音楽に新しい楽しみ方のカタチ
奥田民生さんのライブで大反響 − 『お持ち帰りCD』の魅力とは?
感動を持ち帰れるかつてないインパクト |
ーー 「お持ち帰りCD」というのは、既存のCDパッケージとはまったく別個の、音楽の新しい楽しみ方のカタチになると思います。
揚 何か新しい試みを行っていくことは、とても大切なことだと思います。「臨場感」「感動」「興奮」「参加意識」「思い出」など、「お持ち帰りCD」だからこそ伝えられることがあります。
スタート・ラボではあらゆる側面から経営の基本に立ち返り、社会貢献を含めた経営品質の改善に取り組んでいます。その基本姿勢として「原点回帰」という言葉を標語のように使っています。
設立当初、CDの多品種少量制作業務を目的に活動を開始し、「CDを1枚からつくります」がキャッチフレーズでしたが、CD-Rの長い歴史を経て、皆さんがCD-Rに抱いていた思いが、ここに「お持ち帰りCD」として結実しているように思えますね。
ーー 会場がライブで盛り上がる一方、同時進行で商品がつくられていて、ライブ終了から30分後には商品の受け渡しが始められました。
白川 マスタリングも何枚かに分けていただき、順次作業を進めていきます。最後のマスターが届くのはアンコールの頃になりますね。出来上がったマスターは、CD-Rデュプリケーターに1台ずつ読み込ませていきます。マスターも複数枚つくって、例えば、マスターが3枚なら3台にしか読み込ませられませんから、15台に読み込ませるためには、それを5回やることになります。
マスターディスクは1回に1枚しかできず、複数枚つくるにはタイムラグが生じますから、それらを細かく計算して作業を進めていきます。コピーしたら、それをまたコピーすれば早いと思うかもしれませんが、それでは孫世代となり、音質も一世代落ちてしまうことになります。
ーー ということは、ライブ会場で手に入る「お持ち帰りCD」は皆、子供の世代のものが手に入るわけですね。
白川 本当に臨場感の伝わるマスターにかなり近い状態のものが、お客様の手元に公平に行き渡ることになります。
ーー 好きなアーティストと共有した時間が、限定販売の自分だけの特別なものとして、しかも、限りなくマスターに近い音源で手に入るわけですね。
白川 音楽ファンにとってこれほど魅力的なものはありません。もっと多くの方に知ってほしいですね。
音楽配信の普及などにより、音楽の楽しみ方が多様化していますが、ライブ会場には以前にも増して多くの音楽ファンが足を運んでいます。ライブがそれだけ魅力的な存在として改めて認識される中で、その感動がダイレクトにパッケージ化される「お持ち帰りCD」は、今の時代にもとても合っていると思います。
ーー パッケージコンテンツは確かに難しい時代に入っていますが、しかしそれは、いままでの販売チャネルや売り方など、従来のカタチの延長線上で考えているからですね。
白川 まさにその通りだと思います。1つの会場で1時間に600枚も売れるのですから大変なことです。
ーー お客様はいるのだけれど、提供するバリューが見えていなかった。「お持ち帰りCD」がその一端を顕在化したわけですね。
白川 まだまだ見えていないことはたくさんあると思います。
揚 「何かあるぞ」という匂いをそこに感じているのですね。こんなにインパクトのある技術革新なのですから、業界をあげてうまく発信し、文化として創造していきたいですね。