公開日 2024/04/10 06:35
サエクのフラグシップRCAケーブルがさらに進化。「STRATOSPHERE SL-1EX」の真価を聴く
【特別企画】オーディオアクセサリー銘機賞2024 <グランプリ>受賞モデル
SAEC(サエク)のフラグシップRCAケーブルがモデルチェンジし、「STRATOSPHERE SL-1EX」として登場した。大きな変更点は、プラグがグレードアップしたことで、高い導通性能と強度を実現した新規開発のRCA端子が採用されている。「オーディオアクセサリー銘機賞 2024」にてグランプリを受賞したそのサウンドの進化を探ってみよう。
STRATOSPHERE(ストラトスフィア)はサエク・ケーブルの最上級モデルで、ラインケーブルからスピーカー、デジタル、USBまで、入念な構造と高品位な素材を投入して頂点を目指した設計を行っている。
特に現在は導体にPC-Triple C/EX、構造にはスーパーストラタムを順次取り入れるなど、ハイエンドの先端を行く開発を進めているのが目覚ましい。このSL-1EXもその一環で、従来のSL-1をリファインしたRCAラインケーブルである。
導体にはこれまでどおりPC-Triple CとPC-Triple C/EXの両方を使用している。したがってケーブル本体に変わりはなく、RCAプラグの変更が違いということになる。
サエクでは上級ケーブルに使用してきたストラタム構造は、導体の内周と外周を線径の異なる素線で構成したものだ。その外周部を1本ずつ絶縁して表面積を増やし、表皮効果の影響を受ける高周波帯の伝送効率の向上を実現したのがスーパーストラタム構造。SL-1では内周にPC-Triple C、外周にはPC-Triple C/EXを採用し、いっそう高度な音質再現を確保している。
言うまでもなくPC-Triple C/EXは、5N銀のパイプの中にPC-Triple Cを挿入して鍛造を施した線材である。非常に贅沢な素材と言ってよく、絶縁にもフッ素樹脂を採用したSL-1の構造は、最先端であると同時に極めて贅沢なもののひとつと考えていい。
その端末をオリジナルのRCAプラグとしたのが、このSL-1/EXである。素材には銀と銅の合金を採用。導通性とともに強度も持たせた高品質なプラグである。また仕上げにはサエクオリジナルの金メッキが施されている。
先ほども述べたようにスーパーストラタム構造は、内外周を別々の線材で構成している。中心部は0.64sqのPFA絶縁単線。外周部は1本ずつPFA絶縁をかけた6本のリッツ線で円周を形成する。これによって導体断面積は1.06sqとなっている。
また介在には絹を使用して静電容量を低減。シースは制振材入りポリオレフィンとして、不要振動による影響を回避する構成である。
全てがくっきりと明瞭に際立ってくる印象で、ディテールの隅々まで艶やかに輝いているような出方だ。出方が細かいだけでなく、一音一音に生き生きとしたエネルギーが乗っている。活きがよくバイタリティに富んで動きが速いのはそのせいと言っていい。
バロックは歯切れがよく、細かな音の刻みがリズミカルで弾力に富んでいる。低音弦にもそれが現れて、深く柔らかなコントラバスの低音がライブと同様の感触で手応え豊かに引き出される。瑞々しく立ち上がりの瞬発力に溢れてエッジの利いた再現性である。
ピアノは骨格の強いタッチに細かな丸みを加えながら緻密に描いている。和音が厚く温かみのある音色で鳴らされるのが表現の陰影を深めているようで、シャープなタッチがソフトな繊細さに変わり表情の動きも繊細に捉えている。
コーラスは柔らかく透明なハーモニーが静かに再現されている。やや近くに寄って聴く感覚で、声の感触がより肉質的に聴こえる。厚みに富んでいることの反映だが、それによって混濁することがないのも特質である。
オーケストラは端正でスケールの大きな鳴り方だ。透明度が高く、楽器の音色が濁りなく描き出されどのパートも緻密で活力に富んでいる。豊富な情報量を丁寧に扱っているのが分かる鳴り方である。
