公開日 2019/07/28 07:00
「映画館サブスク見放題」が日本にも上陸か? 成功の可能性を米国事例から考える
月額3,980円「Premy」がティザーサイト公開
映画館でのサブスクリプション型映画見放題サービスが日本でもスタートしそうな気配だ。ワンファイナンシャル(株)が月額3,980円のサービス「Premy」のティザーサイトを公開し、事前登録を受け付けている。アメリカでの先行事例を参考に、日本での可能性について少し考えてみたい。
Premyについて現在明らかにされているのは、月額3,980円ということだけ。「映画館も定額制の時代へ」と謳い、「月額たったの3980円で、行き放題。気が向いた時にサクッと映画館で最新の映画を観れる。そんなサービスがもうすぐ始まります」とアピールしている。事前登録する情報がメールアドレスではなく電話番号という点が不思議だが、新サービスのティザーとしては一般的なレベルの情報公開だろう。
運営元のワンファイナンシャルは、レシートの写真を撮って送ると最大10円で買い取ってくれるアプリ「ONE」などを展開する企業。CEOの山内奏人氏が当時高校生で起業したことでも話題となった。なお、ONEは開始直後に利用者が殺到してサービスを一時停止し、それに対する一連の対応が不誠実だと不満を表明するアプリレビューも散見される。こうした経緯からPremyに不安を抱いている映画ファンもいるようだ。
念のためフォローしておくと、現在のONEは外部企業の広告などでレシート買取資金を調達し、形態を一部変えてサービス提供中。ここで得られたマーケティング情報をレポーティングする「ONE Insight」も2019年1月に発表するなど、ビジネスとして持ち直したように見える。
話が少々脱線したが、つまり、ワンファイナンシャルは映画館を運営する企業ではない。そのため、松竹系(MOVIX/ピカデリー)や東宝系(TOHOシネマズ)、東映系(T・ジョイ)にイオンシネマなどといった劇場の系列に縛られずに映画が定額で見放題になることが期待できる(ワンファイナンシャルと各劇場との交渉次第だが)。
こうしたサービスはアメリカですでに展開されている。2017年にサービスインした「MoviePass」だ。月額10ドルで映画見放題という内容で、月額料金のほか、会員の利用動向データを企業へ販売するなどで得た収入で劇場へのチケット代を支払うビジネスモデルをとっている。
しかし、劇場へのチケット代支払いをはじめとする運転資金がすぐに枯渇。「1ヶ月に3本まで」「見放題になるのはMoviePassが指定した対象作品から選択」などといった制約が加わったり、制約のレベルによって複数の料金プランが用意されるなど、サービス内容が変更された。
そして今月初め、「サービス改良のため」として新規会員受付を停止。いくつかの海外報道から判断するに、どうやら既存会員へのサービス提供も停止している気配だ。付け加えると、類似の競合サービス「Sinemia」も後発で登場したが、こちらはすでに正式にサービスを終了し、運営会社も破産している。このように、サブスク型映画見放題サービスは成功しているとは言い難い。
今回のPremyには、MoviePassが直面したこうした課題をクリアすることがまず求められる。
Premyの料金は月額3,980円。現在、日本の映画チケットは一般価格で1,800円程度なので、月に3本以上見れば元が取れる計算だ。「加入してみたけど月1〜2本しか映画を観なかった」というライトユーザーをどれくらい取り込めるか、そして、そうしたユーザーが退会しないようなお得感(例えば映画館以外での割引サービスや限定コンテンツの配信など)をどう演出・提供していくかが経営面でのポイントになってくるだろうか。
なお、MoviePassやSinemiaといった非劇場系企業によるサービスは成功しなかったが、アメリカではAMCシアターズによる「AMC Stubs A-List」、シネマーク・シアターズによる「Cinemark Movie Club」といった劇場直営のサブスクリプション型サービスも存在。系列劇場のみという条件は付くものの、両サービスは現在もサービスを続けている。
アメリカでの事例を反面教師にPremyが成功するのか、はたまた日本でも劇場直営のサービスが登場する可能性はあるのか? 今後の動向に引き続き注目したい。
Premyについて現在明らかにされているのは、月額3,980円ということだけ。「映画館も定額制の時代へ」と謳い、「月額たったの3980円で、行き放題。気が向いた時にサクッと映画館で最新の映画を観れる。そんなサービスがもうすぐ始まります」とアピールしている。事前登録する情報がメールアドレスではなく電話番号という点が不思議だが、新サービスのティザーとしては一般的なレベルの情報公開だろう。
運営元のワンファイナンシャルは、レシートの写真を撮って送ると最大10円で買い取ってくれるアプリ「ONE」などを展開する企業。CEOの山内奏人氏が当時高校生で起業したことでも話題となった。なお、ONEは開始直後に利用者が殺到してサービスを一時停止し、それに対する一連の対応が不誠実だと不満を表明するアプリレビューも散見される。こうした経緯からPremyに不安を抱いている映画ファンもいるようだ。
念のためフォローしておくと、現在のONEは外部企業の広告などでレシート買取資金を調達し、形態を一部変えてサービス提供中。ここで得られたマーケティング情報をレポーティングする「ONE Insight」も2019年1月に発表するなど、ビジネスとして持ち直したように見える。
話が少々脱線したが、つまり、ワンファイナンシャルは映画館を運営する企業ではない。そのため、松竹系(MOVIX/ピカデリー)や東宝系(TOHOシネマズ)、東映系(T・ジョイ)にイオンシネマなどといった劇場の系列に縛られずに映画が定額で見放題になることが期待できる(ワンファイナンシャルと各劇場との交渉次第だが)。
こうしたサービスはアメリカですでに展開されている。2017年にサービスインした「MoviePass」だ。月額10ドルで映画見放題という内容で、月額料金のほか、会員の利用動向データを企業へ販売するなどで得た収入で劇場へのチケット代を支払うビジネスモデルをとっている。
しかし、劇場へのチケット代支払いをはじめとする運転資金がすぐに枯渇。「1ヶ月に3本まで」「見放題になるのはMoviePassが指定した対象作品から選択」などといった制約が加わったり、制約のレベルによって複数の料金プランが用意されるなど、サービス内容が変更された。
そして今月初め、「サービス改良のため」として新規会員受付を停止。いくつかの海外報道から判断するに、どうやら既存会員へのサービス提供も停止している気配だ。付け加えると、類似の競合サービス「Sinemia」も後発で登場したが、こちらはすでに正式にサービスを終了し、運営会社も破産している。このように、サブスク型映画見放題サービスは成功しているとは言い難い。
今回のPremyには、MoviePassが直面したこうした課題をクリアすることがまず求められる。
Premyの料金は月額3,980円。現在、日本の映画チケットは一般価格で1,800円程度なので、月に3本以上見れば元が取れる計算だ。「加入してみたけど月1〜2本しか映画を観なかった」というライトユーザーをどれくらい取り込めるか、そして、そうしたユーザーが退会しないようなお得感(例えば映画館以外での割引サービスや限定コンテンツの配信など)をどう演出・提供していくかが経営面でのポイントになってくるだろうか。
なお、MoviePassやSinemiaといった非劇場系企業によるサービスは成功しなかったが、アメリカではAMCシアターズによる「AMC Stubs A-List」、シネマーク・シアターズによる「Cinemark Movie Club」といった劇場直営のサブスクリプション型サービスも存在。系列劇場のみという条件は付くものの、両サービスは現在もサービスを続けている。
アメリカでの事例を反面教師にPremyが成功するのか、はたまた日本でも劇場直営のサービスが登場する可能性はあるのか? 今後の動向に引き続き注目したい。