公開日 2023/02/27 06:40
良質なプラグがケーブル本来の音を余さず引き出す。フルテック最高峰XLRケーブル「Lineflux NCF」の魅力
【特別企画】最新NCFプラグを採用のインターコネクト
フルテックは、世界中で高評価を得る特殊素材「NCF」を採用する信号系プラグにXLRモデルを新開発、新世代の最高峰インターコネクトケーブルを完成させた。その独創的な内容と音の魅力を井上氏がレポートする。
「fluxシリーズ」はフルテックのハイエンドケーブルで、スピーカーケーブルの「Speakerflux」、RCA/XLRインターコネクトの「Lineflux」、ジャンパケーブルの「Jumperflux」で構成。α-OCCの単線導体を芯線とし、厳重な被覆とシールドを施した緻密な構造で設計されている。そのインターコネクト用ケーブルに、同社の「CF-601M(R)」/「CF-602F(R)」というXLRプラグを装着したのが従来のモデル「Lineflux(XLR)」である。
一方フルテックでは、高い静電防止効果を持つ特殊素材、NCFをさまざまな製品に応用し、2021年にはRCAプラグ「CF-102 NCF(RCA)」を搭載したRCAインターコネクト「Lineflux NCF(RCA)」を発売した。
これを受けて新たに開発されたオス/メスのXLRプラグが「CF-601M NCF(R)」/「CF-602F NCF(R)」で、「Lineflux NCF(XLR)」はこのプラグを採用した最新のXLRケーブルである。ケーブル本体に変更はないが、シースにナノセラミック/カーボンパウダーを調合していることにも注目したい。
新開発されたXLRプラグの特徴は、その周到な素材の活用にある。随所にNCFを始めとした特殊素材が活用され、細部を緻密に詰めて磨き上げた構造としている。興味深い点なので、少し詳しく見ておきたい。
ハウジングはオス/メス側とも3層構造で、一番内側は非磁性ステンレス。外側は特殊クリア硬質コート塗料の仕上げである。その中間にNCF+銀メッキの3kカーボンファイバーの層を挟んだ構成となっている。
端子を収めるボディ部は2重構造で、内側は耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂。その上から特殊なNCF共振減衰素材が被せてある。複合素材で、ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダーとカーボンパウダーを調合したものだという。
またオス側のピン端子は、純銅素材のα導体ロジウムメッキのワンピース構造とし、中心に耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂が充填されている。メス側も同様のワンピース構造に、その外側のハウジングはクロームメッキ真鍮のスタンピングとしている。また内部の制振弾性リードは、先に触れた特殊NCF共振減衰素材である。
こうして見てみると、従来モデルよりもはるかにいろいろな部分に、新しい技術を適用しているのが分かる。グレードの違いは明らかと言っていい。
さて、その音である。基本的に密度の高い、やや重厚さも含ませた音調なのは、ケーブル本来の持ち味である。この点は従来のモデルと似通う部分もある。しかしNCFバージョンでは、聴いてすぐに分かるのが音の細かさだ。一音一音のきめが細かく、その分だけ当たりが柔らかい。高域へ楽々と伸びているのもこれまでとの違いで、天井のつかえたような感触がない。
例えばバロックでは、艶やかなヴァイオリンの質感がずっとはっきりして、芯の詰まっている感触がある。バロック・ヴァイオリンなので上滑りになりそうなところだが、肉質感がしっかり乗って手触りが緻密だ。音数が多く、解像度も高い。
ピアノもタッチがずっと明るいし、エッジがくっきりして低音部の深いところでもにじみがない。響きの密度が高く、それが四方へ広がるような開放感が心地好さを誘う。空間全体に余韻が充満して、また瑞々しさにも溢れた鳴り方である。
コーラスは音場の立体感に富み、声と楽器の存在感がそれぞれ明瞭に分かる。立ち上がりが速く一音一音がくっきりしているため、混濁がなく実体感が高いのである。また抜けが良く出方に逡巡したところがないため、照明が明るくなったように全体がはっきり見える。ダイナミズムの幅が広く、表現が大きく取れている印象である。
オーケストラも細部までパリッとして鮮度が高く、また色彩が鮮やかで楽器同士の分離が明快だ。そのほかどのソースでもディテールが明瞭でピントが良く、肉質感に富んで厚手ではあるけれど当たりが軽い。解像度の高さが情報量を生かしている。プラグの良さだけではない。それが、ケーブル本来の音を余さず引き出しているのだ。まさしく絶妙の組み合わせである。
【Lineflux NCF(XLR)】〔ケーブル部〕●導体:単芯α(アルファ)OCC導体1.3mm×1●シールド:2層●絶縁/誘電体:高級ポリエチレン●共振減衰材料:シース内のナノセラミック/カーボンパウダーコンパウンド●ケーブル径:約13.0mm〔XLRプラグ部〕●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造の導体ピン●ボディ部:特殊な「NCF」反共振減衰素材(ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダー&カーボンパウダーを調合)を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンハウジング(外側のハードクリアコートとその下のハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの別の層で構成)、内部は非磁性ステンレスハウジング●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダによる結線●適応最大ケーブル径:10.0mm●CF-601M NCF(R)適応導体ワイヤーサイズ:撚線→14AWG(2.08 sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3 sq.mm)MAX、線径→2.1mm MAX●CF-602F NCF(R)適応導体ワイヤーサイズ:撚線→13AWG(2.62 sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3 sq.mm)MAX、線径→2.4mm MAX●CF-601M NCF(R)サイズ/質量:全長約18.6φ×64.6mm、約46.9g●CF-602F NCF(R)サイズ/質量:全長約18.6φ×70.85mm、約58.2g
