公開日 2013/02/21 18:40
語られなかった「PS4」AV機能への期待
ソニー・コンピュータエンタテインメントから新型ゲーム機「PS4」が発表された(関連ニュース)。発売時期は今年年末とアナウンスされたが、ゲーム機本体の外観は公開されず、披露は今後の機会に持ち越された。もちろん価格についても一切言及されなかった。
今後の動向を見極めながら決定していくということなのだろうか、スペックもまだ未決定の点が多い。スペックシートにはHDD容量が記載されていないし、HDMIのバージョンも不明。発売まで時間があるので、規格の決定状況やパーツの価格動向をにらみながら、細かな最終仕様を決定していくことになりそうだ。
今回の会見で印象的だったのは、PS4を「高性能なゲーム機」として、しっかり印象づけようという同社の姿勢だ。アンドリュー・ハウス社長は「ゲーマーこそが我々の努力の焦点」とし、PS4の商品企画についても「次世代のゲーマーがどうプレイしたいかを主眼に考えた」と強調した。さらに、約2時間のプレゼンテーションの大半は、PS4用ゲームの実機動画やテスト用の動画再生に費やされた。
PS3が2006年に発売された当初、ゲーム機でもあると同時に、家庭内コンテンツのメディアセンターとしても使える、とその万能性がさかんに語られた。その結果マーケティングの焦点がややボケ気味になり、平井CEO(当時)によって、途中でPS3はゲーム機であることを強調するという軌道修正が行われた(関連ニュース)。今回の発表をコアなゲームファンへフォーカスさせたのは、このときの反省も手伝っているのだろう。
オーディオビジュアル専門サイトという立場としては、PS4のAV機能に注目していたが、今回具体的に語られたのは、VODサービスが使えるというアナウンス程度にとどまった。PS3でも利用できるものがPS4でも引き続き使えるというだけなので、率直に言って新鮮味はない。
とは言え、PS4のAV機能に期待できないというわけではない。今回の初披露の場で、コアゲーマーに向けてその性能をアピールするのは至極当然。AV機能はPS4のメイン機能ではないため、今後、徐々に機能が紹介されていくことになるだろう。
PS4のAV機能で焦点となるのは、4Kにどの程度対応するか、ということだ。これはHDMI次期バージョンの規格策定時期とも密接に関わってくる。現行のHDMI 1.4は、QFHD(3,840×2,160)の場合30p映像までしか伝送できない。4,096×2,160では24pが上限となる。このため次期HDMIでは、4K/60pに対応することが確実視されている。
PS3のときは、当時の久夛良木社長がBDやHDMI 1.3へ対応させることにこだわり、発売日を遅らせる事態にまで至った(関連ニュース)が、PS4はどうなるだろうか。ゲーム機の場合、いったん仕様が固まったら、マイナーチェンジモデルなどを出さない限りスペックが固定されるため、なるべく最新規格の搭載を期待したいところだ。
HDMI 1.3のスケジュールを振り返ってみると、1.3規格が2006年初頭のCESで発表され、その後6月に仕様書がリリースされた。PS3の発売はその5月後の11月11日だった。このスケジュールでも、PS3への搭載を間に合わせるのはかなりギリギリだったと聞いている。翻って次期HDMIは、まだ概要すら発表されていない段階。年末の発売に間に合うかどうかは、かなり微妙なタイミングと言える。とは言え、当初は4K映像コンテンツは映画が中心になるだろうから、たとえハードが4K/60pに対応しなくても、一定の需要は満たせるのではないか。
HDMIの次期バージョンを搭載するかどうかはさておき、PS4が4K映像出力に対応する可能性はかなり高そうだ。年初のCESレポートでもお伝えしたとおり、ソニーは、グループを挙げて4Kに注力する姿勢を示している。今回はあくまでゲーム機としての能力が強調されたPS4だが、リビングに置かれることが多い据え置き型ゲーム機は、家庭内のメデイアセンターとしての役割も当然ながら担う必要がある。過去にPS2がDVD市場、PS3がBD市場の拡大をリードしたように、4Kワールド普及の牽引車としてPS4を活用することを、ソニーとしては当然考えているはずだ。さらにハード面でも、PS4は現在のハイエンドPCと比べても高性能なCPUやGPU、メモリーを搭載しており、4K映像再生に対応する要件は十分満たしている。
4K対応でもう一つ課題となるのは、どういう方法でコンテンツをデリバーするかということだ。手っ取り早いのはネット配信で、事実、ソニーは4K映像を専用のボックスへ配信するサービスを、今夏から米国で開始する。
光ディスクを使う方法も、もちろんある。PS4のドライブはBD/DVDの読み出し専用だが、たとえばBDの拡張規格として4K対応のものが策定されたら、物理メディアは現行のものを使いつつ4K対応を行うことも、不可能では無いかもしれない。ただし、そもそも4K光ディスク規格の詳細や規格化の時期がまったく見えていない(そもそも規格化されるかもわからない)状況なので、可能性としては低いのではないだろうか。
現行BDの4KアップコンバートにPS4のパワーを活用し、高品位な4K映像を実現することにも期待したい。PS3はDVDアップコンバートの品位の高さが話題となったが、PS4が2K→4Kアップコンに力を入れたら、どういった画質になるのか。気が早いが、実現したらぜひ試してみたい。
◇
繰り返しになってしまうが、PS4は家庭の中心であるリビングに主に置かれる製品だ。このためゲーム機としてだけではなく、家庭内エンターテイメントのハブとしての役割も強く求められることになるだろう。今回は4Kについて主に書いたが、それ以外にも音楽や写真、カメラでの撮影動画など、PS4が活躍できる範囲は広い。今後徐々に明らかになるであろう、PS4のAV機能の充実に期待したい。
