公開日 2019/09/03 12:54
麦わらの一味と映画を観る?『ONE PIECE STAMPEDE』副音声上映は新しいリピート鑑賞のカタチだ
無限の可能性を秘めた技術Another Trackとは
■夢のオールスター作品に “麦わらの一味” が副音声で解説
国民的アニメ作品、劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』(ワンピース スタンピード)が全国公開中だが、8月30日から新たなサービスがはじまった。
劇場でスマートフォンアプリ「Another Track」を起動すると、 映画の進行に合わせて作品キャラクター “麦わらの一味” の声優陣9人全員によるオーディオコメンタリーをイヤホンで聴くことができるという鑑賞フォーマットだ。
自分のスマホとイヤホンを持参する必要はあるが、追加料金は必要ない。早速、筆者は初日の劇場に足を運んだ。調べてみると分かってきたAnother Trackのオリジナリティと無限の可能性、そのしくみと実体験についてレポートする。
劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』は、同作TVアニメ放送20周年記念作品にして、劇場版14作目となる最新作である。本作の舞台は、“海賊万博”。万博の目玉となる「海賊王(ロジャー)の遺した宝」をかけてこれまで登場した主要38キャラクターが勢ぞろいする、夢のオールスター作品である。
ワンピースの映画版は、東映にとっての看板シリーズであることはもちろん、原作者の尾田栄一郎氏自身が直接的なプロデュース参加し始めた劇場版第10作の『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(2009年)から、映画としての画期的なチャレンジを繰り出している。
例えば『STRONG WORLD』では入場者プレゼントに、尾田栄一郎氏描き下ろしのコミック「ONE PIECE 巻零」を250万部配布(増刷分含む)して、社会的な話題となった。以降、入場者限定コミックは恒例となっている。また『ONE PIECE 3D 麦わらチェイス』(2011年)では全編フルCGおよびデジタル3D映画に挑戦。3D版は『ONE PIECE FILM GOLD』(2016年)でも実施され、さらに『GOLD』では初の4DX・MX4Dでも上映された。日本映画は製作費の都合で、3Dや4Dに消極的である中、ワンピースは常に新しい鑑賞形態にも貪欲だ。
■『ONE PIECE』シリーズは “4DX” 上映との相性がいい
最新作である『ONE PIECE STAMPEDE』も、通常版のほかに4D上映(4DXまたはMX4D)がある。なかでもワンピースシリーズには、 “4DX” 上映をおススメしたい。4DXでは、MX4Dより水量を大きくコントロールできるため、海賊映画である『ONE PIECE』ならではの水が弾けるシーンとの相性がとてもいいのである。
さらに、公開2週間後の8月23日からは、「“ギア4”DXバスターコールエディション」という、標準の4DXより “振動” “座席の動き” “水量” など、あらゆるギミックの演出効果がより激しくなったスペシャルエディションがはじまっている。本作の4Dスペシャルエディションも要チェックだ。
【劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』上映バージョン】
8月9日 通常2D版/4DX版/MX4D版
8月23日 “ギア4”DXバスターコールエディション(4DX版)
8月30日 「Another Track」オーディオコメンタリー版
■「Another Track」はスマホ時代だから生まれた
さて今回『ONE PIECE STAMPEDE』が採用したのは、スマートフォンアプリにオーディオコメンタリーを再生する音響通信技術Another Track(アナザートラック)である。いわゆる “副音声サービス” に似ている。テレビ放送やDVD、Blu-rayなどでもサブチャンネルを使った外国語放送や作品解説音声などが同時に聞ける仕様がある。
しかし一般的な映画館で副音声サービスを実施するとなると、専用の受信機や、サービスに対応した映画コンテンツが専用に必要になりそうな気がする。
そこでAnother Trackを開発したエヴィクサー(株)の楢原氏に、その仕組みについてうかがった。
「Another Trackは、基本的にお持ちのスマホに専用のアプリをインストールするだけで楽しめるシンプルなものです。なぜならスマホにはすでにイヤホン出力とマイクが備わっており、それを観客がすでに一台ずつ持っている。そんな今どきの環境がAnother Trackのサービスを実現するのです」と教えてくれた。
さらに楢原氏は、「Another Trackは、オーディオ・フィンガープリント(音声指紋)と、オーディオ・ウォーターマーク(音響透かし)の2つのコア・テクノロジーから構成されています。今回の『ONE PIECE STAMPEDE』のような映画作品は、オーディオ・フィンガープリントを使います」と続けた。
■既存の設備を使えるうえ、ネット環境もいらない
Another Trackは、特定の映画作品の音声データの特徴点を “マスターデータ” としてアプリ側に登録してある。アプリを立ち上げるとスマホのマイクが集音した特徴点と比較する。その結果、その音が「ワンピースだ」と判断して、連動した副音声を再生することができるようになっている。
映画は著作物自体を改変できないので、 “オーディオ・フィンガープリント(音声指紋)” を使うが、一方の “オーディオ・ウォーターマーク(音響透かし)” は、コンテンツの音そのものに情報を埋め込んで、スマホのマイクで情報を検出する方法となる。
いずれも既存の設備(今回は映画館)をそのまま使えるうえ、何百台、何万台のスマホといった不特定多数に対して一斉同報が可能だ。事前にアプリ登録するので、再生時にはWiFiなどのインターネット回線を前提としない。しかもほぼすべてのスマホ機種に対応している。エンターテインメントにとって理想的な技術なのである。
