カートリッジやリード線など、処理するたびに新しい世界が開ける

ということで、次は逆に最も核心的なヘッドシェルとトーンアームの接点である。微弱なフォノ信号の最もデリケートな部分だけに、接触の良否は音質を大きく左右する。

ヘッドシェルの付け根部分やリード線との接続部分にもテスト

案の定、立ち上がりのエネルギーがまるで違う。スルーレートが倍になったかと思うほどハイスピードで瞬発的な伸びが大きく、鮮度の違いが明らかだ。バロックの弦楽アンサンブルが伸びやかで瑞々しい余韻をたっぷりと持ち、解像度がてきめんに向上してチェンバロなども明快。独奏フルートはフッと息を継ぐときの息遣いまで感じられる。

ピアノも鮮烈さを増しているし、ノイズがどんどん落ちてタッチの感触が強く細かい。オーケストラは伸びと粘りが高まり、ダイナミズムが拡大している。

結局接点を通過する信号量が大きいのだ。それがエネルギーの増強につながり、立ち上がりが速く鮮度が高まるのである。アナログにはほかにも微弱な部分がたくさんある。カートリッジやリード線、フォノケーブルなど、ひとつ処理する度に新鮮な世界が開けてくる。結果はいつも期待以上である。


■アナログにクリーニングは一段と効果的!愛用カートリッジがさらに輝く(炭山)

「SuperTMD」は『Audio Accessory 185号』で付録となったから、早速試してみられた人も多いのではないか。私もまずデジタルプレーヤー周りに使ってその効果に仰天した一人だ。こうなったらもうアナログ周りも徹底的に攻めてやるしかあるまいと、まずは自宅の常用カートリッジとシェルの端子を処理してみた。

細手の綿棒で薬液を塗りつけて待つこと10分、清潔な綿棒で拭き取って再組み立てし、早速レコードに針を落とす。こうなることは分かっていたが、クリーニングもしていないのにレコードの音溝がピカピカになったような音に変わった。思えばもう1年以上も磨いてなかったから汚れも取れたのであろうが、それにしてもこの差は極端だ。繊細極まる微小信号を扱うだけに、アナログにクリーニングは一段とよく効くのである。

続いてシェルとアームのコネクター部を処理したら、ホールの残響が一気に深くなった。しかも、空気そのものがきれいになったかのような澄み切った響きに痺れる。弦の艶、管の輝かしさも増したが、これは化粧ではなく素肌の美しさである。

トーンアーム側の接点にも塗布

勢いに乗ってアームのコネクターを処理してみたら、確かに情報量は上がったが、何より音場がどっしりと安定し、まるでホールの床が頑丈になったような変化を聴かせる。一体何が原因なのか俄かには判断できないが、真のハイファイへ大きく近づいたといってよい。

こうなるともう勢いは止まらない。お次はフォノケーブルの出力側とフォノイコのジャックを処理したら、音が太くなったというか、音像の実在感が大幅に増した。これは凄い。

フォノケーブルの接点にもテスト

一気にフォノイコの出口側ジャックとインコネ両端、プリのジャックまで処理したら、おぉこれは一体何という瑞々しい音だ。濃厚かつ澄み切った空気感の中に、まるで身を翻すかのように軽やかで弾むような音楽が響き渡る。長く使っているレファレンスだが、これまで一度としてこんな情報量と楽しさを体験したことがなかった。効果のほどはよく分かったつもりでいたがやはりこの「SuperTMD」、とてつもない改善能力である。

(提供:アンダンテラルゴ)

本記事は『季刊・analog vol.76』からの転載です。
『季刊・Audio Accessory vol.185号』に、この「SuperTMD」のサンプルキットが付録となっています。こちらも合わせてお楽しみください。

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