今後の動向を見極めながら決定していくということなのだろうか、スペックもまだ未決定の点が多い。スペックシートにはHDD容量が記載されていないし、HDMIのバージョンも不明。発売まで時間があるので、規格の決定状況やパーツの価格動向をにらみながら、細かな最終仕様を決定していくことになりそうだ。
今回の会見で印象的だったのは、PS4を「高性能なゲーム機」として、しっかり印象づけようという同社の姿勢だ。アンドリュー・ハウス社長は「ゲーマーこそが我々の努力の焦点」とし、PS4の商品企画についても「次世代のゲーマーがどうプレイしたいかを主眼に考えた」と強調した。さらに、約2時間のプレゼンテーションの大半は、PS4用ゲームの実機動画やテスト用の動画再生に費やされた。
PS3が2006年に発売された当初、ゲーム機でもあると同時に、家庭内コンテンツのメディアセンターとしても使える、とその万能性がさかんに語られた。その結果マーケティングの焦点がややボケ気味になり、平井CEO(当時)によって、途中でPS3はゲーム機であることを強調するという軌道修正が行われた(関連ニュース)。今回の発表をコアなゲームファンへフォーカスさせたのは、このときの反省も手伝っているのだろう。
オーディオビジュアル専門サイトという立場としては、PS4のAV機能に注目していたが、今回具体的に語られたのは、VODサービスが使えるというアナウンス程度にとどまった。PS3でも利用できるものがPS4でも引き続き使えるというだけなので、率直に言って新鮮味はない。
とは言え、PS4のAV機能に期待できないというわけではない。今回の初披露の場で、コアゲーマーに向けてその性能をアピールするのは至極当然。AV機能はPS4のメイン機能ではないため、今後、徐々に機能が紹介されていくことになるだろう。
PS4のAV機能で焦点となるのは、4Kにどの程度対応するか、ということだ。これはHDMI次期バージョンの規格策定時期とも密接に関わってくる。現行のHDMI 1.4は、QFHD(3,840×2,160)の場合30p映像までしか伝送できない。4,096×2,160では24pが上限となる。このため次期HDMIでは、4K/60pに対応することが確実視されている。
PS3のときは、当時の久夛良木社長がBDやHDMI 1.3へ対応させることにこだわり、発売日を遅らせる事態にまで至った(関連ニュース)が、PS4はどうなるだろうか。ゲーム機の場合、いったん仕様が固まったら、マイナーチェンジモデルなどを出さない限りスペックが固定されるため、なるべく最新規格の搭載を期待したいところだ。
HDMI 1.3のスケジュールを振り返ってみると、1.3規格が2006年初頭のCESで発表され、その後6月に仕様書がリリースされた。PS3の発売はその5月後の11月11日だった。このスケジュールでも、PS3への搭載を間に合わせるのはかなりギリギリだったと聞いている。翻って次期HDMIは、まだ概要すら発表されていない段階。年末の発売に間に合うかどうかは、かなり微妙なタイミングと言える。とは言え、当初は4K映像コンテンツは映画が中心になるだろうから、たとえハードが4K/60pに対応しなくても、一定の需要は満たせるのではないか。
HDMIの次期バージョンを搭載するかどうかはさておき、PS4が4K映像出力に対応する可能性はかなり高そうだ。年初のCESレポートでもお伝えしたとおり、ソニーは、グループを挙げて4Kに注力する姿勢を示している。今回はあくまでゲーム機としての能力が強調されたPS4だが、リビングに置かれることが多い据え置き型ゲーム機は、家庭内のメデイアセンターとしての役割も当然ながら担う必要がある。過去にPS2がDVD市場、PS3がBD市場の拡大をリードしたように、4Kワールド普及の牽引車としてPS4を活用することを、ソニーとしては当然考えているはずだ。さらにハード面でも、PS4は現在のハイエンドPCと比べても高性能なCPUやGPU、メモリーを搭載しており、4K映像再生に対応する要件は十分満たしている。
4K対応でもう一つ課題となるのは、どういう方法でコンテンツをデリバーするかということだ。手っ取り早いのはネット配信で、事実、ソニーは4K映像を専用のボックスへ配信するサービスを、今夏から米国で開始する。
光ディスクを使う方法も、もちろんある。PS4のドライブはBD/DVDの読み出し専用だが、たとえばBDの拡張規格として4K対応のものが策定されたら、物理メディアは現行のものを使いつつ4K対応を行うことも、不可能では無いかもしれない。ただし、そもそも4K光ディスク規格の詳細や規格化の時期がまったく見えていない(そもそも規格化されるかもわからない)状況なので、可能性としては低いのではないだろうか。
現行BDの4KアップコンバートにPS4のパワーを活用し、高品位な4K映像を実現することにも期待したい。PS3はDVDアップコンバートの品位の高さが話題となったが、PS4が2K→4Kアップコンに力を入れたら、どういった画質になるのか。気が早いが、実現したらぜひ試してみたい。
繰り返しになってしまうが、PS4は家庭の中心であるリビングに主に置かれる製品だ。このためゲーム機としてだけではなく、家庭内エンターテイメントのハブとしての役割も強く求められることになるだろう。今回は4Kについて主に書いたが、それ以外にも音楽や写真、カメラでの撮影動画など、PS4が活躍できる範囲は広い。今後徐々に明らかになるであろう、PS4のAV機能の充実に期待したい。