国民的アニメ作品、劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』(ワンピース スタンピード)が全国公開中だが、8月30日から新たなサービスがはじまった。
劇場でスマートフォンアプリ「Another Track」を起動すると、 映画の進行に合わせて作品キャラクター “麦わらの一味” の声優陣9人全員によるオーディオコメンタリーをイヤホンで聴くことができるという鑑賞フォーマットだ。
自分のスマホとイヤホンを持参する必要はあるが、追加料金は必要ない。早速、筆者は初日の劇場に足を運んだ。調べてみると分かってきたAnother Trackのオリジナリティと無限の可能性、そのしくみと実体験についてレポートする。
劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』は、同作TVアニメ放送20周年記念作品にして、劇場版14作目となる最新作である。本作の舞台は、“海賊万博”。万博の目玉となる「海賊王(ロジャー)の遺した宝」をかけてこれまで登場した主要38キャラクターが勢ぞろいする、夢のオールスター作品である。
ワンピースの映画版は、東映にとっての看板シリーズであることはもちろん、原作者の尾田栄一郎氏自身が直接的なプロデュース参加し始めた劇場版第10作の『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(2009年)から、映画としての画期的なチャレンジを繰り出している。
例えば『STRONG WORLD』では入場者プレゼントに、尾田栄一郎氏描き下ろしのコミック「ONE PIECE 巻零」を250万部配布(増刷分含む)して、社会的な話題となった。以降、入場者限定コミックは恒例となっている。また『ONE PIECE 3D 麦わらチェイス』(2011年)では全編フルCGおよびデジタル3D映画に挑戦。3D版は『ONE PIECE FILM GOLD』(2016年)でも実施され、さらに『GOLD』では初の4DX・MX4Dでも上映された。日本映画は製作費の都合で、3Dや4Dに消極的である中、ワンピースは常に新しい鑑賞形態にも貪欲だ。
■『ONE PIECE』シリーズは “4DX” 上映との相性がいい
最新作である『ONE PIECE STAMPEDE』も、通常版のほかに4D上映(4DXまたはMX4D)がある。なかでもワンピースシリーズには、 “4DX” 上映をおススメしたい。4DXでは、MX4Dより水量を大きくコントロールできるため、海賊映画である『ONE PIECE』ならではの水が弾けるシーンとの相性がとてもいいのである。
さらに、公開2週間後の8月23日からは、「“ギア4”DXバスターコールエディション」という、標準の4DXより “振動” “座席の動き” “水量” など、あらゆるギミックの演出効果がより激しくなったスペシャルエディションがはじまっている。本作の4Dスペシャルエディションも要チェックだ。
【劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』上映バージョン】
8月9日 通常2D版/4DX版/MX4D版
8月23日 “ギア4”DXバスターコールエディション(4DX版)
8月30日 「Another Track」オーディオコメンタリー版
■「Another Track」はスマホ時代だから生まれた
さて今回『ONE PIECE STAMPEDE』が採用したのは、スマートフォンアプリにオーディオコメンタリーを再生する音響通信技術Another Track(アナザートラック)である。いわゆる “副音声サービス” に似ている。テレビ放送やDVD、Blu-rayなどでもサブチャンネルを使った外国語放送や作品解説音声などが同時に聞ける仕様がある。
しかし一般的な映画館で副音声サービスを実施するとなると、専用の受信機や、サービスに対応した映画コンテンツが専用に必要になりそうな気がする。
そこでAnother Trackを開発したエヴィクサー(株)の楢原氏に、その仕組みについてうかがった。
「Another Trackは、基本的にお持ちのスマホに専用のアプリをインストールするだけで楽しめるシンプルなものです。なぜならスマホにはすでにイヤホン出力とマイクが備わっており、それを観客がすでに一台ずつ持っている。そんな今どきの環境がAnother Trackのサービスを実現するのです」と教えてくれた。
さらに楢原氏は、「Another Trackは、オーディオ・フィンガープリント(音声指紋)と、オーディオ・ウォーターマーク(音響透かし)の2つのコア・テクノロジーから構成されています。今回の『ONE PIECE STAMPEDE』のような映画作品は、オーディオ・フィンガープリントを使います」と続けた。
■既存の設備を使えるうえ、ネット環境もいらない
Another Trackは、特定の映画作品の音声データの特徴点を “マスターデータ” としてアプリ側に登録してある。アプリを立ち上げるとスマホのマイクが集音した特徴点と比較する。その結果、その音が「ワンピースだ」と判断して、連動した副音声を再生することができるようになっている。
映画は著作物自体を改変できないので、 “オーディオ・フィンガープリント(音声指紋)” を使うが、一方の “オーディオ・ウォーターマーク(音響透かし)” は、コンテンツの音そのものに情報を埋め込んで、スマホのマイクで情報を検出する方法となる。
いずれも既存の設備(今回は映画館)をそのまま使えるうえ、何百台、何万台のスマホといった不特定多数に対して一斉同報が可能だ。事前にアプリ登録するので、再生時にはWiFiなどのインターネット回線を前提としない。しかもほぼすべてのスマホ機種に対応している。エンターテインメントにとって理想的な技術なのである。