公開日 2021/06/05 06:45
SFPポートはどう使う? ネットワークオーディオにおける「光アイソレート」の新たな可能性
【SFP徹底研究】第1回 SFPポートとは?
■SFPポートを搭載するネットワークオーディオ機器が続々登場
いまネットワークオーディオの世界で、「SFP」という高音質のためのキーワードが話題を集めている。これは、これまでLANケーブルで接続されていたネットワークオーディオに、光(オプティカル)ファイバーケーブルを追加することで、ネットワーク由来のノイズをシャットアウト(=光アイソレート)、音質改善につながるのではないか、という考え方である。
特に、ネットワークオーディオの世界を牽引してきたLINNが、最新のフラグシップ機「KLIMAX DSM」(ディスクリート構成のORGANIK DACが搭載されていることも特徴)でSFPポートを搭載してきたことは世界的にも話題となっている。また、ネットワークプレーヤーだけではなく、今秋発売予定のfidataのサーバー「AS2」にも搭載が予告されており、SFP活用の道は着々と整備されつつある。
その他にも、スフォルツァートのネットワークプレーヤー群(DSP-Velaを筆頭とする3モデル)や、SOULNOTEのネットワークトランスポート「Z-1」、LUMINの「X1」などにも搭載される。また、SPECのDiretta USBブリッジ「RMP-UB1」にもSFP搭載バージョンが存在する。ここではこの「SFPポート」の活用方法と光アイソレートの意味について解説していきたい。
■SFPポートとは?
SFPとは、「Small Form Factor Pluggable」の頭文字を取ったもの。SFPポートは、オーディオ機器/ネットワーク機器に搭載される端子のひとつで、10mm×15mm程度の長方形の「穴」である。メーカーによって異なるが、「OPTICAL ETHERNET」あるいは「SFP」といった名称が付けられている。
そしてこのポート(=穴)に、SFPモジュール(SFPトランシーバー/光トランシーバーとも言う)を挿し込み、SFPモジュールと光ファイバーケーブルを接続することで、使用が可能になる。SFPモジュールはTP-LINKやバッファロー、CiscoなどのPC周辺機器メーカーからひとつ数千円程度〜発売されている。
ここで注意してほしいのは、SFPモジュールは光ファイバーを接続するだけではなく、コネクタをRJ-45に変換できるものも存在する。つまり、SFPポートのみしか搭載していないネットワークプレーヤーでも、対応するSFPモジュールを用意すれば、通常のLANケーブルでの接続も可能だ。
SFP=光ファイバーではない。光アイソレートを実現するためには、「光ファイバー対応のSFPモジュール」&「光ファイバーケーブル」が必要になることを押さえておきたい。
■光ファイバーケーブルとは?
続いて、光ファイバーケーブルについて簡単に理解しておこう。ネットワーク伝送での光ファイバーケーブルというのは、業務用としてかなり以前から活用されていた。光ファイバーはメタルの導体を採用するLANケーブルとは異なり、ガラスや石英などを芯(コア)とし、長距離の伝送に優れる特性を持つ。海底ケーブルなど国際間のネットワーク通信にも活用されているほどだ。ケーブル径も細くしなやかなため取り回しがしやすいメリットがあるが、その一方で曲げには弱く、コアがポキリと折れてしまうともう伝送ができなくなる。
もうひとつ、光ファイバーケーブルを使うにあたっての注意事項がある。光ファイバーには大きく分けて「シングルモード」と「マルチモード」の2種類があり、適合するケーブルとモジュールを組み合わせないと接続できないという問題がある。これはコアの直径によって異なり、シングルの方がコアが細く(9μm)、マルチのほうが太い。シングルの方がコアが細いため光の分散が少なく、より長距離伝送に向いているとされている。
光ファイバーケーブルはLANケーブルよりも細くしなやかなので、部屋の中での取り回しはずっと楽になる。曲げる場合はある程度ゆとりを持って曲げる必要があるが(ボキリと折るのは厳禁!)、たとえば別の部屋のルーターから有線ネットワークを引きたい場合にも、LANケーブルよりも容易に設置できるというメリットもあるのだ。
なお「シングルモード」と「マルチモード」のどちらの方が音質的に有利なのか、ということもさまざまな議論があるところだが、例えばSONOREはマルチモードの方を音が良いとして推奨している。またDELAの光オプションセット「OP-SFP」はマルチモードのケーブルがセットされている。
■SFPポートを活用するメリットは?
