公開日 2024/09/18 21:00
カメラとAIが進化した「iPhone 16」一斉レビュー。 ノーマル/Pro 4機種のうちオススメは?
ProじゃないiPhone 16も大幅進化
アップルが9月20日にiPhone 16世代の新機種4モデルを一斉に発売する。見どころは「カメラとAI」。発売前に新製品を試せる機会を得た。ファーストインプレッションを報告しよう。
2024年秋のiPhoneも、昨年と同じラインナップ構成になった。ProシリーズはSuper Retina XDRディスプレイのさらなるナローベゼル化を押し進めた結果、iPhone 16 Proが6.3インチ、iPhone 16 Pro Maxが6.9インチにサイズアップした。一方で本体のサイズアップはわずかに抑えられている。iPhone 16 Pro Maxの大きな画面で観る動画コンテンツは圧巻だ。
上位のProシリーズのみ、120Hz駆動のProMotionテクノロジーを搭載する。モバイルゲームの動画も滑らかに表示する。また常時表示ディスプレイを搭載していることもProシリーズの強み。iOS 17からの機能である、iPhoneをスタンドに横向きに立てて充電しながら画面に時計やカレンダーの情報を表示する「スタンバイ」も、常時表示ディスプレイが使えるProシリーズの方が好相性だ。
・iPhone 16 Pro Max(6.9インチ)
・iPhone 16 Pro(6.3インチ)
・iPhone 16 Plus(6.7インチ)
・iPhone 16(6.1インチ)
メタルフレームパーツは、Proシリーズがチタニウムを継承した。15 Proシリーズのブルーチタニウムと入れ替わる形で、シャンパンゴールドのようなカラーが魅力的なデザートチタニウムが加わった。背面ガラスは耐久性能を2倍に高めた新しいCeramic Shield。ガラスパネルはきめの細かなマット仕上げだ。
iPhone 16シリーズはアルミニウムの筐体を採用している。Proシリーズに比べて本体がとても軽くてハンドリングが心地よい。特に6.7インチのiPhone 16 Plusは、モバイルゲームが心地よく楽しめる最新の大画面iPhoneとして魅力的だ。
カラーバリエーションはウルトラマリン/ピンク/ティール/ブラック/ホワイトの5色。デュアルカメラシステムが空間写真と空間ビデオの撮影に対応するため、斜めのポジションから再びストレートに2つのリングが並ぶレイアウトに戻っている。背面ガラスはProシリーズと同じ高耐久性能のCeramic Shield。ガラスパネルに直接着色するインフュージョン成形を採用しているので、背面パネルに独特の透明感がある。
今期のiPhone 16世代の注目すべきポイントは「カメラの進化」と「AI対応」だ。アップル独自の新しいAIプラットフォームである「Apple Intelligence」が、2025年に日本語でも使えるようになることが発表されたばかりだが、この機能はiPhone 16世代の4機種すべてが対応する。これでiPhone 15 Proシリーズを含む全6機種が、いわゆる「Apple Intelligence Ready」になった。
AI対応の中核はAppleシリコンだ。iPhone 16 Proには最新チップの「A18 Pro」を搭載する。従来その弟妹機であるノーマルのナンバリングモデルには少しだけ性能が劣るチップセットを搭載し、Proの差別化(あるいはナンバリングシリーズの最適化)を図ってきたが、今回アップルはiPhone 16シリーズのため、新規に「A18」チップを起こしている。GPUのコア数には違いがあるものの、AI処理に特化するNeural Engineは同じ16コアだ。
その甲斐あってということか、今年のiPhone 16シリーズはカメラ周りで「できること」がiPhone 16 Proシリーズに迫った。一番の特徴は新しいユーザーインターフェースである「カメラコントロール」を4機種すべてが搭載していることだろうか。
カメラコントロールはディスプレイを正面にみたとき、iPhoneの右下側面に搭載された新しいユーザーインターフェースだ。アップルはこれを“ボタン”と表現していないが、端末が電源OFFの時にもクリックできる物理ボタンだ。感圧センサーと静電容量センサーを内蔵しており、「シングルクリック」「ダブルクリック」「ロングプレス」「スライド」の操作に対応する。
カメラアプリを使うことに特化したインターフェースではあるが、iPhoneの設定からコードスキャナー、拡大鏡に機能を変更できるほか、誤操作を防止するため無効化することも可能だ。またアップルはサードパーティーのベンダーのため、カメラコントロールのAPIを外部に提供している。他社製のカメラアプリなどが将来カメラコントロールから操作できるようになる。