端子だけの違いだが、並べて聴くと明らかに再現力の向上が明瞭だ。端子の影響の大きさを実感するとともに、ケーブル本体の性能の高さも再認識する結果になった。
(提供:サエクコマース)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.191』からの転載です。
高い導通性と強度を持つ高品質プラグを開発
STRATOSPHERE(ストラトスフィア)はサエク・ケーブルの最上級モデルで、ラインケーブルからスピーカー、デジタル、USBまで、入念な構造と高品位な素材を投入して頂点を目指した設計を行っている。
特に現在は導体にPC-Triple C/EX、構造にはスーパーストラタムを順次取り入れるなど、ハイエンドの先端を行く開発を進めているのが目覚ましい。このSL-1EXもその一環で、従来のSL-1をリファインしたRCAラインケーブルである。
導体にはこれまでどおりPC-Triple CとPC-Triple C/EXの両方を使用している。したがってケーブル本体に変わりはなく、RCAプラグの変更が違いということになる。
サエクでは上級ケーブルに使用してきたストラタム構造は、導体の内周と外周を線径の異なる素線で構成したものだ。その外周部を1本ずつ絶縁して表面積を増やし、表皮効果の影響を受ける高周波帯の伝送効率の向上を実現したのがスーパーストラタム構造。SL-1では内周にPC-Triple C、外周にはPC-Triple C/EXを採用し、いっそう高度な音質再現を確保している。
言うまでもなくPC-Triple C/EXは、5N銀のパイプの中にPC-Triple Cを挿入して鍛造を施した線材である。非常に贅沢な素材と言ってよく、絶縁にもフッ素樹脂を採用したSL-1の構造は、最先端であると同時に極めて贅沢なもののひとつと考えていい。
その端末をオリジナルのRCAプラグとしたのが、このSL-1/EXである。素材には銀と銅の合金を採用。導通性とともに強度も持たせた高品質なプラグである。また仕上げにはサエクオリジナルの金メッキが施されている。
先ほども述べたようにスーパーストラタム構造は、内外周を別々の線材で構成している。中心部は0.64sqのPFA絶縁単線。外周部は1本ずつPFA絶縁をかけた6本のリッツ線で円周を形成する。これによって導体断面積は1.06sqとなっている。
また介在には絹を使用して静電容量を低減。シースは制振材入りポリオレフィンとして、不要振動による影響を回避する構成である。
豊富な情報量を丁寧に扱い、ディテールまで艶やかに輝く
全てがくっきりと明瞭に際立ってくる印象で、ディテールの隅々まで艶やかに輝いているような出方だ。出方が細かいだけでなく、一音一音に生き生きとしたエネルギーが乗っている。活きがよくバイタリティに富んで動きが速いのはそのせいと言っていい。
バロックは歯切れがよく、細かな音の刻みがリズミカルで弾力に富んでいる。低音弦にもそれが現れて、深く柔らかなコントラバスの低音がライブと同様の感触で手応え豊かに引き出される。瑞々しく立ち上がりの瞬発力に溢れてエッジの利いた再現性である。
ピアノは骨格の強いタッチに細かな丸みを加えながら緻密に描いている。和音が厚く温かみのある音色で鳴らされるのが表現の陰影を深めているようで、シャープなタッチがソフトな繊細さに変わり表情の動きも繊細に捉えている。
コーラスは柔らかく透明なハーモニーが静かに再現されている。やや近くに寄って聴く感覚で、声の感触がより肉質的に聴こえる。厚みに富んでいることの反映だが、それによって混濁することがないのも特質である。
オーケストラは端正でスケールの大きな鳴り方だ。透明度が高く、楽器の音色が濁りなく描き出されどのパートも緻密で活力に富んでいる。豊富な情報量を丁寧に扱っているのが分かる鳴り方である。
端子だけの違いだが、並べて聴くと明らかに再現力の向上が明瞭だ。端子の影響の大きさを実感するとともに、ケーブル本体の性能の高さも再認識する結果になった。
(提供:サエクコマース)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.191』からの転載です。