光ファイバーの大きなメリットは、「光アイソレート(オプティカルアイソレート)」の効果を持つことにある。家庭内のルーターは、オーディオ機器以外にもさまざまなデバイスと接続しており、LANケーブルでの伝送では、それらから発するノイズが膨大にまとわりついてしまう。しかし、そこに光ファイバーケーブルを挟むことで、ノイズ源から絶縁されたネットワークを構築することができるのだ。
それでは具体的にどのように接続すればよいだろう。基本的な接続方法は、これまでのRJ-45端子のLANケーブルと同じだ。LANケーブルの代わりに、「SFPモジュール&光ファイバーケーブル」を使えば良い。
ただし、現状SFPポートを搭載するネットワークプレーヤー/サーバーはさほど多くはない。そのため、光とLANを変換するためのオーディオグレードの「ハブ」や「メディアコンバーター」が登場してきている。そういったハブ/メディアコンバーターをシステムに組み込むことで、光アイソレートを実現できるのだ。
また、先述した通りSFPモジュールと光ファイバーケーブルを正しい組み合わせで使用しないと導通しないという問題もある。そのため、オーディオメーカーが販売している製品に関しては、そのようなトラブルを回避した「推奨セット」となっていることが多い。
こういったハブ/メディアコンバーターはどういう役割を果たしているのか、また具体的なシステム設計については次回に詳しく解説しよう。
▶▶▶SFP徹底研究第2回 SFPポートがなくても“光アイソレート”は実現できる! ネットワークハブとメディコンの役割を解説
▶▶▶SFP徹底研究第3回 ネットオーディオ、「光アイソレート」はどこに組み込むのが効果的? KLIMAX DSMで徹底検証!
いまネットワークオーディオの世界で、「SFP」という高音質のためのキーワードが話題を集めている。これは、これまでLANケーブルで接続されていたネットワークオーディオに、光(オプティカル)ファイバーケーブルを追加することで、ネットワーク由来のノイズをシャットアウト(=光アイソレート)、音質改善につながるのではないか、という考え方である。
特に、ネットワークオーディオの世界を牽引してきたLINNが、最新のフラグシップ機「KLIMAX DSM」(ディスクリート構成のORGANIK DACが搭載されていることも特徴)でSFPポートを搭載してきたことは世界的にも話題となっている。また、ネットワークプレーヤーだけではなく、今秋発売予定のfidataのサーバー「AS2」にも搭載が予告されており、SFP活用の道は着々と整備されつつある。
その他にも、スフォルツァートのネットワークプレーヤー群(DSP-Velaを筆頭とする3モデル)や、SOULNOTEのネットワークトランスポート「Z-1」、LUMINの「X1」などにも搭載される。また、SPECのDiretta USBブリッジ「RMP-UB1」にもSFP搭載バージョンが存在する。ここではこの「SFPポート」の活用方法と光アイソレートの意味について解説していきたい。
■SFPポートとは?
SFPとは、「Small Form Factor Pluggable」の頭文字を取ったもの。SFPポートは、オーディオ機器/ネットワーク機器に搭載される端子のひとつで、10mm×15mm程度の長方形の「穴」である。メーカーによって異なるが、「OPTICAL ETHERNET」あるいは「SFP」といった名称が付けられている。
そしてこのポート(=穴)に、SFPモジュール(SFPトランシーバー/光トランシーバーとも言う)を挿し込み、SFPモジュールと光ファイバーケーブルを接続することで、使用が可能になる。SFPモジュールはTP-LINKやバッファロー、CiscoなどのPC周辺機器メーカーからひとつ数千円程度〜発売されている。
ここで注意してほしいのは、SFPモジュールは光ファイバーを接続するだけではなく、コネクタをRJ-45に変換できるものも存在する。つまり、SFPポートのみしか搭載していないネットワークプレーヤーでも、対応するSFPモジュールを用意すれば、通常のLANケーブルでの接続も可能だ。
SFP=光ファイバーではない。光アイソレートを実現するためには、「光ファイバー対応のSFPモジュール」&「光ファイバーケーブル」が必要になることを押さえておきたい。
■光ファイバーケーブルとは?