(提供:フルテック)
本記事は『季刊・analog vol.78』からの転載です。
優れた新プラグとケーブルが、絶妙な効果で高度な音を実現
「fluxシリーズ」はフルテックのハイエンドケーブルで、スピーカーケーブルの「Speakerflux」、RCA/XLRインターコネクトの「Lineflux」、ジャンパケーブルの「Jumperflux」で構成。α-OCCの単線導体を芯線とし、厳重な被覆とシールドを施した緻密な構造で設計されている。そのインターコネクト用ケーブルに、同社の「CF-601M(R)」/「CF-602F(R)」というXLRプラグを装着したのが従来のモデル「Lineflux(XLR)」である。
一方フルテックでは、高い静電防止効果を持つ特殊素材、NCFをさまざまな製品に応用し、2021年にはRCAプラグ「CF-102 NCF(RCA)」を搭載したRCAインターコネクト「Lineflux NCF(RCA)」を発売した。
これを受けて新たに開発されたオス/メスのXLRプラグが「CF-601M NCF(R)」/「CF-602F NCF(R)」で、「Lineflux NCF(XLR)」はこのプラグを採用した最新のXLRケーブルである。ケーブル本体に変更はないが、シースにナノセラミック/カーボンパウダーを調合していることにも注目したい。
新開発されたXLRプラグの特徴は、その周到な素材の活用にある。随所にNCFを始めとした特殊素材が活用され、細部を緻密に詰めて磨き上げた構造としている。興味深い点なので、少し詳しく見ておきたい。
ハウジングはオス/メス側とも3層構造で、一番内側は非磁性ステンレス。外側は特殊クリア硬質コート塗料の仕上げである。その中間にNCF+銀メッキの3kカーボンファイバーの層を挟んだ構成となっている。
端子を収めるボディ部は2重構造で、内側は耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂。その上から特殊なNCF共振減衰素材が被せてある。複合素材で、ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダーとカーボンパウダーを調合したものだという。
またオス側のピン端子は、純銅素材のα導体ロジウムメッキのワンピース構造とし、中心に耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂が充填されている。メス側も同様のワンピース構造に、その外側のハウジングはクロームメッキ真鍮のスタンピングとしている。また内部の制振弾性リードは、先に触れた特殊NCF共振減衰素材である。
こうして見てみると、従来モデルよりもはるかにいろいろな部分に、新しい技術を適用しているのが分かる。グレードの違いは明らかと言っていい。
実体感が高く緻密で、高密度空間に充満する余韻も秀逸
さて、その音である。基本的に密度の高い、やや重厚さも含ませた音調なのは、ケーブル本来の持ち味である。この点は従来のモデルと似通う部分もある。しかしNCFバージョンでは、聴いてすぐに分かるのが音の細かさだ。一音一音のきめが細かく、その分だけ当たりが柔らかい。高域へ楽々と伸びているのもこれまでとの違いで、天井のつかえたような感触がない。
例えばバロックでは、艶やかなヴァイオリンの質感がずっとはっきりして、芯の詰まっている感触がある。バロック・ヴァイオリンなので上滑りになりそうなところだが、肉質感がしっかり乗って手触りが緻密だ。音数が多く、解像度も高い。
ピアノもタッチがずっと明るいし、エッジがくっきりして低音部の深いところでもにじみがない。響きの密度が高く、それが四方へ広がるような開放感が心地好さを誘う。空間全体に余韻が充満して、また瑞々しさにも溢れた鳴り方である。
コーラスは音場の立体感に富み、声と楽器の存在感がそれぞれ明瞭に分かる。立ち上がりが速く一音一音がくっきりしているため、混濁がなく実体感が高いのである。また抜けが良く出方に逡巡したところがないため、照明が明るくなったように全体がはっきり見える。ダイナミズムの幅が広く、表現が大きく取れている印象である。
オーケストラも細部までパリッとして鮮度が高く、また色彩が鮮やかで楽器同士の分離が明快だ。そのほかどのソースでもディテールが明瞭でピントが良く、肉質感に富んで厚手ではあるけれど当たりが軽い。解像度の高さが情報量を生かしている。プラグの良さだけではない。それが、ケーブル本来の音を余さず引き出しているのだ。まさしく絶妙の組み合わせである。
【Lineflux NCF(XLR)】〔ケーブル部〕●導体:単芯α(アルファ)OCC導体1.3mm×1●シールド:2層●絶縁/誘電体:高級ポリエチレン●共振減衰材料:シース内のナノセラミック/カーボンパウダーコンパウンド●ケーブル径:約13.0mm〔XLRプラグ部〕●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造の導体ピン●ボディ部:特殊な「NCF」反共振減衰素材(ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダー&カーボンパウダーを調合)を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンハウジング(外側のハードクリアコートとその下のハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの別の層で構成)、内部は非磁性ステンレスハウジング●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダによる結線●適応最大ケーブル径:10.0mm●CF-601M NCF(R)適応導体ワイヤーサイズ:撚線→14AWG(2.08 sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3 sq.mm)MAX、線径→2.1mm MAX●CF-602F NCF(R)適応導体ワイヤーサイズ:撚線→13AWG(2.62 sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3 sq.mm)MAX、線径→2.4mm MAX●CF-601M NCF(R)サイズ/質量:全長約18.6φ×64.6mm、約46.9g●CF-602F NCF(R)サイズ/質量:全長約18.6φ×70.85mm、約58.2g
(提供:フルテック)
本記事は『季刊・analog vol.78』からの転載です。