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公開日 2018/10/19 06:45

無料シミュレーションソフトで“高音質なスピーカー設置位置”を探る! 防音工事会社のユニークな試聴会に密着

[PR]アコースティックラボ「第54回 Acoustic Audio Forum」レポート
編集部:小野佳希
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オーディオファン向け物件や音楽スタジオの防音工事を多数手がけるアコースティックラボ。その豊富なノウハウをもとに、“音がいい部屋”構築のポイントを解説するイベント「第54回 Acoustic Audio Forum」が過日に開催された。

イベントでは、伝送周波数特性を事前に予測できる無料シミュレーションソフトを活用して最適なスピーカーセッティングを探るポイント紹介などを実施。オーディオ機器メーカーやオーディオショップなどの一般的な試聴会ではなかなかお目にかかれない、ユニークな試みを体験することができた同イベントの模様をレポートする。


■“音楽家のための防音工事会社”が提唱する「AL式オーディオルーム」

アコースティックラボは、“音楽家のための防音工事会社”を謳い長年活動している会社。ただ単純に防音性能を上げるのではなく、オーディオや楽器演奏の音質にこだわった防音室を構築する技術を持っているのが大きな特徴だ(逆に言えば、何も考えずに防音工事をするだけでは音質が悪化することも往々にしてあるということでもある)。


そんな同社では近年、社名にちなんで「AL(Acoustic Lab)式オーディオルーム」を提唱している。部屋の各辺(縦/横/天井高)の寸法比に留意する(低音の定在波対策)、壁/床/天井の剛性を高める(不要高調波輻射音対策)、そのうえで響きの長さを調整する…などといったポイントをキチンとおさえて防音工事をすることで、音がいい部屋を作り上げられるという考え方だ。

イベント「Acoustic Audio Forum」の会場となっている同社ショールーム「蔵前ヴィレッジ」も、そんなAL式オーディオルームの代表例。AL式オーディオームでは、防音性能が高く大音量でオーディオを楽しめるのはもちろん、何も対策していない部屋では壁や床が吸収してしまっていた音もきちんと聴けるようになるため、比較的小さなボリュームでも十分に音楽の魅力を味わえるようになるという。

蔵前ヴィレッジ メインルームの試聴システム

なお、同社では今回新たにリファレンスシステムに外部マスタークロックの効果を導入。「これによって演奏の背景の静けさが上がり、例えば昔の時代のCDからのリッピング音源でもちゃんと聴けるようになったように感じている」とのことで、今回のイベントはメインテーマであるシミューレーションソフトに加えて外部クロックの効果についても体験できる貴重な場となった。

同社が新たに導入したマスタークロックの効果も体験できるイベントとなった

蔵前ヴィレッジのデモシステム図

■伝送周波数特性のシミューレーションソフト

今回のイベントテーマは「スピーカーのセッティングについて考える(2)〜シミュレーションで事前に検討する〜」。無料のシミュレーションソフトを、ベストなスピーカー設置位置を探るために活用してみようという試みだ。

使用されたのは、伝送周波数特性をシミュレートする「Stndwave2」というフリーソフト。部屋の各寸法や反射率など諸条件を入力し、スピーカー設置位置やリスニングポイントをドラッグして動かすと、その位置での伝送特性が自動的に計算され、シミュレートされた伝送特性グラフが表示される。「リスニングルームの音響学」の著者であり“石井式リスニングルーム”の提唱者として知られる石井伸一郎氏もオススメしているソフトだという。

ソフトのUI


部屋の諸条件やスピーカーの設置位置、リスニングポイントを変更すると連動して周波数特性の予測グラフも変動する

実は公開されてから12年以上経ってるソフトなのだが、演算スピードもなかなかのものでストレスは感じない。いろいろと条件を変えてシミュレーション結果が変化するのを見ているだけでも面白い。

同社代表の鈴木氏は、こうしたソフトを活用してまずおおよその設置位置を決め、そこからは自分の耳で微調整を行うという活用法を紹介。「何十キロもある大型スピーカーは一回設置してしまうとなかなか動かせない。こうしたソフトを活用して事前にある程度シミュレーションしておくのがよいだろう」とした。

なお、ここで改めて気をつけたいのが部屋の寸法比だ。縦横が正方形の部屋に代表されるような寸法比が悪い部屋では、定在波の分布が偏ってしまって音質に影響する。スピーカーを壁から離したり、逆に近づけてみたり、左右のスピーカー同士の距離を狭めてみるなど試行錯誤しても、良好な周波数特性は得られないというシミュレーション結果も紹介された。

寸法比が悪い部屋ではスピーカーセッティングを工夫しても周波数特性の改善はなかなか難しい

■AL式オーディオルーム構築手順を過去事例で具体的に紹介

また、イベントでは同社が手がけた過去事例も毎回紹介されている。AL式オーディオルームがどのように構築されていったのかを、様々なケースでの実例をもとに具体的に知ることで、音がいい部屋づくりをより実感できるというわけだ。

この日に紹介されたのは、戸建て住宅の地下にホームシアター兼オーディオルームを構築したという物件。壁や床の剛性を高めるだけでなく、例えば床もスピーカーを置く位置とリスニングポジション部分とを別の構造体にして(これを『縁を切る』と同社は表現している)振動が伝わらないようにするなど、様々な面で高音質化へのこだわりが投入されていることも紹介された。

なお、この物件のオーナーはMAGICOのスピーカーを所有しているとのこと。この物件の設計を担当した同社スタッフは「MAGICOは低音がすごく素直なスピーカーだが、(他の物件など)部屋の環境によっては低音の量感が物足りないと感じてしまうこともあった。しかしこの物件ではそういうことがまったくなく、豊かな低音を感じられた」と語る。

実際の過去事例を紹介

現代の住宅は戸建でもマンションでも内装下地構造が低音域で共振する構成になっている場合が多いため、低音の吸音現象が起きているという。そのような部屋で、特にMAGICOのような密閉型のスピーカーだと低音の厚み・充実感に不満を抱く場合が多いのだそうだ。

このことからは、AL式オーディオルームはただの防音工事ではなく、オーディオの高音質化に寄与するものであるということをあらためて認識させられる。

図面をもとにどんな施工を行ったのかを説明するだけでなく、完成後の部屋の測定データも紹介されるなど部屋づくりを具体的にイメージしやすい配慮がなされている

■次回は10月26日・27日に開催

そんな“部屋によるオーディオの高音質化”について様々なことを体験できる本イベント、次回は10月26日(金)・27日(土)に開催が決定している。

次回のテーマは「部屋の吸音特性(残響時間特性)について考える」。本記事でレポートした回、およびその前回の内容が主に低音域に関するものだったことを受け、次回からは中高音域も関係する内容を取り上げていくという。

当日は「1.残響時間の測定とは」「2.吸音(反射)と残響時間の関係」「3.部屋の各面の吸音(反射)」「4.家具・什器・ものによる吸音」「5.最適残響時間とは」という流れでイベントを進行するとのこと。

また、同社が注目するオーディオ機器の紹介パートではサンバレーの直熱3直管845シングルアンプが登場。過去の実例紹介パートでは某モニタースタジオを例に挙げる予定だという。

参加はもちろん無料で、公式サイトのメールフォーム、および下記問い合わせ先から参加申し込みや問い合わせを受け付けている。

【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com

(提供:アコースティックラボ)

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