筆者は最初にカメラコントロールに触れた時、シングルクリックとダブルクリックの操作感に一瞬戸惑った。それぞれ操作を行うと指先に触覚フィードバックが返ってくるので、手応えを頼りにすることを覚えたあとは確実な操作ができるようになった。
カメラコントロールはただのシャッターボタンではない。ダブルクリックでオプションメニューを開くと、被写界深度/ズーム/マルチカメラのスイッチ/スタイル/トーンが選べる。後者2つはiPhone 13世代とiPhone SE(第3世代)から搭載が始まった「フォトグラフスタイル」に関連するもので、画面にプレビューを映しながらシャッターを切る前に写真の色味とトーンを好みに合わせて変更できる機能だ。iPhone 16世代からプリセットのフォトグラフスタイルが増えている。
本来であれば「映える」写真を撮るための、とても便利で楽しい機能であるはずなのに、iPhoneの純正カメラアプリがシャッターを切るだけでいい感じの写真やビデオが撮れてしまうため、UIの少し奥まった所にあったフォトグラフスタイルが忘れ去られていた。カメラコントロールはクリエイティブな写真を手軽に撮れるよう工夫された、新しいユーザーインターフェースだ。実際にフォトグラフスタイルの効果はとても有用なので、積極的に使いたくなる。
カメラコントロールはiPhoneをタテとヨコのどちらに構えた状態でも、またフロントカメラによる撮影時にも使える。
iPhone 16シリーズには、ほかにもメインの広角側に48MP Fusionカメラが搭載された。光学2倍相当のズーム撮影で料理などの被写体に近寄って、雰囲気の良い写真が撮れる。
Proシリーズもメインカメラは48MP Fusionだが、24ミリのほかに28mm/35mmの「追加レンズ」が使えるのはProのみだ。静止画のProRAW撮影、動画のApple ProRes撮影ができるのもProシリーズだけだ。
また、iPhone 16シリーズにも超広角カメラによるマクロ撮影機能が付いた。料理や花などの被写体をダイナミックに撮りたい時に使う場面が多い機能だ。ビデオ撮影時にも被写体に寄ればマクロモードが自動的に起動する。
iPhone 16世代のオーディオビジュアル的にも注目したい「3つの進化」をピックアップした。
1つはProシリーズのみ搭載する最大4K/120fpsのハイフレームレート撮影の機能だ。「写真」アプリによる再生時に再生速度を100%(等速)/50%/25%/20%から選ぶと、最大1/5スピードのスローモーション再生によるドラマティックなシーンが残せる。
2つめが「オーディオミックス」。ビデオで撮影したシーンの音声をiPhoneに内蔵するマイクで空間オーディオトラックとして記録し、後処理加工によって話者の背景音声のレベルだけを下げたり、オンマイクのセッティングふうに残せる機能だ。なお、取材によってわかったことだが、記録される音声は空間オーディオふうではあるものの「ドルビーアトモスによる空間オーディオ」ではないようだ。
iPhone 16 Proにはアップルが4つの「スタジオグレード」をうたう高品位マイクが内蔵されているので、オーディオミックスの処理の結果もよくわかる。iPhone 16シリーズにもオーディオミックスを載せたことは、アップルの英断だと筆者は思う。SNSに公開する動画がiPhoneのオーディオミックスで簡単に「オーディオ映え」することが広まれば、バイノーラルやASMRへの関心がさらに高まりそうに思うからだ。
最後の3つめがiOS 18に搭載された「ゲームモード」だ。iPhoneでゲームアプリを立ち上げると、ほかのアプリなどバックグラウンドアクティビティによるワークロードを最小限に抑えて、端末スペックの範囲内でハイフレームレートを維持する。
このモードではまた、長時間ゲームプレイ時の映像表示の安定感向上を引き出すとともに、AirPodsシリーズを接続している場合は音声の遅延を低減させる。Bluetoothゲームコントローラも然りだ。ゲームモードはオン・オフが切り替えられる。Apple Arcadeで配信されている「太鼓の達人」でAirPodsの音声遅延を試したところ、オンの時の方が音合わせがピタリと決まって気持ちよかった。
iPhone 16世代はProだけでなく、iPhone 16シリーズにもハードウェア・アクセラレーテッド・レイトレーシングが搭載された。グラフィックに凝った作品の「陰影の表現力」がさらに高まるという。6.7インチの大画面を備え、本体の質量が199gと軽い「iPhone 16 Plus」が今シーズンの筆者のイチオシだ。