続いて、光ファイバーケーブルについて簡単に理解しておこう。ネットワーク伝送での光ファイバーケーブルというのは、業務用としてかなり以前から活用されていた。光ファイバーはメタルの導体を採用するLANケーブルとは異なり、ガラスや石英などを芯(コア)とし、長距離の伝送に優れる特性を持つ。海底ケーブルなど国際間のネットワーク通信にも活用されているほどだ。ケーブル径も細くしなやかなため取り回しがしやすいメリットがあるが、その一方で曲げには弱く、コアがポキリと折れてしまうともう伝送ができなくなる。
もうひとつ、光ファイバーケーブルを使うにあたっての注意事項がある。光ファイバーには大きく分けて「シングルモード」と「マルチモード」の2種類があり、適合するケーブルとモジュールを組み合わせないと接続できないという問題がある。これはコアの直径によって異なり、シングルの方がコアが細く(9μm)、マルチのほうが太い。シングルの方がコアが細いため光の分散が少なく、より長距離伝送に向いているとされている。
光ファイバーケーブルはLANケーブルよりも細くしなやかなので、部屋の中での取り回しはずっと楽になる。曲げる場合はある程度ゆとりを持って曲げる必要があるが(ボキリと折るのは厳禁!)、たとえば別の部屋のルーターから有線ネットワークを引きたい場合にも、LANケーブルよりも容易に設置できるというメリットもあるのだ。
なお「シングルモード」と「マルチモード」のどちらの方が音質的に有利なのか、ということもさまざまな議論があるところだが、例えばSONOREはマルチモードの方を音が良いとして推奨している。またDELAの光オプションセット「OP-SFP」はマルチモードのケーブルがセットされている。
■SFPポートを活用するメリットは?
光ファイバーの大きなメリットは、「光アイソレート(オプティカルアイソレート)」の効果を持つことにある。家庭内のルーターは、オーディオ機器以外にもさまざまなデバイスと接続しており、LANケーブルでの伝送では、それらから発するノイズが膨大にまとわりついてしまう。しかし、そこに光ファイバーケーブルを挟むことで、ノイズ源から絶縁されたネットワークを構築することができるのだ。
それでは具体的にどのように接続すればよいだろう。基本的な接続方法は、これまでのRJ-45端子のLANケーブルと同じだ。LANケーブルの代わりに、「SFPモジュール&光ファイバーケーブル」を使えば良い。
ただし、現状SFPポートを搭載するネットワークプレーヤー/サーバーはさほど多くはない。そのため、光とLANを変換するためのオーディオグレードの「ハブ」や「メディアコンバーター」が登場してきている。そういったハブ/メディアコンバーターをシステムに組み込むことで、光アイソレートを実現できるのだ。
また、先述した通りSFPモジュールと光ファイバーケーブルを正しい組み合わせで使用しないと導通しないという問題もある。そのため、オーディオメーカーが販売している製品に関しては、そのようなトラブルを回避した「推奨セット」となっていることが多い。
こういったハブ/メディアコンバーターはどういう役割を果たしているのか、また具体的なシステム設計については次回に詳しく解説しよう。
▶▶▶SFP徹底研究第2回 SFPポートがなくても“光アイソレート”は実現できる! ネットワークハブとメディコンの役割を解説
▶▶▶SFP徹底研究第3回 ネットオーディオ、「光アイソレート」はどこに組み込むのが効果的? KLIMAX DSMで徹底検証!