■画面がさらに大きくなったProシリーズ
2024年秋のiPhoneも、昨年と同じラインナップ構成になった。ProシリーズはSuper Retina XDRディスプレイのさらなるナローベゼル化を押し進めた結果、iPhone 16 Proが6.3インチ、iPhone 16 Pro Maxが6.9インチにサイズアップした。一方で本体のサイズアップはわずかに抑えられている。iPhone 16 Pro Maxの大きな画面で観る動画コンテンツは圧巻だ。
上位のProシリーズのみ、120Hz駆動のProMotionテクノロジーを搭載する。モバイルゲームの動画も滑らかに表示する。また常時表示ディスプレイを搭載していることもProシリーズの強み。iOS 17からの機能である、iPhoneをスタンドに横向きに立てて充電しながら画面に時計やカレンダーの情報を表示する「スタンバイ」も、常時表示ディスプレイが使えるProシリーズの方が好相性だ。
・iPhone 16 Pro Max(6.9インチ)
・iPhone 16 Pro(6.3インチ)
・iPhone 16 Plus(6.7インチ)
・iPhone 16(6.1インチ)
メタルフレームパーツは、Proシリーズがチタニウムを継承した。15 Proシリーズのブルーチタニウムと入れ替わる形で、シャンパンゴールドのようなカラーが魅力的なデザートチタニウムが加わった。背面ガラスは耐久性能を2倍に高めた新しいCeramic Shield。ガラスパネルはきめの細かなマット仕上げだ。
iPhone 16シリーズはアルミニウムの筐体を採用している。Proシリーズに比べて本体がとても軽くてハンドリングが心地よい。特に6.7インチのiPhone 16 Plusは、モバイルゲームが心地よく楽しめる最新の大画面iPhoneとして魅力的だ。
カラーバリエーションはウルトラマリン/ピンク/ティール/ブラック/ホワイトの5色。デュアルカメラシステムが空間写真と空間ビデオの撮影に対応するため、斜めのポジションから再びストレートに2つのリングが並ぶレイアウトに戻っている。背面ガラスはProシリーズと同じ高耐久性能のCeramic Shield。ガラスパネルに直接着色するインフュージョン成形を採用しているので、背面パネルに独特の透明感がある。
■4機種ともApple Intelligenceに対応
今期のiPhone 16世代の注目すべきポイントは「カメラの進化」と「AI対応」だ。アップル独自の新しいAIプラットフォームである「Apple Intelligence」が、2025年に日本語でも使えるようになることが発表されたばかりだが、この機能はiPhone 16世代の4機種すべてが対応する。これでiPhone 15 Proシリーズを含む全6機種が、いわゆる「Apple Intelligence Ready」になった。
AI対応の中核はAppleシリコンだ。iPhone 16 Proには最新チップの「A18 Pro」を搭載する。従来その弟妹機であるノーマルのナンバリングモデルには少しだけ性能が劣るチップセットを搭載し、Proの差別化(あるいはナンバリングシリーズの最適化)を図ってきたが、今回アップルはiPhone 16シリーズのため、新規に「A18」チップを起こしている。GPUのコア数には違いがあるものの、AI処理に特化するNeural Engineは同じ16コアだ。
その甲斐あってということか、今年のiPhone 16シリーズはカメラ周りで「できること」がiPhone 16 Proシリーズに迫った。一番の特徴は新しいユーザーインターフェースである「カメラコントロール」を4機種すべてが搭載していることだろうか。
■カメラコントロールが写真・ビデオを楽しくする
カメラコントロールはディスプレイを正面にみたとき、iPhoneの右下側面に搭載された新しいユーザーインターフェースだ。アップルはこれを“ボタン”と表現していないが、端末が電源OFFの時にもクリックできる物理ボタンだ。感圧センサーと静電容量センサーを内蔵しており、「シングルクリック」「ダブルクリック」「ロングプレス」「スライド」の操作に対応する。
カメラアプリを使うことに特化したインターフェースではあるが、iPhoneの設定からコードスキャナー、拡大鏡に機能を変更できるほか、誤操作を防止するため無効化することも可能だ。またアップルはサードパーティーのベンダーのため、カメラコントロールのAPIを外部に提供している。他社製のカメラアプリなどが将来カメラコントロールから操作できるようになる。
筆者は最初にカメラコントロールに触れた時、シングルクリックとダブルクリックの操作感に一瞬戸惑った。それぞれ操作を行うと指先に触覚フィードバックが返ってくるので、手応えを頼りにすることを覚えたあとは確実な操作ができるようになった。
カメラコントロールはただのシャッターボタンではない。ダブルクリックでオプションメニューを開くと、被写界深度/ズーム/マルチカメラのスイッチ/スタイル/トーンが選べる。後者2つはiPhone 13世代とiPhone SE(第3世代)から搭載が始まった「フォトグラフスタイル」に関連するもので、画面にプレビューを映しながらシャッターを切る前に写真の色味とトーンを好みに合わせて変更できる機能だ。iPhone 16世代からプリセットのフォトグラフスタイルが増えている。
本来であれば「映える」写真を撮るための、とても便利で楽しい機能であるはずなのに、iPhoneの純正カメラアプリがシャッターを切るだけでいい感じの写真やビデオが撮れてしまうため、UIの少し奥まった所にあったフォトグラフスタイルが忘れ去られていた。カメラコントロールはクリエイティブな写真を手軽に撮れるよう工夫された、新しいユーザーインターフェースだ。実際にフォトグラフスタイルの効果はとても有用なので、積極的に使いたくなる。
カメラコントロールはiPhoneをタテとヨコのどちらに構えた状態でも、またフロントカメラによる撮影時にも使える。
iPhone 16シリーズには、ほかにもメインの広角側に48MP Fusionカメラが搭載された。光学2倍相当のズーム撮影で料理などの被写体に近寄って、雰囲気の良い写真が撮れる。
Proシリーズもメインカメラは48MP Fusionだが、24ミリのほかに28mm/35mmの「追加レンズ」が使えるのはProのみだ。静止画のProRAW撮影、動画のApple ProRes撮影ができるのもProシリーズだけだ。
また、iPhone 16シリーズにも超広角カメラによるマクロ撮影機能が付いた。料理や花などの被写体をダイナミックに撮りたい時に使う場面が多い機能だ。ビデオ撮影時にも被写体に寄ればマクロモードが自動的に起動する。
■オーディオビジュアル的に注目したい「3つの進化」
iPhone 16世代のオーディオビジュアル的にも注目したい「3つの進化」をピックアップした。
1つはProシリーズのみ搭載する最大4K/120fpsのハイフレームレート撮影の機能だ。「写真」アプリによる再生時に再生速度を100%(等速)/50%/25%/20%から選ぶと、最大1/5スピードのスローモーション再生によるドラマティックなシーンが残せる。
2つめが「オーディオミックス」。ビデオで撮影したシーンの音声をiPhoneに内蔵するマイクで空間オーディオトラックとして記録し、後処理加工によって話者の背景音声のレベルだけを下げたり、オンマイクのセッティングふうに残せる機能だ。なお、取材によってわかったことだが、記録される音声は空間オーディオふうではあるものの「ドルビーアトモスによる空間オーディオ」ではないようだ。
iPhone 16 Proにはアップルが4つの「スタジオグレード」をうたう高品位マイクが内蔵されているので、オーディオミックスの処理の結果もよくわかる。iPhone 16シリーズにもオーディオミックスを載せたことは、アップルの英断だと筆者は思う。SNSに公開する動画がiPhoneのオーディオミックスで簡単に「オーディオ映え」することが広まれば、バイノーラルやASMRへの関心がさらに高まりそうに思うからだ。
最後の3つめがiOS 18に搭載された「ゲームモード」だ。iPhoneでゲームアプリを立ち上げると、ほかのアプリなどバックグラウンドアクティビティによるワークロードを最小限に抑えて、端末スペックの範囲内でハイフレームレートを維持する。
このモードではまた、長時間ゲームプレイ時の映像表示の安定感向上を引き出すとともに、AirPodsシリーズを接続している場合は音声の遅延を低減させる。Bluetoothゲームコントローラも然りだ。ゲームモードはオン・オフが切り替えられる。Apple Arcadeで配信されている「太鼓の達人」でAirPodsの音声遅延を試したところ、オンの時の方が音合わせがピタリと決まって気持ちよかった。
iPhone 16世代はProだけでなく、iPhone 16シリーズにもハードウェア・アクセラレーテッド・レイトレーシングが搭載された。グラフィックに凝った作品の「陰影の表現力」がさらに高まるという。6.7インチの大画面を備え、本体の質量が199gと軽い「iPhone 16 Plus」が今シーズンの筆者のイチオシだ。